著者
中野 正大 宝月 誠 油井 清光 加藤 一巳 近藤 敏夫 藤澤 三佳 鎌田 大資 高山 龍太郎 大山 小夜
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、前回の科学研究費補助金による研究「シカゴ学派の総合的研究」(課題番号10410045)に引き続き、米国シカゴ学派社会学の諸成果に対する多角的な検討を通して、現代社会の諸問題を分析するためのより有効な社会学的土台の構築を目的とした。この目的を達成するために、初期シカゴ学派から戦後の第2次シカゴ学派まで幅広くシカゴ学派社会学の研究業績を検討した。研究成果は、およそ5つに分類できる。一つは、「シカゴ学派社会学総論」である。シカゴ学派社会学には、多様な理論的志向と方法論が混在する。その一枚岩ではないシカゴ学派社会学を統一的に理解しようと試みた。二つは、「シカゴ学派の方法論の応用可能性」である。芸術、専門職、非行など個別の研究領域におけるシカゴ学派社会学の応用可能性を明らかにした。また、近年注目されているナラティブや主観的データの研究上の取り扱いについて、その基本的発想をシカゴ学派社会学に見いだした。三つは、「シカゴ学派の理論的インプリケーション」である。シカゴ学派社会学の基底を構成している科学論や相互作用論などの抽象度の高い理論について整理をおこなった。四つは、「シカゴ学派のモノグラフ研究再考」である。コミュニティ、エスニシティ、逸脱というシカゴ学派社会学を代表する3つの研究領域のモノグラフについて詳細に検討を加え、その内実を明らかにした。五つは、「現代社会のエスノグラフィー」である、シカゴ学派社会学再考でもっとも言及されることの多いエスノグラフィーの方法を現代日本社会に応用した。以上の検討から、シカゴ学派社会学が、異質性と流動性が高まりつつある現代日本社会の研究に、十分に応用可能であることが確認された。
著者
加藤 一幾 植田 稔宏 松本 英一
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.345-350, 2008-07-15

黒ボク土地域の施設栽培において,コマツナ'夏楽天'の3作連続栽培試験(夏作(1),夏作(2),秋作)を行い,施肥前上策中(深さ0〜15cm)の硝酸態窒素量を基準量からさし引いた窒素診断施肥を行い,高温期の可食部硝酸イオン濃度を低減することを目的とした.夏作の可食部硝酸イオン濃度は標準区(N7kg・10a^<-1>)と診断施肥区(診断N7,診断N5kg・10a^<-1>)の間にはほとんど差がなく,診断施肥による低減効果はほとんどなかったが,秋作では診断施肥による低減効果が顕著にあらわれた.一方,窒素を施肥しない無窒素区では全ての栽培季節で著しい低減効果が認められた.また,夏作(2)の無窒素区では栽培期間を5日間延長することで標準区と同等の収量を得ることができた.土壌から無機化した推定窒素量は夏作におけるコマツナの窒素同化量を上回った.以上のことから高温期のコマツナ施設栽培では,より詳細に植物の窒素同化量を推定することで,収穫までに必須な窒素量を明らかにし土壌からの無機化窒素量を考慮した診断施肥の窒素基準量を設定することで,収量を維持しつつ可食部硝酸イオン濃度をさらに低減できると考えられた.
著者
加藤 一生
出版者
県立広島大学
雑誌
広島県立保健福祉大学誌人間と科学 (ISSN:13463217)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.9-20, 2004-03

広島原爆に遠距離で被爆した花嵐岩中に自然発生した長寿命核種^<36>Cl (半減期3×10^5年) の量の正確な推定を行う上で必要となる情報を得るために, カリウム (K), ウラニウム (U) ならびにトリウム (Th) 含有率を天然放射性同位元素からのガンマ線測定を行い定量した。非被爆花嵐岩中のU, ThならびにKも定量し, それらが広島周辺の岩盤ごとにどのように変わるか調べた。定量結果から, たとえば愛媛県の伊予大島からの伊予石におけるKの含有率は広島市に近い倉橋島の議院石の含有率に比べて低い, などいくつかの興味深い事柄が分かった。議院石採石場の山頂近くにあった大きな岩盤の様々な深さから採取した17個の測定結果から, UとTh含有率が岩盤のある小さな部分で極めて高いことが分かった。その最大値はUの6.5ppm, そしてThの55ppmである。このことから, UとThの含有率は議院石採石場の中の位置によってかなり変化することが推察された。

1 0 0 0 OA 人工の手・足

著者
加藤 一郎
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.7, no.12, pp.881-889, 1968-12-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
78
著者
菅野 重樹 田中 良治 大岡 俊夫 加藤 一郎
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.343-352, 1986-08-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
被引用文献数
6

人間は指と腕とを巧みに使い分け, 協調させることによって複雑な作業を可能にしている.そこで, ロボットが作業を行う際にも, 人間と同じように, その作業内容に応じて指と腕の特性を生かした指と腕の使い分けをし, 協調させて作業することが効果的であるといえる.本論文では, ロボットが行う作業として, その内容がロボットの指先における連続位置決め点の変化列として記述できる作業をとりあげ, この作業実行上でのロボットの指・腕協調制御の1手法を提案する.次に実際の作業例として, 鍵盤楽器の演奏をとりあげ, 楽譜から指・腕協調制御手法により自動的に指と腕の運動計画を決定する方法について述べる.このような協調を考慮した指・腕運動計画を決定するための評価量としては, ロボットの運動に関する物理量のうち, 時間に関する項を含まない位置 (角度) 変化量を採用した.評価関数は, 各指各関節の変化角, 手先姿勢変化量, 手先姿勢予想変化量, 手首位置移動量, 手首位置予想移動量の5種類の変化量により構成した。この評価関数において, 腕の姿勢変化よりも指の姿勢変化が多くなるように重み付けを行う.次に, 作業実行のためのロボットの行動計画内における指と腕の協調動作の設定方法であるが, ロボットの腕が作業中に単独で高速な動きとなることをさけ, 腕が動く必要がある場合には, 可能な限り指との協調動作となるような行動計画を選定するための評価関数を定めた.以上の方法を, 5本指 (14自由度) と腕 (7自由度) からなる多自由度人間形ロボットに鍵盤楽器演奏作業を行わせる場合に適用した.その結果, 人間の演奏に近いなめらかな指・腕協調動作を含む軌道を自動的に生成することができ, また実際に演奏を実現した.
著者
山口 仁一 高西 淳夫 加藤 一郎
出版者
日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.67-74, 1996-01-15 (Released:2010-08-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

As the first stage of biped walking adapting to an unknown uneven surface using an anthropomorphic biped walking robot, this paper introduces a special foot mechanism with shock absorbing material that stabilizes biped walking and acquires position information on the landing surface. The new foot has three functions: (1) a function to obtain information on the position relative to a landing surface; (2) a function to absorb the shock of the foot's landing; (3) a function to stabilize changes in the support leg. Two units of the foot mechanism were produced, a biped walking robot WL-12 RVI that had the foot mechanism installed inside it was developed, and a walking experiment with WL-12 RVI was performed. As a result, decreased vibration around the pitch axis, decreased torque demands on ankle actuators on the pitch axis, increased dynamic biped walking success probability, and acquired landing surface information was achieved.
著者
加藤一夫 著
出版者
春秋社
巻号頁・発行日
1931
著者
加藤 一実 鈴木 一行 符 徳勝 西澤 かおり 三木 健
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.110, no.1281, pp.403-407, 2002-05-01
被引用文献数
1

Ca_2Bi_4Ti_5O_<18> (CBTi245) thin films were deposited by spin-coating a precursor solution of metal alkoxides on Pt-passivated Si substrates. Thickness of the as-deposited amorphous layer affected the nucleation site, microstructure and electrical properties. The onset of crystallization of thin films to a pyrochlore phase was below 550℃ via rapid thermal annealing in oxygen. A perovskite phase developed by further annealing at temperatures of 650 or higher. The CBTi245 thin films which were prepared by multi-coating and multi-crystallizing of the 20 nm-thick amorphous layer showed random orientation, a columnar-like structure, and P-E hysteresis loops.
著者
林 成忠 木村 喜保 呉 啓変 米良 豊常 西原 達次 野口 俊英 木下 四郎 加藤 一男
出版者
JAPANESE SOCIETY OF PERIODONTOLOGY
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.919-935, 1983
被引用文献数
7 1

アパタイト (Hydroxyapatite Ceramic) を歯周治療に応用する可能性を調べるために, 外科的に形成したサルの3壁性歯槽骨欠損に, 粒子 (1) 600μ以上 (2) 100-400μ (3) 10μ3種類の大きさのアパタイトをそれぞれ移植し, 臨床的ならびに組織学的に観察した。その結果, (1) 臨床的には, 異常な炎症は認められなかった。また, 規格X線写真によると, アパタイトは殆ど骨欠損にとどまっており, 排出される徴候が認められなかった。(2) 組織学的には, 粒子600μ以上および粒子100-400μのアパタイトを移植した部位では, 一部アパタイトは直接に新生骨に接している像が観察された。これはアパタイトの骨親和性が高い事を証明している。以上より, アパタイトは歯槽骨欠損部の人工移植材として, 使用しうる材料であると思われる。
著者
加藤 一郎 平賀 紘一 西条 寿夫 近藤 健男 武田 正利
出版者
富山医科薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は中枢神経系を含む全身で非ケトーシス型高グリシン血症・脳症の原因蛋白質であるH蛋白質を欠損するマウスを作製し、高グリシン血症・脳症の成因や病態を明らかにすることにある。平成16年度の研究は以下の通りに順調に進行した。1.マウスのグリシン開裂酵素系H蛋白質遺伝子のエキソン1周囲に2か所のloxP部位を導入したキメラマウスを5匹得た。うち2匹が変異遺伝子のgerm-line transmissionを示した。2.上記マウスとCre Recombinase遺伝子導入マウスを交配して、loxP間のエキソン1を含むゲノムDNA領域を欠損したH蛋白質遺伝子ヘテロ欠損マウスを得た。3.抗H蛋白質ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロット解析では、ヘテロ欠損体でH蛋白質が50%に減少していることが確認された。4.次にホモ欠損マウスを得るためにH蛋白質遺伝子ヘテロ欠損マウス同士を交配し、その子孫のgenotypeをPCR法およびサザンプロット法で解析した。ホモ欠損マウスは全く得られなかった。ヘテロ欠損体では出生直後に体内出血・体幹異常を示す異常個体が散見された。5.さらに胎生14日目までさかのぼって胎児を遺伝子解析すると、野生型26:ヘテロ欠損33:ホモ欠損0であった。ヘテロ欠損体はメンデル則で予想される数より少ない傾向が見られた。本研究の結果、H蛋白質遺伝子ホモ欠損マウスは全く発生できないか、極めて早期に胎生致死となっていることが示唆され、本蛋白質がマウスの正常発生に必須であることが、はじめて明らかになった。今後H蛋白質が50%に減少しているヘテロ欠損マウスを用いて、H蛋白質がさまざまな臓器ストレスに対する耐性獲得に果たす役割の検討が可能になった。さらに薬剤誘導可能な、あるいは臓器特異的なCre Recombinase遺伝子発現マウスとの組み合わせにより、条件特異的なH蛋白質欠損マウスを作製し肝臓や脳、心臓などの主要臓器におけるH蛋白質の生体内機能を深く探求することができる。
著者
岡田 信弘 高見 勝利 浅野 善治 只野 雅人 笹田 栄司 武蔵 勝宏 常本 照樹 佐々木 雅寿 加藤 一彦 稲 正樹 木下 和朗 新井 誠 齊藤 正彰
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

衆議院と参議院の多数派が異なる、いわゆる「ねじれ国会」が出現した結果、日本の国会における立法活動は混迷状態に陥った。本共同研究は、この混迷状態の制度的・政治的要因を探りつつ、そうした状態を解消・克服するための方策を従来の二院制に関する憲法学的研究とは異なった視角からの分析を通して明らかにすることを試みた。具体的には、従来の類型論的・解釈論的研究に加えて、統治構造論を視野に入れた実証的な比較立法過程論的研究を実施した。
著者
秋元 英一 須藤 功 村山 祐三 地主 敏樹 加藤 一誠 佐藤 千登勢 山本 明代 久田 由佳子 原口 弥生 橋川 健竜 篠原 総一 篠原 総一
出版者
帝京平成大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ニュー・エコノミーと呼ばれる情報技術革命とグローバリゼーションを基盤とした経済システムのパターンは1990年代以降のアメリカに典型的に見られたが、それの進展の内的メカニズムと労働、金融、テクノロジーを含む経済的、歴史的諸側面を解明し、国際シンポジウムを開催し、内外研究者の交流を図ると同時に、その成果を千葉大学公共センターの英文ジャーナルに全面的に公表した。
著者
竹中 康治 加藤 一誠 村上 英樹 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 浦西 秀司 辻本 勝久 乾 友彦 乾 友彦 井尻 直彦 呉 逸良 轟 朝幸 村上 英樹 松本 秀暢 手塚 広一郎 吉田 雄一朗 辻本 勝久 浦西 秀司 三枝 まどか
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本の航空・空港政策には改善すべき点が多い。まず, 航空の自由化は経済学的にも望ましいことが証明された。なぜなら, 二国間協定よりも多国間協定の方が経済厚生は大きくなり, 低費用航空会社の参入も経済厚生を改善するからである。そして, 規制の強化ではなく, 市場を通じた航空会社の安全性の向上も可能である。また, 空港政策については必ずしも所有・運営に民間の参入が望ましいとはいえない。同時に, 格付けのあるレベニュー・ボンドには空港の運営規律を維持する作用があることも明らかになった。
著者
加藤 一彦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本の議院内閣制の特質に関する研究である。特に、参議院が「強い権限」を行使したとき、内閣統治がどのような変化を経験するかについて、論究した。その中で、(1)両院協議会の改革の方向性と立法改革の必要性、(2)内閣の連帯責任制が、事実上、個別大臣責任制に変化し、政治過程において内閣権限の強化が困難になった点を解明した。