著者
瀬戸 夕輝 佐戸川 弘之 佐藤 洋一 高瀬 信弥 若松 大樹 黒澤 博之 坪井 栄俊 五十嵐 崇 山本 晃裕 横山 斉
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.140-143, 2011-05-15 (Released:2011-08-24)
参考文献数
9

症例は83歳男性.2006年に,他院にて高度房室ブロックに伴うAdams-Stokes syndromeのため左鎖骨下から経静脈的にペースメーカー(pacemaker : PM)(DDD)を移植された.2008年にPM電池留置部の創部離開を生じた.滲出液の培養は陰性であり,PMの金属によるアレルギー性皮膚潰瘍疑いと診断された.PM電池をpolytetrafluoroethylene(PTFE)シートで被覆し左鎖骨下に移植されたが再び創部の離開を生じ,対側の右鎖骨大胸筋下にPM再移植術を受けた.その後,電池感染のためPM電池を摘出された.高度房室ブロックによる徐脈を認めたため,同年12月10日当院紹介となり救急搬送された.同年12月18日に全身麻酔下に季肋部正中切開による心筋リード植え込み術(VVI)を施行した.感染による縦隔洞炎のリスクも考慮し小切開としたため,心室リードのみの留置とした.また皮膚部分で生じやすいPM金属との免疫反応を予防するためにPM電池とリードの両方をPTFEシートで被覆し,PM電池は腹直筋下に留置した.術後経過は良好で創部離開を認めなかった.また術後4カ月後のパッチテストではニッケルとシリコンに対してのアレルギー反応を認めたため,本症例の皮膚離開がPMの素材に対するアレルギーが原因であったと診断した.PM素材に対するアレルギー患者へのPM電池植え込み術の1例として報告した.
著者
佐藤 洋行
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.9-13, 2010

プロジェクトが失敗する要因の一つとして,問題が本番稼働直前で発覚し,その対応が間に合わず大きな事故になってしまうといったことが多々見受けられる.問題の顕在化が遅れることは,問題解決のための時間が少なくなるだけでなく,プロジェクト全体に大きな影響を与えてしまう可能性が高く,問題を早期に検出することはプロジェクト成功のために非常に重要なことだと考える.「なぜもっと早い段階で問題を検出できなかったのか」,プロジェクト完了時の反省として議論することが多いが,いまだ効果的な対処策を見い出せていないと感じる.通常,プロジェクトメンバとの各種会議で進捗状況や懸案の確認を行っているが,担当者の認識の甘さからPM(またはPL)への報告漏れがあったり,またミスが原因の場合などでは叱責を受けることを恐れて無意識に報告がおろそかになるなど,必ずしもPM(またはPL)に正しく状況が伝わらない,といった現状があると考える.そこで,日頃の進捗確認方法に何かしらの問題があるのではないかと考え,より早期に,かつ適確に問題を顕在化するための手段を検討し,実際に試行を行った上でその手段の有効性について検証する.
著者
宮國 泰史 福本 晃造 佐藤 洋俊 大塩 愛子 杉尾 幸司 Miyaguni Yasushi Fukumoto Kozo Sato Hirotoshi Oshio Aiko Sugio Koji
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.179-187, 2018-02

現在の教育現場ではICT やデジタル教材の導入・活用が求められる一方で,導入検討の際に重要となるはずの,同一のテーマに対するアナログ教材とデジタル教材が学習者にどの程度の学習成果量の差を生むかに対する情報の蓄積は不足している.本研究では,論理的推論を育成する知育パズル玩具「Chocolate Fix」について,学習者が実物のパズルピースに触れて課題を解く従来型のアナログ玩具と,同じ課題をiPad のデジタルアプリケーションとして画面上で体験するデジタル玩具の二種類を用意し,この二種類のパズル玩具を用いた公開講座を小・中学生を対象に実施した.公開講座において受講生が規定時間内に解いた問題数を記録し,インターフェースの違いに対する受講者の学習成果量の差を比較した.また,受講生及びその保護者に対して実施したアンケートから,教材のインターフェースの違いに対する受講者の意識・感想の抽出にするとともに,教育現場におけるICT 機器の導入に対する保護者の意見を抽出した.調査の結果,受講生のiPad アプリ版の回答数と実物版の回答数と統計上有意な差は見られなかったものの,アナログ玩具での回答数がデジタル玩具での回答数を上回る傾向があった.一方で,「どちらをもう一度やりたいですか?」という設問に対しては,受講生の内9名はデジタル玩具を指向するなど,学習成果量と受講生の興味が必ずしも一致しない傾向がみられた.これらの結果をもとに,教育におけるICT 機器導入の有用性について議論する.
著者
佐藤 いまり 平 諭一郎 日浦 慎作 佐藤 洋一
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本課題では,質感を科学的に取り扱うための学術的知見を蓄積し,我々が視覚を通して感じる質感と物体が有する光学的特性,その光学特性を生む素材・制作工程との関係を明らかにすることで,本物の工芸品の「良さ」を科学的に論じる手段と,工業製品のさらなる高付加価値化に寄与する計測・評価技術の創出を目指す.特にデジタルな再現技術に人手を介した質感表現を加えた作品を準備し,その物理特性と質感の差異を能動的に解析することで,革新的な質感評価・質感合成技術の創出する。これにより、本物の工芸品の「良さ」を科学的に論じる手段と,工業製品のさらなる高付加価値化に寄与する計測・評価技術の創出を目指す。
著者
佐藤 洋 Hiroshi Sato
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.810, pp.118-126, 2008-04

This research is going to deal with the characteristics of Chinese immigrants. It will make use of the movie titled THE JOY LUCK CLUB. This unusually named club is a group of four mothers who enjoy playing mahjong regularly. They have been playing the game for as many as thirty years, since they migrated to San Francisco from China. They eat food or snacks they cook for themselves and chat and gossip while playing. The stories of how they had to emigrate from their home country is told through their chatting. The movie shows that each of the mothers has her own sad background. Another important topic they always discuss is their family stories, especially those of their special daughters. The movie describes one story after another of how each mother experienced hardship in her younger days in China, and how she is now struggling with new problems related to the generation gap. Their history and struggles are the history and struggles characteristic of Chinese immigration to America. Since other ways of immigrating to America (such as from England, Ireland, or Poland) were analyzed in Gakuen No. 798, issued last April, comparison with that analysis and the difference from immigration types of other ethnic groups will be researched. This will reveal the different characteristics as well as similarities of Chinese immigration from that of immigrants from other countries.
著者
佐藤 洋一
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s5-s8, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
7

本稿で焦点を当てるのは、デジタルアーカイブコレクションの存在を機に2016年6月に発生し、現在まで活動を続けているインディペンデントで自発的なゆるやかな調査体の様態である。デジタル化された米国所蔵のアーカイブ写真を通じて知り合った人々が、SNS上のコミュニケーションをもとに連携し、撮影地の同定調査を軸にした活動過程を記述する。主体となった人々の関心と動機、活動の範囲、成果の範囲を確認しながら、この種の方法による可能性を考えたい。
著者
佐藤 洋美
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.8, pp.963-968, 2020-08-01 (Released:2020-08-01)
参考文献数
30

Metabolome analysis is an approach to investigate cell characteristics from the metabolites that are constantly produced and changed by those cells. We conducted a metabolome analysis of the response of 786-O renal cell carcinoma (RCC) cells to histone deacetylase (HDAC) inhibitors, which are expected to increase anticancer drug sensitivity, and compared the response with that of drug-resistant cells. Trichostatin A (TSA), an HDAC inhibitor, increased the sensitivity of 786-O cells to sunitinib. Moreover, TCA cycle and nucleotide metabolism of the cells were promoted. The findings that acetylated p53 (active form) and early apoptotic cells were increased suggests that the mechanism involved enhancement of mitochondrial metabolism and function. In addition, established sunitinib-resistant RCC cells were exposed to a combination of sunitinib and TSA, resulting in significant growth inhibition. Principal component analysis revealed that the parent and resistant cells were obviously different, but approximately half their fluctuations were illustrated by the same pathways. In summary, it was suggested that TSA reduced sunitinib resistance by triggering intracellular metabolome shifts in energy metabolism. This was the first recognized mechanism of action of TSA as an HDAC inhibitor.
著者
相馬 正之 村田 伸 甲斐 義浩 中江 秀幸 佐藤 洋介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100289, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】足指・足底機能は,立位・歩行時に足底が唯一の接地面となることから,その重要性が指摘され,足趾把持力に関する多くの報告が行われている.足趾把持力は,短母指屈筋,長母指屈筋,虫様筋,短指屈筋,長指屈筋の作用により起こる複合運動であり,手の握力に相当するものと考えられている.現在の測定方法は,端座位で,体幹垂直位,股,膝関節を90 度屈曲し,足関節底背屈0°の肢位で行われている.その肢位により測定された足趾把持力は,転倒経験者では低下していること,トレーニングによって強化が可能であり,強化することで転倒者が減少することから,足趾把持力への介入が転倒予防に有用であることが示されている.しかし,この足趾把持力の測定肢位については,十分な検討がされていない.手関節においては,手関節背屈により手指の屈曲が生じ,掌屈により伸展が生じるTenodesis action(固定筋腱作用)が存在する.手指の把持動作時には,この作用を効果的に用いるために手関節を背屈位に保ち,手関節を安定させることが報告されている.このように手指の把持動作においては,手関節の角度変化によって握力への影響が報告されているものの,足趾把持力に関する足関節角度の影響については指摘されていない.そこで本研究では,足関節の角度変化が足趾把持力に与える影響について検討した.【方法】対象は,健常成人女性20 名(平均年齢21.5 ± 1.0 歳,平均身長158.4 ± 4.2cm,平均体重52.2 ± 5.0kg)とした.いずれも下肢に整形外科的疾患や疼痛などの既往はなかった.測定項目は利き足の足趾把持力とした.足趾把持力の測定は,足趾把持力計(TKK3362,竹井機器工業社製)を用いた.足趾把持力の測定肢位は端座位とし,体幹垂直位,股,膝関節を90 度屈曲位で,足関節をそれぞれ,背屈位10°,底背屈位0°,底屈位10°の各条件で測定した.この足関節角度の設定には,足関節矯正板(K2590M,酒井医療社製)を用いた.足趾把持力の測定は,2 回ずつ測定し,その最大値を採用した.統計処理は,足関節背屈位,底背屈中間位,底屈位間の足趾把持力の比較に,反復測定分散分析およびBonferronniの多重比較検定を採用し,危険率5%未満を有意差ありと判定した.【倫理的配慮、説明と同意】対象者には研究の趣旨と内容について説明し,理解を得たうえで協力を求めた.また,研究への参加は自由意志であり,被験者にならなくても不利益にならないことを口答と書面で説明し,同意を得て研究を開始した.本研究は,東北福祉大学研究倫理委員会の承認(RS1208283)を受け実施した.【結果】足趾把持力は,足関節背屈位が平均19.0 ± 4.1kg,底背屈中間位が平均18.9 ± 3.4kg,底屈位が平均16.8 ± 4.9kgであった.反復測定分散分析の結果,3 群間に有意な群間差(F値=8.5,p<0.05)が認められた.さらに,多重比較検定の結果,足関節底屈位での足趾把持力は,背屈位および中間位より有意に低値を示した(p <0.05).【考察】本結果から,足趾把持力は,足関節底屈位より底背屈中間位から軽度背屈位の方が最大発揮しやすいことが示唆された. このことから足趾把持力の計測は足関節を底背屈中間位もしくは軽度背屈位で計測する必要があることが示された.この要因の1 つには,足指屈曲筋の活動張力の減少と相反する足指伸展筋の解剖学的な影響が考えられる.足趾把持力に関与する長母指屈筋,長指屈筋などは多関節筋であり,足関節底屈により筋長が短縮する.そのため,発揮できる筋力は,張力−長さ曲線の関係から低下したものと考えられる.また,足関節底屈位の足指の屈曲動作では,相反する足指伸筋群の筋長が伸張されることにより,最終域までの足指屈曲が困難になることから,筋力が発揮できていないことが推測された. さらに,足関節底屈時には,距腿関節において関節の遊びが生じる.このことから,足関節底屈位の足趾把持力発揮では,足関節の安定性が不十分となり,筋力の発揮に影響を及ぼしたものと考えられる.本結果からは,足関節角度と足趾把持力発揮の関係から,歩行場面において平地および上り勾配では,足趾把持力が発揮されやすいが,下り勾配では発揮しにくいことが推測される.そのため,高齢者では,下り勾配において足趾把持力による姿勢の制御能が低下し,転倒の危険性が増大する可能性が示された.【理学療法学研究としての意義】足趾把持力への介入が転倒予防に有用であることが示されているものの,測定肢位については,十分な検討がなれていなかった.本結果から足趾把持力は,足関節底屈位より底背屈中間位から軽度背屈位の方が最大発揮しやすいことが示唆された. このことから足趾把持力の計測は足関節を底背屈中間位もしくは軽度背屈位で計測する必要があることが示された.
著者
佐藤 洋
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.300, 2020 (Released:2020-03-30)

Ⅰ はじめに これまで,多くの地理学者が地域間の経済格差と地方自治に関心を向けてきた.その潮流の中で,地方財政問題にも焦点が当てられている.1980年代に財政地理学を展開したBennett(1980)は地域間の公平性の観点から地方財政問題に地理学的視点を導入する意義を示し,英国の財政調整制度であるレイト支援交付金の配分問題に焦点を当てて実証分析を行った. その後,国内において地理学者が財政問題を扱う際には,我が国の財政調整制度である地方交付税に対して関心が向けられてきた.主に,その関心は地方交付税への依存度が高い地方圏の(特に小規模な)自治体に向けられており,税収が豊かな大都市圏の自治体が注目されることはなかった. しかし,大都市圏の自治体における財政状況を分析すると,バブル景気崩壊後,自主財源の大部分を占めている地方税の滞納の影響が大きく,その金額は決して無視できるものではない.実際に,各自治体は徴収率の向上に積極的に取り組んでいる. 経済学の分野では,地方税の滞納に関してモデルを用いた研究があるが,管見の限り,国内において空間的な観点から地方税の滞納の問題を扱った研究例は存在しない. そこで本研究では,地方税の徴収率の低下が地方財政にもたらす影響の検討を行った.さらに,その結果を踏まえて大都市圏に着目し,地方税の徴収率と他の指標との比較を行い,その特徴について計量的に分析した.Ⅱ 分析対象地域の概要と調査内容 本研究における分析対象は,東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県の1都3県の基礎自治体とした(税制度の異なる東京23区は除く).地方財政状況調査,国勢調査などの統計をもとに,地方税の徴収率の低下が自治体の財政に与える影響を分析した.さらに,相関行列の作成や重回帰分析などの計量的な手法を用いて,滞納の発生と,失業率,生活保護率,犯罪認知件数などの都市問題との関係を分析した.Ⅲ 結果と考察 大都市圏の基礎自治体における地方税の徴収率と財政状況を分析した結果,地方税は自治体の自主財源額の約8割を占めている.地方税の滞納額は約1,578億円(平成29年度)に上り,徴収率が1%上がると,歳入が約541億円増加する状況にある(当該自治体における同年度のふるさと納税の合計受入額は約150億円である).特に財政力指数が高い(地方交付税が少ない)自治体ほど,滞納が発生した場合の影響が大きくなる.自主財源額と比較して,滞納額が約15%に相当する自治体(千葉県八街市)も存在している. そこで,計量的な手法を用いて地方税の徴収率を様々な指標と比較した.相関行列の作成および重回帰分析による分析から得られた主な知見は次の2点である.①地方税の徴収率が低い(滞納率が高い)自治体はブルーカラー従業者割合,外国人割合,犯罪認知件数,生活保護率,失業率などの貧困問題と関係の深い指標と正の相関がある.②平均年収,税務職員数に対しては負の相関がある. 各指標における自治体の分布の考察により得られた主な知見は次の3点である.①平均年収が低い自治体やブルーカラー従業者割合が高い自治体は都心から同心円状に分布するが,地方税の徴収率が低い(滞納率が高い)自治体は,同心円状には分布しない.②貧困問題と関係の深い指標と徴収率の分布が一致しない自治体がある.③平均年収が高いが,徴収率が低い自治体においては,住民の納税に対する意識に何らかの問題が生じている可能性がある. 上記の分析結果より,地方税の滞納という現象は,確かに貧困問題と関係しているが,それだけでは説明できない部分も多くみられた.これらの解明については今後の課題としたい.参考文献Bennett,R.J.1980.The Geography of public finance:Welfare under fiscal federation and local government finance.London:Methuen.
著者
龍田 希 仲井 邦彦 鈴木 恵太 黒川 修行 細川 徹 佐藤 洋
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.189-196, 2013 (Released:2013-09-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

Objectives: The Boston Naming Test (BNT) has been used to assess the language development of children in many epidemiology studies, and its usefulness is confirmed. The BNT consists of 60 black and white line drawings of objects and animals. There are no normative data available for this test for Japanese children. The purpose of this study was to collect normative information in Japan and to examine the correlation between the score of the BNT and Intelligence Quotient (IQ) of the Wechsler Intelligence Scale for Children third edition (WISC-III). Methods: The BNT was translated into Japanese and administered in children registered to the birth cohort of the Tohoku Study of Child Development at the age of 84 months. The participants for analysis in this study were 449 children (237 boys, 212 girls). Results: There were four items with percentage scores below 1%; Igloo, Knocker, Muzzle, and Yoke. Many Japanese children could answer ‘abacus’ and ‘compass’, which are difficult for US children. Although the score of the BNT correlated with IQ of the WISC-III (p<0.001), as compared with the previous studies, the correlation coefficient was low. Conclusions: The BNT is quick and easy to use and valuable for researchers in evaluating language ability in children. Since the BNT was developed in the United States, the cultural values of that country are reflected in the BNT score. This implies that the BNT should be modified to fit Japanese population.
著者
相馬 正之 村田 伸 甲斐 義浩 中江 秀幸 佐藤 洋介 村田 潤 宮崎 純弥
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0706, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子として,体重,足部柔軟性と足部アーチ高率の3つの因子を明らかになっている(村田ら 2003)。近年,新たに足趾把持力発揮に関連する諸因子が報告されていることから,再度,それらの因子を含めた上で,検証が必要と考えられる。本研究では,若年者の足趾把持力発揮に影響を及ぼす因子を明らかにするため,過去に足趾把持力に関連すると報告された項目を中心に測定し,各因子と足趾把持力との関連を検討した。【方法】対象は,健常成人女性12名(平均年齢21.2±0.4歳,身長159.6±3.7cm,体重51.5±4.8kg)とした。測定項目は,足趾把持力と足趾把持力発揮時の足関節角度,大腿直筋と大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭の筋活動量,足部柔軟性,足部アーチ高率,体重とした。統計処理は,足趾把持力と他の測定値との関係について,ピアソンの相関係数を用いて検討した。さらに,足趾把持力に影響を及ぼす因子を抽出するため,従属変数を足趾把持力とした重回帰分析のステップワイズ法(変数減少法)を行った。【結果】得られた測定値は,足趾把持力が15.9±4.3kg,足部柔軟性が2.9±0.8cm,足部アーチ高率が19.9cm,足関節背屈角度が2.9±0.8°であった。また,%IEMGは,大腿四頭筋が3.1±1.6%,大腿二頭筋が31.9±20.8%,前脛骨筋が35.3±19.3%,腓腹筋内側頭が50.9±19.2%であった。足趾把持力と有意な相関を示したのは,相関係数が高い順に,足部アーチ高率(r=0.69),前脛骨筋の%IEMG(r=0.67),足部柔軟性(r=0.66),腓腹筋内側頭の%IEMG(r=0.61),足関節背屈角度(r=0.60)であった。ステップワイズ重回帰分析の結果,足趾把持力に影響を及ぼす因子として抽出された項目は,足部アーチ高率および前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,標準偏回帰係数は順に0.54(p<0.01),0.51(p<0.01)であった。【結論】本研究における単相関分析の結果,足趾把持力と足部柔軟性,足部アーチ高率,足関節背屈角度および前脛骨筋,腓腹筋内側頭の%IEMGの5項目と有意な相関が認められた。この5項目は,先行研究においても相関が認められており,本結果では,これを追認した。重回帰分析によって,足趾把持力に独立して影響を及ぼす因子として抽出されたのは,足部アーチ高率と前脛骨筋の%IEMGの2項目であり,足部アーチ高率とが高いほど,前脛骨筋の%IEMGが大きいほどに足趾把持力が強いことが確認された。足部アーチ高率は,内側縦アーチの指標として用いられることが多く,内側縦アーチは,骨や靭帯,前脛骨筋,後脛骨筋,長母指屈筋,長指屈筋,母指外転筋の筋群より構成される。これらの筋群には,足趾把持力の主動作筋である長母指屈筋,長指屈筋,足趾把持力発揮時に重要な前脛骨筋が含まれる。これらの知見から,足部アーチと足趾把持力は,密接な関係にあり,相互的に作用していることが示された。
著者
佐藤 洋
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.85-101, 2016 (Released:2017-04-10)
参考文献数
68

It has been noted that in the course of athletic pursuits, an athlete encounters not only glory, but hardship as well. This is especially apparent in the realm of competitive sports. How might we interpret those athletes we see who are nevertheless passionately engaged in sports? The purpose of this inquiry is to demonstrate the interpretability of athletes in terms of excellence and virtue, as well as serve as an introduction to a theory of athletes. The inquiry begins with an overview of the athlete theory. This is followed by a consideration of concepts of excellence in terms of their theoretical application to athletes. The inquiry then proceeds into an investigation aimed at revealing and theoretically constructing an effective analytical method for utilizing concepts of virtue and excellence based on arete (ἀρετή) in service to a theory of athletes. In summary, it was revealed that teleology based on the inherent nature of athletes could be a useful tool to interpret the essential being of athletes. An athlete’s being can be interpreted by considering arete, with the discussion functionally based on both excellence and virtue. In conclusion, the theory of athlete in this study has revealed that excellence of an athlete cannot be an examination of only the “athlete’s arete”, but it has to consider arete, the standpoint of virtue as well. And a concept of the “good” is related. By examining an “athlete’s arete” in this study, it have introduced the evolving potential of the athlete theory.
著者
佐藤 洋介 村田 伸 甲斐 義浩 相馬 正之 中江 秀幸 村田 潤
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.37-41, 2014-04-01 (Released:2014-08-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

[目的]本研究は,等尺性肘関節屈曲筋力の発揮筋力を漸増した際の,上腕三頭筋の関与を明らかにすることを目的とした。[方法]健常成人女性15名を対象とした。平均年齢は20.5±0.9歳であった。被験筋は右上肢の上腕二頭筋・上腕三頭筋とし,各被験筋の最大随意等尺性収縮を算出した。最大肘関節屈曲筋力に対し10%から80%まで10%毎に随意的肘関節屈曲筋力を漸増させた際の各被験筋の筋活動を測定し,比較・検討した。[結果]上腕二頭筋の積分筋電図(IEMG)は最大肘関節屈曲筋力の40%発揮時で有意な増加が認められ,上腕三頭筋のIEMG は最大肘関節屈曲筋力の50%発揮時から有意な増加が認められた。また上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋活動は,それぞれ随意収縮力と有意な正の相関を認めた。[結論]肘関節屈曲における40%以上の負荷量では主動作筋である上腕二頭筋が活動し,50%以上の負荷量では上腕二頭筋だけでなく,上腕三頭筋も運動に関与することが示唆された。
著者
二階堂 諒 杉 正夫 太田 順 田村 雄介 新井 民夫 佐藤 洋一 高増 潔 鈴木 宏正
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2005年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.165, 2005-03-10 (Released:2005-10-06)

著者らのグループは,セル生産システムを知能化,機械化して人間作業者を情報面,物理面の両面から支援するシステム“Attentive Workbench”を提案している.AWBの構成要素である自走式トレイ群は,物品の搬送を担当するが,搬送対象物の大きさや形によっては複数のトレイが集まって大きな形態を生成し,協調搬送を行う.この形態生成を効率良く行うヒューリスティクスを提案し,その有効性を検証する.
著者
北條 祥子 吉野 博 角田 和彦 佐藤 洋
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.451-463, 2001-09-26 (Released:2011-10-21)
参考文献数
54

児童の呼吸器・アレルギー疾患と生活環境との関係を検討するため,宮城県内20の小学校に在籍する1,401名を対象にアンケート調査を行い,その結果を地域で比較した。地域分類は自動車排ガスの影響,耕作地における農薬散布の影響,およびそれらの複合影響をみるために,1)都市市街地,2)都市郊外地域,3)耕作地に囲まれた市街地,3)耕作地域の4つに分類した。その結果,呼吸器・アレルギー疾患の有症率には宮城県内でも地域差が認められた。全体的には,都市市街地>都市郊外地>耕作地に囲まれた市街地>耕作地の順に有症率が高い傾向があった。ことに,何らかのアレルギー疾患(現在)と花粉症様症状ではカイ二乗検定(比率の差の検定)で有意差が認められた。自動車排ガス汚染と農薬の複合影響があると思われる「耕作地に囲まれた市街地」の児童が喘息様症状,花粉症,百日咳およびアトピーの既往率が他地域より高く,複合影響の可能性が示唆された。一方,児童の生活環境にも次のような地域差が認められた。a)個人特性:耕作地域は他地域と比べて,一人っ子や長子の割合が有意に低く,アレルギー歴の保有率が低い。b)大気環境:二酸化窒素(NO2),二酸化硫黄(SO2),浮遊粒子状物質(SPM)濃度は都市市街地が最も高く,耕作地が最も低い。光化学オキシダント(OX)濃度は逆に耕作地が最も高い。c)室内環境関連要因:最も大きな地域差を示した。すなわち,都市市街地は耕作地域と比べ,鉄筋集合住宅の割合,3年以内に新築またはリフォームした家庭の割合,母親の喫煙率,小鳥や室内犬等の室内ペットの割合,カーペット使用の割合,壁材がビニールクロスの割合が有意に高く,部屋が狭い。上記のような児童の生活環境の差,ことに室内環境の差が,呼吸器・アレルギー疾患の有症率の差に反映していると思われる。