著者
田原 弘一 弓削 政郎 白崎 篤司 マルチネスサンチェス マヌエル
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 = Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.52, no.608, pp.408-415, 2004-09-05
被引用文献数
4 2

Low-power Hall thruster flowfields were calculated using a simple one-dimensional model to understand plasma characteristics and ion acceleration processes and to predict thruster performance. The influences of magnetic field strength and acceleration channel length were mainly examined. The thruster model for calculation is the THT-IV low power thruster developed in Osaka University. Generally, ions were produced in an upstream region from the anode to some axial location of the acceleration channel, and then they were intensively accelerated in a region downstream just from the ionization region. With too short channel, ionization began downstream just from the anode, and then ion acceleration also occurred in the same region, resulting in poor ion flux and low thrust performance. In large channel length, the channel was long enough to produce a fully-ionized plasma, and efficient ion production and acceleration occurred. When the magnetic field strength increased in the channel, ionization occurred in a more upstream region, and ion acceleration began in the same region; that is, ionization and acceleration overlapped in the relatively long region. On the other hand, with a weak magnetic field ion production and acceleration, intensively and efficiently, occurred in their thin regions. Furthermore, we tried to include unclear anomalous electron diffusions by changing a Bohm diffusion coefficient at each high magnetic field strength in order to fit a calculated performance to the measured one. The calculated discharge current almost equaled the measured one, and the thrust characteristic also agreed well with the measured one.
著者
高橋 悌蔵 小菅 貞良 松原 弘道 永田 幸雄 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.887-891, 1986

高農めぐりをして気の付いたことだが,高農での教育・研究に一生を捧げ,現在もなおカクシャクとして当時のお弟子さん方の尊敬を受けておられる,いわばその高農の歴史を一身で示しておられる先生方が多い.今日座談会の中心となって下さった高橋悌蔵先生もまさに岐阜高農そのものと申し上げてもおかしくない.90歳を越えられても記憶力も抜群で,よどみな答えられるのにはただ恐れ入るばかり,すでに岐阜大を退官されておられる,高農卒業生としては大先輩格の小菅・松原の両先生も,恩師の高橋先生から「あんたたちも皆ったんでしょ」などといわては,ひたすら「ハイ,ハイ」.誌面では伝えにくい,師弟のなこやかな交歓のなかに話題がはずみました.座談会の準備・進行に蔭の主役としてご助力をいただいた永田幸雄先生,農場や実習工場をご案内くださった上野良光先生にも心から御礼申し上げます.
著者
齊藤 昇 依岡 秀典 江渕 喜徳 土居 義典 小沢 利男 森木 利昭 原 弘
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
動脈硬化 (ISSN:03862682)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.997-1003, 1987-08-01 (Released:2011-09-21)
参考文献数
13

One female inpatient, K. N., aged 57 years, suffered from liver cirrhosis, hypothyroidism, hypoadrenalism and bleeding tendency. After admission she received the administrations of diuretics such as furosemide and spironolactone to improve her anasarca, and also those of levothyroxine and prednisolone to fill up the deficient thyroid or adrenal functions.Slight to moderate elevations of transaminase activities, alkaline phosphatase activity of total bilirubin and increased gamma globulin concentrations were observed in this case, while low levels of triiodothyronine, total thyroxine, cortisol or urinary 17-hydroxycorticoid.Serum LCAT activity was extremely decreased, that was, 16nmol/ml/hr. She also had extremely low levels of serum lipids or apoproteins. For examples serum total cholesterol was 16mg/dl, triglyceride 18mg/dl, HDL-cholesterol 8mg/dl, phospholipid 27mg/dl, apoproteins A-I, C-II or C-III 0mg/dl, A-II 2.8mg/dl, B 10mg/dl and E 0.8mg/dl. VLDL-Chol, VLDL-TG, VLDL-PL and LDL-TG were smaller in the proportions of lipoprotein fractions, while HDL-TG, LDL-Chol and LDL-PL larger.One rare cirrhotic case with extremely low levels of serum lipids, apoproteins or lipoprotein fractions were shown in this article.
著者
田原 弘一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.196-203, 2012-03-10
参考文献数
23

<p>小惑星探査機「はやぶさ」はイオンエンジンを駆り地球帰還,世界中を興奮させた.宇宙大航海時代の幕開けである.近年,さまざまな高度宇宙ミッションの遂行・提案に合わせて,既存の電気推進ロケットエンジンの性能向上,作動域の拡大,さらに斬新なアイデアを盛り込んだ,新しい電気推進エンジンの開発研究が盛んである.高性能電気推進エンジンの開発においては,プラズマ物理・技術を駆使して,いかに効率よくプラズマを生成・加速するかが鍵となる.また,宇宙機器特有の軽量化,長寿命化も開発上の大きな問題である.本稿では,電気推進エンジンの最近の開発・利用状況,将来の月基地建造,有人火星探査計画などに適用できる大電力電気推進の必要性,微小電力電気推進エンジン搭載超小型人工衛星打ち上げ計画を紹介する.</p>
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
大原 弘子 赤塚 朋子 友田 薫 萩原 葉子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第56回大会・2013例会
巻号頁・発行日
pp.18, 2013 (Released:2014-01-25)

<目的> 高等学校家庭科の学びが、高等学校の基礎学力の総体というシチズンシップ教育と関連が深く、「将来の多様な選択肢を提示し、その土台をつくり、踏み出す1歩を支える教科」という位置づけを提案してきた観点から、本研究では、高等学校家庭科と大学入試センター試験問題とのかかわりをさらに探り、高等学校家庭科の学びが高等学校の基礎学力の総体とどのような関係にあるのかを明らかにすることを目的とした。<方法> 2008年~2013年における大学入試センター試験問題のうち、2012年を基準に、国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の各教科のうち、1000人以上の受験者があった24科目の問題を対象とし、高等学校家庭科教科書との関係に注目して、キーワード検索を行い、分析検討した。教科書は、栃木県の履修率が65.9%(「高等学校家庭科の履修単位数をめぐる現状と課題」日本家庭科教育学会誌 第54巻第3号)を占める「家庭基礎」を用い、教科書出版社の教育図書、大修館、実教出版、開隆堂、東京書籍、第一学習社の各社1冊ずつの計6冊を対象とした。<結果> 前回の大会で「高等学校家庭科の位置づけの再検討―大学入試センター試験問題とのかかわりから―」を研究発表した後、反響が大きく、年数を5年間として再度調査することとした。大学入試センター試験問題は、高等学校段階における基礎学力をはかる手段となる。そのため、実際に、センター試験問題と家庭科教科書を照らし合わせてみたところ、家庭科の学びが、24科目のうち平均9.6科目と関係があり、センター試験問題を解く際には、かなりの頻度で思考の助けになっていることが明らかとなった。 試験問題に関係するキーワードを、教科書の該当ページに領域別に色分けした付箋で貼っていく作業を行った。各社の教科書の編集方針によって、その違いはあるものの、概ねどの教科書にも領域別に色分けした付箋が貼られた。 キーワードの5年間の平均数は、65であった。そのうち、毎年出てきたキーワードは、「遺伝子組み換え」、「食の安全」、「世界の食生活」、「子育て」、「介護」、「社会保障」、「地球環境問題」、また「環境」、「家族」、「男女平等」に関することであった。4年間出てきたキーワードは、「消費者」、「少子高齢化」、「トレーサビリティ」、「年金」、「フェアトレード」、「ワークシェアリング」であった。近年の傾向としては、「NPO」、「世界の衣服」、「待機児童」があがってきた。今回の英語の試験問題には「まちづくり」が登場している。 教科としては、現代社会、地理、歴史、政治経済などの社会科や理科総合、化学などの理科について予想通り多く見られた。新学習指導要領から登場する理科の「科学と人間生活」とのマッチングが今後予想される。高校生に他教科と家庭科の関係が深いことを知ってもらうことで、家庭科に対する印象がかわることを示唆している。 高等学校家庭科の現状は、「家庭基礎」2単位履修を選択する傾向も否めず、高等学校の1学年のみの時間数という厳しさもみられる。教員配置も各学校に1名のところが多く、「受験に関係ない」教科という意識が大多数の学校では、家庭科の学びの意識そのものが停滞する雰囲気が学校全体を覆っているといわざるをえない。 本研究の結果をふまえ、家庭科の学びが、高等学校の基礎学力の総体と関連が深く、大学入試センター試験問題を解くうえで、総合的なヒントになることがわかった。高等学校家庭科の授業は、実は、大学入試センター試験問題を解くうえで、これまでの学びの総復習になるともとらえることができる。また、1学年より2学年や3学年での履修や、2単位よりも4単位の履修の方がより確実に学びが生かされるのではないだろうか。大学入試センター試験問題が、高等学校家庭科の学びと関係が深いことが明らかになったことで、この両者が現代生活に資するものであることも確認できた。
著者
蓑島 栄紀 三上 喜孝 田中 史生 笹生 衛 北原 次郎太 瀬川 拓郎 井上 雅孝 原 京子 奈良 智法 鈴木 和子 藤原 弘明
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、古代日本(とくに東北地方)の文化と、同時代の北海道文化・アイヌ文化との関係について、宗教や儀礼の側面から、具体的な比較検討をおこなった。特に、宗教・儀礼にかかわる金属製品や木製品などの分布や形態、機能について検討した。それにより、アイヌ文化における宗教・儀礼の道具の源流が、擦文時代やそれ以前に遡る可能性が指摘できた。また、古代北海道やその隣接地域における宗教・儀礼の痕跡が、交易や交流において重要な場所に多くみられる傾向を指摘することができた。
著者
藤原 弘之 中西 正教 山木 健市
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.76-79, 2018-01-20 (Released:2019-10-26)
参考文献数
14

A 79-year-old female with a history of liver cirrhosis was admitted to our hospital with dyspnea on exertion and right hip pain. Her chest CT showed a combination of pulmonary infiltration and multiple nodules and her head MRI showed 3 nodules in the cerebrum. We obtained bacteriological specimens from the hip abscess and lung abscess. Gram staining showed the presence of branching gram positive rods, which suggested Nocardia. We administered sulfamethoxazole - trimethoprim and imipenem/cilastatin, and her condition and radiology findings promptly improved. Nocardiosis is commonly seen in immunosuppressed patients but is also seen in the immunocompetent. Malignancy, HIV infection, diabetes mellitus and chronic pulmonary disease are common underlying diseases and some report the presence of nocardiosis together with liver cirrhosis. Disseminated nocardiosis has high mortality and it is important to make an initial assessment appropriately and to administrate proper antibiotic agents as early as possible. The gram-stain is an effective way to evaluate nocardia infection because a long time is usually needed to obtain the result of bacterial cultures.
著者
小林 成光 池原 弘展 友滝 愛 賢見 卓也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.139-144, 2019 (Released:2019-06-21)
参考文献数
26

本研究の目的は,がん患者とその家族の仕事とお金に関する相談内容の特徴を明らかにすることである.ファイナンシャルプランナーと社労士による「仕事とお金の個別相談」に参加したがん患者の個別相談の相談内容をテキストマイニングの手法を用いて分析した.相談件数は125件(4施設)で,患者の平均年齢は54±10.1歳,女性70名(56%)であった.相談者の属性は,患者本人80名(64%),配偶者と本人19名(15.2%),配偶者13名(10.4%)であった.分析の結果,[頻出語]の上位5つと関連する主な共起語は,[月](共起語:休職,年),[傷病手当金](受給,休職),[現在](受給,収入),[仕事](内容,続ける),[治療](生活,収入)であった.相談者は,がん治療に伴うお金や生活への影響などに不安を抱えながらも,復職や離職・就労の継続などの働き方,傷病手当金などの休職時に利用できる公的制度について相談していることが明らかとなった.
著者
高原 弘樹 新庄 拓也 中野 寛
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集 2016.22 (ISSN:24242691)
巻号頁・発行日
pp._OS1105-1_-_OS1105-2_, 2016-03-10 (Released:2017-06-19)

In recent years, the vibration system which has negative mass characteristics, called meta-material, attracts attention. This system consists of two single-degree-of-freedom system. This two-degree-of-freedom system can be represented to an equivalent single-degree-of-freedom system. In case of the subsystem without a damping, the effective mass of this equivalent system has the negative mass characteristics. When the damping of the system is taken into consideration, the effects of the damping on these negative mass characteristics are not clarified. The effects of damping upon characteristic of vibration system with negative effective mass are investigated. The condition of the negative mass characteristics is derived with a damped subsystem. The effects of the damping of subsystem on the negative mass characteristics are discussed.
著者
久保下 亮 岡 慎一郎 田原 弘幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb1397, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 不慣れな運動を行った後や,過度な運動を行った後の24~48時間後をピークとして生じる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness;DOMS)は,遠心性収縮の収縮様式を用いた運動後に生じやすい。その原因は諸説様々な形で述べられている。運動中に生じる筋や結合組織の微細構造の損傷後の炎症反応に伴う筋内圧の増加などの機械的刺激や,筋温の上昇による熱刺激,ブラジキニン,セロトニン,ヒスタミン,カリウムイオンなどの発痛物質による化学的刺激それぞれが,多種侵害受容器であるAδ線維やC線維の自由終末に作用することによって痛みが受容されると考えられる。その評価方法に至っては,VAS(Visual Analogue Scale)やフェイススケールなどが簡易的に用いられており,その他,血中生化学的マーカーにより評価する方法,超音波画像法や磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)など筋内部の変化を画像化して評価する方法などが用いられている。今回は,プライオメトリクストレーニングを用いて意図的に大腿四頭筋にDOMSを生じさせ,トレーニング前後での内側広筋(以下,VM)と外側広筋(以下,VL)の筋硬度と膝関節伸展ピークトルクとにどのような変化が生じるのか検討してみた。【方法】 対象は現在運動器疾患を有していない学生20名(男性13名,女性7名),平均年齢20.7±0.2歳である。まず,被験者のVMとVLの筋硬度を背臥位にて生体組織硬度計PEK-1(井元製作所製)を用いて計測した。次に,膝関節伸展ピークトルクの測定を等速性筋力測定器であるBIODEX SYSTEM3(BIODEX社製)を用いて行った。角速度は60°/secで反復回数を5回とした。その後,プライオメトリクストレーニングとしてボックスジャンプとデプスジャンプを10回×3セット施行し,トレーニング終了から24時間後(以下,Ex後24h),48時間後(以下,Ex後48h)にVMとVLの筋硬度と膝伸展ピークトルクを測定した。統計学的分析には,反復測定分散分析を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には紙面を用いて研究内容を説明し,研究への参加による利益,不利益を示し,同意を得た上で本研究に参加してもらった。【結果】 膝関節伸展ピークトルクの平均は,トレーニング前(以下,Ex前)が167.8±10.6Nm,Ex後24hが163.5±10.6Nm,Ex後48hが159.3±11.1Nmであり,Ex前とEx後48hとの間に有意差を認めた(p<0.01)。VMの筋硬度の平均は,Ex前が40.1±0.7,Ex後24hが42.2±0.7,Ex後48hが45.2±0.8であり,全てにおいて有意差を認めた(p<0.01)。VLの筋硬度における平均は,Ex前が53.8±0.9,Ex後24hが55.0±0.8,Ex後48hが57.8±0.8であり,Ex前とEx後48h,Ex後24hとEx後48hとの間において有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 今回,VMやVLに対し強い遠心性収縮を要求するプライオメトリクストレーニング(ボックスジャンプ,デプスジャンプ)を行うことで,トレーニング後は筋硬度が上がり,膝関節伸展筋力も低下するという結果から,強い遠心性収縮を用いるトレーニングは筋を損傷させることにより筋機能が著しく向上することはありえないと思われる。野坂らによると,エクセントリックトレーニングにより筋機能の向上を図る際には,筋力の回復に長期を要するような強い負荷は効果的でなく,筋力の増加は,比較的軽度な負荷のトレーニングでも達成できると述べている。高負荷なトレーニング後は筋疲労が残存していたり,筋の緊張状態も高いことより,トレーニング後の休息ならびに次のトレーニングまでの間隔が,トレーニング効果を上げるために非常に重要な要素であることを示している。
著者
杉原 弘恭 松島 耕太 大口 遼太郎 鬼崎 衛 雜賀 順己 花井 聖仁 小田 幸子
出版者
学校法人 自由学園最高学部
雑誌
生活大学研究 (ISSN:21896933)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.71-90, 2016 (Released:2017-04-21)
参考文献数
16

江戸期の上名栗が林業主体,下名栗が薪炭業主体という地域経済の違いは,地域の政治体制にも影響を及ぼしているが(上名栗世襲制・下名栗輪番(年番)制),その違いは地域の基盤の地質の違いが植生の違いに影響している可能性があることを指摘した.その上名栗の名主の町田家と組頭の柏木家の地域経済への取り組みの特色を分析した.町田家は林業を主軸に江戸に進出し名栗との両輪経営を行って名栗の繁栄に寄与し,柏木家は江戸・東京より名栗に回帰する形で名栗の各種産業発展に寄与した.町田家は,林業から筏輸送,材木卸までの川上(名栗)から川下(江戸)へのサプライチェーンを形成したものの,当時の制度的制約から仲買以降の江戸の消費者までを取り込むことはほとんどできなかった.一方,柏木家は,各種事業を行って,大正期には筏の代わりに公共交通機関を整備し,温泉旅館を核とし東京の消費者の名栗への来訪を促進するという川下(東京)から川上(名栗)への流れのバリューチェーン形成を指向した.町田家は林業のキャピタルゲイン指向かつ「規模の経済性」を求め,柏木家はキャッシュフロー重視のインカムゲイン指向かつ「範囲の経済性」を求めたといえる.林業からいち早く離脱した柏木家であったが,柏木家の山づくりで見られた生態学的な「範囲の経済性」の考え方が反映されたといえる.一貫経営は資金の内部留保となることから私的な蓄財ともなるが,当時資金を負担して公共事業を行うのは名主・庄屋層であったことから,名主としての雇用や公共事業等の原資を獲得するための面があったと思料される.
著者
石川 日出志 七海 雅人 中野 泰 佐藤 信 平川 新 平川 南 千田 嘉博 川島 秀一 浅野 久枝 竹井 英文 八木 光則 安達 訓仁 宇部 則保 菅野 智則 斉藤 慶吏 佐藤 剛 菅原 弘樹 高橋 憲太郎 千葉 剛史 福井 淳一 室野 秀文 小谷 竜介 辻本 侑生 藤野 哲寛
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

気仙地域は、海・陸域の複合生態系が豊富な資源を生み出し、縄文時代から現代までそれらを活用した人類営為が展開した。本研究は、当地域の歴史文化を歴史・考古・民俗学の手法で研究し、地域の方々と行政に提供する。これは甚大な東日本大震災被害から復興する当地域の方々を支援する取組でもある。調査は多岐に亙る。考古学では、古代・中世の漁撈関係遺物・集落遺跡データの集成、被災地域石碑の所在調査、中世塚・板碑群調査、中世城館群の縄張図作成等。歴史学では、中世遺跡群と文献史料との比較、熊谷家近世文書群の調査、大島正隆論文の公開等。民俗学では横田・小友地区で民俗慣行の調査と実施。3か年市民向け報告会を開催した。
著者
柴原 弘明 戸倉 由美子 伊勢呂 哲也 惠谷 俊紀 池上 要介 神谷 浩行 橋本 良博 岩瀬 豊 植松 夏子 今井 絵理 西村 大作
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.514-517, 2012 (Released:2012-05-22)
参考文献数
17
被引用文献数
1

【緒言】ミルタザピンはノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)で, 5-HT3受容体拮抗作用をもち, 嘔気を改善する先行研究が報告されている. 【症例】38歳, 女性. 遠隔転移を伴う進行腎がんに対し, スニチニブとオキシコドンを投与した. 経過中に出現した難治性嘔気・嘔吐に, ミルタザピン1.875 mg/日を開始した. 開始翌日に嘔吐は消失し, 2日目に3.75 mg/日へ増量したところ, 3日目には嘔気も消失した. 消化器症状でスニチニブとオキシコドンを中止することなく治療を続行できた. ミルタザピン15 mg/日の投与量では眠気が出現することがあるが, 今回の低用量投与で眠気はみられずに消化器症状の改善が得られた. 【結論】ミルタザピンの低用量投与は, スニチニブとオキシコドン併用時の難治性嘔気・嘔吐に対して, 有効な選択肢の1つであると考えられる.