著者
山田 一作 ソロビヨワ イェレナ 藤田 典昭 奥田 修二郎 川嵜 敏祐 成松 久 木下 聖子 松原 正陽 土屋 伸一郎 新町 大輔 藤田 晶大 青木 信幸 鹿内 俊秀 鈴木 芳典
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.O10, 2014

糖鎖研究において産出された糖鎖データには様々な表現方法が存在しており、このことは近年のウェブ技術を利用したライフサイエンスデータベース間の連携の妨げとなっていた。そこで我々は、糖鎖構造に対する新たな表記法としてWURCS(Web3 Unique Representation of Carbohydrate Structures)を開発した。WURCSは、曖昧さを含むあらゆる糖鎖構造を一意に表せる線形表記法であり、URIとして利用可能である。併せて、糖鎖データベースの構造データからWURCSに変換するソフトウェアを開発した。これにより共通の糖鎖構造を含む分子の横断検索が可能となる。また、WURCS普及促進のためのWURCSWorkingGroupを組織し、国際標準化に向けた活動を行っている。
著者
桑原 正貴 広瀬 昶 土井 邦雄 菅野 茂
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.p637-642, 1992-08
被引用文献数
1

高脂質血症と高血圧は, 動脈硬化発症における重要な危険因子として知られている. そして, 心臓血管系機能は自律神経系によって調節されているが, 過度の交感神経系の刺激は血圧の上昇を誘発すると考えられている. 高脂質血症と心臓血管系機能の変化は密接に関わっていると考えられるが, アドレナリン作働薬の心臓血管系反応に及ぼす高脂質血症の影響についてはあまり知られていない. そこで, 本研究では高脂質血症を誘発したブタを使用し, ノルエピネフリンとイソプロテレノールに対する心臓血管系の反応に関して, 対照群と高脂質血症群とを比較した. 対照群と高脂質血症群の薬物投与前における心血行動態パラメーターのコントロール値に, 有意な差は認められなかった. しかしながら, 高脂質血症群は対照群に比べて, ノルエピネフリンの血圧上昇作用は有意に高く, ノルエピネフリンとイソプロテレノールに対する心臓の収縮力は有意に高かった. そして, 血圧上昇に対する反射性徐脈は起こらなかった. これらの結果から, 高脂質血症が, 心臓血管系に対するアドレナリン作働薬の反応を増強していること, 心臓血管系の反射性調節に何等かの影響を及ぼしていることが明らかとなり, 動脈硬化発症の機序において高脂質血症と高血圧の連関が重要な一因を担っているものと考えられた.
著者
局 博一 桑原 正貴 土井 邦雄 菅野 茂
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

鼻粘膜の感覚を支配する三叉神経、および喉頭粘膜の感覚を支配する上喉頭神経には、触刺激、温度、圧力、呼吸筋運動に応答する神経受容器が存在することを明らかにし、それらの受容器を介する反射機構を追求してきた。今回の研究課題では、鼻粘膜および喉頭粘膜の侵害受容に関与すると思われるC線維の活動記録を通じて、各種化学的刺激に対する応答能と刺激伝導特性を明らかにした。1)鼻粘膜:モルモット鼻粘膜の篩骨神経から、合計36本の単一神経活動を記録した。C線維を選択的に刺激しうるcapsaicin(0.3mM)を作用させたところ、19本(53%)が明瞭に刺激された。一方、ammonia(1.5M)およびnicotine(6mM)に対してはそれぞれ17本、6本が刺激された。同一の神経線維が2種類以上の物質に応答する交差反応も認められた。capsaicinとnicotineに対する応答様式は放電が長時間持続する遅順応型を示す一方、ammoniaに対しては放電が一過性に終わる速順応型を示した。前者の応答は、鼻粘膜のかゆみ、充血、鼻汁分泌などに、後者の応答は痛み感覚などに関与することが推測されるとともに、いずれもくしゃみ反射の誘発に欠かせないものと思われる。実際capsaicinの反復投与によりC線維が脱感作されたモルモットでは、くしゃみ反射の誘発がかなり困難になった。また、正常な鼻粘膜に高濃度のbradykininやhistamineを作用させても、明瞭な神経応答を示さないことが解った。2)喉頭粘膜:モルモットおよびラットの喉頭粘膜にcapsaicin(100μg/ml)またはhistamine(200μg/ml)を作用させ、呼吸循環反射と上喉頭神経求心性活動を記録した。capsaicinの作用では、いずれの動物種でも強い呼吸抑制、血圧降下、徐脈が生じたが、とくにラットでは著しかった。ヒスタミンは、一部のモルモットに対して軽度の呼吸抑制を生じたが、ラットに対しては何等の効果がなかった。これらの成績は、両動物種(とくにラット)において喉頭粘膜にC線維が多く分布するという知見や、ラットにおいてはモルモットほどirritant receptorが見いだされないという知見に一致する。神経活動記録では、capsaicinに対して強い応答を、histamineに対してはモルモットで弱い応答が示された。histamineの全投与によりcapsaisinに対する応答性が増強されることも明らかになった。
著者
能井 さとみ 後明 祐希 田中 ゆかり 鴫原 正世
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】大豆は、古来より様々な形で加工され日常の食生活になくてはならない食品である。また含まれる栄養成分などから、近年その健康効果が期待されている。開学以来、全学給食制を実施している本学でも大豆の栄養価値に着目し、大豆加工品のメリットを生かした給食献立への応用を目的にレシピを検討し給食調理を実施、嗜好アンケートを行った。<br><br>【方法】レシピの検討:大豆ミート(株式会社マイセン「まるっきりお肉」)を使用。予備実験:ドライカレー、ミートソース、挽肉コロッケ、かぼちゃのそぼろあんかけ、ハンバーグ、チャーハンのレシピを作成し調理。試食後、条件を満たした2種類(チャーハン、ドライカレー)を採用。給食調理①チャーハン:実施日平成28年3月3日、対象者:本学教職員の協力者46名。②ドライカレー:実施日平成28年3月26日、対象者:本学オープンキャンパス参加者、本学学生ボランティア、教職員計147名。嗜好アンケート:①②共に見た目、食感、香り、味、具材について、総合評価。嗜好アンケートでは、大豆加工品を使用していることを伝えず実施(アレルギー性食品の使用は提示)、給食提供、アンケート記入後に提示。<br><br>【結果】嗜好アンケート:見た目、食感、香り、味、総合評価。両レシピ共に、すべての項目において非常に好ましい、好ましい又は普通との評価が90%を超えていた。挽肉の種類についての質問では大豆以外の豚肉、鶏肉、牛肉、牛・豚挽肉との回答がチャーハンで70%、ドライカレーで80%を占めていた。これらのことから大豆加工品の使用は給食献立として応用が可能で学生の健康維持の面から見ても積極的に取り入れたい食品であり、今後更にレシピの幅を広げていきたい。<br><br>&nbsp;
著者
藤原 正弘 木村 忠正
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:13440896)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-55, 2009-03

インターネットなど情報ネットワークの社会的普及と日常生活への浸透に伴い,ネットワーク利用と一般的信頼感との関係について,広く関心が寄せられ,これまで研究が行われてきた。しかし,これまでの研究では,一般的信頼感とネットワーク利用行動との明確な関係性が見出されているとは言い難い。そこで本研究では,山岸(1998)の一般的信頼に関する議論が,信頼と安心を対立的にとらえているのに対して,Hofstede(1980,1991)の不確実性回避傾向指数(UAI,Uncertainty Avoidance Index)を安心の尺度と考え,信頼とUAIを相互に独立した次元と仮定し,組み合わせによる類型的枠組とネットワーク行動との関係の研究を試みた。具体的には,低い一般的信頼,高いUAIがインターネット利用を限定的にしているとの仮説とともに,低信頼+高UAI=「没交渉志向」=匿名掲示板利用,のように,信頼とUAIを組み合わせた類型の心理的特性とそれに関連するインターネットサービス利用との関係を仮定し,それぞれ検証を行った。その結果,多くの仮説は支持され,一般的信頼とUAIとを組み合わせることの有効性,とりわけ,UAIがインターネット利用行動の分析に有効であることが示された。
著者
近藤 久禎 島田 二郎 森野 一真 田勢 長一郎 富永 隆子 立崎 英夫 明石 真言 谷川 攻一 岩崎 泰昌 市原 正行 小早川 義貴 小井土 雄一
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.502-509, 2011-12
被引用文献数
1

背景:2011年3月11日に発生した東日本大震災による地震と津波は東京電力福島第一原子力発電所を襲い,甚大な被害を引き起こし,多量の放射性物質を環境中に放出した.この事故対応において,多くのDMAT隊員が派遣された.今回,その活動について意義を検証し,今後のDMAT活動,緊急被ばく医療における課題を提示することを目的とした.方法:高線量被ばく・汚染(緊急作業従事者)への緊急被ばく医療対応,住民対応,入院患者の移送対応などDMAT活動実績をまとめ,課題を抽出した.結果:DMATの入院患者移送対応は,福島第一原子力発電所から20〜30km圏内の病院を対象に3月18日〜22日に行われた.入院患者454名を搬送したが,搬送中の死亡は防げた.DMATは緊急被ばく医療体制でも重要な役割を果たした.DMATは原子力発電所からJビレッジを経由し二次被ばく医療機関,三次被ばく医療機関に分散搬送する流れをサポートする体制を確立した.その為の,研修会の実施といわき市内へのDMATの待機のための派遣を行った.いわき市内へのDMAT派遣は,いわき市立総合磐城共立病院を拠点として,4月22日から9月7日まで22次隊,のべ127名が派遣された.DMATによる住民一時立入り対応においては,中継基地における医療対応を行った.具体的には,会場のコーディネーション,Hotエリアの医療対応を行うとともに,救護班としても活動した.活動期日は5月3日から9月2日のうち60日に及び,スクリーニング・健康管理の対象者は14700人以上で,さらに傷病者131名に対応した.これらの活動を通じて,重篤な傷病の発生,スクリーニングレベルを上回る汚染は,DMATが活動したところにおいては,ともになかった.考察:本邦の緊急被ばく医療体制は,原子力施設立地道府県の地方自治体毎に構築されており,いくつかの問題が指摘されていた.問題の一つは放射線緊急事態への対応の教育,研修はこれらの地域のみで行われていたことである.さらに,他の災害との連携,整合性に問題があることはたびたび指摘されていた.DMATが医療搬送を行うことにより,454名の患者を安全に搬送したことと,住民一時立入りでのDMATの活動の意義は深かった.今回の事故対応の経験から,被ばく医療も災害医療の一つであり,災害医療体制との整合性は必須であることが示唆された.今後は,やはり災害医療体制の中で,緊急被ばく医療もしっかりと位置付けられることが必要である.そのような観点からの緊急被ばく医療体制のあり方について研究していくことが今後は必要である.
著者
栗田 健 若林 雄介 水島 文夫 山崎 展博 山田 晴夫 原 正明
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.253-254, 2009-09-12

To increase the speed of Shinkansen trains, it becomes more important to reduce the noise generated from Shinkansen cars. We developed the high-speed test trains "FASTECH360" that have new equipment such as low-noise pantographs, pantograph noise insulation plates and sound-absorbing panels for the noise from the lower area of car bodies. We conducted running tests using "FASTECH360" from June of 2005 to June of 2009. As a result, the noise level of "FASTECH360S"(runs only on Shinkansen line) at the speed of 360km/h is reduced by more than 4 dB compared to that of series E2-1000, present commercial trains, at the speed of 360 km/h (at a distance of 25 m from the track). We also performed the noise analysis of "FASTECH360S" at 360 km/h. Consequently, we estimated that pantograph noise contribution to the overall noise level was reduced by about 7dB compared to that of E2-1000 at 360 km/h and contribution of noise from the lower part of cars to the overall noise level was reduced by about 1dB as well.
著者
原 正美 長谷川 俊史 松原 知代 山口 公一 百瀬 希美 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.155-160, 2013-04-25 (Released:2016-01-29)
参考文献数
3

Regardless of the consumption of the same amount of allergen-related foods, allergens were detected in some breast milk samples while not in the others. Breast milk is a secretory fluid. Therefore, concentrations of secretory fluid could potentially be linked with the concentration of allergens in the breast milk. Thus, the total protein and the levels of one particular protein, lactoferrin, in the breast milk were measured.The concentration of ovalbumin in breast milk was measured using an enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) kit, previously reported by us. The limit of ovalbumin level in breast milk is 312ng/ml. The Lowry method was used for measuring the total protein. A Lactoferrin Human ELISA Kit was used to measure the lactoferrin levels.Therefore, we investigated cases wherein the level of ovalbumin was below or above 312ng/ml. We found no significant difference when we compared the total protein level between breast milk with ovalbumin below 312 ng/ml and that above 312ng/ml.When we compared the lactoferrin level between breast milk with ovalbumin below 312ng/ml and that above 312ng/ml, a significant difference was observed.Consequently, if the ovalbumin level in breast milk is >312ng/ml, the lactoferrin level is high, while if the ovalbumin level is <312 ng/ml, the lactoferrin level is low (P<0.01).When evaluating the concentrations of ovalbumin in breast milk, the lactoferrin levels might be used as the point of reference.
著者
榊原 均 石原 正仁 柳沢 善次
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.901-922, 1985
被引用文献数
11

1981年10月22~23日に台風8124号内の日本中部(~36&deg;N/140E)に大雨が起きた。この大雨を主にドップラーレーダーのデータを使って調べた。本研究の主な目的はそれが台風のらせん状降雨帯なのか,それとも他の型の降水系なのかを知ることである。<br>台風は長波の谷の南東部にあり,温帯低気圧に変りつつあった。この大雨は台風中心の北側にある幅の広い雲の帯の南東端で起きた。ドップラーレーダーで観測されたこの大雨の構造で最も顕著な特徴は南東側下層から北西側上層に傾いた強風軸である。これは傾いた中規模上昇流を意味する。傾いた上昇流の軸より下では対流規模の垂直運動が中規模上昇流の中に含まれていた。傾いた上昇流の軸より上では対流規模の垂直運動はほとんど存在しなかった。この大雨の南部では中層の空気が北西側から侵入した。この侵入した空気は降水粒子の蒸発により冷却し,中規模下降流を形成したと思われる。この大雨には顕著な地上収束線が伴っていたが,南部を除き大雨への効果は二次的なものであった。この大雨の構造は台風のらせん状降雨帯,眼の壁雲および中緯度スコールラインとそれぞれ少しずつ似ていた。しかしながら,この構造は温帯低気圧に変化しつつある台風の北側に発生する大雨に特徴的なものと考えられる。<br>大雨の中での降水粒子の生成と輸送の相対的重要性を調べるために,降水粒子の中規模水収支解析の結果とその解釈も示される。
著者
前原 正美
出版者
東洋学園大学
雑誌
東洋学園大学紀要 (ISSN:09196110)
巻号頁・発行日
no.17, pp.49-66, 2009-03

観光産業は,インバウンド(訪日外国人旅行者)の急増によって,ハード,ソフト両面での課題に直面している。 第一に,受け入れの旅行環境整備である。観光ビザの緩和,日本の文化・歴史を体感できる街並(まちなみ)の再生やツアー企画などによって観光力を向上させる必要がある。第二に,海外への効果的な情報発信である。ITによる旅行情報の発信,大河ドラマ,観光親善大使のキャンペーン,日本映画や日本人歌手の海外コンサートなど,マス・メディアによる効果的な日本の紹介が必要である。第三に,異文化理解・文化交流のための人材育成である。ツーリズムに携わる人びとすべてが,日本と観光地域の文化・歴史を熟知してはじめて,心のこもったコミュニケーション,真の文化交流が可能となる。こうした課題をクリアすれば,観光産業は,日本の文化・歴史を中心に観光資源を生かし,自然との共生を図りながら経済を持続的に発展させるサステナビリティの高いリーディング産業(基幹産業)へと成熟することが可能となるだろう。
著者
脇本 仁奈 吉成 伸夫 小笠原 正 薦田 智 河瀬 瑞穂 河瀬 聡一朗 大木 絵美 伊能 利之 金銅 英二 岡田 芳幸
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.84-90, 2021

<p>歯肉肥大を誘発する薬物の服用や遺伝的素因はないが,水平性歯肉肥大を認める重症心身障害児・者を散見する.重症心身障害児・者病棟入院中の患者で,歯肉肥大を誘発する薬物の服用や遺伝的素因がなく,3.5mm以上の水平性歯肉肥大がある者の比率,臨床的特徴を検討した.</p><p>対象者は,重症心身障害児・者病棟入院中の患者73名であった.入院記録から年齢,性別,疾患,ADL,常用薬,栄養摂食状況を調査用紙に転記した.口腔内診査は,プロービング検査,咬合状態,Plaque Index,3.5mm以上の水平性歯肉肥大の有無を評価した.水平性歯肉肥大は,歯肉肥大を誘発する薬物の服用はなく,WHOプローブにて水平的に3.5mm以上の肥大を1カ所でも認めたものとした.水平性歯肉肥大を認めた者は,入院記録からフェニトインなどの服用経験を調査し,保護者へ家族で遺伝性歯肉線維腫症を認めた者の有無を聴取するとともに水平性歯肉肥大の臨床的特徴を検討した.</p><p>特発性水平性歯肉肥大の発現率は,重症心身障害児・者で73名中4名(5.5%),胃瘻のみでは18名中4名(22.2%)であった.特発性水平性歯肉肥大を認めた者は,そうでない者と比較して平均年齢が低く,経管栄養と開咬の者の割合が有意に多かった.特発性水平性歯肉肥大の特徴は,上顎前歯部と上下顎臼歯部の口蓋側・舌側への水平性の肥大で,薬物性歯肉肥大症や遺伝性歯肉線維腫症とは歯肉肥大の形態特徴が明らかに異なっていた.4例とも経口摂取の既往を認めなかった.</p>
著者
宮原 正 下條 貞友 豊原 敬三 今井 健郎 宮島 真之 本田 英比古 亀谷 雅洋 大関 正弘 小勝 順
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.357-365, 1985-06-30 (Released:2011-02-25)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

A phase I study of EST, a newly synthesized specific thiol protease inhibitor developed as a drug for muscular dystrophy, was performed in healthy adult male volunteers to investigate its safety and pharmacokinetics. EST was administered orally in single doses of 100 mg during fasting, or of 100 mg or 200 mg after a meal. The following results were obtained.The clinical tests and observation of the subjective and objective signs and symptomsfound no change due to EST.EST was detected as E-64-c (effective form of EST) in serum and urine after oral administration. The absorption of EST was slower when administered after a meal than during fasting. The AUC (area under the serum concentration curve) and urinary excretion rate were greater following administration after a meal, which indicates a tendency to better bioavailability of EST.As for the comparison of 100 mg and 200 mg administration after a meal, a distinct dosedependency was observed in the serum concentration and urinary excretion.
著者
藤原 正仁 ロート マーティン
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.63-75, 2021-06-25 (Released:2021-06-30)
参考文献数
55

ドイツは欧州最大のゲーム市場である.ドイツではゲームが多くの人々にプレイされる一方で,子どものゲーム使用に関する保護者の懸念がある.ドイツには青少年保護に関する法律とゲームレーティングが存在するが,近年のゲームレーティングシステムについては明らかにされていない.そこで,本研究は,ゲームのデジタル配信を踏まえたドイツにおけるゲームレーティングシステムについて明らかにすることを目的とした.その結果,ドイツにおけるゲームレーティングシステムは,(1)関連法に基づき,エンターテインメントソフトウェア自主規制機関(Unterhaltungssoftware Selbstkontrolle: USK)によって運営される共同規制の形態を採っている,(2)USK諮問委員会によって審査基準が策定され,公開されている,(3)ナチス等の違憲組織のシンボルの使用について,社会的妥当性を考慮して検討されている,(4)USK.onlineとIARCにより,オンラインゲームやアプリのレーティングに対応している,(5)普及啓蒙を推進し,USKレーティングの透明性を高めていることが示された.また,連邦青少年有害メディア審査会(Bundesprüfstelle für jugendgefährdende Medien: BPjM)は,児童と少年の発達および教育に深刻な悪影響を及ぼす可能性のあるメディアを青少年有害メディアリストに掲載していることが把握された.