著者
熊本 忠彦 伊藤 昭 海老名 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.1114-1123, 1994-06-25
被引用文献数
16

筆者らは,自然言語を用いた対話によってユーザ(computer user)の計算機利用を支援する対話型ヘルプシステムの構築を行っている.ユーザは,通常は計算機上でタスク(task)を進めるが,何らかの障害/問題が生じたとき,ヘルプシステムに音声で支援を求めることができる.ヘルプシステムは,ユーザの音声発話を理解し,その時々の状況に合わせて適当な応答を生成する.ヘルプシステムにユーザ発話を理解させるためには,音声処理技術だけでなく,話し言葉の特性に対応した言語処理技術も要求される.我々は,ヘルプシステムの代わりに人間アドバイザが支援するという擬似的な「対話による支援」実験を行い,ユーザの音声発話を収録し,ユーザ発話データベース(書き起こしテキスト)を作成した.また,その書き起こし文を解析し,支援要請発話(アドバイザに支援を要請するための発話)の特徴を調べた.本論文では,その解析結果に基づいて,ユーザ発話意図の記述形式を定義し,発話文から発話意図を認識する手法(発話意図記述を生成する手法)を提案する.
著者
伊藤 孝士
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.149-153, 2015-02-25

惑星や小惑星・彗星といった太陽系天体の運動はケプラー運動でよく近似できる.これらの天体の多くはより重い中心天体を周回し,そこに働く摂動は一般に小さい.また現代に於いては天体同士の衝突も稀であり,力学的には太陽系を保存系と看做すことも妥当である.これらの性質により太陽系力学はシンプレクティク数値積分,特に微小摂動系向けの計算方法と親和性が高い.本節では太陽系力学の様々な局面で利用されるシンプレクティク数値積分法のいくつかを紹介し,その現状と課題・将来の展望について簡潔に述べる.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II

著者
山崎 孝 伊藤 直之 石田 登貴代 三谷 孝之 菅野 智也 中川 哲朗 松井 文昭 増田 真代 加畑 昌弘 大谷 尚之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】甲子園大会でのメディカルサポートを皮切りに、高校野球地方大会において各県士会でのメディカルサポートの取り組みが報告されている。しかし、中学生を対象としたサポート報告は少ない。今回福井県理学療法士会は、中学ボーイズリーグの大会期間中に選手のメディカルチェックを実施し、スポーツ障害予防の啓蒙活動を試みたので報告する。<BR>【方法】大会は日本少年野球連盟公認の福井大会で北陸・東海・関西地区から28チーム、906名の選手が参加した。平成18年7月22日~24日に行われ、試合会場は初日が10会場、2日目は4会場であった。サポートは初日と2日目の土・日曜日に、1会場で実施した。その会場で試合があるのは初日が6チーム、2日目が4チームで、メディカルチェックは当日に希望があったチームに試合の合間を利用して実施した。今回サポートに参加したPT は福井県アスレチックリハビリテーション研究会に参加しているPTで、初日9名、2日目13名であった。メディカルチェックの実施項目について、握力測定はOG技研社製デジタル握力計にて行い、肩関節外旋・内旋筋力は2nd肢位にてアニマ社製ミュータスF-1を用いて測定した。ROMは肩関節2nd内旋・外旋、肘関節屈曲・伸展、前腕回内・回外、SLR、股関節内旋の可動域とし、ゴニオメーターを用いて5°単位で両側測定した。FFD、上体おこしは1cm単位で測定し、腸腰筋と大腿四頭筋のタイトネスの有無と、しゃがみ込み動作の可否を調査した。実施方法は筋力・上肢ROM・下肢ROMの3セッションにPTを配置し、所要時間の短縮を図った。選手には測定中に値を伝え、投球側に機能低下がみられた場合は投球障害との関連性について説明し、測定後に集団でストレッチ指導を行った。また、大会参加全チームにストレッチ方法を記載した冊子とオーバーユースによる投球障害ついて説明したリーフレットを開会式の日に配布した。<BR>【結果】1.メディカルチェックを実施できたチーム数は初日4チーム、2日目が2チームで、両日での選手数は76名であった。2.メディカルチェックの結果では肩関節内旋(投球側38°、非投球側56°)、肘関節屈曲(投球側144°、非投球側148°)、肘関節伸展(投球側0°、非投球側4°)、前腕回内(投球側81°、非投球側88°)の可動域が非投球側に比べ、投球側が有意に低下していた。また、投球側の肘関節に-5°以上の伸展制限のある選手が26%にみられ、その半数は投手であった。<BR>【考察】選手・指導者・父兄が多く集まる大会期間中を利用してスポーツ障害予防の啓蒙を行った。甲子園出場を目指して中学から硬式野球をしている選手の4人に1人の割合で投球側の肘関節拘縮がみられていた。これは少年期からのオーバーユースが原因と考えられるため、少年期からの投球障害予防の啓蒙が求められる。今後はスタッフ数を増員し、より多くのチームに啓蒙していくことが課題である。<BR><BR><BR><BR>
著者
朝廣 雄一 伊藤 健洋 江藤 宏 宮野 英次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.113, no.198, pp.43-50, 2013-08-27

本稿では,グラフG=(V, E)と指定次数γが与えられたとき,頂点部分集合S によって誘導される部分グラフG[S]が指定した次数rの正則グラフであり,頂点数が最大となるようなSを見つけ出す最適化問題を考える.また,グラフG[S]がr-正則,かつ連結グラフである場合についても考える.両問題は,ある定数rについて,近似することさえNP困難であることが知られている.本稿では,入力を特別なグラフクラスに限定した問題について考える.rをある定数とし,入力グラフを二部グラフまたは平面グラフに限定したとしても,本稿で考える連結性を条件とする正則誘導連結部分グラフ探索問題と必要としない正則誘導部分グラフ探索問題が近似することさえNP困難のままであることを示す.一方,以下のような木構造を持つグラフを入力とした場合には,両問題が簡単になることを示す.まず,木幅限定グラフを入力としたとき,両問題に対する最適解を線形時間で求めるアルゴリズムを示す.ここで,計算時間に隠れている係数は木幅の単一指数である.更に,入力を弦グラフとしたときには,両問題の最適解を多項式時間で求めることができることを示す.
著者
平井 明代 藤田 亮子 伊藤 牧子 大木 俊英
出版者
全国英語教育学会
雑誌
ARELE : annual review of English language education in Japan (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.31-45, 2013-03-31

In 2006, an English listening test was added to the National Center Test for University Admissions (NCT) in Japan. We investigated whether including the Center listening test on the NCT has had positive washback on students' listening skills and attitudes toward studying listening. In Study 1, test scores of university freshmen dating back to 2002 were analyzed to investigate the improvement in students' listening skills. In Study 2, a questionnaire survey was conducted to investigate students' motivational aspects. The results revealed three findings. First, the test scores did not show a marked improvement in listening skills after the Center listening test was introduced. Second, the Center listening test might influence students in different majors to a different degree. Third, the majority of students favored the introduction of the Center listening test, and most were encouraged to study listening and felt their preparation had a positive effect on their score.
著者
伊藤 健 生田目 崇
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.216-219, 2015 (Released:2016-01-29)

本研究では,マルチエージェントモデルを用いてECサイトのシミュレーションを行う.近年,SNSの発達により,情報伝搬が促進され,個人の発言の影響力が大きくなってきている.また,EC市場の発達により,ネットで購買する人が増え,企業もアクセスログなどの大量のデータを蓄積している.こうした中で,消費者のウェブ上での,不透明な購買行動を予測することは,経営に重要であると考えられる.マルチエージェントモデルは,個人の行動の相互作用によって,マクロ現象を表現できる.またシナリオ分析することで,ECサイト上の消費者行動を予測することができ,意思決定者の支援に繋がることが期待される.
著者
保坂 尚紀 輿 秀利 伊藤 賢 中村 正和 梨本 正恵
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.395-399, 2000-06-30
参考文献数
11
被引用文献数
1

In prophylaxis of postoperative infection, an air-cleaner was used to remove air-contaminant bacteria and fungi in the operating room during dental implant surgery. In general, next to Coagulasenegative staphylococci, the most frequent isolate, Corynebacterium species was isolated in the operatmg room.<br/> When an air-cleaner was used during the operation, the bacteria and fungi were considerably decreased, especially fungi decreased below the detectable level. To the results indicated that application of an air-cleaner was decreased air-contaminant microbes in the operating room for the dental implant surgery.<br/>
著者
保坂 尚紀 輿 秀利 伊藤 賢 中村 正和 梨本 正恵
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.395-399, 2000-06-30
参考文献数
11
被引用文献数
1

In prophylaxis of postoperative infection, an air-cleaner was used to remove air-contaminant bacteria and fungi in the operating room during dental implant surgery. In general, next to Coagulasenegative staphylococci, the most frequent isolate, Corynebacterium species was isolated in the operatmg room.<br/> When an air-cleaner was used during the operation, the bacteria and fungi were considerably decreased, especially fungi decreased below the detectable level. To the results indicated that application of an air-cleaner was decreased air-contaminant microbes in the operating room for the dental implant surgery.<br/>
著者
浜田 恵 伊藤 大幸 片桐 正敏 上宮 愛 中島 俊思 髙柳 伸哉 村山 恭朗 明翫 光宜 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.137-147, 2016

<p>本研究では,小学生および中学生における性別違和感を測定するための尺度を開発し,性別違和感が示す,内在化問題および外在化問題との関連について検討することを目的として調査を行った。小学校4年生から中学校3年生までの5,204名(男子2,669名,女子2,535名)を対象として質問紙を実施し,独自に作成した性別違和感に関する13項目と,抑うつおよび攻撃性を測定した。因子分析を行った結果,12項目を含む1因子が見出され,十分な内的整合性が得られた。妥当性に関して,保護者評定および教員評定による異性的行動様式と性別違和感との関連では,比較的弱い正の相関が得られたが,男子の本人評定による性別違和感と教員評定の関連には有意差が見られなかった。重回帰分析の結果では,性別違和感と抑うつおよび攻撃性には中程度の正の相関が示された。特に,中学生男子において性別違和感が高い場合には,中学生女子・小学生男子・小学生女子と比較して抑うつが高いことが明らかになった。</p>
著者
野田 航 辻井 正次 伊藤 大幸 浜田 恵 上宮 愛 片桐 正敏 髙柳 伸哉 中島 俊思 村山 恭朗 明翫 光宜
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.158-166, 2016

<p>本研究では,単一市内の全公立小・中学校の児童・生徒(小学3年生から中学3年生)を対象とした縦断データの分析を行うことで,攻撃性の安定性に関して検討した。3つの学年コホート(合計約2,500名)の小・中学生の5年間の縦断データを対象に,潜在特性–状態モデル(Cole & Maxwell, 2009)を用いた多母集団同時分析を行った。攻撃性の測定には,小学生用攻撃性質問紙(坂井ほか,2000)を用いた。分析の結果,攻撃性は特性–状態モデルの適合が最も良好であり,特性変数と自己回帰的な状況変数の双方が攻撃性の程度を規定していることが明らかとなった。また,性差が見られるものの,攻撃性は中程度の安定性をもつことも明らかとなった。さらに,特性変数による説明率は,学年段階が上がるにつれて上昇することが明らかとなり,小学校中学年頃までは攻撃性の個人差はまだそれほど安定的ではないが,思春期に移行する小学校高学年頃から中学校にかけて個人差が固定化していくことが示された。</p>
著者
錦織 達啓 伊藤 祥子 辻 英樹 保高 徹生 林 誠二
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.63-69, 2015-02-01 (Released:2015-04-07)
参考文献数
32
被引用文献数
4 10

林床からの137Cs流出の起きやすさを知るため,福島県内の林床被覆状況が異なる四つの林分を対象に,斜度37~39°の斜面に3 m2の試験プロットを設け,2013年5月から10月の145日間,表面流出水に含まれる懸濁態および溶存態137Csを観測した。137Csは最大でも土壌蓄積量の1.1%しか移動しなかったが,その移動量はプロット間で最大10倍異なり,ヒノキ林で最も多く,次いで落葉広葉樹林,アカマツ林,スギ林となった。移動した137Csの96%以上が懸濁態であり,土壌侵食量は下層植生や有機物層に乏しいプロットで多かったことから,林床被覆量が137Cs移動量に強く影響したと推察された。表面流出水と近傍の渓流水中の懸濁物質の双方において,137Cs濃度と有機物量の間に正の相関が確認された。これにより,渓流水中の137Csの一部が林床起源であること,その林床起源の137Csは主に有機物層に由来していたことが示唆された。ヒノキ林は林床被覆に乏しい傾向にあるが,福島県には少ないため,最も広く分布する広葉樹林の林床被覆状況が森林からの137Cs流出に大きく影響すると考えられた。
著者
伊藤 敏安
出版者
広島大学大学院社会科学研究科附属地域経済システム研究センター
雑誌
地域経済研究
巻号頁・発行日
no.17, pp.3-23, 2006-03

電気機械産業(電気機械器具、情報通信機械器具、電子部品・電子デバイス)について、1990~2003年の都道府県別データをもとに、主として労働生産性の変化、その規定因、地域経済への影響を検討した。その結果、①地理的な分散が進行していること、②情報通信機械器具のウエイトが低下し、代わりに電子部品・電子デバイスのウエイトが拡大したこと、③付加価値額の規模が大きい都府県では付加価値額が伸び悩むとともに、主として機器・設備の稼働率低下に伴って労働生産性(従業者あたり付加価値額)が伸び悩んだこと、④付加価値額の規模が小さい道県では付加価値額の伸びが大きく、有形固定資産残高の増加とも相まって労働生産性が上昇したこと、⑤労働生産性の変化に賃金水準(従業者あたり現金給与総額)の変化が対応していないこと、⑥「工業統計」による電気機械産業の付加価値額の増加が「県民経済計算」による電気機械の生産額の増加に帰着するためには一定の集積を必要とするとみられること──などが観察された。The industrial classification of the Manufactures Census has been revised in 2002. Manufacture of electrical machinery, equipment and supplies has divided into three industries; 1) Manufacture of electrical machinery, equipment and supplies, 2) Manufacture of information and communication electronics equipment, 3) Manufacture of electronic parts and devices. Electronic Industries as a general term refer to these three industries in this paper.Through the analysis on electronic industries between 1990 and 2003, we could find out such points as follows; 1) Geographically dispersion of electronic industries has gone further, 2) While information and communication electronics equipment are getting weak, electronic parts and devices are growing up, 3) In the bigger prefectures by gross value added of electronic industries, both of gross value added and labor productivity have not so much increased than those of lesser, 4) Both of gross value added and labor productivity of lesser prefectures by gross value added have increased owing to rising of fixed capital investment, 5) The growth rate of cash wages and salaries for employees has not coincided with that of labor productivity, 6) Increase of gross value added in the Manufactures Census can lead to increase of gross domestic product of National Accounts in some region where there is a certain agglomeration of electronic industries.