著者
池田 崇博 今井 浩 西村 茂樹 下浦 弘 橋本 武夫 天目 健二 三藤 邦彦
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.69(1994-AL-040), pp.89-96, 1994-07-22

最短路問題は、あらゆる分野での応用が考えられる最も基本的な問題の1つであり、近年急速に普及しつつある経路誘導システムとも深いつながりを持っている。本研究では、2点間の最短路問題に関して、ダイクストラ法・A^*・アルゴリズム・両方向探索といった従来のアルゴリズムを概観し、新しい手法に基づくA両方向探索アルゴリズムを提案する。また、実際の道路網のデータにこのアルゴリズムを適用した結果を基に、実際の効率及び特徴について論じる。
著者
美添一樹 今井 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.87, pp.63-70, 2005-09-05
被引用文献数
1

囲碁においては、盤面全体に対する、速く正確な評価関数を作ることは困難である。そのため、小目標ごとのサーチが、囲碁プログラムの間では広く用いられている。ここで問題になるのが小目標間の依存関係である。小目標の勝敗に影響を与える範囲を求めて依存関係を解決するアプローチが研究され始めている。relevancy zoneという概念が使われ始めているが、この求め方を改良することを目標としたアルゴリズムを提案する。二つの小目標についてそのような範囲が重なっていれば、そこが両利きの候補となる。It is difficult to make a fast and accurate evaluation function for the whole board in the Game of Go.Therefore sub-goal directed search is used widely among Go playing programs. One problem of sub-goal directed search is dependencies between sub-goals. There are several researches which aim to resolve the dependencies by obtaining the area which involves with the result of sub-goals. An idea called relevancy zone is being used in some researches. In this paper, we introduce an algorithm which search for an area which would improve relevancy zone.The intersection of two such areas will be the candidate for double threat.
著者
高橋 裕樹 山本 元久 篠村 泰久 今井 浩三
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日臨免誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.442-451, 2013
被引用文献数
6

&nbsp;&nbsp;IgG4関連疾患はグルココルチコイド(GC)が奏効することから,生命予後は良好であると推測されていたが,長期観察例の増加に伴い,臓器機能の予後に関する臨床情報が集積されてきた.これらをもとに,早期治療の必要について検討した.IgG4関連涙腺・唾液腺炎では発症後2年以内の治療開始,および臨床的寛解の維持が唾液腺分泌能の回復・維持には重要であった.IgG4関連腎臓病では治療前の推算糸球体濾過量が60 ml/分未満の場合,腎機能の回復が不十分であることから,早期の治療介入の有用性が示唆された.自然寛解率が比較的高い自己免疫性膵炎においてもGC治療が有意に再燃を抑制することが示されているが,長期例での膵萎縮,膵石形成などを伴う慢性膵炎への移行が指摘されており,治療方法や治療介入のタイミングについて検討が必要である.IgG4関連疾患は既存の慢性炎症性疾患に比較し,臓器破壊は緩徐であることが想定されるが,病変の持続により線維化の拡大とともに臓器障害が進行することより,GCなどの治療薬の副作用を考慮した上で,可及的早期の治療介入が望ましいと考えられた.<br>
著者
坂井 正宏 永井 伸治 河野 明廣 後藤 俊夫 古橋 秀夫 内田 悦行 佐々木 亘 米谷 保幸 河仲 準二 窪寺 昌一 加来 昌典 田中 鋭斗 島田 秀寛 和仁 郁雄 遠藤 雅守 武田 修三郎 南里 憲三 藤岡 知夫 河野 貴則 杉本 大地 川上 政孝 長友 昭二 梅原 圭一 砂子 克彦 登倉 香子 中澤 幹裕 福田 祥吾 草場 光博 綱脇 恵章 大東 延久 藤田 雅之 今崎 一夫 三間 囹興 大久保 宏一 古河 祐之 中井 貞雄 山中 千代衛 奥田 喜彦 太田 篤宏 直川 和宏 清地 正人 田中 秀宏 Roy Prabir Kumar 文 雅可 佐野 栄作 中尾 直也 沓掛 太郎 衣笠 雅則 山口 滋 森 啓 鈴木 薫 中田 順治 上東 直也 山中 正宣 和田 一津 内藤 靖博 永野 宏 蓮池 透 谷脇 学 清水 幸喜 佐藤 俊一 高島 洋一 中山 通雄 湯浅 広士 津野 克彦 滝沢 実 小西 泰司 畠山 重雄 沈 徳元 劉 安平 植田 憲一 桐山 博光 西田 幹司 日浦 規光 市位 友一 松井 宏記 田中 広樹 井澤 靖和 山中 龍彦 久保 宇市 神崎 武司 宮島 博文 宮本 昌浩 菅 博文 沖野 一則 今井 浩文 米田 仁紀 上田 暁俊 門馬 進 斎藤 徳人 赤川 和幸 浦田 佳治 和田 智之 田代 英夫 Droz Corinne 古宇 田光 桑野 泰彦 松原 健祐 田中 歌子 今城 秀司 早坂 和弘 大向 隆三 渡辺 昌良 占部 伸二 小林 準司 西岡 一 武井 信達
出版者
The Laser Society of Japan
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.27-55,60, 1998
著者
中井 義勝 今井 浩 柏谷 久美 吉川 真里
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.281-286, 2001-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9

コンピューターに取り込んだ身体像を任意に変形できる装置を用いて, 健常女性(N), 神経性大食症(BN), 神経性無食欲症むちゃ食い/排出型(AN-B)と制限型(AN-R)の身体イメージ測定を行い, Eating Disorder Inventoryとの相関を検討した.Nはやせ願望に基づいて, BNは自己像不満に基づいてウエスト理想値やヒップ理想値を細くした.一方, AN-Bはやせ願望と過食に基づいて, AN-Rはやせ願望でなく, 無力感, 成熟恐怖や感情感覚の混乱に基づいてウエスト理想値やヒップ理想値を細くした.この成績から健常人と摂食障害患者は身体イメージの評価基準が異なり, とりわけAN-Rは身体イメージが無力感, 成熟恐怖や感情感覚の混乱に基づいていることが明らかとなった.
著者
髙橋 良平 今井 浩一 菅井 沙知 吉田 栄充 中村 益美 浜野 晋一郎 岩﨑 文男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.741-750, 2012-12-10 (Released:2013-12-10)
参考文献数
28
被引用文献数
1

We evaluated ARCHITECT®・iCarbamazepine using chemiluminescent immunoassay (CLIA) with carbamazepine (CBZ) concentration in the serum of patients with epilepsy. The intra- and inter-assay coefficients of variation were 0.87-1.34% and 2.20-6.06%, respectively. Cross-reactivity of CBZ analogs by CLIA varied from 7.00-9.26% with carbamazepine-10,11-epoxide lower than that evaluated by fluorescence polarization immunoassay (FPIA), and 2.09-2.51% with 10-monohydroxycarbazepine higher than that evaluated by FPIA. Oxcarbazepine was not detected. In addition, we observed a correlation between the values obtained by CLIA method and the high performance liquid chromatography (HPLC) method (y = 1.07x - 0.09, r = 0.98), and FPIA method and HPLC method (y = 0.95x - 0.22, r = 0.97). Our results suggest that ARCHITECT®・iCarbamazepine measured the CBZ concentration in serum lower than that measured by FPIA. However we conclude that ARCHITECT®・iCarbamazepine can be used for routine monitoring of CBZ for the reason that ARCHITECT®・iCarbamazepine showed low cross-reactivity with CBZE by classification of CBZE/CBZ ratio.
著者
今井 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.79, no.9, pp.920-926, 1996-09-25
被引用文献数
5

アルゴリズム・計算量分野の成果として,多くの問題が本質的に解くことが難しいことが示されている.一方,本質的に解くのが難しいからこそ,実際に現れるそのような難しい問題をなんとか現実的時間内で良い精度で解くことが要求される.難しい問題を解く近似アルゴリズムの開発の世界では,最近種々の新しいアルゴリズム設計パラダイムの登場があった.本稿では,そのような近似アルゴリズム設計手法の代表的なものとして,線形計画法の主双対アプローチを近似アルゴリズム設計に拡張したもの,線形計画・半定値計画とランダム化を組み合わせたものの二つについて,集合と論理に関する難問を例題に解説する.
著者
山本 元久 高橋 裕樹 苗代 康可 一色 裕之 小原 美琴子 鈴木 知佐子 山本 博幸 小海 康夫 氷見 徹夫 今井 浩三 篠村 恭久
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-8, 2008-02-28
被引用文献数
27 39 12

ミクリッツ病は涙腺・唾液腺腫脹を,自己免疫性膵炎は膵のびまん性腫脹を呈し,ともに腺組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする疾患である.私たちは,当科における全身性IgG4関連疾患(systemic IgG4-related plasmacytic syndrome ; SIPS)40例の臨床的特徴(腺分泌機能,血清学的評価,合併症,治療および予後)を解析した.男性は11例,女性は29例で,診断時の平均年齢は58.9歳であった.疾患の内訳は,ミクリッツ病33例,キュッツナー腫瘍3例,IgG4関連涙腺炎4例であった.涙腺・唾液腺分泌低下は,約6割の症例にみられたが,軽度であった.抗核抗体陽性率は15%,抗SS-A抗体陽性は1例のみ,低補体血症は30%に認められた.また自己免疫性膵炎,間質性腎炎,後腹膜線維症,前立腺炎などの合併を認めた.治療は,臓器障害を有する症例で治療開始時のステロイド量が多く,観察期間は最長16年のうち,臓器障害の有無に関わらず3例で再燃を認めた.ミクリッツ病をはじめとするSIPSの現時点における問題点と今後の展望について述べてみたい.<br>
著者
山本 元久 小原 美琴子 鈴木 知佐子 岡 俊州 苗代 康可 山本 博幸 高橋 裕樹 篠村 恭久 今井 浩三
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.349-356, 2005-10-31
参考文献数
44
被引用文献数
9 14

症例は,73歳女性.1998年頃より口渇,両側上眼瞼腫脹が出現,2003年10月には両側顎下部腫脹を認めた.同時期に近医で糖尿病と診断され,経口血糖降下薬の投与が開始された.2004年夏頃より上眼瞼腫脹が増強したため,当科受診,精査加療目的にて10月に入院となった.頭部CT・MRIでは,両側涙腺・顎下腺腫脹を認めた.血清学的に高γグロブリン血症を認めたが,抗核抗体・抗SS-A抗体は陰性であり,乾燥性角結膜炎も認めなかった.さらなる精査で,高IgG4血症及び小唾液腺生検にて著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を認めたため,Mikulicz病と診断した.腹部CTではびまん性膵腫大を認め,ERCPで総胆管・主膵管に狭窄を認めた.自己免疫性膵炎の合併と診断し,プレドニゾロン40 mg/日より治療を開始した.その結果,涙腺・顎下腺腫脹は消失,唾液分泌能も回復した.また膵腫大,総胆管・膵管狭窄も改善した.耐糖能障害も回復傾向にある.Mikulicz病と自己免疫性膵炎は共に高IgG4血症を呈し,組織中にIgG4陽性形質細胞浸潤を認めることから,両疾患の関連を考える上で非常に興味深い症例であると思われた.<br>
著者
今井 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.79, pp.1-6, 2001-07-27
被引用文献数
1

Shannonのエントロピーのもつ離散構造として、同時分布の周辺分布のエントロピーの 集合関数がポリマトロイドとなることが藤重により示されている。本稿では、量子情報理論のvon Meumannエントロピーについて、完全に古典確率の場合を含んだ形でこの 結果が拡張できることを示す。As discrete structure of the Shannon entropy, the entropy of marginal distributions forms a polymatroid, as shown by Fujishige. In this paper, we extend this result for the von Neumann entropy in quantum information theory.
著者
今井 浩三 豊田 実 佐藤 裕信 篠村 恭久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.362-367, 2006-02-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
10

遺伝子のメチル化は, シトシンとりわけCpG配列に特異的に起こるDNA修飾である. 遺伝子のメチル化は遺伝子変異, 欠失とならび, 癌抑制遺伝子不活化の第三の機構として重要である. 異常メチル化により, 細胞周期調節遺伝子やアポトーシス関連遺伝子, DNA修復酵素など様々な遺伝子が不活化を受ける. メチル化の網羅的解析から, 一部の腫瘍ではCpG island methylator phenotype (CIMP) を示し, 癌においてメチル化の制御機構が破綻していることが示唆される. メチル化の標的遺伝子が明らかになるにつれ, 異常メチル化を腫瘍マーカーや抗癌剤感受性の指標として用いる試みもなされている. また, メチル化を阻害することにより不活化されている遺伝子を再発現させ, 癌細胞に分化やアポトーシスを誘導することが可能になりつつある.
著者
杉原 厚吉 小柳 義夫 山本 博資 室田 一雄 今井 浩 杉原 正顯 村重 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,従来から開発されつつある分野ごとの個別のロバスト計算技術を横断的に整理し,分野の境界を超える共通で普遍的なロバスト計算のためのアルゴリズム設計パラダイムを構築することであった.この目的のために,本研究参加者がそれぞれの手法を持ち寄り,交流をくり返す中で,五つの設計原理を抽出することができた.その第一は,「計算対象の背後に存在する構造不変性の利用」で,位相構造の優先による幾何不整合の防止,物理法則を継承する数値解法,因果律に反しない計算順序の選択などの技術を含む.第二の原理は,「対象世界の拡大による計算の安定化」で,図形を超図形へ拡張することによるミンコフスキー演算の安定化,離散対象の連続緩和による整数計画法の高効率化,記号摂動による例外解消などの技術を含む.第三の原理は,「対象世界を制限することによる計算の安定化」で,連続関数の格子点への制限による計算の安定化,実数計算を整数計算へ制限することによる幾何計算の無誤差化,などの技術を含む.第四の原理は,「不確定性のモデル化による計算の安定化」で,物理パラメータを値から領域へ置き換えることによる制御安定化,値を区間に置き換えることによる特異積分方程式の解法などの技術を含む.第五の原理は,「仮定の排除による汎用性の確保」で,発生確率に関する仮定を排除することによるユニバーサル符号技術や異常検出技術などを含む.さらに,抽出した原理を指針に用いて,新しいロバスト計算技術も開発できた.その中には,第一の原理に基づいて,対象の背景構造をディジタル画像近似を介して統一的に抽出して利用する「ディジタル位相優先法」,第二の原理に基づいて,望みの例外のみを選択的に解消することによって摂動の副作用を防ぐことのできる「超摂動」などの技術がある.これらの活動を通してロバスト計算技術を新しく生み出すことのできるパラダイムが構築できた.
著者
青沼 裕美 神代 伸彦 今井 浩 上林 彌彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1056-1057, 1989-03-15

地理データベースはマルチメディア・データベースのなかでも特に応用範囲が広く,各方面で研究開発がすすめられつつある.しかし地図は文字と図形という異種メディアを一つの画面中に2次元的に表示するため,それらの相互作用から文字の"可読性"(読みやすさ)に問題が生じる.一般的に考えて字の読めない地図からは有用な情報が得られるとは言えない.本稿では,従来の地図システムにおける文字の処理方法を検討した上,われわれが現在構築中の可読性を重視したシステムについて述べる.
著者
今井 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.411-412, 1995-03-27

本稿では,最適化アリゴリズムの研究動向について,まず伝統的なものと相対的に新しいものを簡潔にまとめる.そして,その中の厳密解法である分技限定法・動的計画法に関連するもので,VLSIの論理設計の分野から実用性が注目されてきた2分決定グラフ(BDD)の最適化問題への応用について触れる.また,モダンヒューリステックでの近傍探索に関連した話題として,局所情報のみを用いて全域情報を列挙する逆探索手法について述べる.分量の制限のため,このように具体的に紹介するのは筆者の興味からこの2つに限るが,もちろん最適化は広範な分野であり,本稿を元に他の研究動向についても興味をもって頂けると幸いである.
著者
山本 雅 渡邊 俊樹 吉田 光昭 平井 久丸 本間 好 中地 敬 永渕 昭良 土屋 永寿 田中 信之 立松 正衛 高田 賢蔵 澁谷 均 斉藤 泉 内山 卓 今井 浩三 井上 純一郎 伊藤 彬 正井 久雄 村上 洋太 西村 善文 畠山 昌則 永田 宏次 中畑 龍俊 千田 和広 永井 義之 森本 幾夫 達家 雅明 仙波 憲太郎 菅村 和夫 渋谷 正史 佐々木 卓也 川畑 正博 垣塚 彰 石崎 寛治 秋山 徹 矢守 隆夫 吉田 純 浜田 洋文 成宮 周 中村 祐輔 月田 承一郎 谷口 維紹 竹縄 忠臣 曽根 三郎 伊藤 嘉明 浅野 茂隆
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

近年、がん遺伝子、がん抑制遺伝子の研究が進み、がんを遺伝子ならびにその産物の機能に基づいて理解することが可能になった。それと共に、細胞増殖のためのシグナル伝達機構、細胞周期制御の機構、そして細胞死の分子機構の解明が進んだ。また細胞間相互作用の細胞社会学的研究や細胞表面蛋白質の分子生物学的研究に基づく、がん転移の機構についての知見が集積してきた。一方で、がん関連遺伝子の探索を包含するゲノムプロジェクトの急展開が見られている。また、ウイルス発がんに関してもEBウイルスとヒトがん発症の関連で新しい進展が見られた。このようながんの基礎研究が進んでいる中、遺伝子治療のためのベクター開発や、細胞増殖制御機構に関する知見に基づいた、がんの新しい診断法や治療法の開発が急速に推し進められている。さらには、論理的ながんの予防法を確立するための分子疫学的研究が注目されている。このような、基礎研究の急激な進展、基礎から臨床研究に向けた情報の発信とそれを受けた臨床応用への試みが期待されている状況で、本国際学術研究では、これらの課題についての研究が先進的に進んでいる米国を中心とした北米大陸に、我が国の第一線の研究者を派遣し、研究室訪問や学会発表による、情報交換、情報収集、共同研究を促進させた。一つには、がん遺伝子産物の機能解析とシグナル伝達・転写調節、がん抑制遺伝子産物と細胞周期調節、細胞死、化学発がんの分子機構、ウイルス発がん、細胞接着とがん転移、genetic instability等の基礎研究分野のうち、急速な展開を見せている研究領域で交流をはかった。また一方で、治療診断のためには、遺伝子治療やがん遺伝子・がん抑制遺伝子産物の分子構造に基づく抗がん剤の設計を重点課題としながら、抗がん剤のスクリーニングや放射線治療、免疫療法に関しても研究者を派遣した。さらにがん予防に向けた分子疫学の領域でも交流を図った。そのために、平成6年度は米国・カナダに17名、平成7年度は米国に19名、平成8年度は米国に15名を派遣し、有効に情報交換を行った。その中からは、共同研究へと進んだ交流もあり、成果をあげつつある。本学術研究では、文部省科学研究費がん重点研究の総括班からの助言を得ながら、がん研究の基盤を形成する上述のような広範ながん研究を網羅しつつも、いくつかの重点課題を設定した。その一つは、いわゆるがん生物の領域に相当する基礎生物学に近いもので、がん細胞の増殖や細胞間相互作用等の分子機構の急激な展開を見せる研究課題である。二つ目の課題は、物理化学の分野との共同して進められる課題で、シグナル伝達分子や細胞周期制御因子の作用機構・高次構造に基づいて、論理的に新規抗がん剤を設計する試みである。この課題では、がん治療薬開発を目的とした蛋白質のNMR解析、X線結晶構造解析を推進する構造生物学者が分担者に加わった。三つ目は、極めて注目度の高い遺伝子治療法開発に関する研究課題である。レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターの開発に関わる基礎側研究者、臨床医師、免疫学者が参画した。我が国のがん研究のレベルは近年飛躍的に向上し、世界をリ-ドする立場になってきていると言えよう。しかしながら、上記研究課題を効率良く遂行するためには、今後もがん研究を旺盛に進めている米国等の研究者と交流を深める必要がある。また、ゲノムプロジェクトや発生工学的手法による、がん関連遺伝子研究の進展によって生じる新しい課題をも的確に把握し研究を進める必要があり、そのためにも本国際学術研究が重要な役割を果たしていくと考えられる。
著者
今井 浩 青沼 裕美 上林 彌彦
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.363-364, 1988-09-12
被引用文献数
1

利用者要求の高度化に伴い,近年盛んにマルチメディアデータベースの研究が行われてきた.しかし,それらの研究の多くはメディアの蓄積法や検索法に関するもので,異種データを取り扱うために起こる新たな問題-メディア間の相互作用-は,ほとんど研究されていない.本稿では,図形と文字の相互作用を考え,わかりやすく表示するためのユーザ・インタフェースである「文字自動配置機能」について述べる.論理回路図,発電所の設備配置図,種々の地図などの図面をデータベースで管理することは,更新や検索を容易にし,関連情報との対応づけも行え,たいへん有用である.しかし図面中に,図形と,その各部を説明する文字を同時に表示する場合,文字を固定配置していてはわかりやすい表示は望めない-というのは,図面の拡大率によっては意味のないほど希薄な情報しか表示されなかったり,その逆に詰まりすぎて文字が重なり,読めなくなったりする恐れがあるからである.また,図面作製時に人手で文字を配置することは,手間と時間を要する大変な作業である.そのため,図形と文字を扱うマルチメディアデータベースでは,文字のみを扱う従来のデータベースにはなかった特殊なユーザ・インタフェース機能が必要となる.これが「文字自動配置機能」である.文字自動配置機能は図形のデータと文字のデータを受け取り,それらを統合し,図面中に文字をレイアウトして出力する.本稿では,地図を対象とした地理データベースにおける文字自動配置機能のアルゴリズムを検討する.