5 0 0 0 OA 温泉と万葉集

著者
佐々木 政一
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.108-117, 2015-02-27 (Released:2015-03-25)
参考文献数
17

我が国に現存する最古の歌集で、古代の人々の暮らしぶりを今に伝える『万葉集』には、温泉地で詠んだ、あるいはそれと関係する歌が少なからず見られる。  日本三古湯といわれる「道後温泉」、「白浜温泉」、「有馬温泉」も含まれ、その他に「伊香保温泉」、「湯河原温泉」、「二日市温泉(福岡県)」の計6ケ所の温泉地である。  本稿ではこれら6ケ所の温泉地で詠まれた、あるいはその地と関連の深い万葉歌について歌碑とともに紹介する。
著者
早瀬 良 大久保 暢子 佐々木 杏子 角濱 春美 沼田 祐子 三上 れつ 菱沼 典子
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.79-88, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
19

本研究の目的は我が国の急性期病院において根拠ある看護技術の普及に関わる組織的要因とその具体的内容を明らかにすることであった. 根拠ある看護技術が普及している施設に勤務している8施設28名の看護師を対象とし, 半構成的面接調査を実施した. 結果, 根拠ある看護技術の普及に関わる組織的要因について, 237コードの意味内容から27サブカテゴリーに分類し, 5カテゴリー (【組織風土】【看護管理者の推進行動】【部署メンバーの態度・特性】【組織内の協力】【経済的な影響】) を抽出した. 根拠ある看護技術を普及させるために特有な組織的要因として, 個々人の特性である【看護管理者の推進行動】と【部署メンバーの態度・特性】が示され, 特に看護師長のリーダーとしての特性の重要性が見い出された. また, 組織構造の内部特性として【組織風土】【組織内の協力】, 組織の外部特性として【経済的な影響】が示され, 多職種連携の土壌の重要性ならびに診療報酬が普及を促進するきっかけとなることが見い出された.
著者
頭川 武央 佐々木 良樹 湯浅 彰太 神子 直之
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.327-333, 2019-11-20 (Released:2019-11-29)
参考文献数
26

我々は,紫外線照射によるアレルゲンタンパク質の不活化効果を高めるため,紫外線の波長がアレルゲ ンの不活化効果に与える影響を調べた.実験は,複数の紫外線光源とバンドバスフィルターを組み合わせた8種類の紫外線を用いた.その効果の大きさは,精製スギ花粉抗原Cry j 1溶液に各紫外線を照射し,抗原抗体反応が起きるアレルゲンの濃度の変化によって評価した.この結果,波長が240nm から220nm の間では,波長が短い紫外線ほど不活化の効果が大きくなることが分かった.この要因は,波長に対する効果の変化が一般的なたんぱく質の吸光係数と類似していることから,アレルゲンタンパク質の紫外線の吸収量が波長になるほど増加するためだと考えられる.
著者
佐々木 憲介
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.15-27, 2010-12-09

1870年代から20世紀初頭にかけて, イギリスにおいても歴史学派と称される一群の経済学者が現われ経済学上の有力な潮流となった。歴史学派は古典派の理論的・演繹的方法に対して歴史的方法を対置し, 古典派の方法論をさまざまな角度から批判した。しかし, 古典派を代表する経済学者の一人であったJ.S.ミルは, その『論理学体系』においてすでに歴史的方法について語っており, それ以外にも歴史学派のものとされる主張を展開していた。はたして, ミルの経済学方法論はイギリス歴史学派とどのような関係にあったのか。クリフ・レズリーは, ミルとリカードウとの違いを強調したが, 歴史学派の多くはむしろ両者の共通性に注目した。ミルは, 経済学の原理に関してはリカードウ派の立場を堅持しており, 新しく示された観点は観点の提示に留まっていて歴史研究の先駆的な業績があったわけではなかった。そのような意味で, 歴史学派にとってのミルは旧学派の一員であった。しかし, 実践的な意味では, ミルの学説は社会改良主義への突破口の一つになった。何人かの歴史学派がミルを評価したのはむしろこの点であった。
著者
大西 康貴 河村 哲治 田中 博子 竹野内 政紀 平田 展也 平岡 亮太 平野 克也 小南 亮太 久米 佐知枝 高橋 清香 水野 翔馬 東野 幸子 塚本 宏壮 佐々木 信 中原 保治
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1_2, pp.65-71, 2019-10-01 (Released:2019-12-28)
参考文献数
20

保守不良の加湿器の使用は過敏性肺炎の一因と考えられている.当院で職員用に使用している31台の家庭用加湿器を対象に,貯留水と吹出気に含まれる微生物についての検討を行った.貯留水,吹出気ともに28台(90%)と高率に微生物を検出し,そのうち14台(45%)で吹出気中と貯留水中の微生物が一致した.また,貯留水より非結核性抗酸菌(nontuberculousmycobacterium: NTM)を19台(61% )で検出した.加湿トレーの洗浄頻度が高い群(毎日~1週間毎)は,低い群(2週間毎~季節毎)と比較し,エンドトキシンが有意に低値であった(P=0.048).唯一,加熱式加湿器は微生物の検出がなくエンドトキシンも低値であった.加湿器による過敏性肺炎の原因として,一般細菌,NTMやエンドトキシンなど様々な要因が関与している可能性がある.
著者
佐々木 昭彦 藤井 明 宮島 正博
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.17-20, 2008-01-15 (Released:2009-09-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

症例は24歳,男性.既往歴は10年前よりSLE,ループス腎炎,ネフローゼ症候群の診断でプレドニンを長期服用していた.平成17年12月6日,突然の胸痛を訴え,造影CTでは弓部に最大径63mmの弓部大動脈瘤と前縦隔に血腫を認め,弓部大動脈瘤破裂(oozing type)と診断した.下行大動脈も5cmに拡大していた.降圧療法後,12月8日に脳分離併用上行弓部全置換術を施行した.術後11日目より縦隔ドレーン液が混濁し,13日目正中創および胸骨が離開した.その間37度台の微熱が継続し,WBC 14,200/μl,CRP14.6mg/dlに上昇したが,2回の縦隔ドレーンの細菌培養は陰性であった.1週間創開放洗浄し WBC 7,900/μl,CRP1.8mg/dlに低下し,12月29日大網充填創閉鎖を施行した.その後は順調に経過し,1月25日退院した.平成18年6月9日朝,突然左胸痛を訴え入院,下行大動脈が60mmに拡大,降圧療法により症状が落ち着いたため予定手術としたが,3日目激しい背部痛を訴えショック状態となり破裂死した.破裂を危惧して緊急手術もしくはステントグラフト治療を考慮すべきであった.
著者
佐々木 大介 宇佐見 俊行
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.71, pp.47-52, 2020-12-15 (Released:2021-12-15)
参考文献数
14

2018年6月に静岡県で栽培されていたレタス(Lactuca sativa)に,生育遅延や萎凋といった生育不良症状が発生した.根の褐変部位から分離した糸状菌の同定と接種試験により,本症状はBerkeleyomyces rouxiaeによるレタス黒根病であることが明らかとなった.静岡県における本病の発生は本報告が初となる.
著者
佐々木 能章
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.35, pp.119-129, 1985-05-01 (Released:2009-07-23)
著者
谷 奈穂 伊勢 幸恵 佐々木 智穂 國本 千裕
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.120, pp.2131, 2022-03-31 (Released:2022-03-18)

COVID-19の感染拡大にともなう入構制限により,大学での学びはオンラインが中心となり,学生の学習状況は変化した。本稿では,オンライン学習環境における適切な学習支援を探る目的で,学生の学習実態・直面する困難・支援ニーズについて,千葉大学の学生を対象とした日記法とインタビューによる質的調査を実施した。調査結果は,(1)メディア授業の特性,(2)学習時のコミュニケーション,(3)学習環境および学習リソースの3観点で分析し,今後必要な学習支援について考察した。そのうえで,千葉大学における学習支援の検証を実施し,今後の展望について述べた。
著者
坂口 英児 安田 康晴 山本 弘二 吉川 孝次 佐々木 広一 友安 陽子 竹井 豊
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.712-716, 2021-10-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
15

背景:救急活動においてストレッチャー操作は不可欠であり,とくにストレッチャーの持ち上げ操作における身体負荷は男性より女性のほうが大きいと考えられる。目的:ストレッチャー操作での男女の身体負荷を明らかにし,その対策を検討する。対象と方法:救急救命士養成課程の学生男性24名,女性5名を対象に,ダミーを乗せたストレッチャーの持ち上げ操作前後の自覚的運動強度と客観的運動強度の身体負荷をそれぞれ比較した。結果:自覚的運動強度での身体負荷は65kgの頭側と75kgの頭側,尾側で男性より女性のほうが有意に大きかった(p<0.05)。65kgの尾側では身体負荷に有意差はないものの,男性より女性のほうが身体負荷を感じていた。客観的運動強度での身体負荷は65kg,75kgともに頭側,尾側で男性より女性のほうが有意に大きかった(p<0.05)。考察:腰痛予防対策指針には重量物取扱い作業時の自動化・省力化が示されている。女性救急隊員の身体負荷の軽減や活躍できる環境を整えるために,女性がストレッチャー操作する際には頭側を避け,尾側の左右に1名ずつ配置し持ち上げ操作を行うなどの対策や,電動ストレッチャーを導入するなどの対策が必要である。
著者
髙田 琢弘 吉川 徹 佐々木 毅 山内 貴史 高橋 正也 梅崎 重夫
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
pp.JOSH-2020-0022-GE, (Released:2021-02-11)
参考文献数
26

本研究は,過労死等の多発が指摘されている業種・職種のうち,教育・学習支援業(教職員)に着目し,それらの過労死等の実態と背景要因を検討することを目的とした.具体的には,労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターが構築した電子データベース(脳・心臓疾患事案1,564件,精神障害・自殺事案2,000件,平成22年1月~平成27年3月の5年間)を用い,教育・学習支援業の事案(脳・心臓疾患事案25件,精神障害・自殺事案57件)を抽出し,性別,発症時年齢,生死,職種,疾患名,労災認定理由および労働時間以外の負荷要因,認定事由としての出来事,時間外労働時間数等の情報に関する集計を行った.結果から,教育・学習支援業の事案の特徴として,脳・心臓疾患事案では全業種と比較して長時間労働の割合が大きい一方,精神障害・自殺事案では上司とのトラブルなどの対人関係の出来事の割合が大きかったことが示された.また,教員の中で多かった職種は,脳・心臓疾患事案,精神障害・自殺事案ともに大学教員と高等学校教員であった.さらに,職種特有の負荷業務として大学教員では委員会・会議や出張が多く,高等学校教員では部活動顧問や担任が多いなど,学校種ごとに異なった負荷業務があることが示された.ここから,教育・学習支援業の過労死等を予防するためには,長時間労働対策のみだけでなく,それぞれの職種特有の負担を軽減するような支援が必要であると考えられる.
著者
大野 宏之 佐々木 華織 大原 源二 中園 江
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
生物と気象 (ISSN:13465368)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.71-79, 2016 (Released:2016-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
12 130

We developed a method for determining nationwide 1 km-grid square values of daily mean, maximum and minimum air temperature, and daily precipitation in Japan. The data were obtained using the JMA's nationwide observations, numerical forecasts, and climatic normal values. RMSE values for these elements in the past were 0.66 °C, 0.98 °C, 1.10 °C, and 5.9 mm/day, while those for one-day future were 1.18 °C, 1.65 °C, 2.00 °C, and 11.0 mm/day, respectively. The improvement in accuracy by introducing the forecasts was recognized even for values six-day future, though errors tended to increase with forecast range. The data are intended for use in the management of currently growing crops with a combination of crop models.
著者
佐々木 啓子 松岡 耕二 ササキ ケイコ マツオカ コオジ Keiko SASAKI Koozi MATUOKA
雑誌
千葉科学大学紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-67, 2012-02-28

イチョウ葉エキス(EGb761)は、1950年代から薬理研究が始められ、現在では、アルツハイマー病や認知症の治療に利用されている。フラボノイド24%、テルペノイド6%を含有する標準化されたエキスは、めまいや耳鳴り、記憶力減退、不安などの精神神経症状の改善に効果が報告されている。EGb761のこれらの作用には、活性成分と考えられているフラボノイドやテルペノイドの抗酸化作用や神経保護作用が、関係すると考えられている。ここでは、薬理学的根拠とされるフラボノイドやテルペノイドの中枢神経系における生理活性と、近年報告されているEGb761の臨床効果に対する評価について述べる。
著者
佐々木 宏展 大西 亘 大澤 剛士
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.243-248, 2016 (Released:2017-07-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1

近年の保全生態学において、研究者が非専門家である一般市民と共同で調査等を行う「市民科学」(Citizen Science)は、有効な研究アプローチとして受け入れられつつある。しかし、市民科学は本来、市民が主体の活動であり、成果を研究者らが論文としてまとめることを目的とした活動は、市民科学が持つ意味のごく一部にすぎない。市民科学という言葉が定着しつつある今日、これを短期的な流行で終わらせないために、市民科学における研究者、市民それぞれの役割やあるべき姿について再考することは有意義である。筆者らは、中学校教諭、博物館学芸員、国立研究開発法人研究員という異なった立場から市民科学について議論し、研究論文につながる、つながらないに関係なく、全ての市民科学には意義があり、成功、失敗は存在しないという結論に達した。本稿では、上記の結論に達するまでの議論内容を通し、筆者らの意見を述べたい。
著者
大浪 洋二 佐々木 誠 菊池 元宏
出版者
日本家畜臨床学会
雑誌
東北家畜臨床研究会誌 (ISSN:09167579)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-6, 1997-07-15 (Released:2009-04-22)
参考文献数
23

Prostaglandin F2α-analogue(PGF2-A)の0.8~2.4mgを妊娠2~8か月の29例の牛に処置した結果、妊娠4か月までの16例全例が流産したが、妊娠5か月では6例中5例が流産し、妊娠6~8か月では流産しなかった。一方、Dexamethasone(Dx)、30mgを妊娠3~9か月の8例の牛に処置した場合は、妊娠4か月までの2例は流産しなかったが、妊娠5か月では3例のうち2例が流産した。しかし、妊娠6か月の1例は流産せず、妊娠8~9か月では2例とも流産、または早産した。胎盤停滞の発生は妊娠4か月までは認められなかったが、妊娠5か月以降では全例胎盤が停滞した。その発生状況には、PGF2α-AおよびDx処置牛のあいだに差はなかった。両薬処置後の血中Progesterone値(P値)の消長は、PGF2α-A処置流産牛では、処置日の平均は5.7ng/mlであったが、流産前後にはいずれも0.9ng/ml以下に下降した。また、非流産牛のPGF20-A処置日のP値は平均6.1ng/mlで、処置後の経過日数とともに急減したが、0.9ng/ml以下に下降したものはなかった。一方、Dx処置牛では、流産牛の処置日のP値は平均6.8ng/m1で、処置後3日以降は1.Ong/ml以下となった。非流産牛のDx処置日のP値は9.2ng/mlで、その後一時的に低下するものの、いずれも1.7ng/m1以下にはならなかった。以上の結果から、牛の妊娠4か月までの流産誘起にはPGF2α-Aが極めて有効であるが、妊娠6か月以降ではDxが有効であった。