著者
斎藤 博 向井 茂 寺西 鎮男 谷川 好男 藤原 一宏 浪川 幸彦 内藤 久資 齋藤 博
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1.Alexeev,Sankaran教授を招いて1997年5月に名古屋大学においてモジュライ多様体の研究集会を開催し、アーベル曲面のモジュライに対する結果を発表するとともに一般次元主偏極の場合のトーリックコンパクト化について議論した.また、6月の数理解析研究所でもう一度会って、理解を深めることができた.この方面では(1、5)型と(1、4)型の場合に標準レベル付偏極アーベル曲面のモジュライ空間と対応する正多面体多様体の間の双有理写像を具体的に構成した.対数多様体の概念を使うと見通し良くなることと可積分系との関係がこの研究で得られた新しい知見である.2.夏からは研究計画3)の幾何学的不変式論に本格的に取組み1997年12月にはMumfordのものとは違ってlinearizationの取り方によらない商多様体の構成を発見した.これについては具体的な例でその有効性を検証中である.また、幾何学的不変式論の基礎を検証し、不変式環の有限生成性や簡約代数群の線型簡約性の証明を簡素化することができた.3.1996年度より続いている3次超曲面の周期写像の研究では幾何学的不変式論で得られるモジュライ空間と対称空間の数論的商を比較し、モジュライ空間としてふさわしいコンパクト化の候補を見つけた.これは本来問題としていたK3曲面のモジュライ空間のコンパクト化についても示唆を与えている.次数の低い場合に安定K3曲面の候補を色々実験している.
著者
胡 亜波 趙 希禄 萩原 一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2009, pp."531-1"-"531-5", 2009-08-03

In recent years, the structures which used origami engineering attract much attention. It can be applied in many fields, such as automobile, building, medical care and so on. In this paper, it is focused on the reversed spiral cylindrical (RSC) origami structure, which is designed by Nojima. This structure is expected to use in side member and beverage containers. An automatic crashworthiness analysis system is developed to generalize different types of RSC origami structures which can transform RSC origami structures from polygon thin wall structures with a group of parameters automatically.
著者
岡林 秀樹 大井 直子 原 一雄
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.127-133, 1995
被引用文献数
1

Thls study examined the changes in college students' view of life through three periods: the 1960s, 80s, and 90s. Approximately 3000 students at a liberal arts college responded at least once during the periods to a questionnaire with 13 descriptions (13 Ways to Live; Morris, 1956). Factor analyses, with principal component analysis and varimax rotation, found four factors that were common to the three subject groups. An examination of factor scores revealed that the first factor, "Sympathy and Service, " decreased while the fourth, "Comfort and Variety, " increased in the 80s and 90s, suggesting that an individualistic yet conforming tendency became more prominent in the latter periods than the 60s. While the third factor, "Active Action, " increased during the four college years in the 60s, it decreased in the 80s. These changes may have reflected the campus unrest in the 60s and the subsequent student apathy in the 80s. A recent increase in the fourth factor, especially among sophomores, seems to reflect the current characteristics in college students' view of life, namely a "moratorium" tendency.
著者
趙 希禄 胡 亜波 萩原 一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.76, no.769, pp.1131-1138, 2010-09-25
参考文献数
8
被引用文献数
1

As regard to car frontal crash, previous researches have indicated that the front side member plays a major role in energy absorption. For protecting the passengers, the front side member is expected to absorb crash energy as much as possible. In this study, we investigated the crash characteristics of half cut type side member structure by optimal design method to improve energy absorption ability. We developed an automatic optimal design system, in which the analysis meshes are generated with a group of design parameters and shape optimization is carried out automatically, The design variables are side member cross section shape, spot welding pitch length, divisional section numbers and radius difference along the axial direction, and the number of subdivision levels. As the result, the optimal side member structure with half cut type is capable of absorbing 1.44 times (1.29 times per unit mass) more energy than the original rectangular cross sectional side member structure with half cut type which is generally used.
著者
萩原 一郎 野島 武敏 杉山 文子 小机 れかえ 安井 位夫 篠田 淳一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

軽量で高剛性、高強度のコア構造は省資源に役立つことからますます重要となる。コアの代名詞でもあるハニカムコアは熱に弱く、高価であるもののハニカムに代わるものは得られていない。本研究提案の、折紙工学と空間充填理論によって得られたダイアコアは「日本の折紙の産業応用への大いなる可能性」として本年7月にNatureに取り上げられた。この可能性ある折紙工学が確かに産業応用されるためには計算力学援用による安価な成型法の確立、機能の最適化が必要である。これまでの強度・剛性に関する検討からダイアコアはハニカムコアに総合力で優ることが示され、10月9日の日刊工業新聞の第1面に取り上げられた。更に、我々は既存の角柱型のコアモデルとは全く異なる、正多面体、準正多面体の空間充填形や、捩れ多面体等の形を持つ数々の独創的なコア構造を創案している。本研究では、ダイアコアの安価な製造法の確立、遮熱、吸音・遮音などの機能創出などを行うとともに、角柱型でない新しい概念に基づくコア構造に関しても同様に、計算力学を援用し新しい意匠デザイン、機能創出と安価な成型法の開発を目指した。ただし、今回の期間(平成20年4月-5月)では、ダイアコアの成形シミュレーションの手法開発を行った。
著者
北川 裕之 三上 雅久 菅原 一幸 菅原 一幸
出版者
神戸薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

研究成果の概要 : 硫酸化グリコサミノグリカンと呼ばれる糖鎖は、タンパク質と共有結合をしたプロテオグリカンと呼ばれる形で、ほとんど全ての細胞表面や細胞と細胞との間隙に存在している。最近、ヒトの癌や遺伝病の原因として硫酸化グリコサミノグリカン鎖の合成異常の実例が多く示されている。本研究では、硫酸化グリコサミノグリカン鎖がどのように合成され、どのようにその機能を発揮するのか、またその合成がうまくできないとなぜ異常が生じるかを細胞レベル解析し、その一例を示した。
著者
小原 一郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.73-78, 2011 (Released:2011-05-01)
参考文献数
3
被引用文献数
2 1

2011年に,IPCはフルIPCとなり,コアレベル・アドバンストレベルが統合され,IPCの内容が変更されるとともに,IPC改正の手続きも変更された。このような背景には,三極や五庁を中心に検討されている分類調和プロジェクトを通じたIPCの細分化も無関係ではない。2011年はこの分類調和プロジェクトが三極から五庁にその舞台を本格的に移行することとなっている年でもあり,五庁における分類調和プロジェクトである,共通ハイブリッド分類プロジェクト(CHC)がどのようなものであるのか,およびどのような手続きによって進められているのか,わが国特許庁における検討体制も交え説明をするものである。
著者
小野江 和則 岩渕 和也 小笠原 一誠
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

NK-T細胞の分化と機能について研究を行った。先ずリンパ節、パイエル板を欠くaly/alyマウスにおいて、NK-T細胞の分化障害があり、これはaly/alyマウスの胸腺構築異常に起因することを、骨髄キメラを用いて初めて明らかにした。次に、NK-T細胞がVα14を発現しないTCRトランスジェニックマウス(DO11.10)においても産生されること、これらはクローン消去、及びアナジーによるnegative selectionを受けることを明らかにした。さらにNK-T細胞の分化にはチロシンキナーゼのZAP-70の存在が必須であることを明らかにした。また、ZAP-70ノックアウトマウス胸腺には、NKl.1^+TCRαβ^-細胞が増加しており、これらをPMAとイオノマイシンで刺激するとVα14NK-T細胞に分化することを明らかにした。従ってZAP-70ノックアウトマウスのNKl.1^+TCRαβ^-細胞は、NK-T細胞の前駆細胞であることが判明した。さらにaly/alyマウスにおけるNK-T細胞分化欠落の原因を明らかにする研究を行い、NIK突然変異の影響が、胸腺髄質細胞の機能不全を誘導し、その結果NK-T細胞のpositive selectionが生じないことを明らかにした。従って、NK-T細胞の分化には、CD4^+8^+肺腺細胞上のCD1分子と、胸腺髄質上皮細胞からの第2シグナルが必要なことが判明した。最後に自己免疫マウスのNK-T細胞を解析し、1prマウスでは異常がないこと、(NZB/NZW)F1マウスでは加齢とともにNK-T細胞が減少することを明らかにした。NK-T細胞の減少は、自己抗体によることを示唆する結果が得られつつある。
著者
佐藤 英次 浅岡 康 出口 和広 伊原 一郎 箕浦 潔 藤原 小百合 宮田 昭雄 伊藤 康尚 居山 裕一 柴崎 正和 菊池 克浩 久保 真澄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.30, pp.9-12, 2010-07-23

我々はポリマーネットワーク液晶(PNLC)を用いた60インチ型のシースルーディスプレイを開発した。このディスプレイは、TFTパネルと散乱-透過表示を組み合わせた世界初の大型シースルーディスプレイである。また、このシースルーディスプレイとプロジェクタの組み合わせによって実現したカラー表示システムは、他のディスプレイとは一味違うアイキャッチ効果を可能とする。これらのモノクロ表示およびカラー表示のディスプレイは、インフォーメーションディスプレイやデジタルサイネイジ、さらには窓の置き換えのような新しいディスプレイ応用商品への展開が見込まれる。
著者
星 座 小沼 純貴 千葉 香織 菅原 一晴 赤塚 邦彦 宇都 正幸
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1129-1133, 1999-12-05
被引用文献数
1

弱酸性領域におけるアミノ多糖類キチンのアセチルアミノ基のプロトン化に基づく陰イオン交換体としての機能を利用し, 銅をそのバンクプロインジスルホン酸 (BCS)錯陰イオンとして濃縮した後, キチン相の反射吸光度を直接測定して銅を定量する方法を検討した. 銅はpH5の水溶液 20 cm^3からキチン相20mg上にBCSキレートとして短時間のかくはん時間で迅速に濃縮された. キチン相中の1 μgまでの銅と484 nmにおける固相吸光度との間に直線関係があった. 銅0.5μg, 9回測定の相対標準偏差は2.89%であった. VO_3^-やFe^<3+>の許容量はやや低かったが, 金属イオン, 還元剤及び一般の無機陰イオンなどは1000〜10000倍共存しても影響しなかった. 本法により国立環境研究所の生物標準試料中の銅の定量を行った結果, 鉄の共存量が比較的少ない試料中の銅の分析値は保証値と良く一致した.
著者
渡利 徹夫 江尻 晶 森下 一男 佐貫 平二 渡辺 二太 西村 清彦 天野 恒雄 成原 一途 岡本 正雄 笹尾 真美子 霍 裕平 沈 慰慈 沈 学民 李 健剛 張 大慶 王 孔嘉 兪 国揚 王 兆申 方 瑜徳 張 暁東 万 元熈 万 宝年 邵 育貴 朱 思錚 武藤 敬 関 哲夫 熊沢 隆平 大久保 邦三 岡村 昇一 足立 圭三 東井 和夫 佐藤 哲哉 孟 月東 藤原 正巳 羅 家融 藤田 順治 SHEN Xuemin SHEN Weici FANG Yude WANG Zhaoshen WANG Kongjia YU Guoyang HUO Yuping WAN Yuanxi WAN Baonian LI Jiangang ZHANG Daqing ZHANG Shaodong LUO Jiarong MENG Yuedong SHAO Yugui ZHU Sizheng 万 元煕 李 建剛 愈 国揚
出版者
核融合科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本計画立案時点において、トーラス型プラズマ装置として核融合科学研究所(NIFS)ではJIPP T-II U及びCHSが稼働中であり、準定常運転を目指す大型のLHDが建設中、他方合肥の等離子体物理研究所(ASIPP)ではHT-6M装置が稼働中、準定常運転を目指す大型のHT-7が建設中であった。またこの時点では「高ベータプラズマの閉じ込め研究」を共同研究の主要なテーマとしたが、基本となるプラズマ加熱が未だうまく行かない状態にあったASIPP側では大電力イオンサイクロトロン加熱の実現をHT-6Mの第一優先項目としたので、本計画もこの方面への研究協力に力点を置くことにした。本計画の3年間に、日本から合肥への派遣延べ21名,合肥から日本への招聘延べ18名を含む交流が実行された。平成5年度:ASIPPは採用していたカーボンリミターの材料の選択に問題があるとしてこれを撤去した。引き続きイオンサイクロトロンアンテナのファラデイシールドと呼ばれる部分の構造に問題があるというNIFS側の指摘に基づきこれも撤去した。これらの結果として、加熱の効果を示す「アンテナの負荷抵抗の増大」が観測された。NIFSのイオンサイクロトロン加熱において実績のあるチタンゲッターをHT-6Mに持ち込み不純物の制御を試みた。その結果ターゲットプラズマの質が向上した。入射電力は多少増大したものの未だ本格的な加熱には至らなかった。平成6年度:NIFSにおいて実績のある、固体ボロンを使ったボロニゼーションを試みた。不純物の流入が減少し、表面加熱に関する実験を行なう事が出来た。不純物の問題はいくらか改良されたものの、アンテナは絶縁破壊が起り大電力入射を妨げている。これを解決するために「長いアンテナ」を製作することにした。NIFSは2イオン共鳴加熱に移行することを主張していたが、HT-6Mでは磁場を0.9T以上にする上での技術的問題とASIPP内の実験テーマの優先順位の問題があって、2イオン共鳴加熱への移行は持ち越すこととなった。NIFSではLHDのイオンサイクロトロン加熱のための技術開発研究を行なっている。この一部としてASIPPの同軸切替器を改造して使用することにした。平成7年度「長いアンテナ」を装着し、第2高周波加熱以外に2イオン共鳴加熱の実験も行なった。予備的なものであったが、水素と重水素の成分比等の基本データも
著者
鈴木 郁美 原 一夫 新保 仁 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.65-70, 2009-01-15

コーパスから抽出した文脈情報により作成する専門用語グラフに対し,グラフを辿ることで節点間の類似度を計算する手法を適用し,類義語獲得に応用した.雑誌 「蛋白質・核酸・酵素」 をコーパスとして用いた実験で,コーパスでの出現頻度が少ない専門用語をクエリとして与えた場合,ラプラシアン拡散カーネル行列を用いた手法が比較的高い精度を示した.この結果は,専門性の高いレアな用語を既存のシソーラスに登録する場面において,ラプラシアン行列ベースの手法の有効性を示唆するものである.We apply graph-based methods to problems of biomedical synonym acquisition. Given a graph of biomedical terms constructed from a corpus, the methods calculate term similarities by traversing the graph to capture shared features between nodes. An experimental study shows that, for query terms appearing less than three times in the corpus, the Laplacian diffusion kernel gives better accuracy than the methods based on the adjacency matrix.
著者
笠原 一人
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

明治期に5回にわたって開催された内国勧業博覧会や大正期と昭和期のいくつかの大規模な博覧会を事例として資料を収集し、博覧会が都市の観光化に及ぼした事例を調査した。その結果、1895年に京都で開催された第4回内国勧業博覧会と平安遷都千百年紀念祭の開催時に都市の観光化が進められ、またその後の博覧会でも同様の手法が用いられたことが明らかになった。その手法は多彩で、道路整備や都市施設整備も見られるが、鉄道のネットワークの活用や観光案内書や錦絵、広告など、広義のメディアを駆使したイメージ戦略が目立つものであった。
著者
齋藤 秀司 小林 亮一 松本 耕二 藤原 一宏 金銅 誠之 佐藤 周友 斎藤 博 向井 茂 石井 志保子 黒川 信重 藤田 隆夫 中山 能力 辻 元
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

当該研究は(I)高次元類体論および(II)代数的サイクルの研究のふたつの大きな流れからなる。(I)高次元類体論は高木-Artinにより確立された古典的類体論の高次元化とその応用を目指している。この理論の目指すところは数論的多様体のアーベル被覆を代数的K理論を用いて統制することで、幾何学的類体論とも言える。整数環上有限型スキームにたいする高次元類体論は当該研究以前に加藤和也氏との一連の共同研究により完全な形で完成することに成功した。高次元類体論はその後もρ進Hodge理論などの数論幾何学の様々な理論を取り入れつつ展開し、世界的なレベルで研究が続けられている。当該研究の高次元類体論における成果として、整数論においてよく知られた基本的定理であるAlbert-Brauer-Hasse-Noetherの定理の高次元化に関する結果がある。(II)主要な目標は"代数的サイクルを周期積分により統制する"という問題に取り組むことである。この問題の起源は19世紀の一変数複素関数論の金字塔ともいえるAbelの定理である。当該研究の目指すところはAbelの定理の高次元化である。これは"高次元多様体X上の余次元γの代数的サイクルたちのなす群を有理同値で割った群、Chow群CH^γ(X)の構造をHodge理論的に解明する"問題であると言える。この問題への第一歩として、Griffithsは1960年代後半Abel-Jacobi写像を周期積分を用いて定義し、CH^γ(X)を複素トーラスにより統制しようと試みた。しかし1968年MumfordがCH^γ(X)はγ【greater than or equal】2の場合に一般には複素トーラスといった既知の幾何学的構造により統制不可能なほど巨大な構造をもっており、とくにAbel-Jacobi写像の核は自明でないことを示した。このような状況にたいし当該研究はBloch-Beilinsonによる混合モチーフの哲学的指導原理に従い、GriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する高次Abel-Jacobi写像の理論を構成し、GriffithsのAbel-Jacobi写像では捉えきれない様々な代数的サイクルをこれを使って捉えることに成功した。この結果により高次Abel-Jacobi写像がAbelの定理の高次元化の問題にたいする重要なステップであることが示された。当該研究はさらに発展しつつあり、Blochの高次Chow群、Beilinson予想、対数的トレリ問題、などの様様な問題への応用を得ることにも成功している。
著者
山口 佳三 石川 剛郎 清原 一吉 泉屋 周一 佐々木 武 佐藤 肇 大仁田 義裕 中居 功
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

研究の目的は,微分方程式系をJet空間の部分多様体として,幾何学的対象ととらえて,接触同値問題を核に,微分幾何学および特異点論の手法で研究することにある。今年度は最終年であるので,当初に掲げたつぎの6つのテーマをそれぞれまとめる研究を行った。(1)二階一未知関数偏微分方程式系の接触同値問題,特にE.CartanによるG_2-modelを多変数に一般化したG_2-型偏微分方程式系の研究。(2)Monge-Ampere方程式の解の特異点と衝撃波の構成。(3)微分方程式系のsymbolより生じる階別Lie環の研究および高階有限型微分方程式系(完全積分可能系)の同値問題とその応用。(4)線形高階有限系微分方程式系の同値問題の射影部分多様体論とGauss-Schwarz理論への応用。(5)微分式系の種数の概念のWebb幾何による意味付け。(6)測地流が完全積分可能系となるRiemann多様体の構造解明。(1)の課題については、成果発表として,Duke大学Bryant教授,Columbia大学倉西教授,Minesota大学Olver教授を訪れ活発な討議と共同研究を行った。(2)の課題は、泉屋が,まとめを雑誌「数学」に発表した。(3),(4)の課題は、高階常微分方程式系の同値問題を含み、背足による線形可積分系の線形同値問題を接触同値問題に発展させる研究である。基本的な成果を今年,研究代表者が八ツ井とともに公表した。(4)については,背足の線形方程式系に対する剛性定理の射影幾何学的解釈を研究代表者が,Jun-Muk Hwang教授(KIAS)とともに,まとめた。(6)の課題は、Liouville曲面の一般化の研究であり、完全積分可能系の大局的理論である。清原が,今年はそのKahler版をまとめた。