著者
中村 俊輔 古殿 幸雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.211-217, 2008-04-15 (Released:2008-07-04)
参考文献数
9

本論文は,人間の日常生活行動の中で,購買行動に着目しつつ,企業のマーケティング活動や需要予測などを円滑に行うためのファジィ推論モデルの構築を試みる.具体的には,主成分分析の適用によって有用になるであろう気象要因の選定を行い,また,来客数と気象要因の相関分析をも試みる.そして,分散分析を適用する事によって,日々の売上高や来客数と気象要因との関係について解析を行う.これらの解析結果から,人間の購買行動に影響を及ぼす気象要因を選定し,ファジィ推論モデルが構築される. 最後に,著者らは需要予測の想定の確立を試みる.同時に,本ファジィ推論モデルの有用性を明らかにするために,従来の予測手法である回帰分析の予測結果と比較する.
著者
関 直臣 ジャオ レイ 小島 悠 池淵 大輔 長谷川 揚平 大久保 直昭 武田 晴大 香嶋 俊裕 白井 利明 宇佐美 公良 砂田 徹也 金井 遵 並木 美太郎 近藤 正章 中村 宏 天野 英晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.920-930, 2010-06-01

本論文はパワーゲーティング(PG)を使った演算器レベルでの動的スリープ制御による消費電力削減機構の実装及び評価を行う.MIPS R3000のALUからシフタ,乗算器,除算器を分離し,それぞれを動的にパワーゲーティングを行う.省電力化を施したR3000コアと16kByteのL1キャッシュ,TLBを合わせて,ASPLA 90nmで試作チップGeyser-0としてテープアウトした.Geyser-0の性能,電力と面積をポストレイアウト後のシミュレーションにより評価した.この結果,4種類のアプリケーションについてリーク電力は平均約47%減らすことができた.一方,スリープ制御の実装によって生じたエリアオーバヘッドは41%であった.
著者
井口 洋夫 直江 俊一 田中 桂一 城田 靖彦 中原 弘雄 三谷 忠興 丸山 有成 高塚 和夫 加藤 重樹 大峰 巌 中村 宏樹 諸熊 至治
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1. 分子計算化学に関する討論会に参加ならびに調査、共同研究計画打ち合せ(諸熊、中村、大峰、加藤、高塚)今回の日程は、9月19ー21日は第23回英国量子理論会議に出席して若手の理論化学研究者と交流を深めた後、週末をはさんで、日本側5人、英国側12人出席の小さな合同シンポジウムで、質の高い情報交換と交流打ち合せを2日間行うというもので、いずれも会場、宿舎ともオックスフォ-ド大の古いカレッジの1つであるJesus Collegeが使われた。日英シンポジウムでは、シミュレ-ション、電子状態、動力学の各分野とも現役のトップクラスと新進気鋭をそろえ、英国側の並々ならぬ意気込みがうかがわれた。また、交流を一層巾広くするため、英国側の講演者には比較的なじみのすくなかった若手が起用され、フレッシュなプレゼンテ-ションと高いレベルの討論が行われた。この分野におけるこの数年間の研究協力の成果をふるまえ、今回のシンポジウムは終始きわめてなごやかな雰囲気で行われた。特に、日英とも新しい世代のコンタクトが広がったことは今後の協力の発展の上に意味が大きいと思われる。2. 物質化学に関する日英討論会に参加、並びに大学・研究所訪問の調査、共同研究計画打ち合せ(丸山、三谷、中原、城田)「特異な物性をもつ有機分子性固体及び金属配位化合物」という主題に関する日英討論会が、1991年3月17ー20日の間英国バ-スにおいて開催された。日本側5名、英国側10名の招待者及びオブザ-バ-が参加し、5つにわけられたそれぞれのセッションで日本人1名、英国人2名の講演があり、活発な質疑応答が行われた。“高分子"のセッションでは光機能性ポリマ-の光電変換素子特性、高分子液晶などが報告され、“LB膜"では、膜構造の新しい評価法や機能性について議論がなされた。“分子性結晶"では導電性金属錯体及びその超伝導特性と電子構造との関連が考察された。午後のポスタ-セッションでは、多数の報告がなされ盛会であった。最終日の“フタロシアニン及び薄膜"では薄膜の構造と機能に関する最近の研究が紹介され、さらに新しいフタロシアニンの合成例も報告された。“混合原子価錯体"では、一次元遷移金属錯体のソリトン、ポ-ラロン状態及びそれに関連した光誘起構造相転移の可能性など最新の話題が紹介された。全体的な印象として、英国の現状はそれ程新奇な展開は認められないが独得な執拗さをもって新しい問題にとり組んでいる姿勢が印象に残った。3. 不安定分子の高分解分光法による研究(田中)1)速度変調法による分子イオンの赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光本法は高電圧交流電場を用い放電によりイオンを生成すると同時に荷電子の併進速度に変調を加え選択的にイオン種を検出する方法である。赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法に速度変調を組合せ、H_2O^+,PO^+,CS_2^+イオンの検出を行い充分な経験と成果が得られた。2)金属カルボニル分子の超音速分子噴流中における赤外吸収分光法Ni(CO)_4,Cr(Co)_6,やV(Co)_6などの金属カルボニル化合物は比較的高い蒸気圧を持ち、レ-ザ-光照射による光分解反応との関連により興味が持たれている。これらの金属カル化合物をArガス中に気化させ超音速自由噴流として真空中に噴射し、赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法により主にCO伸縮領域の振動回転遷移を観測した。4. 軟X線分光に関する研究・調査(直江)800〜4000eVのsoft XーRay領域でのビ-ムポ-トの状況、特に調整技術及び測定法について、UVSORの二結晶分光器との比較を含め調査し、さらに半導体試料について測定を行った。上記エネルギ-領域でも特に800〜1500eVの領域は、照射損傷のため分光結晶としてベリルという天然の鉱物を使用する方法が唯一のものとなってきている。第一結晶の水冷や各種薄膜フィルタ-の複合使用によって約1年程度の結晶寿命を実現している。また90%透過の薄膜を10モニタ-として使用し、放射光ビ-ムの変動に対応している点は注目される。試料槽はタ-ボポンプのみの排気により10^<-7>〜10^<-8>torrの真空度とし、測定の迅速化に努めている。しかし、今回の一連の単結晶試料の測定によって試料槽内での表面処理が重要であり、測定の迅速化だけが視点ではないことが判明した。
著者
中村 卓司 SZASZ Csilla
出版者
国立極地研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究では、北半球中緯度で最も高性能な流星レーダーとして稼動できる京都大学の大気観測用大型レーダーであるMUレーダーを用いて、種々の散在流星ソースの流星フラックスの変化を明らかにするとともに高緯度のEISCATその他のレーダーの結果と合わせてグローバルな流星数の季節変化分布を明らかにすることを目的としている。本年度は下記のように極めて順調に研究が進展した。1)データ解析とデータベース化 前年度から継続して、MUレーダーによる毎月24時間のキャンペーン観測を実施した。集積した流星ヘッドエコーデータは1年分以上にのぼり、これを解析し輻射点の天球上のマップの年周変化を得ることに成功した。すなわち、ソース(太陽、半太陽、向点方向など)毎の季節変化とその特性を明らかにした。また、光学観測との比較から流星エコーの対応する光度と質量範囲を推定した。散在流星の他、ヘッドエコー観測による群流星は希少であり詳しく解析した。とくに、10月のオリオン座流星群については2009年のアウトバーストを捉えることに成功し、レーダー散乱断面積とエコーの空間分布から、レーダーの観測空間範囲を精密に推定し、流星フラックスを求めることに成功した。オリオン座流星群は、2010年も観測時間を拡大して観測し、現在解析中である。以上のデータは、光学観測データとも合わせてデータベース化している。2)EISCAT他のレーダーとの比較検討 特別研究員がこれまで解析研究たEISCATはじめ種々の緯度(高緯度、低緯度)のレーダー観測データとMUレーダーの結果、性能を比較した。また、南極域初の大型大気レーダーとなるPANSYレーダーでのヘッドエコー観測が南天を含めた全天の流星をカバーする上で重要であることを示した。以上の研究結果は国際会議で発表し好評を得ており、論文誌に投稿(改訂)中である他、継続して数編を執筆中である。
著者
新野 宏 伊賀 啓太 中村 晃三 鈴木 修 石部 勝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

水平格子間隔70m、鉛直方向45層、領域サイズ66.4km×66.4km×15.1kmの非静水圧準圧縮系のメソ数値モデルを用いて、1977年にアメリカ・オクラホマ州のデル・シティで発生した竜巻の環境場の高層観測デーダを水平一様に与えたところ、スーパーセル型積乱雲とこれに伴う竜巻の現実的な再現に成功した。積乱雲が発生して50分が経つと、水平風の鉛直シアと積乱雲の上昇気流との相互作用で高度2km付近に気圧の低下が生じ、この層の下で上昇流が強化される。これに伴って、60分頃になると高度1.2km付近で、水平渦度の立ち上げとその引き伸ばしにより下層のメソサイクロンが形成され、この回転場により1.2km付近での気圧降下が起こって、更に下層の上昇流を加速し、高度1kmでは40m/を越える上昇流が形成される。一方、地表面付近にはストームの降水域から流れ出す冷気流と周辺から吹き込む暖湿な気流のぶつかるガスト・フロントが形成されているが、ガスト・フロント上の水平シアに伴う鉛直渦度が丁度この強い下層の上昇流の下に来て引き伸ばされることによって竜巻が発生することが明らかとなった。このことは、スーパーセルに伴う竜巻が、定性的にはlandspoutと呼ばれる局地前線に伴う竜巻に似た機構で発生することを示している。本研究では、この他、日本付近の積乱雲を含むメソスケール対流の環境場を記述する環境パラメータの気候学的調査、竜巻ないしはダウンバーストと思われる突風被害をもたらした亜熱帯低気圧の構造とライフサイクルの解析、激しい積乱雲を生ずることの多い梅雨期のメソαスケール低気圧の力学の解析も行なった。
著者
羽田野 直道 中村 統太 西野 晃徳 PETROKSY Tomio ORDONEZ Gonzalo
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

量子ドットの電流電圧特性を測定する実験は広く行われています。しかし、それに対応する理論には決定的なものがありません。本研究では従来の手法と独立で相補的な手法を開発しました。我々の方法は、電子間相互作用のない場合に決定的な手法であるランダウアー公式を、相互作用がある場合に自然に拡張した理論になっています。その手法を用いて、簡単な模型において厳密に電流電圧特性を求めたところ、電位差を増やすほど電流が流れにくくなる領域があることを見いだし、その原因を明らかにしました。電子間相互作用のために2つの電子が互いに束縛し合う状態ができますが、その状態が量子ドットを通過できないために起こります。
著者
稲垣 知宏 中村 純 隅谷 孝洋 長登 康 佐々井 祐二 深澤 謙次
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

最先端の研究で利用される数値シミュレーションを通じて自然科学を学習していくための新しい教育について企画し、必要な電子教材の作成支援システムを開発することを目的に,計算機シミュレーションをテーマにした教育コースを作成すると共に電子教材開発を進め,これを利用した教育を実践した。教育の現場と研究の現場の連携とこれを支援するシステム,学問の新たなパラダイムに根ざした新しい教育の中で先端科学に対する社会的関心を引き出す可能性,教育に必要な電子教材開発について明らかにした。(稲垣、中村、隅谷、長登、佐々井、深澤)計算機シミュレーションを利用しようとする場合,必要に応じて電子教材を開発するところから出発することになる。扱いやすい教材開発環境が整ってきたことで,現在いろいろな形で教材開発が進められているが,今回の開発ではFlash(Macromedia社)上のActionScriptを利用して電子教材開発を進めた。数名の大学院生に対する90分程度の講習会から出発して教材開発者を育成し,約1年間の開発期間で70以上の教材を作成することができた。このような開発は大学院生の教育にも効果を上げている。(稲垣、中村、佐々井、深澤)電子教材開発コラボレーションの基盤環境としてWikiを利用したサイトを構築しその役割と可能性について調べた。容易にサイト構築が可能で,情報の掲載,修正方法を簡単にするツールは他にもあるが,Wikiは,普及状況,無料利用可能な事からも,教育現場に導入し易いツールである。Wikiサイト上では,気軽に情報を掲載できることから,従来までとは異なり開発途上にある動的な情報を蓄積することが可能になった。今後,コラボレーション全体の輪を広げることで,継続的な教材開発の道が開けると考えている。(稲垣、隅谷、長登)なお、これら研究成果については、国内の研究会等で報告している。
著者
塩澤 真人 戸塚 洋二 鈴木 厚人 中村 健蔵 伊藤 好孝 久嶋 浩之 西川 公一郎 塩澤 真人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、100万トン実験装置のための、安価で高性能な光センサーを開発するものである。13インチのハイブリッド光センサーの試作をし、動作試験から、改良研究を行った。いくつかの問題点が見つかったが、それに対する解決方法を明らかにした。1.高電圧(25キロボルト)印加できず放電してしまう。-->光電面を製造中にセラミック絶縁体を加熱し、耐電圧を向上させる。2.ダイオードの短時間での劣化がおきる。-->新たに5mmφの光ダイオードを開発した。寿命は改善したようである。3.有効面積が小さい(240mm)-->ダイオードの位置と光電面の曲率を最適化することにより、300mmまで改善できることがわかった。4.HPDの構造全体の最適化-->部品の効率化、フランジの強度改善、光電面の曲率の最適化案を作成した。以上の開発により、致命的な技術的困難はなく、大型ハイブリッド光センサーの優れた基本特性と製作可能性が確かめられたと考える。今後の課題としては、生産性の向上のための光センサーと電子回路の最適なデザイン検討と開発がある。また、コスト低減のために、さらなる大型化の可能性の追求も必要である。
著者
中村 春木 SAVINI Gianluca
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患は、アミロイド繊維形成をもたらす蛋白質のミスフォールディングによって引き起こされている。アミロイド繊維は、その繊維構造の多様性を示すが分子レベルでの特徴的な構造をもち、その顕著な安定性と分解されにくい強い抵抗性を持つ。実際、アミロイド繊維は、鉄に類似した強度をもち、また構造上の類似物である絹と同様の物性を示す。この研究の目的は、この並はずれたアミロイド繊維の力学的性質について、分子レベルでの理解と整理とを行うことである。具体的には、1)GROMACSプログラムを用いて分子動力学のシミュレーション計算を実施し、そのペプチド分子の長さ、側鎖、配向等に依存したアミロイド繊維を形成するペプチドの構造形成と、ヘリックスの相対的なねじれ角について調べた。2)上記の構造モデルを用いて、異なる変形に対するアミロイド繊維の力学的特性を研究した。アミロイドを形成する短いペプチドとしてX線回折構造が既知のNNQQおよびGNNQQYの2つに対して研究を行った。これらのモデルは、5本のβ構造を持つペプチドからなる2枚のシートからなっている。構造変形をモニターした結果、アミロイド繊維は徐々にねじれがほぐれていき、最終的にβシートが完全に並置されて破壊されており、ヘリックスのねじれがアミロイド繊維の安定性と力学的な強度に寄与していることを示唆している。自由エネルギー計算からは、単一のペプチドは繊維に比べて不安定であり、アミロイド繊維がすぐに伸長することを示している。アミロイド繊維が破壊される値として極限応力0.23-0.25GPaが得られ、圧力-歪曲線の傾きからヤング率9.18GPaが得られた。これらの値は、実験誤差内の値となっている。さらに、平均して1-10分以内に10マイクロメータの長さの繊維は自発的に破壊されることが我々の計算から示唆された。
著者
中村 泰彦 山藤 一雄
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.119-125, 1968-03

In vivo ascorbic acid exists in two forms of oxidized dehydroascorbic acid and reduced ascorbic acid. It is reported that ascorbic acid decreases the mortality of mice bearing Ehrlich ascites tumor, but we have no information as to dehydroascorbic acid. We synthesized dehydroascorbic acid by improved method of Kenyon et al. and isolated it as crude crystal. Aqueous solution immediately after dissolution showed no selective absorption in ultraviolet wave length, and it came to have a peak at 295 mμ with the lapse of time. By means of hydrazine method, crude crystal was calculated to be composed of 2% ascorbic acid, 66% dehydroascorbic acid, 1.0% 2, 3-diketogulonic acid and 22% others. Crude crystal solution kept at 30℃ for 70 hours (70-hrs-solution) consisted of 25% dehydroascorbic acid, 58% 2, 3-diketogulonic acid and 17% others. There was similar tendency in paperchromatography. Crude crystal and 70-hrs-solution inhibited the growth of transplantable mouse tumor Sarcoma 180, solid type and the inhibition rates were 45% and 51% respectively with the dose of 150 mg/kg/day for 6 days. With the same dosage, ascorbic acid showed weak antitumor activity. Although crude crystal and 70-hrs-solution went by contraries on the content of dehydroascorbic acid and 2, 3-diketogulonic acid, both inhibited the growth of tumor to similar extent. So we presumed that dehydroascorbic acid and 2, 3-diketogulonic acid had antitumor activities respectively.1. Kenyonらの方法を一部変えてアスコルビン酸よりデヒドロアスコルビン酸を調成し粗結晶として分離した.粗結晶の溶解直後の水溶液は紫外部にほとんど選択的吸収を示さないが,時間がたつにつれて295mμに吸収極大を持つようになり別の物質に変化することを示した.この変化はペーパークロマトグラフィーによつて確かめられた.ヒドラジン法によると粗結晶の組成はデヒドロアスコルビン酸66%, 2,3-ジケトグロン酸10%,アスコルビン酸2%,その他22%であり,70時間放置水溶液はデヒドロアスコルビン酸25%, 2,3-ジケトグロン酸58%,その他17%であつた. 2. 粗結晶およびその70時間放置水溶液は,可移植性マウス腫瘍Sarcoma 180に対して抗腫瘍性を示し,腫瘍の増殖は粗結晶投与群では対照群の55%,70時間放置水溶液投与群では対照群の49%に抑えられた.この抗腫瘍性はデヒドロアスコルビン酸,2,3-ジケトグロン酸によるものと推定した.
著者
笠原 清志 白石 典義 木下 康仁 田中 重好 唐 燕霞 門奈 直樹 中村 良二
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

今まで、中国に進出した日系企業では、比較的安定した労使関係が維持されていたが、反日デモ以降当局が厳しい締め付けをしているにもかかわらず、広州、大連といった地域では、大規模な労働紛争やストライキが発生している。2005年10月から翌月にかけて、中国に進出した日系企業の労使関係に関する調査を実施した。調査対象は従業員二百人以上、日本側の出資比率51%以上の日系企業829社(住所変更その他による返送23社を含む)で、有効回答は213社であった。これによると、日系企業の22.1%がストを経験し、主に「賃金や賞与問題」(74.5%)、「雇用問題」(17%)が原因だった。ストの長さは半日以内が34%、一日が38%と比較的短期間で解決している。この間、ストの際に、工会は問題解決に「大変協力的であった」(12.8%)、「協力的であった」(27.7%)と、日系企業の責任者は、工会活動を一般的には高く評価していることがうかがえる。中国では、工会とは関係ないところで突発的にサボタージュやストが発生するという特徴があり、その解決に工会が経営側と一緒に対処しようとする傾向にある。今回の調査でも、工会主席の83%は上・中級の管理者が兼務しており、そもそも一般の労働者の利害が十分に反映されるメカニズムにはなっていない。一定数の党員がいる組織では、外資系企業でも党支部や委員会の設立が党や政府の方針になっている。党支部や委員会は経営には全く関与しないのが建前だが、行政との交渉や企業内でトラブルが生じれば、党書記は公式、非公式を問わず何らかの形で関与する。今後、社会主義市場経済の下で独自の中国的労使関係を確立していくには、欧米型の対決型労使関係モデルよりも、日本的な協調型労使関係モデルが参考になるであろう。すなわち、日本の労使関係で確立してきた「事前協議の徹底」、「雇用維持の努力」、そして「成果の公正な配分」といった慣行やシステムが、工会の労組化に大きく貢献すると思われる。
著者
内田 翔 中村 太一
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.192-195, 2006-03-16

コミュニティを立ち上げ運営する,あるいは周期的に繰り返されるイベントを企画立案し実行する場合にも,何らかのマネジメントが行われている.しかし,それらのマネジメントは体系的に整理された知識体系に則っているとは眠らない.その原因は,マネジメントに対する重要性の意識欠如であったり,メンバが入れ替わったりすることにより実施ノウハウが継承されないなど,多々ある.本稿では毎年,国内の大学が持ち回りで主催・実施する「ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト(ACM/ICPC)」にメンバとして参加しPMBOKの知識体系に則ったマネジメント方法を提案する.
著者
市村 哲 谷 寛之 中村 亮太 井上 亮文 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.15-25, 2005-01-15

近年,デジタルビデオカメラは小型化・軽量化しており,運動会や結婚式の撮影,旅行先での撮影など,きわめて幅広い分野で用いられている.しかしながら,いざ一般の人がビデオ編集をしてみてもなかなか満足できるような映像にならず,単調な映像の連続に感じられることが多い.一般撮影者の作成する映像は,単一角度から撮影した映像がほとんどであり,また,ビデオ編集に使う映像素材も自分自身が撮影した映像のみを用いていることが主たる原因の1 つである.本論文では,同じイベントに参加した複数撮影者の映像をサーバに集めて共有し,インターネット経由で映像編集できるようにするWeb システム「MediaBlocks」を提案する.MediaBlocks を利用すれば,同じイベントを撮影した人たちが映像素材を交換しあうことが容易にできるようになるため,たとえば,自分が撮影できなかったシーンを取り込むことや,プロフェッショナルの映像技法にそった多彩なビデオ編集が可能となる.MediaBlocks は,複数の撮影者が撮影した映像をサーバに集め,自動時間同期処理を施して整理し,Web ブラウザを利用してインターネット経由で映像編集できるようになっている.本論文では,システムの設計,実装,評価,改良について述べる.Recently, the spread of portable digital video cameras enabled us to easily record various family events. Although videotaping and video editing have got quite popular recently, the quality of the produced video has not been improved much. For instance, movies edited by nonprofessionals are likely to be a sequence of monotonous scenes. When editing home movies, users usually use video sources from their own single camcorder. This is one of the significant reasons why nonprofessionals can not create high-quality home movies. We developed MediaBlocks,a web-based video editing system for sharing personal video clips. In the system,video sources are collected from multi-users' camcorders via the Internet, shared among the users, and edited through each user's web browser. The system allows users to use other users' video clips, each of which is spontaneously videotaped by different digital video camcorder, and also enables them to create home movies according to the professionals' important editing rules. The system can extract the date and time information of video-recording from the digital video clips, and synchronize them automatically. Through evaluations of the system, we verified the effectiveness of our system.
著者
中村 春作 市來 津由彦 田尻 祐一郎 前田 勉
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究で私たちは、東アジアにおける社会統治・統合と自己修養を語る普遍的な「言葉」として大きな力を有した儒学言説が、中国宋代、日本江戸前期において、どのようなプロセスで社会的意味を持つに至り、人間理解の基盤を形成したかを、個々の言説形成の型を対照比較することを通して、明らかにしようとした。以上の課題に即して、儒学テキストが、実際いかに「読まれ」血肉化したかという点から「訓読」論という新たな問題領域を開発し、他方、経書の一つ『中庸』を取り上げ、その多様な解釈の姿を明らかにした。
著者
岩岡 中正 首藤 基澄 吉川 榮一 谷川 二郎 中村 直美 中山 將
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、[I]人間社会基礎論研究と[II]比較地域論の二方向から、近代(化)の検証と今日的意義およびその普遍化可能性について考える。[I]の(1)の哲学・倫理学・美学部門では、近代の主観主義的人間観の射程の研究(中山)、個人主義概念の基礎的研究(岡部)、自由主義的人間観の限界と地球全体主義の提唱(篠崎)が、(2)の法哲学・政治学部門では、近代リベラリズムにおける自律概念の研究(中村)、脱近代パラダイムの視点からの、「普遍」としての「近代の研究(岩岡)、アレント研究を通しての、政治的アイデンティティの研究(伊藤)が行なわれた。[II]の(1)の「英米における近代化」では、16世紀の英語の語彙の近代化の研究(上利)、シェイクスピアの戯曲における英国近代化の萌芽の研究(谷川)、19世紀英国小説に見る労働者と近代化の影についての研究(大野)、アメリカ小説に見る、コマ-シャリズムという近代化の悪き側面についての研究(里見)、さらに(2)の「アジアにおける近代化」では、祭元培の人権意義の非西洋的由来に見る中国近代化の特殊性の研究(吉川)、夏目漱石と芥川龍之介における日本近代化の理念の比較研究(首藤)、国民国家的視点からの日本近代化の研究と近代化論の批判的考察(小松)が行なわれた。通算13回の研究発表会と11回の研究打ち合わせ会から、以下の視点を得た。つまり、[II]グループの研究から、今日、単線的進歩の近代化論は受け入れられず、西洋も含めて世界の諸地域が多様な近代化をとげてきており、したがって近代化の一義的普遍化は困難であること、しかし他方、[I]グループの研究が示すように、やはり現代社会には「近代」に共通の普遍的な成果と問題点およびその克服の試みがあるという認識に立って、地域的な多様な近代化における個別性と、真の近代がめざす「人間の善き生」という普遍性をどう止揚するかという視点の重要性を確認した。この視点から今後さらに近代についての研究を進めたい。
著者
中村 浩之 陳 運法 木村 邦夫 立山 博 広末 英晴
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1227, pp.1037-1041, 1997-11-01
被引用文献数
4 5

Preparation of coated particles by an injection method was presented. The raw material of a coating layer is injected into a core particle suspension in which a precipitant is dissolved. By this method, some coated particles including titania hydrate-coated calcium carbonate powders and alumina hydrate-coated SiC whiskers were prepared. It was noticeable that CaCO_3, which is soluble in the raw material of titania hydrate, could be coated with titania hydrate. Furthermore, it was shown that aluminum nitrate and aluminum chloride as well as aluminum sulfate were useful as the raw material salts. Homogeneous nucleation and coalescence of the homogeneous nuclei onto the coating layers were expected to be included in the coating process.
著者
小林 繁樹 佐藤 章 古口 徳雄 水流 京子 和田 政則 宮田 昭宏 中村 宏 渡辺 義郎 八木下 敏志行
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.13-18, 2004 (Released:2007-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
6 7

Indication of early treatment remains controversial for patients in poor clinical condition (Hunt & Kosnik Grade 4 or 5) after subarachnoid hemorrhage (SAH). Since 1997, we have adopted endovascular treatment using Guglielmi detachable coil (GDC) as a treatment option for these patients. In this study, we compared clinical courses of the cases treated in 1990-1996 to those treated in 1997-2002 to evaluate the efficacy of changes in treatment strategy. Between 1990 and 2002, 130 cases with SAH in Grade 4 and 5 underwent angiography as candidates of early aggressive treatment in our hospital. For the 63 cases in 1990-96 (Group 1), treatment options were early and intensively delayed craniotomy surgery and conservative management, while for the 67 cases in 1997-2002 (Group 2), GDC embolization at acute stage was added to these 3 treatment options. We compared the 2 groups of patients in terms of clinical courses and outcomes, assessed with Glasgow Outcome Scale Score (GOS) at discharge. The percentage of the patients in which aneurysm was occluded at acute stage increased from 67% in Group 1 to 87% in Group 2 for Grade 4 and from 33% to 52% for Grade 5. In Group 2, 44% of Grade 4 and 83% of Grade 5 patients were treated by GDC embolization. The outcomes of the cases in both Grade 4 and 5 were better in Group 2 than in Group 1. That is, for Grade 4 cases, the percentage of Good Recovery (GR) significantly increased from 7% in Group 1 to 27% in Group 2. And for Grade 5 cases, good outcome (GR or MD) increased from 5% in Group 1 to 18% in Group 2. Two patients recovered completely from Grade 5 in Group 2, both of which were treated with GDC while none in Group 1 recovered completely from Grade 5. The incidence of symptomatic vasospasm was not changed between Group 1 (20%) and Group 2 (16%). The introduction of GDC embolization extended the indication of early treatment for severe SAH patients because it was less invasive and, as a consequence, improved the outcome of those patients.
著者
兵藤 友博 梶 雅範 岡本 正志 中村 邦光 松原 洋子 永田 英治 東 徹 杉山 滋郎 高橋 哲郎
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は基本的に、2003年度から始まる、高等学校の理科教育への科学史の本格的導入にあたって、これまでの科学史の成果をどのようにしたら生かせるかにあるが、その研究成果報告書の概要は以下の通りである。第一に、科学史研究関連の文献・資料の調査・調達をおこなうと共に、科学史教育の意味について論じた先行研究の分析を行ない、それらの中から高等学校の理科教育に適用しうるタイトルをピックアップし整理した。第二に、高等学校の理科教育における科学史の導入、その教材化の望ましいあり方について検討すると共に、個別教材の位置づけを検討し、それらの構成のあり方、理科教育における科学史教育の目標などについて検討した、より具体的にいえば、科学的発見の歴史的道筋、科学的認識の継承・発展のあり方・科学法則・概念の形成の実際、科学実験・観測手段のあり様とその時代的制約、あるいは理論的考察や実験、観察に見られる手法、またそれらの理科学習への導入のあり方について、個別的かつ包括的な検討をおこなった。また、個別科学史教材に関わって、科学の方法の果たした役割、科学思想との関連などについて検討した。第三に、その上で、新科目「理科基礎」を含む高等学校の理科教育を射程に入れた科学史の教材化の開発研究をおこなった。具体的には、物理学史系、化学史系、生物学史系、天文学史。地学史系の個別科学史分野別にトピック項目を設定し、ケース・スタディ的にその具体化をおこなった。本研究プロジェクトが掲げた当初の目標を達成した。これらの成果について、最終的に冊子として印刷し、広くその成果を普及することにしている。