著者
伊藤 裕久 栢木 まどか 杉山 経子
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、伝統都市の祭礼空間(巡行路・祭礼拠点の構成など)が、都市空間の形成・改変に対して、どのような変容過程をたどったかを文献史資料と現状の祭礼調査によって解明するものである。主な調査研究対象として取り上げた江戸・東京の神田祭、福岡の博多祇園山笠では、とくに近代・現代都市化過程において、伝統的な祭礼空間が、断絶的な都市空間の改変を修復しながら連続的に変化することで、地域社会の歴史性の継承や地域コミュニティの持続・形成に重要な役割を果たしたことが明らかとなった。
著者
伊藤 大志 坂口 文則 梅田 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.96, no.494, pp.13-18, 1997-01-24

確率過程の識別における検定の誤り確率はダイバージェンスと深い関係があり, 大偏差原理の関係が知られている. 本報告では, 自己修正点過程に忘却性を持たせたものを確率点過程のモデルとし, マルコフ連鎖近似の極限を用いて点過程のダイバージェンス・レートを導出する. 次に, 忘却のある自己修正点過程を判別するために仮説検定のシミュレーションを行い, 求めたダイバージェンス・レートと検定の誤り確率との関係が大偏差原理に沿うものであることを調べる. また, 忘却の度合を変化させることにより, 大偏差原理の関係式からのずれがどのようなふるまいをみせるかを調べる.
著者
伊藤 慎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.508-520, 1999-07-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
55
被引用文献数
1 1

堆積シーケンスの形成は相対的海水準変動と堆積物供給量に大きく支配されている.これら2つの要因の時空変化にともなって, 海進と海退や古水深の変化が発生する.したがって, 地層から識別される海進と海退や古水深の変化は必ずしも相対的海水準変動と一致するものではない.また, 堆積物供給量の空間的変化に対応して, 相対的海水準が一定の場合でも, 海進と海退が同時に発生することがある.このことは, 海進期堆積体と高海水準期堆積体の境界をなす最大海氾濫面が必ずしも同時間面を示すものでないことを意味している.さらに, 堆積速度の変化に注目して堆積物供給量の時空変化が比較される場合があるが, 堆積速度の大小関係と堆積物供給量の大小関係とは必ずしも同じ変動量ではない.このようなシーケンス層序学の基本的枠組みの相互関係を整理しておくことが, シーケンス層序学をさらに発展させ, 新しいモデルを構築していくために不可欠と考えられる.
著者
百田 義治 伊藤 健市 岩波 文孝 内田 一秀 佐藤 健司 関口 定一 中川 誠士 橋場 俊展 堀 龍二 宮崎 信二 森川 章
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国においても人事・労務管理の成果主義的な再編が顕著である。この変化は1980年以降アメリカにおける人事制度変革(人的資源管理への転換)の影響を受けたものである。本研究は現代アメリカの人事制度改革の意義を歴史的・実証的に検証している。すなわち、80年代以前のアメリカ大企業の人事制度と労使関係システムが人的資源管理に与えた影響を、20年代ウェルフェア・キャピタリズム(非組合型労使関係)、ニューディール期におけるその変容、それに制約された第2次大戦後の労使関係下の人事制度の課題を実証的に検証したものである。
著者
伊藤 博明 田中 純 加藤 哲弘 木村 三郎 上村 清雄 足達 薫
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヴァールブルクが晩年に取り組んだ、未完の学問的プロジェクトである『ムネモシュネ・アトラス』に所蔵された全パネルについて共同して詳しく読み解き、その成果は図書として刊行するとともに、2回のシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」と「ムネモシュネ・アトラス展」において公表した。ヴァールブルクの研究を批判的に受け継ぎ、文化系統学、イメージ人類学、神話の構造分析、世俗世界のイコノロジーなどについて方法論的考察を深め、その成果は7名の外国人研究者を含んだ国際シンポジウム「思考手段と文化形象としてのイメージ――アビ・ヴァールブルクから技術的イメージ・図像行為まで――」において発表した。
著者
伊藤 清美 工藤 敏之
出版者
武蔵野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

複数の酵素で代謝される薬物では、併用薬による酵素阻害の影響を定量的に評価するために、代謝における各酵素の寄与率を正確に見積もることが重要である。レパグリニドの代謝におけるCYP2C8およびCYP3A4の寄与率について推定した結果から、in vitro代謝試験において緩衝液条件に留意することの重要性が確認された。また、クラリスロマイシンとグリベンクラミドの相互作用について生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析を実施し、肝取り込み阻害と肝代謝阻害の両者の関与を明らかにした。本研究と同様なPBPK解析の実施により、効率的な医薬品開発および複数薬物の併用による安全な薬物治療に資することが期待される。
著者
伊藤通子著 澤井雅子英訳
出版者
三修社
巻号頁・発行日
2006
著者
伊藤道哉著
出版者
丸善出版
巻号頁・発行日
2013
著者
水島 治郎 土倉 莞爾 野田 昌吾 中山 洋平 伊藤 武 津田 由美子 田口 晃
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

第二次世界大戦後、西欧諸国の多くで政権を掌握していたキリスト教民主主義政党は、1990年代に入ると各国で凋落し、政権を離れるに至ったが、国によってはその後、党改革を進め、一定の「革新」を可能とした例もある。本研究ではこのキリスト教民主主義政党の危機と革新という現代的展開の動態を明らかにすることで、西欧保守政治における構造的変容の実態の解明を試みた。成果は学会セッション企画、著書、論文などで幅広く公表された。
著者
酒井 朗 上山 敏 永田 晴子 長谷川 秀一 米山 泰夫 伊藤 茂樹 保坂 亨
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.246-257, 2013 (Released:2013-09-19)
参考文献数
3

本学教職総合支援センターでは,本学ならびに首都圏にある他の3つの大学で教職課程を履修する学生を対象に,教職に対する意識と学習への取り組みに関する質問紙調査を2012年秋に実施した.具体的な調査項目は,教職への動機付けの高さ,学習に対する取り組み,教員に期待される資質や能力の修得の度合いの3点についてである.回答した7割の学生は教職に就くことを志望しており,3割は高校生の頃に教職を志望するようになったと回答した.また,大半の学生は専門科目の授業も教職科目の授業も熱心に取り組んでいるが,自ら情報を得たり教育関連の本を読むことは少ない.さらに,学生たちは,同僚教員からの意見やアドバイスに耳を傾ける姿勢や担当教科の内容の修得度などについて,自身の力量を高く評価していることが分かった.
著者
伊藤 豊彰 田島 亮介
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

有機栽培体系において、未利用廃棄物であるポリシリカ鉄浄水発生土と他のケイ酸資材は、水稲の収量、外観品質を向上させ、斑点米被害を低下させ、ケイ酸施用は根の量と活性を増加させた。さらに、ポリシリカ鉄浄水発生土は酸化鉄供給によって、水田からのメタン放出量を低下させる可能性を示めした。これらの結果より、PSI浄水発生土およびケイ酸資材の施用が環境保全型水稲生産体系の重要な要素技術になりうると結論した。
著者
行武 潔 HAVNES R. 吉本 敦 寺岡 行雄 加藤 隆 尾崎 統 HAYNES Richard TORRES Juan 伊藤 哲 EVISON David 庄司 功 斯波 恒正 CERDA Arcadi PAREDES Gonz BROOKS David HAYNES Richa 古井戸 宏通
出版者
宮崎大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本年度は、これまでの研究成果を踏まえて37カ国からなる国際研究集会を開催した。1) まず、国産材は低廉・均質な外材に押されて市場競争力を失ってきていること、また、日本の造林費が他国の5〜10倍にも達していること、その結果、利用可能な林齢に達してきた人工林の伐採が遅れ手入れ不足となってきていること、国産材の生産増加が期待できず持続可能な経営が非常に困難となってきていることが指摘される。2) 近年の環太平洋地域の木材貿易をめぐる変化に、(1)世界的に環境保護の動きが強まる中で天然林材あるいは2次林材を主な原料基盤としてきた国々が、環境規制の強化による伐採量の大幅な減少や原料コストの上昇により丸太や製品輸出に占める比率を大きく後退させ始めたこと、(2)対照的に、チリやニュージーランド、南アフリカなど外来樹種の導入による短伐期の人工林資源の造成を進めてきた国々からの加工製品の輸出が、原料供給力の拡大と加工部門への積極的投資を背景として急速に増加し始めていることがあげられる。3) 国内8地域の製材市場と海外の輸出入モデルによる空間均衡モデルを構築してシミュレーション分析を行った。まず、輸送費用削減効果をみたが、国産材の供給増加はみられない。これは、国内各地域の国産材供給関数が全て価格に対して極めて非弾力的であるため、輸送コストを下げてもその効果が現れないことによる。次に、米材丸太輸入減少効果をみると、国産材製材の供給増加よりも製材輸入の増加をもたらす。これは環境保護等の影響で米材丸太輸入規制があっても、国産材供給の増加は期待できないことを物語っている。4) 森林セクターモデルの課題として、まず林業政策の性質を熟知して政策決定に関わる因子を結合し、モデルを修正・拡張することがモデル構築に必要不可欠であること、今後マルチ市場レベルでの空間均衡モデルの開発などが中心になってくることが示唆される。
著者
日高 勇一 小玉 彬人 田村 亮太 伊藤 誠文 小池 貢史 平井 卓哉 佐藤 裕之 萩尾 光美
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.6-11, 2014-07-05 (Released:2014-07-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

5歳、雌のミニチュア・ダックスフントが腹囲膨満および呼吸困難を主訴に来院した。身体検査、エックス線検査および超音波検査により腹腔内腫瘤と胸水の貯留が認められた。腫瘤と胸水の細胞診により、腫瘤は胸腔内転移を伴う卵巣由来の悪性腫瘍であることが示唆された。手術により腹腔内腫瘤は摘出され、病理組織学的に卵巣の乳頭状腺癌と診断された。術後、肺転移に伴う胸水の制御を目的にパクリタキセルと白金製剤併用の化学療法が合計9回行われ、手術から623日目に死亡した。剖検により肺は腫瘍組織に侵されていたことが確認された。パクリタキセルと白金製剤併用の化学療法は、犬の転移性卵巣癌症例に対する化学療法の選択肢の一つになりうるかもしれない。