著者
末廣 昭 中村 圭介 丸川 知雄 上村 泰裕 株本 千鶴 木崎 翠
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は東アジア7カ国・地域(中国、台湾、韓国、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア)における国家の社会保障制度の仕組みと企業内福祉の実態を比較することを目的とした。国家の社会保障制度については、(1)年金制度、(2)健康保険、(3)労災補償、(4)失業保険の4分野に注目し、企業内福祉については、(1)有給休暇、(2)社宅、食事手当、子弟の学資補助、退職金制度などの福利厚生の提供の有無、(3)労働総費用に占める法定福利と法定外福利の比率、(4)企業内福祉に対する経営側の方針、の4つを主な調査対象とした。企業内福祉に関する国際比較は初めての試みである。平成17年度は文献調査と予備的な現地調査を実施し、その成果として『東アジアの福祉システムの行方:論点の整理とデータ集』(2006年2月、398頁)を刊行した。次いで、平成18年度は企業アンケート調査を実施し、約800社について回答を得た。平成19年度には回収した企業アンケートの集計とデータ・べースを作成し、平成20年2月に、372ページの最終報告書『東アジアの社会保障制度と企業内福祉:7カ国・地域の国際比較』をとりまとめた。調査から得られた知見は以下のとおりである。(1)有給休暇については、各国・地域とも労働法が定める有給休暇の枠内で提供しているが、各国に固有の休暇が存在すること。(2)企業が提供する福利厚生については、モノ志向ではなく金銭志向(補助金の支出)が強いこと、韓国の場合には、子弟の学資補助が際立って高かったこと。(3)法定福利の現金支給に対する比率は、中国、シンガポール、韓国、台湾と続き、タイ・インドネシアが低かったこと。他方、法定外福利の比率は韓国・台湾が高く、シンガポール、中国が低かった。(4)企業内福祉への方針は、いずれの国・地域でも9割以上が重視する意見を示したが、賃金・ボーナスをより重視すべきという質問には国・地域でばらつきが見られた。
著者
会田 雅樹 高野 知佐 小頭 秀行 中村 元
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.1430-1444, 2010-10-01
被引用文献数
1

通信ネットワークに関する各種データ(トラヒック量,ユーザ数等)には,何らかの形で人間社会の活動の特性が反映されていると考えることができる.我々はこれまで,情報通信サービスのデータに現れるべき乗則を利用して,人間の情報交換関係に関する社会ネットワークの構造を調べてきた.結果として得られた社会ネットワークの構造は,分析のもとになった特定の情報通信サービスのデータに関する表面的なサービス種別に左右されるものではなく,背後にある普遍的な社会ネットワーク構造を記述していることが望ましい.これを確認するためには,特定のデータ分析から得られる社会ネットワーク構造の分析結果を,他の通信サービスのデータによって検証することが有効であると考えられる.本論文では,複数の情報通信サービスのデータを相補的に用いて,データの自己無撞着性から許される社会ネットワークの構造やユーザ行動特性の分析を行う.また,得られた次数分布特性が現実のデータとよく一致することを確認する.
著者
成田 滋 長瀬 久明 山城 新吾 中村 哲 棟方 哲弥
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、現在大きな社会問題となっている生徒の「確かな学力」を定着させることを課題としている。学力の向上のためには、保護者も教師と同様に家庭や職場などで我が子の学習成果をフォローすることが肝要である。そこで、保護者と教師が教室外での連絡や連携を深めることを目指し、生徒の学習状況や習熟度を互いにモニターしあい、学習の遅れの兆候を発見し、早期に対応する措置を講じるシステムを提案することとした。2か年の研究を通し、遠隔による学習とコミュニケーション支援システムの設計、開発、実験、検証などの研究課題と取り組んだ。(1)学校-家庭間連携支援システムの構築職場や移動先などどこからでもICTを応用して、自分の生徒の学習状況を把握し、「確かな学力」を支援できるようなシステムを設計した。これを「学校-家庭間連携支援システム」と呼称した。ユビキタス遠隔指導システムの主要構成要素は、携帯によるメーリングリスト、web閲覧用ページ、話題の討議の場、評価ページなどである。(2)「ユビキタス遠隔指導システム」の設計と使いやすさのインターフェイスの改良とその効果の検証保護者と教師の連携を支援する携帯メール、メーリングリスト、動画像・静止画像の配信など、携帯電話を利用したユビキタスなシステムを構築しその機能を検証した。保護者からは、授業内容や子供の学習の様子がわかる、といった評価を得た。(3)電子媒体や印刷媒体を利用した保護者と教師とのコミュニケーション方法の長所や短所に関する多角的な検討生徒の学力の向上における両者のかかわりや果たす役割について、生徒情報の提供という観点から総合的に検討した。保護者はおおむね、電子媒体、例えば通常メールや携帯メール、携帯接続のWeb上の子どもの学習ポートフォリオ閲覧などに好意的な意見を寄せた。(4)教室での授業状況の保護者や学校内の教師らへの同時配信と、モバイル動画メールの組み合わせ実験この実験では、サーバ機能と受信者の回線状況の関係、受信者数や画面の大きさが、画質や音質などに及ぼす影響などを分析した。その結果、保護者への配信情報は、利用に耐えることが判明した。ただ、保護者や教師が容易に利用できるための研修が重要な要素であることも課題として浮かび上がった。
著者
中村 友道 佐郷 ひろみ 白石 直 此村 守 山口 彰 藤井 正
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2004, no.7, pp.101-102, 2004-09-04

1/10^<th> scale model flow test has been conducted to measure the fluid force acting on the upper internal structure in a sodium reactor. This model has already been constructed and it couldn't be re-arranged including its flow section. Then, the internal structure is supported with flexible rods to measure the response, preventing the effect on the flow pattern. The exciting force by flowing fluid is analyzed by solving an inverse problem, where the exciting force is obtained by screening the vibration characteristics from the responding vibration signal. Because the real exciting force has not known, two methods, from the acceleration response and from the strain gage attached on the supporting rods, are tried to obtain the same force, and they show a reasonable coincidence
著者
カンウィパーラートサムルアイパン 中村 聡史 渡辺 知恵美
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2010-DBS-150, no.15, pp.1-8, 2010-07-28

日本では料理や味覚を擬音語,擬態語を表すオノマトペを用いて 「ふわふわケーキ」 のように表現することが多い.そこで我々は,オノマトペを利用した料理レシピ推薦システムの開発をしている.これまで,オノマトペとレシピ用語の一対一の関連を求めてオノマトペをキーワードにしてレシピを検索するシステムを開発した.今後は,複数の用語やオノマトペと用語の組合せでも検索できるようにすべきである.そこで,本研究はオノマトペと用語の集合の関連を求め,これらの結果に基づいた検索システムのインターフェースを提案する.
著者
益田 昭彦 夏目 武 中村 國臣 小野寺 勝重 原田 文明 堤 晴雄 小渋 弘明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.542, pp.7-14, 2002-12-13

2002年のIEC総会は中国北京市で開催され、TC56(ディペンダビリティ)の会議も同地で10月28日から11月1日まで行われた。今回、日本から7名が参加したため、これまでより充実した討議を行うことができた。特記すべきはIEC62309のリユース電子部品の信頼性に関する規格の討議が初めて行われたことで、環境問題、特に資源循環型社会の構築に寄与する案件である。SAG(戦略諮問会議)でも、ディペンダビリティの対象範囲を狭義の信頼性から安全性へ、さらに環境へと広げることが容認された。リユースに関する規格はその尖兵的役割を担っているため、各国の関心を集めた。他の案件の大部分は審議継続または定期的見直しであるが、改版するにあたり、現状を鑑みて大幅な改訂を行っているものもかなりある。開催国である中国はWTOへの加入を契機に国際規格への関心が高まり、この総会への肩入れには多大なものがあった。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
高田 春比古 根本 英二 中村 雅典 遠藤 康男
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

報告者らはこれまでに、i)歯周病関連細菌のLPS,口腔レンサ球菌ならびにCandida albicansより調製した細胞壁画分を、細菌細胞壁ペプチドグリカンの要構造に当たる合成ムラミルジペプチド(MDP)を前投与したマウスに静脈注射すると、アナフィラキシー様ショック反応を惹起すること、ii)LPSによるショック反応の背景には血小板の末梢血から肺等への急激な移行と、臓器での凝集・崩壊、それに続発する急性の組織破壊が起こっており、MDPはこのような血小板反応を増強すること、iii)さらに、一連の反応の成立には、補体が必須であることを明らかにしてきた。本研究の当初の計画では、マンナンを主要構成多糖とするC.albicansの細胞壁がmannose-binding lectin(MBL)と結合して、所謂レクチン経路を介する補体活性化を起こす結果、血小板崩壊に続発するアナフィラキシー様反応が起こるとの作業仮説の実証を目指していた。しかし、研究の途上で、マンノースホモポリマー(MHP)を保有するKlebsiella O3(KO3)のLPSに極めて強力なショック誘導作用を認めたので、先ず、MHP保有LPSを供試する実験を実施した。即ち、横地高志教授(愛知医大)より、KO3の他、E.coli O8とO9(いずれもMHPよりなるO多糖を保有)さらに、O8およびO9合成酵素をコードする遺伝子をE.coli K12(O多糖欠くR変異株)に導入して得た遺伝子組替えLPSの分与を受けて、MHP保有LPSが例外無く強力なショック反応と血小板反応を惹起すること、さらに、松下操博士(福島医大)の協力を得て、MHP保有LPSはヒトMBLと結合して、血清中のC4を捉えて、補体系を活性化することを証明した。
著者
高田 春比古 根本 英二 中村 雅典 遠藤 康男
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1998

先に申請者らは、歯周病に深く係わるとされるPorphyromonas gingivalis,Prevotella intermedia等の黒色色素産生菌(BPB)のリポ多糖(LPS)をマウスに静脈注射すると、通常のLPSでは報告のない全身アナフィラキシー様反応を惹起する事を見出した。さらに、この反応の背景には血小板の末梢血から肺・肝等への急激な移行と、臓器での凝集・崩壊、それに続発する急性の組織破壊が起こる事を明らかにした。これらの反応の機序解明を目指して、補体系との係わりに焦点を絞って研究した。研究にあたっては、アナフィラキシー様反応惹起能が強いKlebsiella 03(K03)のLPS(愛知医大・横地高志教授より分与を受けた)を主として供試した。その結果、1.先天的に補体因子C5を欠くDBA/2マウスやAKRマウスではアナフィラキシー様反応や血小板の崩壊が起こらない。2.C5抑制剤K-75 COOHを予め投与されたマウスやコブラ毒素を投与して補体を枯渇させたマウスでも、アナフィラキシー様反応や血小板崩壊が起こらない。3.補体活性化作用が弱いKO3変異株のLPSでは、血小板の一過性の肺・肝への移行はみられるが、やがて血液に戻り、アナフィラキシー様反応も認められない。これらの知見はLPSによって惹起される血小板-アナフィラキシー様反応には補体活性化が必須がであることを示唆している。報告者は、K03 LPSの0多糖部のマンノースホモポリマー(MHP)がレクチン経路(近年解明された第3の補体活性化経路)を介して補体を強力に活性化して、集積した血小板を崩壊させ、アナフィラキシー様反応を惹起するとの作業仮説を立てた。実際、4.Esherichia coli 0111:B4にMHP合成遺伝子を導入した変異株のLPS(横地教授より分与)では、親株のLPSに認められない強力な血小板反応とアナフィラキシー様反応惹起作用が認められた。今後、歯周局所でもBPB LPSによって、同様の機序による急性炎症が惹起されている可能性を探究する予定である。
著者
中村 栄男
出版者
愛知県がんセンター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

節外性リンパ腫の中心をなす粘膜関連リンパ組織型B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)は発生頻度が高く、明確な疾患単位を形成する。しかし、その腫瘍発生での分子病態の解明は不明のままであった。我々は、t(11;18)染色体転座がMALTリンパ腫の原因の一つである可能性を報告してきた。そして外科的手術材料を用いてt(11;18)切断点を世界に先駆けて公表した。さらに18番染色体上の責任遺伝子の同定に成功し、未知の遺伝子であることからMALT1と命名した。一方、11番染色体上の遺伝子は既知のAPI2であった。t(11;18)染色体転座によるAPI2-MALT1キメラ遺伝子の形成が、MALTリンパ腫の発生に深く関わるものと推定された。当該研究期間中にRT-PCR法あるいはFISH法を用いてAPI2-MALT1キメラ遺伝子のパラフィン切片からの検出システムを開発すると共に、その医学的意義についての解明を進めた。その結果、胃MALTリンパ腫においてはAPI2-MALT1キメラ遺伝子の検出がHelicobacter pylori除菌療法に対するMALTリンパ腫の反応性を予測し得る分子マーカーであることを初めて明らかにした。一方、これら有為なデータの解析において強力な臨床治療研究グループとの提携が不可欠であった。また、それら治療研究グループの育成と連携において、本邦は欧米に比べて未だ立ち遅れた状況にあることが痛感された。今後の研究の展開を計る上での幾つかの課題を残した研究期間であったとも云える。
著者
尾島 俊之 谷原 真一 中村 好一
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

【研究目的】従来のコホート研究は、死亡や生活習慣病への罹患をエンドポイントにしたものがほとんどである。しかし、WHO憲章で健康の定義が、心理的、社会的健康も含むとされているように、昨今は、QOL(生命の質)を目指した保健福祉活動が必要であると考えられるようになった。さらに、近年は、損失生存年数(PYLL)などの分析から、自殺の重要性が認識され、うつ状態が重視されている。そこで、脳血管疾患の有病者、その他、様々な状況の人について、これらの要因の状況等を明らかにし、特にうつ状態の危険因子を明らかにすることを目的とした。【研究方法】脳血管疾患罹患率の高いA地区の住民を対象として、コホート研究のデザインで実施した。まず、ベースライン調査を実施した。調査は、訪問面接調査、家庭血圧測定を実施した。調査項目には、ADL(Activities of Daily Living)、手段的ADL、SF-36(Short Form)によるQOL、睡眠状況なども含まれる。また、一部の対象者に関しては、血液検査、24時間血圧、心臓超音波検査などを含むより詳細な検査を行った。最終年度に、再度、訪問面接調査、家庭血圧測定を実施し、エンドポイントデータとした。この中には、知識・態度・行動(KAP)、CES-D(the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)による抑うつ度、ストレスなども含まれる。【結果】CES-Dによる抑うつ度に関しては、7.7%が抑うつ状態にある結果であった。一人暮らしは統計的に有意ではないものの2.41という高いオッズ比を示した。物忘れがひどいは2.59、朝食を食べない4.58、ストレスがとてもある7.20、自分の体重を測っていない2.30、早朝覚醒2.45、寝付くために睡眠剤・アルコールなどに頼る2.96、楽しみや生きがいがない2.78などが高いオッズ比を示した。今後は、一人暮らし者を対象としたうつ病対策なども重要であろう。また、今回の結果では、因果関係の逆転によると考えられる項目も多数見られたため、より長期の追跡を行う研究も必要であろう。
著者
村上 覚 加藤 智恵美 稲葉 善太郎 中村 新市
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.132-136, 2007-09-01
被引用文献数
3 7

早咲きザクラである'カワヅザクラ'の自発休眠覚醒期と休眠解除に必要な低温要求量を調査した. 2003年度と2004年度のそれぞれ10月20日, 11月5日, 11月26日, 12月5日, 12月26日に河津町田中に植栽されている'カワヅザクラ'から切り枝し, 最低気温15℃の温室内に搬入して水挿しした. 花芽の開花率は10月下旬から12月上旬まで, 葉芽の展葉率は, 10月下旬から12月下旬まで, 温室への搬入が遅くなるほど上昇した. 開花率については11月5日処理と11月26日処理の間で明らかな差がみられ, 展葉率については11月5日処理と12月5日処理との間で明らかな差がみられた. このことから, 花芽の自発休眠は12月上旬には既に覚醒しており, 葉芽についてはそれ以降であることが明らかになった. また, 自発休眠覚醒に影響を及ぼす気温は他のサクラと比較して高いことが示唆され, これらのことが早咲きの一因と推察された.
著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.26-32, 2008-01-31

本研究では、消費者の需要予測モデル構築のために、まず、あるアパレル店舗の1年間(2005年9月から2006年8月まで)の日ごとの売上高を調査した。この調査の目的は消費者の需要予測モデルの構築にある。また、同モデルを気象要因との関連で考察するために、この間の気温や湿度など、気象データを調査した。そして、売上高と気象要因の関係性を明らかにするための統計学的分析を試みる。まず始めに、相関分析と分散分析を適用することで日々の売上高と気象要因との関係について解析を試みる。この解析結果から、とりわけ重要と考えられる気象要因を選定する。続いて、得られた要因を用いて需要予測を行うファジィ推論モデルを構築する。そこで、今回は、以前提唱された1ヶ月ごとのファジィ推論モデルを応用し、より精密な予測が期待されると考える。最終的に、今回提案するファジィ推論モデルと、上述の既存モデル、ならびに回帰分析での予測との比較を試みる。そこでは、本稿において提案されるファジィ推論モデルの有用性が考察されている。本考察により、人々の消費行動は、多大とは言えないまでも、ある一定のレベルで気象要因に左右されることが伺い知れた。
著者
増野 匡彦 中村 成夫 高橋 恭子 西澤 千穂
出版者
共立薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.フラーレン誘導体のがん細胞増殖抑制機構の解明ジメチルピロリジニウム置換基を有するフラーレン誘導体(1)ががん細胞増殖抑制効果を示すことをすでに明らかにしているが、その機構の解析を行った。ヒト白血病由来HL-60細胞を1で処理するとアポトーシスの特徴であるDNAのラダー化、クロマチンの凝集、細胞周期のSub G1期での停止が観察され、さらに、カスパーゼ3の活性化、カスパーゼ9の活性化、ミトコンドリアからのシトクロムc放出を引き起こすが、p53の誘導はおきないことを見出した。多くのがん細胞ではp53が欠損しているためp53以外の経路でアポトーシスを誘発する化合物は抗がん剤リード化合物として有利と考えられる。2.HIV逆転写酵素阻害活性の高いプロリン型フラーレン誘導体のデザインと合成フラーレン骨格に結合したピロール環に3つのカルボン酸を有する誘導体(2)をリード化合物としてコンピュータードッキングシミュレーションも用いて様々な誘導体をデザイン、合成した。その結果ピロール環2,5位の2カ所にカルボン酸を有する誘導体(3)の活性が2よりも高く、カルボン酸を1つにすると活性が低下することが明らかとなった。これらの誘導体の阻害活性は現在抗HIV薬として用いられているネビラピンの100倍以上活性が高かった。3.スルホニウム型フラーレン誘導体の抗C型肝炎ウィルス活性スルホニウム型フラーレン誘導体(4)はフラーレン誘導体1と同等のC型肝炎ウィルスRNAポリメラーゼ阻害活性ならびにC型肝炎ウィルス増殖抑制効果を示した。4は細胞毒性も低く抗C型肝炎薬のリード化合物として有望であることを明らかとした。3年間の研究で新規抗がん薬、抗HIV薬、抗HCV薬の有望なリード化合物を創製できた。
著者
向井 正 中村 昭子 岡田 靖彦 平田 成
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

小惑星表面を模擬した物質の光散乱特性を明らかにするために、(1)室内での光散乱実験を実施し、不規則形状体の光散乱データベースの構築を目指すと共に、(2)不規則形状体の光散乱を理論的に検討する手法としての数値計算ツールの開発を実施した。それらの基礎過程の研究を基に、(3)小惑星表面画像の解析から、小惑星表面物質を演繹した。
著者
中村 秀仁
出版者
独立行政法人放射線医学総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、「次世代がん診療装置CROSS(Correlation Response Observatory for Scintillation Signals)計画」のプロトタイプとして有機シンチレータと無機シンチレータから成るハイブリット型検出器CROSS-miniを完成させました。また、そのプロトタイプ検出器を用いた業績の一つとして、平成20年12月1日に米国科学誌に報告し、同日、文部科学省にて記者会見を行いました「放射線源から放出される放射線の革新的な計測方法の開発」を挙げます。