著者
中尾 昭公 篠原 正彦
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.296-300, 1985
被引用文献数
1

ドンリュウラットと雑種成犬の多血小板血漿にエンドトキシンを添加し, 過塩素酸による血液前処理法を用いた合成基質法でエンドトキシンを測定し, 比較的良好な検量線を作成した. 次に雑種成犬に0.5, 5, 50, 500μg/kgのエンドトキシンを静脈内投与し, 投与後の血中エンドトキシンの変動を測定した. いずれの投与量の場合も投与後5分以内に投与エンドトキシンの99.8~99.9%が血中から除去され, 残りの0.1~0.2%のエンドトキシンが時間の経過とともに低下したが, 500μg/kg投与時には投与後3時間以後は低下傾向がほとんど認められず, 12時間後にも50~500pg/mlのエンドトキシンが血中に検出された.
著者
笠原 正治 笹部 昌弘 川原 純 張 元玉
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

仮想通貨の基盤技術であるブロック・チェーンには,分散性・安全性・拡張性の三要素を同時に満たすことができないトリレンマ関係が存在し,そのため不特定多数の参加ノードからなる分散システム上で,高度なセキュリティを保証しかつ高速なトランザクション承認を提供するブロック・チェーンの実現が不可能と言われている.本研究課題では,ブロック・チェーンのトリレンマを克服するための方法論を情報学横断的に探求する.本研究で得られる成果はブロック・チェーン・ トリレンマの解決という意義に加え,IoTやフィンテック,ヘルスケア,行政・物流とい った幅広い分野での応用が期待される.
著者
上村 静香 西原 正和 大住 優子 塩田 裕徳
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.11, pp.1471-1478, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3

Phellodendron bark (“Obaku”) is an important crude drug used in Kampo-medicine. Recently, powder formulation of phellodendron bark was approved as an “efficacious treatment for bruise, sprain, and periodontal diseases”, and it has been marketed as an OTC agent. To obtain this approval, the examination of quality control-related characteristics is necessary. Therefore, we established a quantitative method for jatrorrhizine, palmatine, and berberine determination. In this study, we compared the contents of the three constituents obtained from the extracts of Japanese and Chinese phellodendron bark and found remarkable difference.
著者
菅原 正巳
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.92, pp.47-59, 1973 (Released:2011-03-05)
著者
菅原 正
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.306-320, 1989-04-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
53
被引用文献数
8 8

Design of high spin organic molecules is described in three categories ; use of strong exchange interaction in one-center diradicals, non-Kekule molecules, anti-aromatic annulenes including charged species. Magnetic behavior of metapoly-phenylmethylene (8) is discussed as a model of one-dimentional organic ferromagnet. Intermolecular interaction among triplet diphenyl carbenes generated in host crystals of a diazo precursor is interpreted in terms of the results in a model system of [2, 2] paracyclophanedicarbenes.An attempt to realize ferromagnetic material utilizing CT interaction is rewared with a success in the case of decamethylferrocene-TCNE complex. Finally the electronic requirement for realizing organic ferromagnet is discussed in reference to that for organic conductors.
著者
金村 英秋 相原 正男
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3+4, pp.188-193, 2015 (Released:2017-09-26)
参考文献数
19

【要旨】広汎性発達障害(PDD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)では診断する生物学的な指標がなく、他の医学的疾患を除外する必要がある。特にてんかんは発達障害との合併が多いだけでなく、その二次障害として多動や自閉的行動などがしばしば認められ、病初期にADHDやPDDなどと誤診されることが多い。これらより、脳波検査は発達障害の診療において重要な医学的検査と言える。一方、行動異常を有する児ではけいれん発作の有無によらず、脳波上てんかん性突発波を認める症例が多く存在する。てんかん児および発達障害児を対象に我々が行った検討より、PDDおよびADHDの行動異常に脳波所見、とくに前頭部突発波が関連していることが想定された。発達障害と関連を有する前頭葉機能は長期にわたり脆弱性が高く、てんかん原性の獲得あるいは皮質神経活動における異常放電(てんかん性突発波)という要因により、前頭部本来の若年期における脆弱性を基盤とした前頭葉機能障害を容易に生じることが、発達障害の病態の一つであると推察される。その結果としてPDDやADHD児に認められる様々な行動障害も生じる可能性が想定される。抗てんかん薬により前頭部突発波の改善を促すことは、発達障害の行動異常を改善させることに寄与するものと考えられる。発達障害の行動異常に対して従来のアプローチに加え、前頭部突発波を有するPDD/ADHD児の治療として、抗てんかん薬はその選択肢の一つになりえると考えられる。
著者
瀧井 一博 大久保 健晴 勝部 眞人 植村 和秀 永井 史男 谷川 穣 前田 勉 國分 典子 五百籏頭 薫 小川原 正道 松田 宏一郎 島田 幸典 佐野 真由子 塩出 浩之 福岡 万里子 中村 尚史 牛村 圭 今野 元 山田 央子 清水 唯一朗 岩谷 十郎 奈良岡 聰智 Breen John
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

明治維新から150年が経過した。日本は今、明治日本という西洋近代に対する稀有なキャッチアップを遂げた自らの歴史的経験を振り返り、その経験を学術的に分析して、その功罪を人類の歴史的遺産として今後似たような歩みをするかもしれない世界中の他の国々や地域に対して提供する使命を有しているといえる。本研究課題においては、明治日本の世界史的意義を学際的かつ内在的に把握するための研究ネットワークを構築することが掲げられた。そのために、海外の研究者とも積極的に連携して、明治史のグローバルな関心と日本の学界を接合することを促進した。
著者
小林 奈保子 下田 実可子 清水 綾音 川原 正博 田中 健一郎
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-9, 2021-02-05 (Released:2021-02-09)
参考文献数
17

皮膚は表皮(ケラチノサイト),真皮(ファイブロブラスト),皮下組織から構成されており,生体内部の保護や体温調節などの役割を果たしている。また,表皮最下層の基底層にはメラニンを産生するメラノサイトが局在している。一方,紫外線(UV)などの刺激に曝されると,皮膚障害(ケラチノサイトでの細胞死)・メラノサイトでの過剰なメラニン産生・ファイブロブラストでのコラーゲン産生低下が起こる。このように,皮膚がUVに繰り返し曝露されると,酸化ストレスによる障害が蓄積し,シミ・シワを特徴とする「光老化」が引き起こされる。そこで,本研究では,酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する精油を網羅的スクリーニングにより発見することを目的として実施した。その結果,ラベンダー精油がケラチノサイト保護とコラーゲン産生低下の回復,ジャスミンAbs.がメラニン産生抑制とコラーゲン産生低下の回復という複数の保護作用を持つことを見いだした。また,これらの保護作用は抗酸化作用を介する可能性が示唆された。今後さらなる解析を行い,酸化ストレスによる皮膚障害を抑制する最適な精油を提案したい。
著者
藤原 正規 中澤 公揮 甲谷 繁 塚本 効司 小渕 修平 上田 寛樹 川島 祥 上田 昌宏 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-068, 2021 (Released:2021-03-30)
参考文献数
15

基礎薬学系実習の評価において,これまで汎用されていた実習レポートの評価だけでなく,技能と態度も含めた総合的な評価が求められている.本研究では,物理系薬学実習の受講生に対してアンケートを実施し,レポートルーブリックおよびピア評価の導入に対する意識を調査した.アンケートのCS分析の結果,レポートルーブリックに対して,重要維持項目となったのは,「目標の明確化」と「課題の具体化」であった.一方,要改善項目は「学習意欲の向上」と「目標達成意欲」であった.ピア評価において,重要維持項目となったのは,「実習実施における必要性」,「学習意欲の向上」と「自身の実習態度への影響」となり,要改善項目は示されなかった.以上の結果から,基礎系実習科目において,レポートルーブリックは,受講生に対して目標の明確化および課題の具体化という点で影響を与え,ピア評価は,受講生自身の実習態度に影響することが示された.このため,両評価を組み合わせた評価を行うことが必要であることが示された.
著者
神原 正明
出版者
佐賀大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本年度は主に具体的なデ-タを収集するため東京及び関西方面に調査に出かけた。作家の死因についてデ-タを整理するとともに、彼らの生活態度、及び作風に「結核」や「ガン」の影響がどういうかたちで現われるかに注目した。何か一貫性があるものと考えて結果を期待したが、作風の展開を決定するには様々な要因が複雑に重なりあっており、死に対する恐怖のみが、大きくクロ-ズアップされるとは限らず、作家の個性によって、思ったより多様な現われ方をするようだ。ことに現代は「死」に遭遇する様々な機会があり、「ガン」だけを特定するわけにはゆかず、多かれ少なかれ死に対する恐れは、日常生活の中で埋没しており、時折何らかの体験が引きがねになって顔を出す。中には常に死にこだわり続ける作家もいるが、それはむしろ特例といってよい。こうした現代の美術家についての個別的なデ-タ集めとあわせて、主に国会図書館や東京大学、京都大学など大学附属図書館で、時代そのものが、あるいは集団が死に向かう態度について研究した欧米の文献を調査した。その場合、美術作品をデ-タとして利用しているものも多く、ことに心理的に緊迫した時代に秀作が頻出する点は興味深い。そうした中で、中世末期ことに西暦1500年を前後した時期に「最後の審判」の主題とともに、多くの名作が生まれており、そこでは死に対する恐れが下敷きにされている。しかし重要なのは、実際の死よりも死に対する恐れの方が上まわったという点であり、そこに芸術作品の必要性が準備されたといえるようだ。様々な怪物が画面に現われるのもその時である。またそうした恐怖を笑いとばそうとした「阿呆船」というような諷刺的テ-マの出現も見のがせない。来年度はさらに「流行病」「地獄」「終末思想」といった死の恐れを喚起するこの時代の文脈を調査し、再度現代へと投げ返してみる計画である。
著者
九嶋 亮治 葛原 正樹 馬場 正道 服部 行紀 松原 亜季子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1481-1491, 2015-11-25

要旨●胃底腺型胃癌は胃底腺粘膜に発生する主に低異型度な分化型腫瘍で主細胞への分化が明瞭なものを指す.この腫瘍の臨床病理学的特徴を深く理解することを目的として,胃底腺粘膜の増殖・分化と化生,また,同じ胃底腺粘膜に発生する腫瘍様病変と低異型度腫瘍の病理学的特徴について解説する.胃底腺細胞は腺頸部より表層の腺窩上皮,深部方向の頸部粘液細胞,壁細胞,主細胞と内分泌細胞から構成される.頸部粘液細胞は主細胞の前駆細胞である.化生としては偽幽門腺化生,幽門腺化生と完全型腸上皮化生が発生する.これらの正常・化生組織を基盤として,腫瘍様病変としては腺窩上皮型過形成性ポリープ,胃底腺ポリープ,過誤腫性内反性ポリープ(粘膜下異所性胃腺)が,低異型度腫瘍としては腺窩上皮型腫瘍,胃底腺ポリープに伴う腺窩上皮型腫瘍,胃型腺腫(幽門腺腺腫),カルチノイドと低異型度小腸型腺癌が発生し,実際的あるいは概念的に胃底腺型胃癌の鑑別診断の対象となりうる.