著者
伊藤 泰広 今井 和憲 鈴木 淳一郎 西田 卓 加藤 隆士 安田 武司
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.275-278, 2011 (Released:2011-04-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は29歳の男性である.左眼周囲の間欠的な頭痛で発症し,当初は自律神経症状がなく三叉神経痛と診断したが,6日後に流涙,結膜充血といった自律神経症状が出現し,結膜充血と流涙をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)と診断した.ガバペンチンを開始し,800mg/日に増量したところ,頭痛発作と自律神経症状はすみやかに消退した.3カ月後に400mg/日に減量した時点で,僅かに頭痛発作が生じた.SUNCTでは頭痛が自律神経症状に先行して出現するばあいがあることが示唆された.SUNCTの長期経過や治療は未解決な点が多く,本邦での症例の蓄積と治療方針の確立が望まれる.
著者
松永 典子 徳永 光展 施 光恒 伊藤 泰信 祝 利 緒方 尚美 余 銅基
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、総合型日本語人材養成プログラム開発という目的のため、理論研究と実践研究を行った。まず、理論研究では、日本型「知の技法」の有する自文化を相対化する視点と他文化に対する積極的受容姿勢とが相互文化学習の手法として有効であるという理論化を行った。次に、その理論を日本語教育・留学生教育に還元するための教材開発及び教育実践研究を行った。実践研究の結果、本実践における日本人学生と留学生が協働でひとつの課題解決に取り組むという方法論が学習者に課題解決に向けた意識を促す可能性があることが示唆された。
著者
森岡 清志 中尾 啓子 玉野 和志 和田 清美 金子 勇 安河内 恵子 高木 恒一 浅川 達人 久保田 滋 伊藤 泰郎 林 拓也 江上 渉
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の課題は、パーソナルネットワークとソーシャル・キャピタルの相互関連、および都市特性・地域特性との関連を明らかにすることにある。統計的調査ではソーシャル・キャピタルを「住民力」と表現し、平成20年11月と平成21年9月に世田谷区住民を対象者として「住民力」に関する標本調査を実施した。20年調査では、45歳以上75歳未満の住民から8,000名を無作為抽出し(回収率65.3%)、21年調査では20歳以上75歳未満の住民を10,000名抽出した(回収率54.5%)。分析結果から、住民力とコミュニティ・モラール、投票行動の間に高い相関が見られること、また、居住年数、戸建率などの地域特性と関連することが明らかになった。
著者
兵藤 知典 竹内 清 中田 正也 宮坂 駿一 金森 善彦 東原 義治 梅田 巌 木村 逸郎 山越 寿夫 高橋 善昭 古田 悠 内田 俊介 田中 義久 片岡 巌 播磨 良子 布施 卓嘉 中井 優 島村 光 大久保 正紀 田中 俊一 三浦 俊正 伊藤 泰義 西村 達雄 中村 尚司 金井 康二 山路 昭雄 植木 紘太郎 木邨 祐二 竹村 守雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.312-321, 1973-05-30 (Released:2010-04-19)
参考文献数
74

This is a report on the activities of the Research Committee on Neutron Shielding (Apr. 1970-Mar. 1973), Atomic Energy Society of Japan. The Committee studied the present status and problems in Japan and the trends in foreign countries in such fields as neutron reactor shielding, including transport calculations, duct streaming, spectroscopy, shielding optimization and cross sections for shielding calculations. Three working groups established in the Committee-Neutron Transport, Duct Streaming and Cross Section for Shielding-undertook such activities as (a) calculations of the five benchmark problems for testing computational methods in neutron transport, (b) a survey of theoretical and experimental approaches to duct streaming, and (c) intercomparison of nuclear data for particular nuclides related to shielding in data libraries such as ENDF/B-I, III, KFK-120 and -750.
著者
伊藤 泰信
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.319-346, 2011-09

本稿はマイノリティのナショナリズムと、宗教の私事化や拡散化が絡み合う文脈に留意しつつ、先住民マオリの宗教教育について論じる。アイデンティティを求めることがスピリチュアルな旅になるといった私事的な宗教性は高度複雑社会の日本でもニュージーランドでも(ある程度までマオリにも)見られる。ただしマオリの場合、貧困や疎外から、先住民の地位を政治化し、心の脱植民地化が図られる中で、白人の知の倒立像とも言える「マオリ的なるもの」が浸透した。それは分離主義的なナショナリズムと重なり、マオリがコントロールしうる領域(制度・組織)の拡大へと繋がっている。こうした背景の下、個別の学校や大学でマオリ的なるものは組織的に教授・学習されるようになっている。マオリ的なるものを探し求めれば過去のホーリスティックな世界に焦点が結ばれるため、それが教授・学習される学校は、準宗教学校のような特異な形態を取るに至っていることを、学習実践の具体を含めて活写する。
著者
浜住 啓之 伊藤 泰宏 宮沢 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.466-474, 1997-06-25
参考文献数
15
被引用文献数
54

本論文では, 将来のディジタル放送の移動受信等の広帯域伝送路における周波数選択性フェージング対策として, 複数のアンテナで受信した広帯域信号を周波数領域においてそれぞれ複数の狭帯域 (サブバンド) に分割し, 各々のサブバンド単位で選択又は合成を行うサブバンド分割スペースダイバーシチ (SB-SD) 方式を検討している. 一例として, SB-SDをOFDMの受信に適用し, OFDMにとって条件の厳しい等振幅の単一エコーモデルおよび3波レイリーモデルにおいて, 誤り率特性の計算機シミュレーションを行った. レイリーモデルにおけるDQPSK-OFDMの誤り率特性をSB-SDなしの場合と比較した結果, SB-SDを構成するアンテナのブランチ数が2本の場合は約17dB, 3本の場合は21dB, 4本の場合は23dBのダイバーシチ利得 (BER=2×10^<-3>) が得られた. また, レイリー環境における多相DPSK-OFDMについても良好な特性が得られ, 受信側に本ダイバーシチを適用することにより, 広帯域信号の移動受信時の特性を大幅に向上できる可能性があることがわかった.
著者
越智 徳昌 伊藤 泰隆 横山 信宏 村岡 浩治
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.441-446, 2011
被引用文献数
1

This paper presents a design method of an MIMO (Multiple-Input-Multiple-Output) I-PD (Integral preceded by Proportional-Derivative) controller, which is a kind of PID controller, via integral-type optimal servomechanism and fractional balanced reduction (FBR) of a plant model. FBR is a kind of closed-loop model reduction method. The validity of the obtained reduced plant model is evaluated using the v-gap metric. The design method is applied to flight control design of a quad-tilt-wing (QTW) unmanned aerial vehicle (UAV).
著者
金子 尚樹 中田 誠 千葉 晃 伊藤 泰夫
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 = Japanese journal of ornithology (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.100-111, 2012-04-20
被引用文献数
2

新潟市の海岸林において,秋季2シーズンにわたる標識調査で捕獲された鳥類の糞分析により,鳥類の果実利用を評価した.メジロは糞から得られた種子数,種子含有率とも最も高く,12種の比較的小型の果実を利用していた.ウグイスの糞の種子含有率は低かったが,捕獲個体数が多く,林内の下層に生育する9種の植物を利用していた.鳥類が利用していた果実は口角幅よりも有意に小さいか,または口角幅と統計的な有意差が認められない場合が多かった.果実サイズが口角幅より有意に大きい場合でも,両者の測定値の範囲には重複があった.ヒヨドリと大型ツグミ類の口角幅は,本研究で種子を得られたすべての植物の果実サイズよりも有意に大きく,海岸林内に多数生育し,比較的大型の果実を着けるタブノキ,シロダモ,モチノキなどの常緑広葉樹の果実を利用していた.しかし,口角幅の大きな鳥種が大きな果実を選好して利用する傾向は見られなかった.本調査地では,秋季には鳥種ごとの生息・採食場所において,十分な種数と量の果実資源が存在していると推測された.糞から種子が得られた植物のほとんどは,海岸林内で果実が見られるものだった.とくに,エノキのように調査地付近に多数生育し,比較的小型の果実を着ける植物が多くの鳥類により利用されていた.しかし,今後,周辺の住宅地の庭木などから新しい植物種が侵入する可能性も示唆された.
著者
田口 誠 濱住 啓之 伊藤 泰宏 渋谷 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.579, pp.29-32, 2007-03-02
被引用文献数
3

緊急警報放送とは、これに対応した受信機を自動的に起動し、地震や津波などの災害情報をお知らせする放送システムである。この仕組みは、地上デジタル放送におけるワンセグサービスにも備わっている。緊急警報放送によってワンセグの受信端末を自動的に起動するためには、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグを常時監視する必要があるため、そのための回路の付加によるワンセグ端末のバッテリの消耗を低減することが課題となっていた。今回、従来からOFDM信号の復調に使用されている高速フーリエ変換を使わずに、緊急警報放送用起動フラグが含まれるTMCC信号を簡易な回路で復調およびダイバーシティ合成することで良好な受信特性が得られることを確認した。また、ワンセグのチューナ部を起動フラグの受信タイミングに合わせて間欠的に動作させることで消費電力を低減できる見通しを得た。
著者
伊藤 泰介
出版者
浜松医科大学
巻号頁・発行日
2005-12-16

浜松医科大学学位論文 医博論第409号(平成17年12月16日)
著者
伊藤 泰男
出版者
放射化分析研究会
雑誌
放射化分析
巻号頁・発行日
no.13, pp.70-85, 2002-02

核分裂とその制御機構を学習・研究する道具としての研究炉の役割は初期に比べれば相対的に小さくなっているものの、原子力の恩恵が社会に広く行き渡り、その持続可能性を確保することが新たな課題となっている現在、研究炉による実体験をもって原子力や放射線を理解することが原子力利用社会を構成する多くの人に必要になっている。さらに、研究炉は理工学研究や産業・民生にも役立っているし、原子力利用の一層の展開のために高度な研究炉開発も必要である。しかしながら、研究炉の維持が多くの困難を抱えている現在、研究炉を望ましい形で保持していくことはほとんど不可能になっている。研究炉の困難の背景には、その維持・管理全てに関わることを設置者の責任とする現在の法体系があるが、使用済み燃料の処理・処分が根幹的な問題として浮上している。使用済み燃料の処理・処分の方策が立てられないと研究炉の存立はあり得ず、研究炉の存立がなければ健全な原子力利用社会は持続しないと云って良い。使用済み燃料の処理・処分は設置者の一存で対応出来ないから、必ず国の指導と支援の元に適切な方策が立てられなければならない。しかしながら、なぜ研究炉がなければならないのかが明らかにされないと、研究炉の諸困難と使用済み燃料の処理・処分問題の解決への訴えも説得力を欠く。本稿で研究炉の意義をやや詳細に記述している意図はここにある。研究炉の位置づけについてのこのような視点から、我々は研究炉問題に全日本的視野で取り組むべく、研究炉間の連絡・提携・支援・利用促進を目的とする「研究炉機構」の必要性を訴えてきた。しかし、その実現には時間を要する。そこで半歩退いて、現有炉の一部特に私大炉が利用出来なくなりつつある一方で、原子力教育を立て直す必要性については社会の合意が成立しやすい状況をにらんで、先ずは研究炉による実体験教育を中心とする「原子力教育センター」を設立することを改めて提案している。
著者
伊藤 泰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.583-588, 2004-07-01
被引用文献数
7

我が国の地上ディジタル放送方式であるISDB-T (Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial)方式は,ハイビジョン番組,移動受信用番組,音声番組の放送やデータ放送などに対し,柔軟な帯域利用が可能で,欧米の方式に比べ多くの利点を有する.ここでは,関東・近畿の2大広域圏において2003年10月10日よりVHF帯で実用化試験放送が開始された地上ディジタル音声放送と,関東・中京・近畿の三大広域圏においてUHF帯で2003年12月1日より本放送が開始された地上ディジタルテレビ放送に関する最新の技術を解説する.
著者
伊藤 泰男 酒井 陽一 田畑 米穂
出版者
東京大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1988

CS_2は反磁性ミュオンの強度が0.2と小さく、他はスピン緩和している特異な物質である。我々はこれが放射線化学的な過程と関係があると予想し一連の研究を行った。Mu置換フリーラジカルは35KGという高い磁場を用いるスピン共鳴によっても、高磁場MSRによっても、純CS_2やCS_2濃度の高い溶液中ではみつからなかった。しかしCS_2濃度の小さな溶液中ではラジカルとみられる成分が見出された。その温度依存性から活性化エネルギーの小さな過程である、反磁性ミュオンがゆっくりと増加してくる様子も観測された。以上を統一的に理解する為のモデルとして、MuCS_2の形のラジカルが実際に生成するが、CS_2濃度が大きいとクラスタを形成してhfcの分布を生じて観測にかからなくなること、更にクラスタリングが進むとhfcが小さくなって実効的に反磁性ミュオンが成長してくるようにみえるというプロセスを仮定した。これを放射線化学の側から調べるため、同じ系についてパルスラジオリシス実験を行い、HCS_2に同定される吸収を見出し、MuCS_2と同じように高濃度では観測されなくなるという類似の現象も見出した。ミュオン化学と放射線化学では同一のプロセスが起っているようである。別の実験では金属錯体のMSR、縦緩和、スピン共鳴実験をアセチルアセトン錯体について行い、中心金属がV、Cr、Mnのような常磁性のときは反磁性ミュオンの割合が1に近く、Zn、Alのような典型元素では〜0.2であるという興味ある知見を得た。また縦緩和の実験から、ミュオンが中心金属から〜2〓離れたサイトを占めているという知見も得た。
著者
小林 進 落合 武徳 堀 誠司 鈴木 孝雄 清水 孝徳 軍司 祥雄 剣持 敬 島田 英昭 岡住 慎一 林 秀樹 西郷 健一 高山 亘 岩崎 好太郎 牧野 治文 松井 芳文 宮内 英聡 夏目 俊彦 伊藤 泰平 近藤 悟 平山 信夫 星野 敏彦 井上 雅仁 山本 重則 小川 真司 河野 陽一 一瀬 正治 吉田 英生 大沼 直躬 横須賀 収 今関 文夫 丸山 紀史 須永 雅彦 税所 宏光 篠塚 典弘 佐藤 二郎 西野 卓 中西 加寿也 志賀 英敏 織田 成人 平澤 博之 守田 文範 梁川 範幸 北原 宏 中村 裕義 北田 光一 古山 信明 菅野 治重 野村 文夫 内貴 恵子 斎藤 洋子 久保 悦子 倉山 富久子 田村 道子 酒巻 建夫 柏原 英彦 島津 元秀 田中 紘一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.231-237, 2000-10-01
被引用文献数
1

今回,千葉大学医学部附属病院において,本県第1例目となるウイルソン病肝不全症例に対する生体部分肝移植の1例を実施したので報告する。症例(レシピエント)は13歳,男児であり,術前,凝固異常(HPT<35%)とともに,傾眠傾向を示していた。血液型はAB型,入院時の身長は176.0cm,体重は67.0kgであり,標準肝容積(SLV)=1273.6cm^3であった。ドナーは姉(異父)であり,血液型はA型(適合),身長は148.0cm,体重は50.0kgと比較的小柄であり,肝右葉の移植となった。術後は極めて良好な経過をたどり,肝機能は正常化(HPT>100%)し,術後72病日で退院となった。