著者
山木 哲 近藤 礼 長畑 守雄 伊藤 美以子 齋藤 伸二郎 佐藤 慎哉 嘉山 孝正
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.885-889, 2012 (Released:2012-11-22)
参考文献数
12

総頚動脈閉塞症 (CCAO) に対し頚部頚動脈内膜剥離術 (CEA) を行うことはまれであるが, 今回, 大動脈炎症候群に合併したCCAOに対しCEAを施行し良好な結果を得ることができた1例を経験したので報告する. 症例は58歳女性で一過性脳虚血発作にて発症した. 大動脈炎症候群によるCCAOを認めたが, 神経放射線学的検討にて術前に閉塞部分はごく限局していることが診断しえたためCEAによる血行再建を行った. 本例のごとく閉塞が限局しその近位部および遠位部の開存が術前に確認できる場合には順行性の血行再建が行えるCEAは有効な方法である.
著者
伊藤 修 森 信芳 上月 正博
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Wistar-Kyotoラット(WKY)と高血圧自然発症ラット(SHR)において、長期的な運動による大動脈のnitric oxide (NO)合成酵素(NOS)発現増強効果はNADPH oxidase依存性であり、腎のNOS発現増強効果はWKYではNADPH oxidase依存性、SHRではxanthine oxidase依存性であることを明らかにした。食塩感受性高血圧ラットにおいても、長期的な運動は腎保護作用を有することを明らかにし、その作用機序は 血圧とは独立したものであり、運動による酸化ストレスの軽減、NO産生系、腎アラキドン酸代謝の改善が関与している可能性が示唆された。
著者
伊藤宗印 編
出版者
山静堂
巻号頁・発行日
vol.1, 1877
著者
寺田 和憲 川合 直裕 山田 誠二 伊藤 昭
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

縁起担ぎとは,真の因果が存在しないにもかかわらず,特定の行為を行うことで良い結果を期待することである.本研究では,縁起担ぎを探索と搾取のトレードオフの観点からモデル化し,心理実験によって,以前に行われたタスクの成功率が高い場合には,たとえ明らかにタスクの成否に関係なくても無意識に同一の行動を選択し,成功率が低い場合には,異なる行動を選択する傾向があることを検証した.
著者
伊勢 晃 三好 郁朗 佐藤 文郎 伊藤 洋司 辻野 稔哉 森田 いく子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は、ベル・エポック期におけるフランス・モダニズムの諸相を明確にし、詳細な校注、解説を含むアポリネールの文芸評論の全訳を作成することを目標とし、研究を推進してきた。その結果、翻訳の下訳作業はほぼ完成し、フランスでの調査と資料収集によって、基礎的資料の整備を終えた。今後は平成24年度科学研究費補助金研究(基盤研究C)「20世紀初頭のフランス文芸思潮におけるモダニズムの形成と展開に関する実証的研究」(課題番号: 24520374、研究代表者:伊勢晃)に研究を引き継ぎ、さらに広範な調査を行い、出版物の形で成果を公開したい。
著者
吉岡 洋明 伊藤 裕道 田中 泰彦 池田 保 美
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.705-710, 2003-06

To meet the requirements for optimum utilization of power station sites and economic realization of coal fired thermal units, tandem compound 60 Hz 1000 MW large thermal units were developed. One of the most critical items was development of a large-size high strength generator rotor forging with comparable toughness to the conventional rotor forging. Based on the investigation results of existing rotor forging, chemistry optimization was conducted within the specification of conventional turbine generator and low pressure rotor forging by using lab oratory heat materials and 0.28%C-0.25%Mn-4%Ni-1.75%Cr-0.4%Mo-0.12%V high purity steel was selected for the candidate material. Double tempering heat treatment of 550℃ and 580℃ was also developed for increasing the yielding ratio of 0.02% yielding stress to tensile strength to meet the requirements of mechanical properties. According to those laboratory studies, one trial rotor forging with the same diameter as production ones was successfully produced.
著者
木村 逸郎 夏 宗ほあん 包 尚聯 伊藤 秋男 秦 和夫 今西 信嗣 XIA Zonghuang 包 尚聨 張 国輝 趙 子強 王 宇鋼 施 兆民 唐 国有 陳 金象 韋 倫存 今井 誠 神野 郁夫 高木 郁二 金 長文
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

最近粒子ビーム(中性子や荷電粒子のビーム)を用いた材料科学研究の進展は著しい。京都大学と北京大学は、いずれもこれらの先駆的な研究を進めているが、ここに大学間協定に基づいて研究協力を強化推進し、一層の高度化とさらに新しい分野への発展の基礎を築くことができた。本研究を通じ、京都大学から北京大学へ延べ8名の班員を派遣し、最近の研究の紹介を介して討論するとともに、実験の現場でも議論した。一方、北京大学から京都大学へ延べ8名の班員を招へいし、先方の研究成果について紹介してもらい、それについて討論した。さらに一部の班員はやや長く滞在して実験に参加させ、他の班員は京都大学の研究用原子炉や加速器において進行中の関連研究を見せ、現場でいろいろと議論した。やや具体的なテーマについての成果は次のとおりである。1.両大学で進行中の中性子ビーム利用研究では、まず核分裂過程の機構解明に関連し、核分裂即発中性子の測定法と測定結果、解析モデルと解析結果を比較し、共通点を見出した。また、中性子の非弾性散乱や荷電粒子放出の測定に関連し、データを比較検討した。さらに、中性子の新しい利用とくに医療利用についても議論を深めることができ、今後の協力が期待される。2.加速器による重イオンビームの利用については、両大学とも盛んに実験研究が進められているため論議が噛み合う所が多かった。なかでも、クラスターイオンの発生と利用、イオンビームによる表面分析、イオンビームによる新機能性材料の開発において、相互の実験手法を現場で詳しく見た上で議論し、ときには改善法を示唆したりもした。また北京大学の班員を京都大学での実験に直接参加させたことも実質的な協力として有意義であった。これらを通じ、今後のより実質的な協力の芽が育ったといえる。
著者
安川 緑 藤原 勝夫 金子 周一 坂本 英之 三谷 徹 伊藤 喜久 小山 善子 染井 正徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度の研究では、06,07年度の研究成果を基にITを活用した園芸療法の効果の詳細を検証した後、総合的見地から、ITの活用による園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルを構築する予定であったが、当初の計画の変更を余儀なくされたため、下記の内容で研究を進めた。1)これまでに得られた園芸療法の研究データの分析を行い、園芸療法の知見を広く社会に還元すべく、論文作成及び投稿準備に充当した。現在、Japan journal of Nursing Scienceに「Effects of Horticultural Therapy for Aged Persons Receiving Home Care」を、また、老年社会科学に「サッケード反応様式からみた園芸療法の元気高齢者の前頭葉脳血流量の変化」を投稿するための準備作業に入っている。これらの論文では、在宅療養高齢者及び元気高齢者のそれぞれの課題に対して園芸療法が効果的に作用して、心身機能の維持・向上や老化予防に独自の効果をもたらすことが実証され、今後における地域高齢者ケアへの提言ともなっている。2)世界初の作業療法ハンドブック、「International Handbook of Occupational Therapy Interventions」(2009)に、「Horticultural Therapy for the Cognitive Function of Elderly People with Dementia」が所収された。このことにより、園芸療法が薬物に依拠することなく認知機能の回復をもたらし、認知症ケアとしての優れた側面を有すると共に、日常生活の活性化を促すための多種多様な可能性持ち合わせていることを世界のケア専門家に紹介し、園芸療法の普及に拍車をかける機会となった。なお、認知症者に対する園芸療法の種々のデータについては、引き続き分析を進め、International journal of geriatric Psychiatryをはじめ国際的学術誌への投稿を予定している。
著者
伊藤 ちひろ 岩井原 瑞穂 上林 弥彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.378, pp.13-18, 2002-10-11

インターネットの発展により、電子商取引の機会が増大している。電子商取引の特徴は、互いに会ったことのないような当事者間での金品の授受が行われることである。このような取引では、認証などの手段によってあらかじめ取引相手の身元が保証される訳ではない。従って、相手を完全に信頼した取引を行うことは困難となるため、相手のリスクを考慮した機構が必要である。本稿では、このようなリスク管理のために分割送付を行う商品と代金の交換機構において,取引が中断された場合の回復プロトコロルについて述べる.また、また、取引の中止によって起こり得る損害の回復方法として、保険の導入について述べる。
著者
松浦 弘幸 中野 正博 野田 信雄 小井手 一晴 伊藤 安海 根本 哲也
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-33, 2007-07-31

我々は,光線力学療法に使用される電磁波の照射エネルギーと温度との関係を表す基本式を提案した.電磁波療法は,電磁波の熱的側面が利用されたものであり,治療計画の立案には,理論的な裏づけが重要である.我々の計算によれば,比熱0.3cal/g.Kの標的組織に100mW/cm^2の低出力パルスレーザーを1秒間照射した場合,局所的な温度上昇は,0.67K程度に達すると予測される.この1秒間で熱が拡散する深さは,0.1cmと見積もられる.また,熱平衡時では,筋肉の温度上昇度合いは高々2.4Kであり,体温が37度であることを考慮すれば,低出力レーザーや電磁波は,温熱療法に利用できる可能性がある.一般には標的組織の厚さが有限であるために,標的組織の背後からの熱反射を考慮する必要があり,温度上昇は本論文の見積もり値よりも大きくなる.これらの点を改良するには,反射率,吸収係数,熱伝導率などの物性値に温度依存性を知る必要がある.
著者
年森 清隆 伊藤 千鶴 前川 眞見子 大和屋 健二 神村 今日子 武藤 透
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

Muse細胞調整後、精子幹細胞の無いW/Wvミュータント雄マウス精巣内に移植して定着性を検討し、次の点が明らかになった。長距離移動によるMuse細胞のダメージは無く生細胞数を確保できる。移植前培地中に長時間置くと凝集が起こり、移植効率が下がる。移植用培地からアルブミンを抜くと効率良く微小注入できる。移植後3ヶ月では、GFPのシグナルは認めらないことから、単純なMuse細胞移植では精子細胞分化への誘導はできないと思われた。
著者
寺尾 敦 飯島 泰裕 宮治 裕 伊藤 一成
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,(1) 携帯端末を利用した授業のための学習環境の開発, (2) 携帯端末を利用した新しい教育方法の探求, (3) モバイルラーニングに適した学習ウェブサイトあるいはアプリケーションの開発,であった.スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を利用した学習を行うための環境(学習管理システム)を開発した.デザイン科学のパラダイムに基づき,携帯端末を用いた授業のデザインを繰り返して,環境,教材,授業の改善を行った
著者
伊藤 美保 飯田 奈美子 南谷 かおり 中村 安秀
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.387-394, 2012-12-20 (Released:2013-01-24)
参考文献数
22

目的本研究は、医療通訳を実施している当事者に対して質問紙調査を行い、医療通訳業務や研修の内容、医療通訳の現場での課題などを明らかにすることを目的とした。方法通訳者を派遣しているNPO、地域の国際化協会や、通訳者を雇用している医療機関等に通訳者への配布を依頼し、郵送にて直接回収し分析した。結果有効回答数は284名(有効回答率33.4%)であった。5年以上の経験者が46.1%いたが、常勤の通訳者は少なく、76.4%が派遣の形態をとっていた。対応言語は、手話を含む14言語であった。通訳頻度が月4回以下のものが68.3%であったが、8.5%は月20回以上の医療通訳の機会があった。回答者の54.4%が総時間20時間以上の研修を受けていた。医療従事者と患者の間に位置する通訳者として、種々の困難さに直面している実態が明らかになった。考察医療通訳者を直接対象とした本調査により、すでに多くの医療通訳者が現場で活動している実態が明らかとなった。研修を受ける機会が少なく、通訳技術の維持向上に必要不可欠な研修体制の充実が必要であった。医療従事者側と患者側の双方に、通訳者の効果的な活用方法と公平性という業務範囲を明確に説明し、同時に通訳者を精神的にも支える立場のコーディネーターが必要である。
著者
蒲原 弘昭 工藤 善則 篠原 功 伊藤 彰
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) (ISSN:03854205)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.814-820, 1999-06-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The deterioration diagnosis for XLPE cables using low-frequency voltage has been confirmed that it is able to detect not only bridged water trees but also un-bridged water trees. However, its degraded detecting performance has not been proven.In this paper, we examined the properties of a DC leakage current and a low-frequency loss current through the use of cables with different degrees of deterioration, and studied the performance of each measurement in detecting water-tree deterioration.As a result, it has been confirmed that for a water tree that has bridged an insulator, it is possible to detect deterioration in both the DC leakage-current measurement and the low-frequency loss-current measurement. On the other hand, for a water tree that has not bridged an insulator, although deterioration signals were not obtained in the DC leakage-current measurement, as is generally known, it has been ascertained that deterioration can be detected in the low-frequency loss current measurement.The above results has made it clear that the result obtained by the method of combining low-frequency method with DC leakage current method is high reliability.
著者
小谷 スミ子 伊藤 知子 内藤 照美
出版者
新潟大学
雑誌
新潟大学教育人間科学部紀要. 自然科学編 (ISSN:13442961)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.61-80, 2003-11-28

新潟県の小学校教員を対象に学級の食物アレルギー児の実態と学校給食での対応についてアンケート調査を行った。食物アレルギー児のいる学校は46.0%,学級は21.3%,食物アレルギー児は1.3%,食物アレルギー児の55.1%は除去食を4.7%は弁当を持参していた。食物アレルギー児がいつも食べない原因食品は卵・卵製品が最も多く,次いでエビ・カニなど,穀類,牛乳・果実・魚類・大豆・大豆製品であった。アナフィラキシーについて知識のある教員は73.8%であった。アナフィラキシーを起こした児童は給食のあと運動したときやエビ,そばを食べたあとが多く,5.2%の教員が経験していた。学校給食の調理方式は市部で自校方式66.7%,センター方式27.3%,郡部で自校方式52.2%,センター方式45.6%であった。栄養職員がいると答えた教員は市部58.0%,郡部21.3%,兼任でいないは市部29.0%,郡部48.8%,いないは市部5.9%,郡部26.5%であった。学校給食で食物アレルギー児向けメニューを取り入れている学校は市部38.2%,郡部21.1%であり,自校方式29.0%,センター方式21.6%であった。食物アレルギー児のいる学級の20.8%,除去食児のいる学級の31.7%がメニューを取り入れていた。メニューを取り入れるに際し学級担任は保護者,養護教諭,栄養士,学校などとの連携を重要視し,患児に応じた除去食,代替食で対応していた。メニューを取り入れるのが困難な理由としてセンター方式のため,予算がない,人手がない,他の児童への配慮などが挙げられた。食物アレルギー児の弁当持参への対応では,給食献立表を見て食べられない時は弁当を持ってきてもよい50.9%が最も多く,次いで給食で食べられない食品を残してもよい38.5%であり,栄養士と相談して給食のメニューから問題の食品を抜いてもらう22.・8%,毎日弁当を持ってきていい20.2%は少なかった。学校給食に食物アレルギー児向けメニューを取り入れるには学級担任・患児・保護者・養護教諭・栄養職員・主治医・管理職相互のコミュニケーションに加え,行政からの人員配置や経済的支援も必要であると考えられた。
著者
北口 暢哉 川口 和紀 中井 滋 伊藤 信二 加藤 政雄 酒井 一由 伊藤 健吾
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

血中Aβ除去で脳内Aβを減少させるアルツハイマー病治療機器を創製するために、血中Aβがよく除去される血液透析で以下の検討を行った。1) 血液透析患者の死後脳では、非透析者に比して脳内Aβの蓄積(老人斑数)が有意に少なかった。2)横断的研究:非透析者では腎機能が低下するにつれて血中Aβは増加し認知機能は低下したが、血液透析患者では透析歴が長くなっても血中Aβは増加せず、認知機能はほぼ維持された。3) 前向研究:非透析腎不全患者5例 (平均64.0歳)は透析導入とともに、血中Aβ濃度は低下し、認知機能は改善傾向を示した。以上から、血中Aβ除去器がアルツハイマー病治療につながる可能性が示唆された。
著者
伊藤 晶文 木塲 幸乃
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.1-8, 2010

鹿児島県本土で執筆された二つの古日記の天気記録を用いて,1830年代から1850年代の夏および冬の寒暖,台風の襲来,および異常天候について検討した。7月の晴天率および冬(12~2月)の降雪率の比較から,現代と比べて当時の夏は大きく変わらないものの,冬は雪が多く寒さが厳しかったと考えられた。対象期間のうち,1837年,1841年,1853年,1855年,1856年,および1859年の夏は暑く,1833年,1840年,1844年,1848年,および1854年の夏は冷涼であり,1840/41年,1851/52年,および1854/55年の冬は多雪で寒さが厳しく,1844/45年および1853/54年の冬は寡雪で温暖であったと推定された。1840年代以降における太平洋側の降水率の増加と,1850年代以降における暑夏の出現頻度の増加は,それぞれ小氷期の終了を示唆する。台風の襲来数が同時期の近畿・東海地方よりも少ないことから,当時の台風の進路は鹿児島県本土から離れていたとみられる。洪水と雨乞の記載日数の比較から,当時は干ばつよりも長雨や大雨などの異常天候が多かったと考えられた。