著者
中村 亮一
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では安全で高度な内視鏡下胎児手術をサポートするシステムとして、低侵襲性の向上と術具機能の確保を両立させるために、腹腔内で先端部が変形することで内視鏡手術用デバイスとしての機能を持つエンドエフェクタ「変形駆動」機能を開発し,挿入時φ8mmから体内でφ14mmに大型化する把持鉗子を開発した.また3次元超音波画像診断装置と手術ナビゲーションを用いて、手術ナビゲーションとしての術野情報・術具位置姿勢提示機能のみならず、子宮内組織と術具との距離(接近度)を術者に提示する「近接覚」提示機能を備えたリアルタイム3D超音波ナビゲーションを開発した.
著者
中村 正人
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題は、儒教思想に由来する清律の刑罰減免制度を考察対象に取り上げ、主として清代の刑案(判例)史料を用いた実証的研究を通じて、当時の法実務家官僚達が、儒教的な「衿恤の意」を実現しようとする法の理念と、社会の治安維持という現実の要請との間で、如何にして折り合いをつけていたかを解明し、その対応の時代的変遷のパターンを他の王朝のそれと比較検討することによって、清朝法制度の特質の一端を明らかにすることを目的としている。本研究では、主として「誤殺」と「自首」を対象に選び、条例や判例によって制度の変遷過程について考察を行った。その結果、「誤殺」については、特に親族関係の存在を認識できずに犯行に及んだ「犯時不知」の場合において、親族関係の錯誤に関して広く刑の軽減を認めていた清朝初期の状況が、乾隆朝を境として次第に刑の軽減範囲が狭められ、嘉慶24年以降には極めて限定的な場面においてのみしか減刑が認められなくなって行ったことが明らかとなった。また「自首」に関しても、主として強盗犯の自首において、それ以前は強盗犯の自首についても広:く減免が行われていたものが、次第に自首が認められなくなる、あるいは認められたとしても刑の軽減の度合いが低下する等、やはり同様に乾隆朝辺りを境として犯人にとって不利益な方向での変更が行われていたことが明らかとなった。これはかつて「留養」制度に関して筆者が明らかにしたのと同様のパターンであり、この乾隆朝を境とした厳罰化というのが清朝の法制度上の特質として浮かび上がってきた。
著者
道 健一 山下 夕香里 片岡 竜太 中村 篤 高橋 浩二 斎藤 健一 IMAI Satoko 山下 夕香理 今井 智子
出版者
昭和大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

臨床応用可能な開鼻声の定量的評価法を確立するために、口蓋裂あるいは先天性鼻咽腔閉鎖不全症による開鼻声患者18例と健常人17例の発声した母音/i/にケプストラム分析を行い、得られたスペクトルエンベロ-プに1/3オクタ-ブ分析を加え、開鼻声の周波数特性を求めた。次に20人の聴取者による開鼻声の聴覚心理実験を行い、得られた主観評価量と周波数特性を表わす物理量の関連を検討したところ次の結果が得られた。1 健常音声と比較した開鼻声のスペクトルエンベロ-プの特徴は第1、第2フォルマント間のレベルの上昇と、第2、第3フォルマントを含む帯域のレベルの低下であった。2 開鼻声の聴覚心理実験を行い得られた5段階評価値を因子分析したところ、開鼻声を表現する2次元心理空間上に2つの因子が存在し、第1因子は全聴取者に共通した聴覚心理上の因子であり、第2因子は聴取者間の個人差を表わす因子であると考えられた。そのうち第1因子を主観評価量とした。3 開鼻声の主観評価量とスペクトルエンベロ-プの1/3オクタ-ブ分析から得られた物理量の相関を検討したところ、第1フォルマントの含まれる帯域から2/3〜4/3オクタ-ブ帯域の平均レベル(物理評価量L1)および9/3〜11/3オクタ-ブの帯域の平均レベル(物理評価量L2)と主観評価量に高い相関が認められた。
著者
中村 康久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.541, pp.1-6, 2004-01-06

ユビキタス社会の到来により、通信に対するニーズは、「人対人」から「人対機械」、「機械対機械」と急速に進化し、転換期を迎えている。象徴的な「機械」である自動車の情報化も実現フェーズヘと移行している。本項では、まず、ユビキタス化の方向性を明らかにした上で、「テレマティクス」の概要、ドコモの考える戦略といった基本的な考え方について解説する。そして、具体例について、車情報活用サービス、車情報配信サービス、ドコモの出資提携するサービスについて事例を交えて解説する。更に、標準化に向けた取り組みについて解説する。最後に、NTTドコモが取り組む「テレマティクスの取り組み」について総括を行う。
著者
中村 康久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.543, pp.1-6, 2004-01-06
被引用文献数
2

ユビキタス社会の到来により、通信に対するニーズは、「人対人」から「人対機械」、「機械対機械」と急速に進化し、転換期を迎えている。象徴的な「機械」である自動車の情報化も実現フェーズヘと移行している。本項では、まず、ユビキタス化の方向性を明らかにした上で、「テレマティクス」の概要、ドコモの考える戦略といった基本的な考え方について解説する。そして、具体例について、車情報活用サービス、車情報配信サービス、ドコモの出資提携するサービスについて事例を交えて解説する。更に、標準化に向けた取り組みについて解説する。最後に、NTTドコモが取り組む「テレマティクスの取り組み」について総括を行う。
著者
中村 亮一 村垣 善浩 伊関 洋
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.248-255, 2005-05-01
被引用文献数
2

はじめに -術中情報の可視化- 精密かつ安全な手術を遂行する上で最も重要な事項の一つは, 患者, 病変に関しての質の高い情報をいかに確保するかということである. 「敵を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず」とは孫子の言葉であるが, 手術においてもまさしくこの言葉が当てはまる. すなわち, 対象となる病変の情報を多く獲得し, かつ自分が手術という一連のプロトコルの中で現在どういう状態にあり, これから何をするべきかを決断するための情報を獲得することが, よりよい手術結果を獲得するために必要なことである. 肉眼で確認できない患者体内の病変についてのより質の高い情報を獲得するための試みが古くより多くの医学者, 科学者によりなされてきた. Roentgenが1895年11月8日にX線を発見し12月22日に夫人の手指骨の透過写真を撮影したのが, 非侵襲的な(切開等の直接的侵襲を伴わない)体内情報の画像化の最初である. その後, HounsfieldによるX線CTの開発(1968), 和賀井敏夫らによる超音波診断装置の開発, そしてLauterbur, Mansfieldらにより開発された核磁気共鳴画像(MRI)(1971)の登場により, 体内の多品質, 高品質な画像情報の獲得が可能となった.
著者
ポダルコ ピョートル エルマコワ リュドミラ 太田 丈太郎 サヴェリエフ イゴリ ミハイロワ ユリア 清水 俊行 中村 善和 安井 亮平 長縄 光男 清水 俊行 澤田 和彦 長縄 光夫 中村 喜和 中嶋 毅 安井 亮平
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年4月より22年3月までの4年間に例会を20回、研究会合宿を2回(神戸市立大学、東北大学)行い、この間、研究会のニューズレター『異郷』(年3回発行)をno.21-32計12号を刊行し、論文集『ロシアと日本』を2冊(vol.7,8,2008年3月、2010年3月)を刊行した。
著者
成瀬 恵治 毛利 聡 中村 一文 竹居 孝二 山田 浩司 入部 玄太郎 片野坂 友紀
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

生体内では至るところで、重力・伸展や剪断応力といった物理的な機械刺激が生じている。細胞の機械受容システムを介して伝達されるこのような刺激は、単に生体にとって不利益なストレスではなく、発生過程や臓器機能発現に不可欠な生体情報であることが次第に明らかになってきた。本研究では、独自のメカニカルストレス負荷システムおよび評価系の開発を通して生体での機械受容環境を再現し、生体の巧みなメカニカルストレス応答機構を明らかにする。
著者
中村 智裕 山田 悌士
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

近年,感染性医療廃棄物の処理問題は病院経営の上で重要視されつつある.特に感染性排液の処理については,その量は年々増える傾向であり,各施設によってその処理方法が問題となっている.今回われわれはその中でも泌尿器科の経尿道的手術時に発生する大量の感染性廃液の処理について着目した.これまでこれら手術時に発生する廃液の処理は感染性廃棄物専用のプラスチックバケツに廃液をため消毒剤入り凝固材によって固形化し焼却あるいは埋め立てなどの処理をしていた.しかし,この方法では,手術途中でのバケツ交換による手術の中断や廃棄するバケツの重量が重すぎ移送が困難,環境破壊などの問題を抱えていた.しかし一度の手術に出る廃液の量も多く廃棄コストの問題もあった.そこでわれわれは手術室改築にともない,この廃液処理に歯科用吸引装置を利用し,手術を中断することなく自動で廃液を吸引し,感染性廃水処理槽で非感染性処理水とした後,一般雑排水として排水するバキュームシステムを考案した.この処理システムは泌尿器科の経尿道的手術時に対応できるようバケツに金属メッシュフィルタやレベルセンサを取り付けた.また,4室同時に手術ができるようセントラル配管方式にした.さらに,使用後も容易に片付けができるように消毒や洗浄がしやすい構造に改良をした.これによりスタッフの労力の軽減や処理費用の削減,手術室の効率的運用などが可能となった.しかし,このシステムは地下に感染性汚水を処理するための処理槽を設けたり,各部屋をつなぐ配管工事が必要であったりとイニシャルコストが非常にかかる欠点がある.そこで現在はこれらの大がかりな設備を必要としない,あるいは既存の手術室にも設置が可能なシステムも考案中である.
著者
倉本 加代 青山 隆夫 中島 克佳 中村 幸一 小滝 一 伊賀 立二
出版者
日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.491-496, 1997-12-10
被引用文献数
2

We studied the effects of various infusion containers materials on the fluid volumes, different infusion fluids and fluid concentrations of nartograstim (NT), a recombinant human granulocyte colony stimulating factor, on the adsorption of NT to containers, after adding NT preparations (Neu-up^&ltss;[O!R}> for injection 100) into infusion fluids. The NT concentrations in the infusion fluids after adding NT to containers were determined by a high-performance liquid chromatographic method or bioassay. When 1000 ng of NT was added to 500 ml physiological saline in glass containers (final concentration : 200 ng/ml), the residual rates in the fluids was to 89.5% immediately after addition, and thereafter decreased 73.3% at 6 hr and 59.1% at 24 hr. Similarly, when NT was added to the same solution in polypropylene containers, the residual rates was 74.2% immediately after adding, and 37.5% at 6 hr, and 27.8% at 24 hr. The results in the ethylenvinyl acetate and polyethylene containers were also similar to those in the polypropylene containers. No influence of the volumes (100 and 250 ml) or the kinds of fluids (physiological saline, 5% glucose solution and ringer lactate solution) on the residual rates of NT in fluids was observed. As the fluid concentrations of NT were higher, the residual rates were found to be larger within the range of 100- 1200 ng/ml. These decreases in the NT concentrations in the infusion fluids could be prevented almost completely by adding commercially available total-vitamin injections containing polysorbate surfactants.

1 0 0 0 OA 旧約物語

著者
中村春雨 著
出版者
金尾文淵堂
巻号頁・発行日
1907
著者
中村 誠宏 森川 敏生 加藤 泰世 李 寧 長友 暁史 池 桂花 大串 輝樹 浅尾 恭伸 松田 久司 吉川 雅之
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.48, pp.535-540, 2006-09-15

During the course of our characterization studies on bioactive saponins, the saponin fraction from the flowers, seeds of Camellia sinensis and C. japonica were found to show biological activities (gastroprotective, inhibitory effect on serum triglyceride (TG) elevation, and platelet aggregating effects, and so on). Therefore, we tried to isolate various bioactive saponin constituents from Camellia sinensis and C. japonica. 1. Camellia sinensis We have isolated nine new compounds [floratheasaponins A-I] from the flowers, twenty-three new compounds [theasaponins A_1-A_5, C_1, E_3-E_<13>, F_1-F_3, G_1, G_2 and H_1] from the seeds, and six new compounds [foliatheasaponins I-VI] from the leaves of C. sinensis. Floratheasaponins from the flowers were found to inhibit serum TG elevation in olive oilloaded mice. Theasaponins A_2 and E_2 showed inhibitory effects on ethanol-induced gastric mucosal lesions in rat, and their effects were stronger than that of reference compound, cetraxate hydrocholoride. 2. Camellia. Japonica We have isolated nine new compounds [camelliosides A-D, sanchasaponins A-D] from the flowers and six new compounds [camelliasaponins A_1, A_2, B_1, B_2, C_1, and C_2,] of C. japonica. Camelliosides, A and B showed gastroprotective and platelet aggregating effects. In addition, camelliasaponins B_1, B_2, C_1, and C_2 were found to exhibit inhibitory activity on ethanol absorption.
著者
松下 哲也 西垣 正勝 曽我 正和 田窪 昭夫 中村 逸一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1970-1982, 2003-08-15
被引用文献数
2

アルゴリズム公開型の電子透かしを利用して,著作者から管理の依頼があったディジタルコンテンツの不正コピーが掲載されている違法ホームページを一般ユーザの協力により発見する仕組みを提案する.すべてのユーザが不正者を見つける「賞金稼ぎ」となりうる本方式によれば,不正者はだれに自分の犯罪を発見されるか分からず,不正者にとって大きな脅威になると思われる.また,世界中には無数のホームページが存在するため,これらすべてを公的機関などが一極集中管理することは事実上,不可能である.提案方式はすべての一般ユーザによる究極の分散チェック機構と位置付けることができ,インターネットにおけるディジタルコンテンツの管理に適した仕組みであるといえよう.本論文では本方式と関連方式を比較し,本方式の有効性を検討するとともに,インターネットにおけるコンテンツ監視に関する問題について考察する.This paper proposes a distributed copyright protection system for registered digital content which is based on the idea of bounty hunting. The system employs a digital watermark method in which all information for extracting watermarks can be opened, so that any Web page visitor can verify the authenticity of the content on the Web page he/she is visiting. It allows, essentially, every net surfer to be a kind of bounty hunter who finds illegal content or Web pages. We believe this type of self-policing system is necessary because it is impossible for a limited number of trusted parties to check the vast number of Web pages over the Internet. Moreover, in the proposed system, illegal Web page owners can not know if or when they have been discovered, as each and every visitor has the potential to discover and report them. Therefore, this distributed-type check of the proposed system promises to be a much greater deterrent than a centralized-type check could ever be. Thus, a copyright protection on the Internet is successfully achieved by the system. This paper shows the efficiency of a bounty hunting-based copyright protection system by comparing it with the related systems, and discusses about how to achieve effective copyright protection by the system.
著者
松下 哲也 西垣 正勝 曽我 正和 田窪 昭夫 中村 逸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.211, pp.53-60, 2002-07-11

アルゴリズム公開型の電子透かしを利用して,一般ユーザが誰でも違法コンテンツを含むホームページを摘発することができる社会的機構を構築することを提案する.全てのユーザが不正者を摘発する賞金稼ぎとなり得る本方式によれば,不正者は誰に自分の犯罪を発見されるか分からず,不正者にとって大きな脅威になると思われる。また,世界中に無限のコンテンツが散在するインターネットにおいては,ホームページ上のディジタル著作物を一元管理することは事実上,不可能である.提案方式は全ての一般ユーザによる究極の分散チェック機構と位置付けることができ,インターネットにおけるディジタル著作物の管理方式に適していると言える.本稿では,本方式と関連方式を比較し,本方式の有効性を検討する.
著者
西山 繁 中村 和彦
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は有用な薬剤の開発に資することを最終目的として、有機電気化学的手法とタリウム(III)塩の双方からフェノール酸化反応を検討し、これを鍵反応として天然有機化合物を含む生物活性物質の合成を行ったものである。以下、その概略を述べる。ユーリパミド類の合成海洋生物由来の環状イソジチロシン類ユーリパミドA、B、Dの合成を行った。鍵となるジアリールエーテルの構築は、硝酸(III)タリウムを活用した。ユーリパミドAの構造訂正を含めて、目的を達成することが出来た。さらに、ユーリパミド誘導体に新たな抗MRSA活性を見出すことが出来た。現在さらなる高活性の誘導体を求めて研究を続けている。ジャーマクレンDの臭素化反応ジヤーマクレンDに電極酸化により発生させたブロモカチオンを反応させ、主生成物として2環性化合物が得られることが判明した。ヘリアヌオール類の合成と生物活性独自に開発したフェノール類の陽極酸化で生成するスピロ化合物か6クロマン誘導体への変換反応を活用して、ヒマワリのアレロパシー物質ヘリアヌオールEの構造訂正を含めて全合成を達成した。また、本合成における転位反応の選択性は芳香環上の置換基の立体化学と電子的性質に依存することを見出した。合成途上で得られたクロマンおよびベンゾオキセピン誘導体について植物に対する成長阻害活性を調べたところ、より単純な構造についても天然物と同様の活性を有することを明6かにした。海洋生物由来のスピロイソキサソール型天然物の合成と反応スピロイソキサソール骨格の合成を陽極酸化と水素化ホウ素亜鉛の還元による改良合成法を確立するとともにスピロイソキサソール環の選択的な開環反応を行い、新しいアエロプリシニン-1の合成を達成した。カラフイアニンは、ジエノン部分にエポキシ環が存在するスピロイソキサソール関連物質であり、本研究において従来提唱されていた構造を訂正するとともに全合成を達成した。ベルベナカルコンの合成神経芽成長促進因子活性化作用を示す植物成分ベルベナカルコンの合成において、混合ハロゲン化フェノールの陽極酸化反応を鍵反応として全合成を達成した。さらに、この全合成の知見を活用して活性試験を行い、新たな知見を得た。
著者
中村 尚司 津田 守 広岡 博之 河村 能夫 鶴見 良行
出版者
龍谷大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

本年度は、2年目であるため報告書のまとめ方を念頭において、4回にわたる研究会を開催した。5月27日の第1回研究会では、津田守が「ピナトゥボ大噴火にともなう災害とルソン島中部の地域開発」について報告し、自然災害に対する救助活動の国際比較をまとめることにした。6月27日の第2回研究会では斉藤千宏「貧困・ニーズの充足・指標--80年以降の諸理論の比較検討」について報告した。あわせて中村尚司が「参加型農村開発の諸問題」を取り上げ、コロンボ大学との共同研究案を紹介した。第3回研究会は、9月8、9の両日に原グループと合同で福岡にて研究合宿を行った。川村能夫が「貧困概念とその指標について」、広岡博之が「社会経済指標の再検討について」報告した。10月17日に行なった第4回研究会では、斉藤千宏が「民衆科学運動と政府の相互作用--インド・ケララ州の事例--」、中村尚司が「海の交易と経済システム」について報告した。12月16日に、食道ガンの予後が思わしくなかった研究分担者の一人である鶴見良行が急逝し、共同研究を続けることができなくなった。まことに残念である。最終回の第5回研究会は、2月13日から15日まで長浜市において合宿し、報告書の執筆内容について各自が概要を報告し、その研究内容について討論した。この研究会の報告書は、鶴見の執筆を得られないものの、次年度の総括班の刊行物として印刷される予定である。
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-217, 2008-04-15

本論文は,人間の日常生活行動の中で,購買行動に着目しつつ,企業のマーケティング活動や需要予測などを円滑に行うためのファジィ推論モデルの構築を試みる.具体的には,主成分分析の適用によって有用になるであろう気象要因の選定を行い,また,来客数と気象要因の相関分析をも試みる.そして,分散分析を適用する事によって,日々の売上高や来客数と気象要因との関係について解析を行う.これらの解析結果から,人間の購買行動に影響を及ぼす気象要因を選定し,ファジィ推論モデルが構築される.最後に,著者らは需要予測の想定の確立を試みる,同時に,本ファジィ推論モデルの有用性を明らかにするために,従来の予測手法である回帰分析の予測結果と比較する.