著者
川瀬 啓祐 紙野 瑞希 所 亜美 正藤 陽久 飯田 伸弥 生江 信孝 金原 弘武 楠田 哲士
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.73-80, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
31

飼育下ハートマンヤマシマウマ(Equus zebra hartmannae)の雌1頭において,血中および糞中の性ステロイドホルモン濃度の測定,腟粘膜上皮細胞像の観察および直腸温測定を実施し,発情周期を調査した。血中エストラジオール-17β 濃度がピーク値を示した後,血中プロジェステロン濃度の上昇がみられた。糞中プロジェステロン代謝物濃度動態は血中での動態と類似しており,血中濃度と採血日から2 日後の糞中の濃度は有意な正の相関(r=0.80)を示した。糞中プロジェステロン代謝物濃度の動態はプロジェステロン分泌をよく反映していることが明らかになった。糞中プロジェステロン代謝物濃度の動態は年間を通して周期的な増減を示し,平均23.1±2.3日間の発情周期が確認された。無核角化上皮細胞の割合は,糞中プロジェステロン代謝物濃度が低い非黄体期に増加する傾向がみられたが,有意な変化ではなかった。直腸温については非黄体期に増減変化がみられ,ヒトなどで一般的に知られている黄体期の基礎体温上昇は確認できなかった。
著者
上西 紀夫 田尻 久雄 炭山 和毅 相原 弘之 大谷 友彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.328-332, 2011 (Released:2011-05-18)

われわれは,2010年4月に米国消化器内視鏡学会(ASGE;American Society for Gastrointestinal Endoscopy)事務局を訪問した.ASGEは2002年に運営方式の大幅な改革がなされself managementとなった.現在は様々な部門に細分化され,組織として積極的にマーケティングを行っている.また会員の技術向上のため,学会が直接運営するトレーニングセンターで技術講習を定期的に開催したり,世界各国の内視鏡学会とcollaborationを行っている.両学会の発展のために,今後両者の関係をより強固なものにしていきたい.
著者
三原 弘 廣川 慎一郎 伊井 みず穂 若杉 雅浩 帯田 孝之 石木 学 岸 裕幸 北 啓一朗 関根 道和 足立 雄一
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.187-192, 2021-06-25 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

コロナ禍で集合型の医行為訓練が困難となり, 新入生蘇生講習会と基本的診療技能実習をビデオ学修・評価とICTを利用して対面指導なしで実施した. 蘇生講習会は自宅でビデオ学修後に, マネキンを用いて自身の実施を撮影し, 後日Zoomでグループ・ピア評価を行ったところ, 自己評価の有意な上昇が観察された. 基本的診療技能実習もビデオ学修をしながら自身のペースに合わせて実施を撮影し, 後日教員がビデオ評価, フィードバックを行った. 例年四肢脊柱実習は実施できていなかったが, 対面指導がないために, 逆に可能となった. 今後, 学生による動画登録と教員による動画評価のタイミングのずれの調整や更なるシステム構築が必要である.
著者
新井 直人 中山 雅之 新井 郷史 川﨑 樹里 花輪 幸太郎 黒崎 史朗 渡邊 真弥 間藤 尚子 坂東 政司 萩原 弘一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.221-225, 2023-05-25 (Released:2023-06-13)
参考文献数
15

背景.肺末梢病変を呈する放線菌症は,気管支鏡検査で確定診断することが難しく,肺癌や肺結核との鑑別目的に外科的肺切除を必要とすることが少なくない.症例.47歳男性.咳嗽・血痰を主訴に受診した.胸部CTで右肺S1末梢に限局した浸潤影を認め,内部に気管支の拡張像を伴っていた.気管支鏡検査でガイドシース併用気管支腔内超音波断層法を用いて,病変から生検を複数回行い,嫌気培養の結果Actinomyces graevenitziiによる肺放線菌症と診断した.呼吸不全なく,6カ月間のアモキシシリン内服治療で陰影はわずかな瘢痕を残して消退し,その後再燃なく経過した.結論.内部に気管支拡張像を伴う肺末梢病変の鑑別に肺放線菌症が挙げられる.起因菌分離のための気管支鏡検査を施行する場合,病変内部で生検を複数回行い,さらに検体を嫌気培養に提出することが重要である.
著者
中原 弘美 多賀谷 正俊 西田 宜弘 近藤 亜子 松原 有為子 田村 康夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.429-439, 2013-11-25 (Released:2015-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
3

機能的矯正装置ムーシールドにて幼児期反対咬合の治療を行い,治療効果と,どこにどの様な形で治療の効果が現れているかについて検討したものである。被検児は反対咬合小児66 名(平均年齢5 歳1 か月)を対象として,機能的矯正装置ムーシールドにて治療を行い,治療の有効性と被蓋改善までの治療期間について検討を行った。次いで,66 名のうち16 名を対象として,治療前後における模型分析と側面セファロ分析を行い,また口蓋形態から口蓋縦断平面の変化について検討した。その結果,78.8%に被蓋の改善が認められ有効と判定された。治療期間は平均9.8 か月で,開始年齢や歯齢別で差は認められなかった。乳犬歯間距離は,上顎は有意に増大し下顎は小さくなっていた。一方,長径では上顎は乳中切歯と両側乳犬歯間が有意に増大し下顎は減少していた。セファロ分析では,ANB, FMA, Y-Axis で有意な増加が認められ,またAPDI で有意な減少が認められた結果,下顎の後退と時計方向の変化が認められた。歯槽性では,U1 to SN, U1 to FH の角度はそれぞれ有意に増加し,またL1 to MP の角度は有意に減少した。また口蓋の縦断面積において,治療後は有意な増加がみられた。以上から,機能的矯正装置ムーシールドは幼児期における反対咬合の治療に有効であり,歯や顎骨に対し直接的な矯正力を働かせなくても前歯の傾斜だけでなく上下顎骨の位置関係や口蓋の形態にまで変化をもたらしていることが明らかとなった。
著者
奥田 慶太郎 原 弘道 川本 浩徳 竹越 大輔 内海 裕文 和久井 大 皆川 俊介 沼田 尊功 荒屋 潤 桑野 和善
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.595-601, 2021-11-25 (Released:2021-12-17)
参考文献数
15

背景.外因性リポイド肺炎は,脂質成分を含む物質の吸入で起こる肺炎で有効な治療法はない.Mycobacterium massiliense感染症はM. abscessus complexに属する稀な抗酸菌感染症である.両者の報告は近年増加しているが,合併の報告は少ない.症例.25歳女性.発熱,胸痛,呼吸困難を主訴に当院を受診した.胸部CTにて多発浸潤影を認め,同部位で回収した気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid;BALF)のDiff-Quick染色では多数の脂肪貪食マクロファージを認めた.経気管支肺生検(transbronchial lung biopsy;TBLB)では多数の油滴,油滴周囲の形質細胞浸潤を認め,リポイド肺炎と診断した.病歴より食用サラダ油の誤嚥が原因の外因性と考えられた.また喀痰,BALFの抗酸菌塗抹,培養が繰り返し陽性となり,質量分析にてM. massilienseが同定されたことから,外因性リポイド肺炎にM. massiliense感染を合併したと考えられた.リポイド肺炎に対しては,気管支鏡下区域洗浄,短期ステロイド投与,M. massiliense感染に対しては多剤併用化学療法を行ったが,改善,増悪を繰り返し,明らかな改善までに約9か月を要した.結論.我々はリポイド肺炎にM. massiliense感染を合併した1例を経験した.リポイド肺炎に抗酸菌感染を合併すると抗酸菌治療がより困難となる可能性がある.
著者
上原 弘久 守屋 秀一 鶴上 浩規 波多江 文俊 最上 敦彦
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.310-313, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
6

スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対してプレートを用いて行った観血的骨接合術の成績を前方設置群(前方群)と上方設置群(上方群)に分け比較し検討した.対象は15例(前方群6例,上方群9例)であった.検討項目は競技復帰までの期間,肩関節自動挙上が180度になるまでの期間,JSS Shoulder Sports Score,術後の疼痛・感覚障害,皮膚トラブルの有無とした.競技復帰までの平均期間は,前方群で1.3 ± 0.4(SD)ヶ月・上方群で2.3 ± 0.8ヶ月であり前者で短期復帰可能であった(p=.011).自動挙上が180度になるまでの期間はそれぞれ1.6 ± 0.8,1.7 ± 0.9ヶ月,JSS Shoulder Sports Scoreはそれぞれ83.3 ± 5.6,81.5 ± 13.4点であった.術後の疼痛は両群とも2例ずつ,感覚障害は上方群で2例認めた.皮膚トラブルは上方群で3例認め,全例で抜釘術を施行した.スポーツ選手の鎖骨骨幹部骨折に対するプレート固定術において,プレートの前方設置は上方設置より早期の競技復帰が可能で術後皮膚トラブルによる抜釘が少ないため有用であると考えられる.
著者
中西 正尚 山田 賢 中原 弘美 田村 康夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.669-679, 2005-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本研究は,授乳方法と口腔機能発達との関連を検討する目的で,2歳児から5歳児の1357名(平均年齢3歳7か月)の保護者を対象にアンケートによる調査を行いその結果を分析,検討した.出生後3か月までの授乳方法から母乳哺育群(Br群),混合乳哺育群(Mix群),人工乳哺育群(Bo群)の3群に分類すると,Br群が399名(29.4%),Mix群が811名(59.8%)で,Bo群が147名(10.8%)であった.離乳に関して,離乳食開始時期,離乳食終了時期,断乳時期ともに授乳方法問に差は認められなかった.現在の食べ方について,18項目中,咀嚼の上手下手,前歯で噛みきる食べ物,食べ物の吐き出し,食べこぼし,食生活のリズム,食事の自立の6項目において群間の有意差が認められ,いずれもBr群が良好な発達を示していた.その他の関連項目で,吸指癖,おしゃぶり,言語発達の遅れ,性格面に有意差が認められた.以上より,アンケートではBr群が全体的に良好な咀嚼発達を示し,Bo群の食行動に一部問題がみられたことから,授乳方法はその後の咀嚼の発達に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.
著者
杉本 旭 蓬原 弘一 染谷 美枝
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.174-183, 1998-03-10 (Released:2018-03-02)

安全はリスクを許容できる限界まで下げることであり, 最悪の状況を想定した危険性評価(リスク評価)をまず行う。しかし, その評価に基づく防護策は, リスクの低減効果(確率)を求めながらも, 防護策の故障時の防護機能維持, 具体的には故障時機械が停止できることの立証(安全立証)を要求している。ここでは, 安全の確保が, まずリスク評価(確率論)によって危険性を認識するが, 高リスクに適用すべき高安全性が, 防護の構造に対する立証性を求めていることを示し, そのための基本的な論理について説明する。
著者
松永 裕樹 高橋 正道 大倉 淑寛 志水 祐介 前原 弘武 北川 幹太 山川 潤 杉山 和宏 三上 学 濱邊 祐一
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.353-358, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
9

外傷性腹部大動脈損傷は稀だが, 死亡率が高く, 迅速な診断・治療が肝要である. 当院はCTと透視装置を備えたハイブリッドERを有し, 移動を伴わず, 蘇生・診断・治療が可能である. ハイブリッドERで, resuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (以下REBOA) で出血を制御し, ステントグラフト留置で救命した1例を経験した. 70歳代男性. ワゴン車乗車中の事故で, ショック状態で搬送された. CTで血管外漏出を伴う腹部大動脈損傷がみられた. REBOAを大腿動脈からZone3に留置し, 出血制御後, 手技中の循環安定のため, 左上腕動脈からの留置に変更した. コイリング, ステントグラフト留置で止血を得た. ハイブリッドERでのステントグラフト治療は, 移動を伴わず迅速な診断・治療が可能である.
著者
荻原 弘明
出版者
東南アジア学会
雑誌
南方史研究 (ISSN:2185050X)
巻号頁・発行日
vol.1963, no.3, pp.65-74, 1963-08-15 (Released:2010-10-22)

The complete name of the so-called Hmannan Yazawin is “The Great Royal Glass-Palace Chronicle of the Kings of Burma”. The Ist edition was published, in four or five volumes (?), at Mandalay in 1857-1878 under the Burmese dynasty. Only the Ist volume (perhaps the Ist of the three volumes) was published in 1900 at Mandalay. Then in 1907, 1908 (two different editions), 1921, 1936-41, and 1955-1957, the three-volumes editions were published, but I cannot ascertain at present if the 3rd volume of the 1936-41 edition was ever published.The English translation by U Pe Maung Tin and G. H. Luce is that of the 3rd, 4th and 5th part (but the last three chapters of the 5th part is not translated) of the Hmannan Yazawin. The French translation by E. Huber is that of the last five chapters of the 5th part. As for the translation itself, the former is wholly accurate, but the latter is less accurate and a great deal left out. So, for the time being, we had better adopt the former, when we have to make use of the Hmannan Yazawin from the 3rd part to the 5th.Now the contrast and comparison of the English translation with the Ist volume of 1936-41 edition which I have now at hand has revealed that there are some differences between the two in the spelling of proper-nouns and in some other points. So it is necessary to revise the above-mentioned various editions and make a standard book.