著者
加藤 雅康 林 克彦 前田 雅人 安藤 健一 菅 啓治 今井 努 白子 隆志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.229-235, 2011-05-15
参考文献数
15

近年,クマの目撃件数が増加しており,クマが生息する山間部付近の病院ではクマ外傷を診察する機会が増加することが予想される。当院で過去2年間に経験したクマ外傷の4例を報告し,初期治療での注意点について考察する。クマ外傷は頭部顔面領域に多く,顔面軟部組織損傷の治療にあたっては,眼球,鼻涙管,耳下腺管や顔面神経などの損傷を確認し,損傷の部位や程度に応じてそれぞれの専門科と共同で治療を行うことが必要となる。また,細菌感染や破傷風の予防が必要である。当院で経験した4例と文献報告でも,創部の十分な洗浄と抗菌薬治療,破傷風トキソイドと抗破傷風人免疫グロブリンの投与により重篤な感染を生じることはなかった。しかし,頭部顔面の創部と比較して四肢の創部は治癒に時間がかかった。クマ外傷の診療にあたっては,顔面軟部組織損傷と感染症予防に対する知識が重要と考えられた。
著者
神前 裕 渡辺 茂
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.276-294, 2015 (Released:2018-06-19)
著者
水野 杏一 山下 毅 小原 啓子 船津 和夫 近藤 修二 横山 雅子 中村 治雄 影山 洋子 本間 優 前澤 純子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.547-552, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
25

最近特定の職業と肥満の関連が指摘され、職業習慣病という言葉も聞かれている。エンジニアはパーソナルコンピュターなどの使用時間が長く、肉体的活動が少なく、不規則な生活、職場のストレスなどにより肥満が多いと報告されている。これらの研究は断面調査なので、エンジニアという職業が肥満を引き起こすのか、エンジニアを目指す若者がすでに肥満なのか明らかでない。そこでエンジニア会社の入社時健診を解析することにより既に肥満が入社前より存在しているか検討した。対象はエンジニア関連会社に平成27年度に入社する20歳代の男性(エンジニア予備軍)179人で、平成26年度国民健康・栄養調査(国民調査)から同年代の男性257名、および非エンジニア企業に入社する同年代男性新入社員49人と比較した、BMI 25以上の肥満の割合はエンジニア予備軍で30.2%、国民調査で20.9%、非エンジニア18.4%で、肥満の割合はエンジニア予備軍で対照群より約10%高かった。エンジニア予備軍で血圧上昇、耐糖能異常、脂質異常症の動脈硬化危険因子を持つ割合は肥満者が非肥満者に比べ有意に高かった(P<0.001)。肝機能異常を持つ割合も同様であった(P<0.001)。腹囲85cm以上の内臓肥満を有するのはBMIによる肥満者の94.4%におよんだ。しかし、メタボリック症候群を有するのはエンジニア予備軍で3.4%、エンジニア予備軍の肥満者でも11.1%で国民調査の同年代2.2%と比べ有意な差はなかった。以上、エンジニア予備軍は入社前から肥満が存在していた。若年者の肥満は後に認知症になりやすいこと、メタボリック症候群は多くなかったが、若年者の肥満者は将来メタボリック症候群になりやすいことなどより、肥満に対して早期の介入が必要である。その際、肥満の管理を個人のみに任せるのではなく、社員の健康を重要な資産とみなす健康経営が浸透してきているので、企業の積極的な介入が入社時より望まれる。
著者
川辺 美穂 前川 理沙 土屋 一洋 日出山 拓人 椎尾 康
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.2193-2200, 2015-10-10 (Released:2016-10-10)
参考文献数
10

症例は19歳,男性.聴力障害,左下肢失調および両下肢痙縮による歩行障害で発症した.頭部造影MRIでは脳幹を中心に増強効果を伴う点状の異常信号域が散在性にみられた.ステロイドパルス療法の効果は乏しく,CLIPPERS(chronic lymphocytic inflammation with pontine perivascular enhancement responsive to steroids)症候群を疑い,経口ステロイド内服を開始したところ,下肢痙縮・画像所見ともに改善を認めた.特徴的な画像所見から本疾患を疑い,他疾患を除外したうえで早期に治療を行うことが重要と考えられた.
著者
新井 健生 小嶋 勝 前 泰志 小椋 利彦
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

局所刺激計測を実現する可搬型マイクロハンドシステム,渦流を用いた非接触マニピュレーション,連続的力学刺激を与えるマイクロ流路,長時間追尾可能な観察システム,並びに蛍光画像と明視野画像を同時に取得できる顕微鏡を実現し,以下の新たな生物学的知見を見出した.細胞と細胞核への力学刺激応答計測により,細胞核は剛性が高く,複数の細胞内骨格の存在が示唆された.核刺激の強弱にともない遺伝子の発現パターンが変化することを見出した.線虫移動時の各部位の曲率を計測し,運動パターンの相違を定量的に明らかにした.連続的な力学刺激を正常細胞とがん細胞に与え,細胞変形能の相違を定量的に明らかにした.
著者
吉野 諒三 田中 康裕 小出 哲彰 稲垣 佑典 芝井 清久 前田 忠彦
出版者
日本分類学会
雑誌
データ分析の理論と応用 (ISSN:21864195)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-24, 2019-06-01 (Released:2019-11-22)
参考文献数
13

公開データ利用促進の任務を担う情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設のプロジェクトの一部として,2018 年3 月13 日「第2 回人間・社会データ構造化シンポジウム」が開催された.特に,社会調査データの公開における個人情報保護等の法的規制と倫理的指針について,同施設の社会データ構造化センターの法律アドバイザーである牧野二郎弁護士により,一般公開の特別講義が行われた.講演に先立ち,同センターの研究者たちとの協議を経て,牧野総合法律事務所により講演資料が用意された.本稿は,筆者らがその資料を改稿し,シンポジウムでの討議や,2018 年5 月よりEU で施行されているGeneral Data Protection Regulation(一般データ保護規則)など関連資料やその後の推移の確認などを含め,官民学の社会調査関係者向けに概説したものである. 現実の法律の執行は,各研究者の解釈や意図とは必ずしも完全には一致しないこともあり得るが,本稿は実証的データに基づく人文社会科学の発展や政策立案を促進するための参考としてまとめた.
著者
前田 正登
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.33-41, 2005-09-30 (Released:2010-07-27)
参考文献数
5

The present study focused on the behavior of the ball at the time of the stroke in soft tennis, and it aimed at exploring the relations of many kinematic values at impact, and the flight behavior of the ball, while checking whether there might be an abnormal flight behavior. The flight of the ball was videotaped by three sets of video cameras, and the ball at impact was videotaped with two high speed cameras. The behaviors of these balls were analyzed. These experiments investigated the conditions of the flights of soft tennis balls, both when given a lift from an applied drive rotation and when given a sinking flight from a slice rotation. It was suggested that the difference in rate of spin given by a stroke influenced the abnormal flight behavior of a soft tennis ball, and also that when there was drive rotation or slice rotation of 40rps or more, the possibility of abnormal flight behavior occurring was high.
著者
前迫 ゆり
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学人間環境論集 (ISSN:13472135)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.141-151, 2015-03

ニホンジカの影響を大きく受けている世界遺産春日山原始林および春日野一帯はかつてどのような植生景観であり,今に至っているのだろうか。千年以上にわたる自然史を紐解くヒントが,700年代に描かれた最古の地図,鎌倉時代から室町時代に描かれた春日曼荼羅および春日権現験記などに代表される絵図にあると考えられる。本報では,日本最古の地図「東大寺山堺四至図」および鎌倉時代の春日曼荼羅などの絵図から,春日山およびその周辺の植生景観を読み取り,考察した。
著者
村上 雄飛 井上 隆 前 真之 岩本 靜男 倉渕 隆 大塚 雅之 佐藤 誠
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第1巻 給排水・衛生 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.41-44, 2014 (Released:2017-11-15)

既報に引き続き、節湯型シャワーヘッドの更なる流量削減の可能性を把握するため、シャワーヘッドの本数を増やしたり、散水板に加工を施し穴数や穴の分布を変えたりすることで、既報と本報の実験結果を総合的に分析することを目的とした。結果、最適流量時の全吐水力は0.5〜0.7N程度であり、最適流量は全吐水力により推測できること、また最適流量時のボリューム感が低いほど、また勢い感が高いほど、中央部の吐水の抜けが大きい場合も不満足となることを示した。
著者
前田 篤彦 杉山 公造 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.87, pp.117-124, 2001-09-13

本研究では,体験型科学館に設置されたインタラクティブ・システムに対するユーザの一連の行為をinquiry learningの機会として捉える.本研究の目的は,inquiry learningのための,より効果的なインタラクティブ・システムのインターフェイス・デザインとはどのようなものなのか,実験によって検証することである.そのために,二つの実験を行った.はじめの実験では,inquiry learningにおける学習達成率が容易になる条件ほど,後半時間における探索行為の減少傾向が強くなることが示された.この結果から,ヒューマン・インターフェイスをデザインする際に,探索行為によらない偶発的な学習の機会を考慮する必要性が示唆される.それゆえ,次に入力デバイスの違いによって,偶発的な学習の頻度に差がでるか検証した結果,オルタネイト・スイッチの組み合わせより,モーメンタリ・スイッチ単独によるほうが,偶発的な学習の機会が増やすことがわかった.最後に,この原因として人間の誤動作について考察する.A series of the user's actions on an exhibit of an interactive art and science museum is examined in terms of inquiry learning. The purpose of this study is to discover the more effective human interface design for the inquiry learning. For this purpose, two experiments are conducted. First experiment's results show that the higher the rate of the learning-achievement in the inquiry learning is, the higher significant decrease of the rate of the exploratory behavior in a series of actions in the latter half is. These phenomena imply that the opportunity for not only learning by exploration but also accidental learning should be considered when designing the human interfaces. Next experiment on input devices shows that one momentary switch is superior to a combination of alternate switches in terms of accidental learning. Finally, we discuss the role of behavioral error (micro slips) to accidental learning.
著者
人見 滋樹 前里 和夫 レシャード カレッド 高橋 憲太郎 永田 格 奥田 正 鈴木 庸
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.151-160, 1981-06-10 (Released:2011-08-10)
参考文献数
15

甲状腺癌23例について治療成績を中心に, 性, 年令, 組織型, 予後について報告した.I131の摂り込み陽性の16例のうち, RI療法は2例で完全寛解・13例で腫瘍縮小効果がみられ, 無効は摂り込みの極めて少なかった1例のみであった.RI療法により転移巣の縮小と減少がみられた1例で, 両側肺転移巣の切除を行なった.切除標本からRI療法の効果を組織学的に確認しえた.肺転移は女性に高率で予後は若年発癌者の方が良好であった.乳頭腺癌と濾胞腺癌とでは肺転移率と予後に差異はなかった.
著者
高見 知寛 鈴木 功一 馬場 達也 前田 秀介 松本 隆明 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.26(2006-CSEC-032), pp.209-214, 2006-03-17

本稿ではキーボード入力を取得するというキーロガーの挙動に着目し,キーボード入力に用いられるAPIの使用を検出することでキーロガーの検知を行う方式を提案する.本来のDLLの代わりにAPIの使用を検出する機能を付加した検査用DLLをプログラムにロードさせた上で試実行させることが本方式の特徴であり,ウイルス検知における動的ヒューリスティック法的なアプローチによるキーロガー検知方式となっている.本稿では本方式の基礎実験を行い,その検知率と誤検知率について評価する.
著者
前川 恵司
出版者
亜細亜大学アジア研究所
雑誌
アジア研究所所報
巻号頁・発行日
vol.154, pp.10-11, 2014