著者
伊藤靖章 高橋 圭 蔡東生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.105, pp.1-6, 1999-12-10

生体の複雑な動きを生成するために、個々が簡単なルールに従い、群れ全体として複雑な動きを生成するというボイドのアルゴリズムを基に生体の群れを作成した。そのボイドに、自己組織化臨界現象のモデルである砂山モデルを用い、生体の群れが外敵に襲われる際の非定常状態に適用し、群れの崩れる様子を作成した。また、人に心地良いといわれ、インテリアデザインなどの分野にも応用されている1/fゆらぎを群れの個体のパラメータに適用し自然な振る舞いをする群れの作成を試みた。また、カオスゲームを群れの飛び立ちに適用することで人に自然に群れだと感じさせるだけではなく、複雑で見栄えがある群れの生成を試みた。Natural creatures like birds, butterflies often display very complex grouping behavior. Reynolds reported that such grouping behavior can be expressed via some simple rules, and called them "boids". However, many more complex grouping behaviors are beyond the description of simple "boids". We report some more complex "boid" using SOC (self-organized criticality) and chaos game algorithm.
著者
伊藤 直紀 和南城 伸也 野澤 智
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

当該研究期間の研究成果は以下のとおりである。1.銀河団におけるSunyaev-Zeldovich効果に対する多重散乱の寄与の研究標記の寄与について、Fokker-Planck展開を用いた方法、およびBoltzmann衝突項を数値積分する方法の両方により計算を行った。その結果、通常の銀河団については、多重散乱の寄与は1%よりはるかに小さいことが明らかとなった。この研究成果により、本研究代表者たちが以前に発表した1回散乱のみを考慮した計算結果が、通常の銀河団については十分適用できることが判明した。この研究により、銀河団における相対論的Sunyaev-Zeldovich効果の研究は、真の意味で精密科学の段階に到達した。1998年Astrophysical Journalに発表された論文に始まる本研究代表者たちの一連の研究の基礎が最終的に確立したのである。この事実は、宇宙物理学のみならず、統計物理学としての本研究の価値を大いに高めるものである。この研究論文はMonthly Notices of Royal Astronomical Societyに発表された。2.超高温銀河団におけるSunyaev-Zeldovich効果の研究近年25keVを超える超高温ガスを含む銀河団が発見されている。われわれはこれまでのわれわれの計算方法を用いて、このような超高温銀河団における、相対論的Sunyaev-Zeldovich効果を精密に計算した。この際に、結果を詳細な数表と解析的なフィット式によって表現した。これらの結果は将来の観測結果の解析に大いに有効であると考えられる。この研究結果は、Astronomy and Astrophysicsに掲載された。
著者
橋本 修 角 和俊 横川 英広 伊藤 晶彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.90, pp.53-59, 2001-05-18
被引用文献数
11

抵抗皮膜を用いたλ/4型電波吸収体は, 構造が簡単でしかも設計等が容易にできることから, 室内無線LANなどの利用を考えた場合, その利用が期待されている. しかしながら, このタイプの電波吸収体は, 使用するスぺーサ内の波長の1/4より薄くできない欠点がある. そこで, 本研究では, λ/4型電波吸収体のスペーサ部にFSS (Frequency Selective Surface)を吸収膜としての抵抗皮膜と並列に挿入し, スペーサ内の位相を変化させることにより, 吸収体の厚みを薄くすることを試みた. この場合, 設計周波数領域における使用するFSSのインピーダンスを把握する必要があるが, 本研究では, 測定したFSSの透過特性からFDTD法を用いて, インピーダンスを求め, これを電気的等価回路に代入することにより, 吸収特性が最大となるFSSの挿入場所や抵抗皮膜の面抵抗値を決定した.
著者
平野 誠一郎 伊藤 均 望月 俊直 林 荘太郎 清水 完悦 野呂 忠慈 木川田 隆一
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.318-324, 1985-10-31

激しい運動直後に血圧が下降し,低血圧性失神すら起こるスポーツマンの1例について,その発生機転を追求した。血圧が正常のさいの臥位の循環動態は高分時心拍出量(CO)型を示し,末梢流血抵抗(TPR)の減りを伴った。treadmillによる運動負荷によって運動後低血圧症を誘発したさいの循環動態では,COの著しい減少をみ,そのさいに生じたTPRの増加は不充分で降圧を阻止しえなかった。この運動後低血圧症は静脈緊張を高めるdihydroergotamine服用により改善された。体位変換時や運動時の血漿catecholamineの増しは正常範囲で,降圧機転に交感神経緊張低下が重大に関与するとは思えなかった。運動後低血圧症の発生機転は今なお不明であるが,まず運動後に静脈側に大量の血液がとり込まれてCOを下げること,さらに交感神経β刺激に対する細動脈のhyperreflexia,あるいは運動時に生じたHessのNutritions reflexが運動後に存続したり,運動後の灌流圧減少に対して異常に強いBayliss効果が出現したりするような細動脈のautoregulationの異常がTPRの増加を不充分にすることなどが主な機転と考えられた。
著者
神澤 孝夫 伊藤 佐知子 澤田 誠
出版者
(財)脳血管研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ミクログリアは脳内のマクロファージ様細胞として知られ、悪性脳腫瘍においても腫瘍内部および浸潤域に、集蔟している事が確認されているが、その抗腫瘍作用は不明であった。しかし、活性化ミクログリアは悪性脳腫瘍細胞に抗腫瘍効果を発揮し、悪性脳腫瘍細胞に形態的にアポトーシスでなく、第二のプログラム細胞死:オートファジーを伴う細胞死を誘導することが、悪性脳腫瘍細胞に生じるオートファジーをモニターすることによって、判明した。そして、この細胞死はカスパーゼ阻害役で抑制はされなかった。抗腫瘍効果の機序として、ミクログリアが産生するNOが重要で必須であることが分かったが、NO単独では、悪性脳腫瘍細胞にオートファジーは誘導されるもの、細胞死は誘導されなかった。さらなるミクログリア由来の分子を解析したところ、TNF family分子および炎症性サイトカインが重要な役割を果たすことがわかった。TNF-α、CD40、Fas、IL-β、IL-6は、いずれも、単独で、細胞死を誘導することはなく、NO阻害薬がこの細胞死を完全に抑制するのに対して、TNF family分子および炎症性サイトカインの阻害は部分的な抑制のみであった。これらの結果から、悪性脳腫瘍に対するミクログリアの抗腫瘍効果において、NOは必須であるが、細胞死を誘導するには至らず、さらに、TNF family分子および炎症性サイトカインからのシグナルが、相補的に作用することによって、細胞死を制御していると考えられた。
著者
森 一彦 伊藤 三千代
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(目的)本研究はその公的環境の中で駅ターミナル施設に着目し、情報(視覚・聴覚)障害者の探索行動の特徴を明らかにすることを目的とした。(方法)具体的には、視覚障害者・聴覚障害者および比較のための健常者の探索行動実験を行い、情報(視覚・聴覚)障害者の探索行動の特徴を分析した。特に探索行動時の探索方法の内容および情報入手の状況を整理し、そのデータを基に被験者相互の迷い行動を比較分析した。(結論)結果として、以下の点が整理された。(1)情報障害者は、入手情報が制限されるものの、適切に情報が提供されれば、迷うことなく目的のプラットホームに到達する事ができる。(2)むしろ、健常者の方が複数の情報が入手可能なため、色々な行動が誘発されやすく、結果的に「迷い」が大きくなるケースが多くあった。(3)聴覚障害者は健常者に類似した傾向があるものの、補足データとしての聴覚的な情報が乏しく、迷いやすく、状況判断しにくく慎重な行動になる傾向がある。(4)視覚障害者は点字などのサインよりも、その場所に置かれたもの・機器を手がかりとし、場所・方向を認知して行動する傾向がある分かった。(5)視覚・聴覚共に情報障害者は、探索途中で適切な情報入手ができずに迷いが生じた場合に大きな問題が生じ、どのように迷いからブレイクスルーするかが重要な要件となる。
著者
伊藤 有壱 小町谷 圭
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の為に作成した2体(クレイ、金属関節人形)を含めた3種類のアニメーションパペットと、そのガイドとなる実写人物、そして着ぐるみの5要素のキャラクターが、異なる3パターンの背景(アウトドア実景、ミニチュアセット、グレーグリッドセット)で同じアクションを繰り返す、立体視アニメーション撮影のベーシックとなりうる画期的な素材の作成に成功した。新たに撮影された背景等新要素によりその組み合わせパターンは無限となることから、次世代に向けての拡張性も含んでいる。さらに本研究の情報開示は、撮影対象物であるクレイやパペットの貴重な立体アニメーション制作技術の普及にも貢献するものである。
著者
武田 賢 角谷 倫之 佐藤 清和 土橋 卓 伊藤 謙吾 千葉 瑞己
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ヒト頭頸部模型をCT撮像したデータをソフトウェア上で加工し、3次元(3D)プリンターに転送して頭頸部固定具を作製した。比較対照として、放射線治療用固定具として実用化されている熱可塑性素材を用いて従来法(手作業)により頭頸部固定具を作成した。3Dプリンターで作製した頭頸部ファントムの固定具は、固定精度と線量特性の点で、従来法で作成した固定具と同等の性能を示し、臨床上、実用化できる可能性が示唆された。然しながら、CT撮像からデータを加工する迄に約2時間、3Dプリンターで出力するまでに約100時間程度の時間を要しており、今後の課題として、固定具の作成過程を効率的に短縮する必要があることが分かった。
著者
新妻 弘崇 石井 信 伊藤 実
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.2375-2384, 1999-12-25
被引用文献数
2

本研究では,ニューラルネットワークに基づく新しい組合せ最適化問題の解法を提案する.特に2次割当て問題に対して適用する.本手法は,順列のλ個の要素を同時に入れ替えるλ-optヒューリスティックスのアナログ版とみなすことができる.λの値として中程度の値を使うことができるため,中距離サーチを実現できる.この中距離サーチは,浅い局所最適解を乗り越えることができる.比較的大きな(N=80∼150)2次割当て問題に対してこの手法の計算機実験を行った結果,我々の新しい手法は今までのチャンピオンのアルゴリズムと同程度に良い近似解を計算できることがわかった.また,二つのべンチマークについては,現在のチャンピオンのアルゴリズムよりも良い解が計算できることがわかった.
著者
野田 公夫 足立 泰紀 足立 芳宏 伊藤 淳史 大田 伊久雄 岡田 知弘 坂根 嘉弘 白木沢 旭児
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

1930 年代の日本では「資源」という言葉が急浮上した。そして「あるもの」ではなく「作ることができるもの」という側面が過剰に強調されただけでなく、人すらその対象に加わえられた(人的資源)。これは、ドイツにもアメリカにもない特異な現象であり、物質的豊かさに恵まれない日本が総力戦体制に立ち向かうための重要なレトリックであった。本研究では、総力戦体制期の農林資源開発に関する、日・独・米三国の比較史的研究をおこなった。
著者
井手口 直子 伊藤 由香里
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.121, pp.PE13-15, 2007-11-10

しつこい咳が続くため、1週間前に、母親に連れられて自宅近くの小児科を受診した2歳4カ月のKくん。小児科医からは、咳に対する対症療法薬として、鎮咳剤のアスベリン(一般名:チペピジンヒベンズ酸塩)と気道潤滑去痰剤のプルスマリン(塩酸アンブロキソール)、気管支拡張剤のメプチン(プロカテロール塩酸塩水和物)の3種類のシロップ剤が処方された。
著者
伊藤 友孝 谷 重喜 鈴木 みずえ
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,高齢者の転倒予防を目的に,(a)個々の歩行状態を定量的かつ的確に診断できる手法の開発と(b)屋外の不整地でも安心して使用できる受動アシスト杖の開発の二点を重点課題とした.課題(a)に関しては,歩行を簡便に計測して個々の歩容の特徴量を自動抽出し,歩行タイプやバランス状態などの診断を行える「歩行計測・診断システム」を開発した.実際に72名の診断を行い,高齢者の歩容の実態や転倒の要因を把握することができた.課題(b)に関しては,伸縮式の支持脚を有し不整地での段差吸収とバランス制御機能を併せ持つ「ロボット杖」の開発に成功した.本研究により今後の高齢者の転倒予防に関する重要な知見が得られた.
著者
伊藤 直之 伊藤 洋一 村岡 登 増田 健一 金井 一享 近澤 征史朗 堀 泰智 星 史雄 樋口 誠一
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-21, 2014 (Released:2014-04-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬139頭について,リンパ球増殖反応と定量的血清IgEレベルを検査した。検査した犬の103頭(74.1%)と73頭(52.5%)が,それぞれリンパ球増殖テストおよび血清IgEテストで,一つ以上の食物アレルゲンに対して陽性だった。多くの症例で複数の食物アレルゲンに反応し,しかも,反応しているアレルゲンは,リンパ球増殖テストと血清IgEテストで必ずしも同一ではなかった。これらの成績から,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬では,食物アレルゲンに感作されている割合が予想以上に高いことが示された。また,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬の中に、多くの食物アレルギーの症例が含まれている可能性が示唆された。犬の食物アレルギーの診断および治療には,除去食・暴露試験が必要とされることから,アレルゲン特異的なリンパ球増殖テストと血清IgEテストを同時に実施することは,非季節性の?痒性皮膚炎をともなう犬において,除去食および暴露試験における食物アレルゲンの選択に有用であると考えられる。
著者
島田 順一 加藤 大志朗 寺内 邦彦 伊藤 和弘
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タッチスクリーン画面を直感的に指でなぞるだけで、ロボットがその軌跡を追随するように手術器具を誘導するタッチスクリーン・コントロールシステムを開発した。安定して動作可能なシステム設計を行い、対象から5mmの距離を保って制御可能となった。実際の手術を想定した焼灼実験で操作精度を解析した。初学者と専門医の操作精度に差は認めなかった。専有回線で繋がった遠隔地からも操作可能なことを実証した。
著者
伊藤 求 鳩野 逸生 稲垣 成哲
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.113-116, 2004-03-05
被引用文献数
1

本研究では,学習者が簡単に取り扱える定点観測教材ビデオクリップ作成システムの自動化を実現した.Webカメラを観察対象に向け設置するだけで,時間軸を縮めたmpeglビデオクリップを作成し,かつ,それらをパソコンのWebブラウザで閲覧できるようにする.さらに,インターネット経由で公開することもできる.導入コストが低く,かつ安定性のあるOSを用いているので,季節変化などの長期間の観察に対しても利用できる.本システムを導入することにより,学習者自らが興味を持つ観察対象をビデオクリップとして観察することができる.その結果,彼らの意志で主体的に取り組んだビデオクリップ教材を作成および公開することができる.