著者
佐々木 輝美 武藤 栄一
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
放送教育研究 (ISSN:03863204)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-70, 1987-05-31 (Released:2017-07-18)

While the problem of "ijime (bullying)" has become serious among pupils, few scholars have paid attention to this problem until recently. Among the studies done by scholars, most of them are fact-finding surveys and are not enough to explain why pupils bully others. Pupils' ijime behavior is sometimes very violent and such behavior is often portrayed on TV programs. Thus, it is possible to consider the issue from the view point of TV violence. Many researchers have undertaken studies of TV violence in western countries. Several theories on the mechanics of how television violence affects the viewer have been raised. One such theory, supported by past research, deals with the effects of modeling as well as of desensitization. The objective of this study is to examine the effects of "ijime" TV programs on children within the framework of observational learning theory and desensitization theory. The following three hypotheses will form the basis for this study. 1) Pupils exposed to "ijime" TV programs tend to bully others. 2) Pupils learn ways of bullying more through TV than any other medium. 3) Pupils exposed to "ijime" TV programs are more desensitized to bullying behavior by others. A survey was conducted in order to test the above hypotheses. The subjects were 977 (male 497, female 480) junior high-school students. The questionnaire included the following headings: 1) sex 2) programs frequently watched 3) experiences of bullying behavior 4) media through which students learn this bullying behavior 5) degree of desensitization to real bullying (students were asked how they would react if they happened to see real bullying by others) The first hypothesis was proved as a result of a chi square analysis of the obtained data; while the others were not. By discussing these results, the following were suggested. 1) In measuring desensitization, our questionnaire did not seem to be sensitive enough, and this reminds us of the basic problem of difficulty in measuring attitude. 2) In the process of learning bullying behavior, personal media as well as mass media seem to function as sources of acquiring bullying methods. This suggests that it would be necessary to clarify the interaction of these two types of media. 3) Pupils exposed to " ijime" TV programs tend to bully others and this suggests the necessity to control the portrayal of bullying behavior on TV.
著者
穐山 浩 佐々木 秀輝
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.43-50, 2007-08-31 (Released:2017-12-01)
参考文献数
52

A novel type of encephalopathy occurred in patients with chronic kidney diseases, which was associated with the ingestion of the Sugihiratake mushroom during the fall of 2004 in Japan. To elucidate the relationship between the encephalopathy and this mushroom intake, we attempted to investigate whether cyanide and thiocyanate are present in the Sugihiratake samples and determined the cyanide and thiocyanate levels in fifteen samples collected from different Japanese districts using HPLC with fluorometric detection. The cyanide ions and thiocyanate ions were detected in the ranges of N.D.-114.0μg/g and N.D.-17.0 μg/g in the samples, respectively. This result demonstrated that cyanide exposure could occur from the intake of Sugihiratake mushrooms in one's diet. Furthermore, we discussed the possible association between cyanide and the onset of encephalopathy. In addition, we conducted a multivariate analysis of metabolites in 'Probably Toxic' sugihiratake collected from the area of encephalopathy outbreaks, and 'Probably Safe' sugihiratake collected from unaffected areas using UPLC/ToF MS. The results indicated that the presence of milligram quantities of vitamin D-like compounds per 10 grams of dried sugihiratake from the areas of encephalopathy outbreaks. The hypotheses to induce the encephalopathy in terms of vitamin D-like compounds are proposed.
著者
菊池 有利子 武林 亨 佐々木 敏
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.724-734, 2008 (Released:2008-09-30)
参考文献数
37
被引用文献数
5 6

Objective: In the present study, we determined iodine concentration in commonly consumed foods in Japan. Methods: One hundred thirty-nine foods and beverages were purchased from local markets and convenience stores. These samples were examined for iodine concentration by using gas chromatography after ashing or extraction. Results: The iodine concentrations in various food groups were as follows, The concentrations in cereals, sugar, sweeteners, vegetables, fruit, milk, and meat were too low to be detected (<0.05 mg/100 g). The iodine concentrations of algae and dashi (Japanese broth or stock) from algae were <0.05–225 mg/100 g; Japanese seasoning, <0.05–10.5 mg/100 g; and iodine-rich eggs, 1.09–2.00 mg/100 g. Conclusions: Food and beverages with high iodine concentrations need to be taken into account in the nutritional survey for health hazards and benefits in the evaluation of daily nutritional intake.
著者
古川 聡子 河口 勝憲 岡崎 希美恵 辻岡 貴之 通山 薫 佐々木 環
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.563-568, 2018-07-25 (Released:2018-07-28)
参考文献数
6

2008年にクレアチニン(Cre)から算出した推算glomerular filtration rate: GFR(eGFRcre)が,2012年にはシスタチンC‍(Cys)から算出した推算GFR(eGFRcys)が公表され,推算GFRは臨床現場で簡便な腎機能の指標として活用されている。しかし,しばしばeGFRcreとeGFRcysが乖離する症例に遭遇する。そこで,今回eGFRcreとeGFRcysはどの程度一致するのか,また乖離症例にはどのような特徴があるのかを検証した。全症例(n = 226)での相関関係は回帰式y = 0.92x + 2.44,相関係数r = 0.868と良好な結果であったが,CKD重症度分類のGFR区分におけるeGFRcreとeGFRcysの一致率は55.8%と約半数であった。不一致例はeGFRcreと比較し,eGFRcysの区分が軽い症例と重い症例が同等に存在し,どちらか一方への偏りは認めなかった。さらにGFR区分が2段階以上異なる症例は8症例で全体の3.5%であった。eGFRcys/eGFRcre比の比較では,その比が最も1.00に近かった60歳代を基準とすると,若年では高く,高齢では低くなる傾向を認めた。また,eGFRcys/eGFRcre比は体表面積が大きいほど,血清アルブミンが高値なほど高くなる傾向を示し,高度蛋白尿では低値となった。腎機能評価においては,各推算式の特徴や乖離要因を把握した上で使用することが重要である。
著者
伊勢戸 徹 齋藤 暢之 一柳 麻里香 森岡 美樹 細野 隆史 土田 真二 北山 智暁 佐々木 朋樹 齋藤 秀亮 久積 正具 佐藤 孝子 藤倉 克則 園田 朗 華房 康憲
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
JAMSTEC Report of Research and Development (ISSN:18801153)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.43-53, 2019-04-01 (Released:2019-04-03)
参考文献数
18

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2007年に策定した「データ・サンプルの取り扱いに関する基本方針」に基づき,JAMSTECに帰属するデータ・サンプルを管理,公開し,その幅広い利用を推進している.調査航海で採取された生物サンプルについては,その情報をJAMSTECの情報管理部署がデータベースに登録し一元的に管理しつつも,サンプル自体は採取した研究者らがJAMSTEC内外の各機関に持ち帰って利用しており分散的に管理されている.つまり,生物サンプルは情報管理部署とJAMSTEC内外の研究者らによる共同管理体制をとっている.この生物サンプルの共同管理体制は一見特殊にも見えるが,自機関に帰属するサンプルについて,その所在を把握し,管理していくためには必然的な仕組みだとも言える.また,データベースを公開しており,登録されたサンプルに対して他者が利用申請をする機会を提供している.JAMSTECのサンプルには,これまで博物館やバイオリソースセンター等に保存され提供されてきたサンプルのように永続的に保存されるサンプルも含まれるが,研究者らが日々利用し消費されていくサンプルが多い.このため,JAMSTECの生物サンプル管理と利用の仕組みは,これまで他機関が実施してきた仕組みよりも広範なサンプルの利用機会を拡大しているものであり,サンプルから最大限の科学的成果を生み出し,社会に役立てていくことを目指すものである.
著者
佐々木 猛智 スティアマルガ デフィン 川島 武士 藤田 敏彦 西秋 良宏
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究の目的は、実験的研究を通じて、博物館に収蔵された標本の新しい活用法を模索するものである。具体的には、(1)貝殻からDNAを抽出する実験、(2)次世代シーケンサを用いて博物館の標本からDNA抽出を効率的に行うための実験、(3)様々な年代、保存状態の標本を対象としたDNAの適正な保存条件の検討を行う。本研究では、微細構造、殻層ごとに実験を行う点が特に重要である。そして、以上の結果をもとに、標本を大規模に破壊することなく博物館の古い標本からDNA情報を取得するための技術を高める。
著者
岩間 信之 佐々木 緑 田中 耕市 駒木 伸比古 浅川 達人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.178-196, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 4

本稿の目的は,被災地における食品流通の復興プロセスを明らかにするとともに,仮設住宅入居後における買い物環境の変化と食品供給問題改善のための課題を整理することにある.研究対象地域は岩手県下閉伊郡山田町である.東日本大震災により,山田町の市街地は壊滅的な打撃を受けた.震災発生当初,被災者は深刻な食糧難に見舞われた.現在,商業施設の復興はある程度進んでいるものの,仮設住宅の住民の間で買い物環境が悪化している.市街地および仮設住宅周辺において,フードデザートエリアの拡大が確認された.
著者
佐々木 陽子 ササキ ヨウコ Yoko Sasaki
出版者
鹿児島国際大学福祉社会学部
雑誌
福祉社会学部論集 (ISSN:13466321)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.1-14, 2015-12-01

本稿は、「棄老研究」を民俗学・法理学・文学・映像作品の4種のアプローチに分けて考察する。上記のアプローチのうち、文学的アプローチを中心に扱うが、文学に対時するものとして民俗学が位置づけられる。というのは文学作品では「棄老」を実在の習俗であるとの前提でストーリーを展開させているが、民俗学では「棄老」習俗は実在しないという解釈が定説となっている。たとえば、「埋め墓」と「詣り墓」を別々につくる「両墓制」などによって、「埋め墓」である洞窟や海辺付近から白骨化した遺体が見つかることがあり、あたかも「棄老」習俗が実在していたかのごとくに捉えられるが、それは過ちであるとしている。文学では戦後、深沢七郎・村田喜代子・佐藤友哉などにより「棄老」をテーマに作品が生み出され、老いそして死に至る人間存在の深淵が問いかけられている。本稿は「『棄老研究』の系譜」の前半部に位置づけられる。
著者
佐々木 毅 福元 健太郎 中北 浩爾 谷口 将紀 成田 憲彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1 1996年度に引き続き、政治改革に関する一次資料を収集・複写し、目録を作成した。本年度は、とくに国会審議関係の資料、第八次選挙制度審議会関係の資料、マスコミ関係の資料、および政治改革推進協議会(民間政治臨調)関係の資料を充実させることができた。その結果、昨年度以来収集した資料は約1000点に達した。これらの資料は、現在「政治改革ア-カイヴ」として東京大学法学部研究室内に暫定的に保管してある、今後、最終的な収納先および公開方法について検討する予定である。2 上記ア-カイヴを主たる素材として、政治改革に関する政治過程の分析を行うための「政治改革研究会」が、研究分担者・および8名の研究協力者(飯尾潤、岩井奉信、野中尚人、岩崎健久、濱口金也、内山融、岩崎正洋、川人貞史の各氏、順不同)を得て組織された。具体的な研究項目は、竹下〜海部内閣・宮澤内閣・細川内閣の時系列的部分と、自民党・野党・政治改革推進協議会・労働界・マスコミ・選挙制度・政治資金および腐敗防止などのテーマ別部分からなり、それぞれの項目について論文が提出されている。3 研究会の成果を社会化するため、『政治改革の記録(仮称)』編集委員会を断続的に開催し、1998年秋の公刊を目指して作業が進められている。現在は出版社との調整、提出済み論文の検討作業、および掲載資料の編集・インタビュー調査の準備を行っているところである。
著者
大類 孝 山谷 睦雄 荒井 啓行 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.305-313, 2003-07-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
75
被引用文献数
5 4

口腔は, 皮膚と腸管とともに3大細菌網で, 口腔雑菌を知らず知らずに飲み込んでいる. 誤嚥性肺炎患者では, その口腔の中のセンサーが悪く, 唾液がたまったことを感知できない, いわゆる嚥下反射が低下している. そして気管に誤嚥したときは咳として出さなければいけないけれども, 咳反射も低下している. そして不顕性誤嚥を何回も起こしているうちにいつか肺炎になる.それではなぜ嚥下反射, 咳反射が落ちるかというと, 迷走神経あるいは舌咽神経の知覚枝の頸部神経節でつくられるサブスタンスPという物質が少ないからである. サブスタンスPがなぜ少ないかというと, 黒質線状体でつくられるドーパミンという物質が少ないからである. なぜドーパミンが少ないかというと, 深部皮質における脳血管性障害があるからである.サブスタンスPが少ないことから, 抗生物質に頼らないお年寄りの肺炎の予防が可能になる. カプサイシンという物質がサブスタンスPを強力に放出する物質であるため, カプサイシンを口の中に入れてやると嚥下反射が良くなる.ドーパミンが少ないため, ドーパミンを上げてやれば良い. アマンタジン (シンメトレル®) はドーパミンの遊離を促す. ドーパミンを投与した群としない群に分け, 3年間にわたって投与したところ, 肺炎の発生率を1/5に減らすことができた.アンジオテンシン変換酵素阻害薬はサブスタンスPの分解も阻害するため咳が出るが, 肺炎をくり返すお年寄りは咳が出ないで困っているので, ACE阻害薬を投与した. イミダプリル (タナトリル®) を2年間にわたって投与したところ, 投与しない群に比べて肺炎の発生率を1/3に減らすことができた.65歳以上であれば半分の人たちは何らかの脳血管障害がある. 深部皮質に不顕性脳血管障害がある人は, 2年間に30%が肺炎を起こすという成績が得られた. したがって要介護老人のみの問題ではなく, 65歳以上であれば身近な問題であると言える.脳血管性障害を防ぐことがお年寄りの肺炎を防ぐことにつながる. シロスタゾール (プレタール®) を3年間にわたって投与したところ投与しない群に比べて脳梗塞の発生率を半分に減らすことができた. しかも肺炎の発生率も半分に減らすことができた.
著者
太田 裕也 山崎 拓海 太田 尚志 佐々木 洋
出版者
石巻専修大学
雑誌
石巻専修大学研究紀要 (ISSN:09158715)
巻号頁・発行日
no.18, pp.33-40, 2007-01

Faecal pellets (FP) produced by crustacean zooplankton in the epipelagic zone have been considered to sink down to deep layers because of their fast sinking velocity (>>10m d^<-1>). On the contrary, recent laboratory and field studies suggested that sinking faecal pellets were rapidly lost in and below the epipelagic layers, and one of the most likely processes can be omnivorous feeding behaviors of copepods, called as coprophagy, coprorhexy and coprochaly. This study showed feeding behaviors of benthic copepods Tigriopus sp. (Harpacticoidae) on freshly produced faecal material produced by fishes and bivalves observed using a digital video camera with a dissecting and an inverted microscope. Fish faecal material larger than Tigriopus sp. (fragmented into 3-4mm pieces) were often directly ingested and frequently fragmented into small particles by copepods. Unexpectedly high production rates of faecal pellets of 4.7h^<-1> and 5.2h^<-1> were observed for fish and bivalve faecal material, respectively. The higher ration with coprophagy than that with herbivorous feeding may be explained by superfluous feeding of Tigriopus sp. on less nutritious faecal material.
著者
安原 隆雄 黒住 和彦 亀田 雅博 菱川 朋人 佐々木 達也
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

ヒト間葉系幹細胞由来多能性幹細胞を用いて、凍結保存の状態から溶解し直接移植する群とカプセル化細胞移植する群に分けて治療効果を検討する。対象とするのは一過性中大脳動脈閉塞モデルラットであり、行動学的評価・組織学的評価を中心に行う。うつ様症状に対する治療効果も重要な評価項目とする。虚血の程度をエコーにより確認し、血流遮断時の虚血負荷、運動機能、うつ様症状、組織学的評価(脳梗塞体積、炎症性変化、神経新生の程度等)を個体ごとに確認し解析する。過去に、脳梗塞モデル動物で直接移植とカプセル化移植の比較を行ったことはなく、細胞治療の意義・作用機序の解明に迫る研究である。
著者
黒川 博文 佐々木 周作
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.14, no.Special_issue, pp.S1-S4, 2021 (Released:2022-03-18)
参考文献数
5

本研究では,健康管理アプリ上で,ウォーキングによる身体的活動の促進を目的にしたフィールド実験を行った(N=498).歩数に応じた金銭的インセンティブの提供を受けるが,受取りの辞退可能なオプトアウト群,提供を受けるには自己申請が必要なオプトイン群,インセンティブの無いコントロール群の3群に参加者を割り当てた.オプトアウト群のインセンティブ加入率は100%であったのに対して,オプトイン群の加入率は約30%であった.この違いは,参加者が受取り方法に関する初期設定に強く影響を受けていることを示唆している.オプトアウト群では,歩数の有意な増加は観察されなかった.オプトイン群全体では,インセンティブの提供を受けられる期間の前半で,1日当たり約710歩増加した.実際にインセンティブを受け入れた人たちの間では,その期間の歩数は約2,280歩増加した.自己申請の上でインセンティブを受け取るオプトイン形式の方が,運動促進効果は高い.
著者
水上 博喜 吉澤 康男 笹屋 昌示 根本 洋 佐々木 純 葛目 正央 成原 健太郎 真田 裕
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.669-672, 2006-07-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
10
被引用文献数
4

症例は74歳, 男性. 腹痛の増悪を主訴に当院を受診し, 右上腹部の圧痛, 軽度の反跳痛を認めたが, 血液検査ならびに画像検査上明らかな異常所見はみられず, 急性腹症の診断で経過観察入院となった. 入院後, 腹痛の増強, 腹部膨満が出現し, 2日後の血液検査所見より膵炎による腹膜炎が疑われた. 腹部造影CT所見では, 膵臓には異常がなく, 右上腹部に腹水の貯留が出現していた. 診断目的に腹水穿刺を行い, 胆汁様腹水が採取されたため, 胆汁性腹膜炎と診断して緊急手術が行われた. 開腹所見では, 胆嚢体部肝床部側に穿孔を認めたが結石はなく, 術中胆管造影造影検査でも, 総胆管結石や走行異常はみられず, 胆嚢摘出術と腹腔ドレナージを行った. 病理組織学的検査では, 胆嚢は穿孔部を除き, 粘膜構造は正常であり, 穿孔部周囲の血管に血栓などの病変は存在せず, 特発性胆嚢穿孔と診断された. 腹水の細菌培養検査も陰性であった.
著者
後藤 亮吉 佐々木 ゆき 花井 望佐子 永井 雄太 田上 裕記 中井 智博
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.836-842, 2016 (Released:2017-01-13)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

自主グループの発足要因と自主グループへの参加及び継続に関連する要因を明らかにすることを目的とした。対象は設楽町の自主グループ参加者とし,自主グループへ参加したきっかけ(以下:参加要因),自主グループを発足した要因(以下:発足要因),自主グループを継続している要因(以下:継続要因)を調査した。自記式質問紙法にて行い自由記述の内容をKJ法に準じて整理した。類似した内容のラベルをまとめ,サブカテゴリーを生成し,類似したサブカテゴリーからカテゴリーを生成した。 96名(男性7名,女性89名)から回答を得た結果,自主グループの参加要因は,6つのカテゴリーが得られ「他者からの勧め」が最も多かった。次に,自主グループの発足要因として,7つのカテゴリーが得られ「仲間の存在」が最も多かった。自主グループの継続要因としては,7つのカテゴリーが得られ「自身の健康」が最も多かった。自主グループの参加・発足要因として「仲間の存在」など他者の存在が大きく影響していると考えられた。また,継続要因は「自身の健康」であり,主体的に参加することにより,さらに参加継続に繋がっていると考えられた。以上のことから,地域の実情と人々のつながりを考慮し,住民の健康意識を高め,住民を主体とした自助・共助の関係性を築くことが重要であると考えられた。