著者
加藤 友香 浅野 和之 並木 誠 久楽 賢治 佐々木 由枝 手島 健次 枝村 一弥 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.54-57, 2005-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

特発性乳糜胸と診断された猫に対し, 高用量ルチン療法 (500mg, 1日3回, 経口投与) による治療を行った. 治療開始後, 胸水量は徐々に減少した. さらに29日後にルチンの1日投与量を1, 500mgから2,000mgに増量したところ, 治療開始後150日目には胸水貯留がほとんど認められなくなり, 最終的に治療開始後450日目にルチン投与を中止することができた. 現在, 治療開始後約2年を経過したが, 胸水の貯留や臨床症状は認められていない. 以上の結果から, 猫の特発性乳糜胸に対して高用量ルチン療法が右効である可能性が示唆された.
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.41-53, 2021-09-20 (Released:2021-10-15)
参考文献数
39

本稿では経営学の研究手法としての実験を取り上げる.因果関係の検証に優れた強みを持つ実験は,他の研究手法と補完的に組み合わせたり,新たな情報通信技術を取り入れたりすることで,今なお経営学のツールキットにおける重要な一角を占めている.しかし他方で,再現可能性問題の表面化により,そのあり方について根本的な再考が求められてもいる.本稿はこれらの現状を概観したうえで,経営学における実験研究の展望を論じる.
著者
斎藤 義朗 福村 忍 齋藤 貴志 小牧 宏文 中川 栄二 須貝 研司 佐々木 征行
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.477-481, 2012 (Released:2014-12-25)
参考文献数
15

ノイロトロピン® (Neurotropin, ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液) は頸肩腕症候群や帯状疱疹後疼痛に有効であり, 成人の一次性頭痛に対する効果も報告されている. 今回, 他の各種薬剤に効果が乏しかった慢性頭痛の小児2例で本剤が有効であった. いずれも中学生女子, 片頭痛を発症して2~3年後に増悪をきたし, 不登校にいたった経過で, 起立性調節障害の併存, 間欠的な四肢・背部の疼痛, MRI上の大脳白質散在性病変も共通していた. Neurotropinには他の鎮痛薬にはない下降性疼痛抑制系の増強効果があり, 小児の難治な慢性頭痛にも有効と示唆された.
著者
佐々木 嘉光 内野 恵里 山口 ゆき 美津島 隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.B4P2146, 2010

【目的】重症熱中症は、意識障害を含む中枢神経障害をはじめとした多臓器不全(MOF)を呈する疾患であり、48時間以上の遷延性意識障害例で小脳症状の後遺症を来すとされている。今回、熱中症発症後に48時間を越える遷延性意識障害とMOF等を呈し、小脳症状等の後遺症を来した症例を経験した。発症から自宅退院までの経過をまとめ、機能予後について検討したので報告する。<BR>【症例】40歳代前半、男性。持ち家一人暮らし。業務中に行方不明となり、2日後に車内で倒れているのを発見されA病院へ救急搬送。意識レベルはJCS 300、血圧76/37mmHg、直腸温41.7&deg;Cであった。重症熱中症によるMOF、横紋筋融解症と診断され、腎不全に対し人工透析(HD)を週3回実施。脳波検査、頭部MRIで異常所見はなかった。遷延性意識障害が続き、発症2ヶ月後よりリハビリを開始。訓練開始1週間後、HDとリハビリ目的で当院転院し、同日より訓練(PT・OT・ST)開始となった。HDは転院2週間後に腎機能改善し離脱した。入院時検査所見では、BMI 20.9Kg/m<SUP>2</SUP>、心電図で洞性頻脈を認め、頭部CTは正常であった。安静時血圧は120/90mmHg、心拍数は105拍/分。精神機能は興奮、幻視、せん妄、見当識障害、記銘力障害がみられた。言語はジャーゴン様発話で強い不明瞭発語の構音障害を認め、失語症の評価はせん妄のため困難であった。また嚥下障害を認め中心静脈栄養管理であった。MMTは上肢1~3、下肢4<SUP>-</SUP>~4。深部筋腱反射は右アキレス腱・左上腕三頭筋腱で亢進、左膝蓋腱で正常、他減弱。病的反射は陰性。感覚は精査困難で筋緊張は低下。基本動作は全介助で寝たきりレベル。ADLはFIM 18点、協調運動は体幹失調試験ステージ4、国際協調運動評価尺度(ICARS)92点で姿勢および歩行障害・運動機能障害・構音障害・眼球運動異常を認めた。<BR>【説明と同意】本人に対して症例報告の目的、方法、参加・協力の拒否権、個人情報の保護、利益、公表方法について書面および口頭で説明を行い、同意と署名を得た。<BR>【訓練・経過】発症後約2.5ヶ月からリハビリ開始。理学療法(2~3単位)は、筋力維持・増強訓練、基本動作訓練、起立・歩行訓練を実施。運動負荷は%HRの65~75%程度、Borg scale 11~13とした。作業療法(1~2単位)は、高次脳機能訓練、両上肢巧緻動作訓練、ADL訓練を実施。言語療法(1~2単位)は、摂食・嚥下訓練と構音障害・失語症の評価と訓練を行った。訓練開始当初は起立性低血圧を認めたが、発症後約3ヶ月で車椅子駆動訓練、4輪型歩行車(CW)の介助歩行訓練を開始。寝返りは自立し、食事はきざみ食となった。標準失語症検査(SLTA)では、単語レベルでの理解と表出は可能であった。ICARSは79点で、座位・立位時の著明な体幹動揺と失調性歩行を認めた。発症後約4ヶ月で精神機能が著名に改善し、起立・着座訓練、リカンベント式エルゴメーター、踏み台昇降訓練、CW歩行訓練(40m)、バランス訓練実施。FIMは77点、食事は常食、SLTAは正常域で失語症は否定された。ICARSは72点で構音障害は不明瞭発語であるがほとんどの語は理解可能となった。発症5ヶ月後FIMは113点、ICARS 58点で、6ヶ月後FIMは122点、ICARS 35点となった。発症から9.5ヶ月後に頭部MRIを実施した結果、小脳に軽度の萎縮を認めた。10.5ヶ月後に独居の準備も整い、主治医と相談のうえ自宅退院となった。退院時はMMTが上肢4<SUP>+</SUP>~5、下肢5<SUP>-</SUP>~5、基本動作自立、手押し歩行車歩行は10m最大歩行速度7秒87、6分間歩行300m、独歩は見守りで10m程度可能、FIM 122点となった。体幹失調試験はステージ2、ロンベルグ徴候陰性、ICARS 27点で、最終的に小脳症状の後遺症(姿勢および歩行障害・構音障害・運動機能障害・眼球運動異常)が残存した。<BR>【考察】本症例は、発症後約2.5ヶ月間は全身状態が安定せず臥床状態が続き、予後は転院時でも予測できなかったが、約8ヶ月間のリハビリの実施により精神・運動機能、歩行能力と失調症状、構音障害とADLが改善した。発症4ヶ月頃より精神機能の改善と合わせてICARSとFIMは加速的に向上し、全般的な小脳症状が残存したが自宅退院に至り、機能予後は比較的良好であった。発症時の高体温による重度のMOFと48時間を超える遷延性意識障害を来す重症例では、意識レベルや精神機能が改善するまでの廃用予防と、精神機能改善後の集中的なリハビリが必要と考えられた。<BR>【理学療法学研究としての意義】理学療法においては、これまで小脳症状とADLの程度を示した報告が少なく、稀な疾患であり、症例報告の蓄積によって今後の理学療法学の発展に寄与すると考える。
著者
佐々木あすか 中山伸一 真栄城哲也
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.843-844, 2013-03-06

VOCALOIDと呼ばれる音声合成技術を用いて歌声を生成した楽曲が支持を得ているが,その中でも人気のある楽曲の特徴を解析した.研究対象はニコニコ動画の週刊ランキング「週刊VOCALOIDランキング」をもとに作成した2007年から2011年までの年間ランキングから選出した上位5, 6曲,下位4, 5曲である.それらの楽曲のメロディについて,発音単位毎の音価と,発音単位の継続時間,隣接する音符の音程の差,音域,テンポについて分析した. その結果,ランキングが上位の曲は,テンポ,早口の度合い,リズムのばらつきに特徴があることが判った.
著者
佐々木 浩雄
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、15年戦争下に数多く創出され、国家的に奨励された集団体操に着目し、国民の体力向上や身体の規律化が、なぜ体操で、どのように行われようとしたかについて検討することを目的とした。研究を通じて、この時期に創案・実施された種々の体操を網羅的に示し、工場、農村、各種団体における体操普及の実相を、体操を普及・指導した人々の言説編成や文部省、厚生省および関係諸団体を中心とした戦時体制への動きとともに論じた。
著者
佐々木 香織
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
新潟国際情報大学情報文化学部紀要 (ISSN:1343490X)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.15-24, 2012-04
被引用文献数
1

本研究は、今後の方言調査のための基礎的データを提供するために、県内で使われている2 チームに分けるためのジャンケンの掛け声を取り上げ、その地理的分布を記述する。全国的に散見できる掌と手甲を使ったウラオモテ系の掛け声の県内の分布状況についても探る。調査データから作成した分布図から、県内の広い範囲で、グートッパー系の掛け声が分布していたところに、新方言として新潟市東部ではグーロ系が、西部ではグーパー( ハー) 系が、そして新潟市をとりまく周辺地域ではグーとチョキを使うグットッチ( ョ) 系などが進出してきたと考えられる。各語形の伝播の経路や時期を明らかにするには、新潟市周辺地域( 出雲崎、燕市、三条市、加茂市、五泉市など) の年代別データが特に重要であることがわかった。また、ウラオモテ系については旧吉田町、上越市で使用例があったが少数だったため、詳細な分布状況や伝播経路などについては今後の課題である。
著者
宮崎 萌未 佐々木 晶子 金行 悦子 小倉 亜紗美 木下 晃彦 中坪 孝之
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.213-220, 2015-11-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
21

ホンゴウソウSciaphila nana Blume(Sciaphila japonica Makino, Andruris japonica (Makino) Giesen)は、葉緑素をもたない菌従属栄養植物で、環境省のレッドリストでは絶滅危惧II類(VU)に指定されている。しかし、生態については未解明な部分が多く、また保全に関する研究もこれまでない。2009年に広島県呉市の一般廃棄物処分場建設予定地でホンゴウソウの群生が確認され、早急に保全対策を講じる必要が生じた。そこで本研究では、ホンゴウソウの生育環境を調査し、その結果をもとに移植を試みた。自生地はコナラ、ソヨゴ、リョウブ等が優占する二次林であった。ホンゴウソウの群生を横切るトランセクトに沿ってコドラート(1×1m, n=20)を設置し、環境条件とホンゴウソウ地上茎発生数との関係を調べた。重回帰分析の結果、光環境(平均空隙率)と有機物層の厚さが、自生地におけるホンゴウソウの地上茎発生数に影響を及ぼす説明変数として選択された。そこでこの結果をもとに、ホンゴウソウ個体群を有機物層ごと移植することを試みた。2012年6月および9月に、群生地点の有機物層を林床植物ごと40×40cmのブロック状に切り出し、処分場建設予定地外で植生などの類似した場所に移植した(n=15)。その結果、約一年後の2013年9月には、8ブロックで合計26本の地上茎の発生が確認され、二年後の2014年9月には8ブロックで合計66本の地上茎が確認された。以上のことから、自生地の有機物層ごと移動させる方法により、ホンゴウソウを移植できる可能性が示された。
著者
佐々木 信博 上野 幸司 白石 武 久野 宗寛 中澤 英子 石井 恵理子 安藤 康宏 草野 英二
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.581-588, 2007-07-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
17
被引用文献数
3 5 2

生体電気インピーダンス法 (BIA法) は, 生体に微弱な電流を流して, 身体の体水分量 (TBW), 細胞外水分量 (ECW), 細胞内水分量 (ICW), 体脂肪量 (BFM) などを測定することが可能であり, 透析患者のドライウェイト (DW) の指標になり得ると考えられる. 高精度体成分分析装置であるInBody S20は, 多周波数分析, 8点接触型電極, 部位別測定, 仰臥位測定といった特徴を有し, 高い精度と再現性が立証されており, 近年, その臨床報告が相次いでいる.今回われわれは, 本装置を用い各種体液量を測定し, DWの指標となり得るか検討した. 対象は当院で維持透析を施行している41名で, 透析前後でInBody S20による各体液量と一般血液検査, hANPを測定し, 透析後に胸部X線による心胸比 (CTR) と超音波断層法による下大静脈径 (IVC) を測定した. その結果, 1) hANPは, CTR, IVCe (安静呼気時最大径) とそれぞれ有意相関 (p<0.01, p<0.05) を認めた. 2) 各種体水分量 (TBW, ECW, ICW) は, 透析後に有意に低下し, IVCeと有意相関 (p<0.001) を認めた. 3) 体水分量変化率 (%TBW) は, 循環血液量変化率 (%BV) や循環血漿量変化率 (%CPV) と有意相関 (p<0.001) を認めた. 4) 浮腫値 (ECW/TBW) は, 透析後に有意に低下し (p<0.001), hANPと有意相関を認めた (p<0.001). 5) InBodyで測定した透析後DW (BIA-DW ; 浮腫値0.38のBW) と臨床でのDW (cDW) は, 強い正相関を示した (r=0.99, p<0.001).InBody S20は, 簡便性, 非侵襲性, 即時性に優れ, 血液透析患者の体液量・体組成の定量的評価が可能で, 浮腫値や透析後BIA-DWは, 実際のDWの指標として有用と考えられた.
著者
大久 長範 鈴木 直樹 斎藤 毅 畑中 和成 佐々木 準哉 西川 正純
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.287-291, 2013 (Released:2013-10-18)
参考文献数
19

高電圧マイナスイオン発生器を油フライヤーに使用したときの油の酸化劣化を評価した。500nmにおける吸光度,トランス脂肪酸の生成は高電圧マイナスイオン発生器を作動させると進行が抑制された。食パンの揚げ試験において,対照に比べ高電圧マイナスイオン発生器の使用では有意に水分含量の低下が認められた。高電圧マイナスイオン発生器の使用により14種の油臭成分が半減することが示された。高電圧マイナスイオン発生器を作動させると槽内の温度が速やかに低下する傾向があり,槽内の油の流動が高まっていると考えられた。
著者
望月 俊男 佐々木 博史 脇本 健弘 平山 涼也 久保田 善彦 鈴木 栄幸
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.319-331, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)

ロールプレイはさまざまな分野の学習において,学習者の視点の拡大や転換を促進する強力な学習方法として知られている.本稿では,とくに複雑で非構造的な(ill-structured)問題状況下におけるコミュニケーションや意思決定についてロールプレイする上で,対面協調学習の中で人形劇を使うことで,これまでにない多様な視点からの洞察を促す可能性について議論する.複数の人形を操作して人形劇をすることで,演者である参加者と,直接演じている人形との間の心理的距離を作り出すとともに,多様な役割で演技をしやすくすることができる.本稿ではこれを理論的に示した後,人形劇のロールプレイによって演者がより現実的な状況を再現するように様々な役割を演じることを事例研究から示した.そして,そうした人形劇をロールプレイの媒介として利用する上で,学習支援テクノロジの可能性について議論した.
著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.