著者
町田 史門 梶山 朋子 嶋田 茂 越前 功
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2092-2103, 2014-09-15

SNS(Social Networking Service)が幅広い年齢層に急速に普及し,SNSに投稿されるライフログにより,多くの人々がコミュニケーションを活発化している一方,SNS投稿に起因したプライバシ侵害のトラブルが多く発生している.その原因の1つとして,SNSユーザによる,個人に関する情報の漏洩がある.本論文では,SNSユーザの不用意な投稿による個人に関する情報の漏洩が,実際に発生していることを確認するために,Twitterアーカイブにおけるこのような情報漏洩の存在率の試算評価を行った.次に,本試算評価を受け,SNS投稿時に発生する情報漏洩を自動検知する第一歩として,非公開とすべき情報の内容分類と開示レベルを対応付けた,SNSにおけるプライバシ侵害情報分類表の提案とその評価を行った.さらに本分類表の特性を活かし,センシティブデータの漏洩有無の通知と,SNS投稿者を中心としたネットワーク内における公開対象者の自動設定を提供するシステムを提案した.
著者
鈴木 実 種本 勝二 前田 達夫 今井 俊昭 藤井 俊茂
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会年次研究発表会・梗概集 平成16年度日本風工学会年次研究発表会
巻号頁・発行日
pp.29, 2004 (Released:2006-01-26)

鉄道において、強風は列車の安全な運行に直接係わる現象である。1872年の鉄道開業以来、30件以上の強風が原因と推定される事故が発生している。列車脱線事故が契機となり、運転規制方法が整備されてきたわけだが、1986年に発生した余部橋梁事故以後、強風地域における列車運転規制が強化され、防風柵設備等の安全対策が行われてきた。本件は、鉄道における強風時の運転規制方法と強風対策について紹介する。
著者
前川 要 五十川 伸也 千田 嘉博 亀井 明徳 天野 哲也 狭川 真一
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

緊急発掘に伴う中世遺跡の発掘調査資料は膨大である。まず、土器・陶磁器を中心とした詳細な編年体系ができつっある。時間軸はおおよそ、最低50年単位で理解できうる状況になってきている。また、一方では遺跡整備に伴い、全国で城館・城下町遺跡・港湾都市遺跡の資料が急激に増加してきている。さらに、加えて高速道路など大型開発に伴い広域を空間的に認識できる遺跡も増加して、中世村落構造を認識できるようになってきている。しかしながら、研究はそれぞれが分断されており、様式論的に同時期の様相を把握する機会は従来全く無かった。ここで総合的研究を実施することにより、日本史側から投げかけられた問題提起を受け止め、民衆史のみならず、海運史、北方史、周辺民族史などに関連して考古学から歴史像の再構築を行うことが可能となる。以上のような現状において本課題は、研究の発展段階の観点からみて成長期にあり、総合研究を実施することにより研究の一層の発展が期待で切る領域と予想されるため企画調査を実施することを目的とした。特に、2回の会議を通して次の3項目について検討した。1.特定領域として研究申請する意義についてさらに申請が可能か否か、2.研究項目が適切か否か、3.追加あるいは削除する項目があるか否か(1)平成14年6月15・16日:総括班が東京御茶ノ水で集まり、研究領域の目的・意義、研究項目の妥当性について検討した。(2)平成14年9月29・30日頃:国立歴史民俗博物館にて全体会議の招集。共同研究者から、意見聴取。(3)平成14年10月初旬頃:特定領域研究へ申請のため、総括班が東京近郊で集まり書類作成のための意見聴取を行った。(4)同下旬頃:申請書類提出のため平成15年度発足特定領域申請書および特定領域申請書概要の印刷準備。(5)平成14年11月頃:特定領域研究(A)「中世考古学の総合的研究」として申請書類を提出した。
著者
岡崎 美智子 道重 文子 梶谷 佳子 中橋 苗代 仲前 美由紀 那須 潤子 石垣 恭子
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

新人看護師の臨床判断力を高める目的で開発した学習支援システムの第三者評価を行った。システムは、学習理論(Steinaker and Bell's:1979)に基づき5段階で構築した。対象者は、新人看護師、中堅看護師、専門看護師、看護系大学の学生、大学院生、教員であった。結果は、現任教育および看護系大学の実習指導に有用であった。課題はステップ3の事例内容をシンプルにし、事例数を増やすことであった。
著者
前角 和勇 上條 敦子 大口 和枝 寺井 直樹
出版者
信州公衆衛生学会
雑誌
信州公衆衛生雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.30-31, 2010-08

インフルエンザの感染予防対策については、手洗い、うがい等の感染予防、学校での学級閉鎖等の集団の閉鎖による感染拡大防止などが効果があるといわれている。そこで、昨年発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)の流行時において、学校(小・中)から報告があったインフルエンザによる欠席者(出席停止者)の推移から、学年閉鎖及び休校措置の効果について検証を行った。検証の結果、閉鎖措置は一定の効果があったが、流行早期の閉鎖措置は有効性にばらつきが見られた。
著者
西村 欣也 三浦 徹 岸田 治 道前 洋史 北野 准
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

北海道の固有種であるエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)の幼生は、捕食者生物、餌生物、同種幼生の存在に呼応して生態学的機能を有する表現型可塑性を示す。そのため、進化生態学、発生生物学を融合する研究の優れたモデル生物である。本研究では、エゾサンショウウオ幼生が捕食者生物存在下、餌生物存在下で可塑的に発現される形態変化について、幾何学的形態解析法を用いて定量的に明らかにし、その分子発生学的メカニズムを調べる出発点として形態変化と関連するゲノム情報の探索を行った。さらに、生息域全域を網羅する5地域集団間で、表現型可塑性に伴う形態変化の反応規範と、遺伝マーカーの変異を調べた。
著者
戸前 壽夫 山田 幸三 于 琳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

岡山県にあるオンリーワン型中小企業に対してヒアリング調査を行い、その特徴について研究を行った。特定のセグメントに特化することで技術的な強みを築き上げ、セグメント内での高いシェアを有することで寡占的な供給者になっていて、規模の経済を活かしている。地方立地の中小企業であるため、取引先との距離は離れているが、さまざまな工夫で克服していた。地方立地の中小企業の可能性を見出すことができた。
著者
伊東 孝之 前田 弘毅 久保 慶一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、セルビアからのコソボ独立問題とグルジアからの南オセチア・アブハジア独立問題という2つの紛争事例を調査し、共通性と差異を浮き彫りにしつつ、両者の間の相互作用にも注目し、今後の国際政治に与える影響を分析することを目的としていた。具体的には、(1)紛争の背景、(2)紛争の推移、(3)国際関係と国際関係主体に対する影響の3点について、現地調査も踏まえて比較分析を進めた。各計画年度に多くの現地調査を実施し、現地から研究者を招聘し、研究会を開催し、研究成果を公表してきた。比較研究の総合化へは道半ばであるが、政治学や国際関係論、歴史学など様々なディシプリンの成果を援用しつつ、紛争を複数の視点から考察することの意義と有用性については、三年間の間で本研究参加者の間で共通の認識を得ることができたと考える。本研究の成果は今後のより地域横断的かつ総合的な研究に活かされていくことが期待される。
著者
前迫 孝憲 内海 成治 松河 秀哉 西端 律子 小池 敏英 吉冨 友恭 今井 亜湖 シルバ セシリア 重田 勝介 森川 治 森 秀樹 西森 年寿 奥林 泰一郎 中澤 明子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

教育用地域情報基盤としての5GHz帯無線アクセスシステム(包括免許を得て運用)や光ファイバ通信網(地域学校のクラウドコンピューティング・システムによる広域支援等)、衛星通信網(JAXA 超高速インターネット衛星「きずな」を活用したeラーニング実験等)と、それらを相互接続した教育情報基盤の検証や高精細HD 映像による遠隔映像対話環境「超鏡」の開発、特別支援や地域教材におけるネットワークや情報技術の活用を試みた。
著者
セリム ハテムモハメド 今井 壮一 大和 修 カバニ アーメ キロロス ファイツ 前出 吉光
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.799-801, 1996
被引用文献数
12

エジプトで飼育されている水牛, 牛および緬羊について, それらの第一胃内繊毛虫構成を調査した. その結果, 水牛では12属29種7型, 牛では10属28種11型および緬羊では7属18種6型がそれぞれ同定された. 牛と水牛では22種が共通してみられたが, 緬羊では12種が牛および水牛との共通種であった. 各家畜ともエントジニウム属, 特にE.simplex, E.nanellumおよびE.exigumが最も多くみられた. 以上から, エジプトの家畜反芻動物の第一胃内繊毛虫構成は, 水牛が熱帯地域の繊毛虫の一部を保有しているものの, 全体として, 温帯地域の反芻獣のそれと類似していることが明らかとなった.
著者
中野 正俊 神山 保 糸乗 前
出版者
滋賀県立琵琶湖博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

これまでにも国内各地で、防災ならびにエネルギー活用に関する教育は行われてきた。ただ、それらは学校あるいは地域や民間それぞれが単独で実施してきた。社会教育施設等が学校や地域と連携して実践する例はなかった。そのために、当該学校では効果的な学習ができても、他へ広められなかった。そこで今回、博物館・学校・地域の3者が連携し、モデルを作った。このモデルは、全国のあらゆる学校や地域で活用できる。それは、学習指導要領にもとづいたモデルだからである。また、学校教員と話し合い、子どもの実態にそって実践したからである。総合的な学習の時間は減った。これを乗り越えて実践する手だてや工夫が必要である。
著者
梶原 悠介 前田 陽一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.792-803, 2009-10-15

本研究では,コンピュータによる作曲の手法として現代音楽の作曲技法である12音技法を用いた作曲システムを提案する.12音技法は,段階的に作曲する手法のためコンピュータでの作曲に適しているという利点がある.12音技法での作曲の第1プロセスである12音音列の生成は,曲の主題や雰囲気を決定付ける重要なプロセスである.ここでは,一般的な音楽理論である協音程・不協音程の関係を基にした適応度関数を設計し,GAによる響きのよい音列の探索により12音音列の自動生成を行う.12音音列を生成するシミュレータを作成し,シミュレータが生成した12音音列と人が作成した12音音列の比較アンケートを行うことで本システムの有効性検証を行った.
著者
中村 繁貴 高谷 哲 前田 良文 山本 貴士 宮川 豊章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.450-461, 2013 (Released:2013-12-20)
被引用文献数
4

近年,多くの構造物が老朽化している中で,効率的な維持管理を実現する手段の一つとして,赤外線サーモグラフィが注目されるようになってきている.土木構造物への適用事例は増加しており,環境要因が測定結果に与える影響に関する研究も多く報告されている.しかし,構造物の維持管理における調査診断でははく離部を検知するだけでなく,はく落の危険性を評価することが,補修工法の選定などのためには重要である.本研究ははく落の危険性を定量評価することを目標とし,鉄筋腐食膨張圧模擬実験による各損傷段階の供試体に対して赤外線サーモグラフィ測定を行った.その結果,かぶりや破壊形態を考慮せずに劣化の程度を評価できる指標としてはく落危険度を提案し,測定温度環境を考慮したはく落予測を行うことが可能であることを明らかにした.
著者
中島 由紀 高尾 斎昭 前川 理沙 寺田 さとみ 椎尾 康 大谷 道輝 杉浦 宗敏 山村 喜一 内野 克喜
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.323-325, 2011 (Released:2012-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

We prepared dried thyroid rectal suppositories for the treatment of thyroid papillary adenocarcinoma in patients with hypothyroidism in response to clinicians’ requests. The suppositories had a content of 50 mg or 100 mg and were prepared using dried thyroid powder and hard fat. The initial daily dose of 100 mg, which was given as a single dose in the morning, could be increased on the basis of thyroid stimulating hormone (TSH) levels, as required. In addition, an oral dose of levothyroxine sodium hydrate 150 μg could be switched to a dose of 300 mg of dried thyroid rectal suppositories in this patient.These results suggested that the dose of dried thyroid rectal suppositories for the treatment of hypothyroidism should be titrated for individual patients based on TSH levels.
著者
安田 光孝 前田 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-6, 2014-05-30

北海道情報大学では 2014 年度より,新 1・2 年生の全学生を対象に 900 台の iPad を貸与した.これにより中・大教室での座学講義でも全受講生が iPad を利用できるようになる.この状況を受けて,2011 年に開発したクローズド型の教室内リアルタイムコミュニケーションツール 「Kaiwa」 をこの 3 年間のデータをもとに再度分析した.評価の結果,講義で Kaiwa を利用することは,講義の面白さや講義への参加意識向上に有効であることがわかった.今後,iPad と Kaiwa の活用によって,中・大教室においても学生同士の知識や意見の共有がリアルタイムに行われ,教員・学生間での縦横のコミュニケーションが活性化する可能性がある.In 2014, Hokkaido Information University (HIU) starts lending 900 iPad to all the student of freshmen and sophomores. This will enable all of them to use iPad especially in the large class room lectures. For this situation, we re-evaluated "Kaiwa", a closed micro-blog system developed by ourselves in 2011. The evaluation based on questionnaires and morphological analysis of "Kaiwa" indicated reasonable effectiveness for activating in-class communication. By utilizing iPad and "Kaiwa", the communication between teacher and students would be activated in the large class room.
著者
坂本 佳子 前田 太郎 岸 茂樹 五箇 公一 森口 紗千子
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

1.国内におけるアカリンダニの分布調査:昨年度より引き続き、全国から採集したミツバチ358コロニーを用いて、アカリンダニの寄生状況の調査を昨年に引き続き行い、北海道と沖縄をのぞくほぼすべての都府県での発生を確認した。2.ネオニコチノイド系農薬を曝露したミツバチへのアカリンダニ寄生実験:イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジンの3種類の農薬をセイヨウミツバチに経口投与し、アカリンダニに対する対抗行動にどのような影響を及ぼすかを評価した。3.アカリンダニの寄生がニホンミツバチに与える影響:アカリンダニ寄生がミツバチの発熱能力と飛翔能力を低下させることを、サーモグラフィーおよびフライトミルを用いて明らかにした。4.アカリンダニの生存時間:従来報告されていたよりも長く、特に低温かつ高湿度条件では9日間生存していることを確認した。
著者
肥前 洋一
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

市町村合併の是非を問う住民投票の多くで、その成立要件として、投票率が予め定められた水準(多くの場合50%)を超えなければならないというルールが設けられた。本研究の目的は、この成立要件が有権者の投票行動に与える影響を理論と実験により明らかにすることである。今年度は、前年度の理論研究の成果を「Imposing a Lower Bound on Voter Turnout」と題して9月の日本経済学会秋季大会にて報告した。さらに、理論研究に基づいて実験研究を行い、その成果を論文Yoichi Hizen,"A Referendum Experiment with a Validity Condition on Voter Turnout,"mimeoにまとめた。ディスカッションペーパーにしたのち、学術誌に投稿する予定である。また、平成20年5月の日本選挙学会研究会・方法論部会II「実験と調査の間」にて「投票の成立要件が投票行動に与える影響-実験室実験による検証-」と題して報告することが決まっている。実験研究では、1セッション13人からなる住民投票実験を6セッション実施した。「投票前に見込まれる賛成派と反対派の人数比」と「最低投票率の水準」に応じて、どちらの派の有権者がどのくらい棄権するかを観察した。得られた結果は、各有権者は、多数派であることが見込まれる派に振り分けられた場合には最低投票率の水準にかかわらず投票する一方、少数派であることが見込まれる派に振り分けられた場合には、最低投票率が低ければ投票するが高いと棄権するというものであった。すなわち、最低投票率を高くしすぎると戦略的棄権が生じて不成立になりうることが確認された。