著者
佐々木 隆宏 田原 正一 豊原 律子 森川 麻里 坂牧 成恵 貞升 友紀 牛山 慶子 山嶋 裕季子 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.229-234, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
8
被引用文献数
2

第2版食品中の食品添加物分析法の方法(2版法)において,チーズでは抽出液が懸濁する場合,固形物が浮遊して定容が困難な場合,夾雑成分によりHPLC-UV分析が困難な場合がある.清酒では,共沈操作が不要と考えた.そこで,チーズについては抽出液の懸濁の原因となる水酸化ナトリウム溶液の添加量を減らし,固形物を除くため吸引ろ過後に定容する方法を確立した.清酒については,希釈後,遠心分離する方法とした.また,カーボンモレキュラーシーブが充てんされたカートリッジによる固相抽出法も開発した.添加回収試験(n=5)では,91.3~99.6%(CV 0.9~4.5%)と平均回収率および併行精度が良好であり,チーズで0.010~0.20 g/kg,乳で0.010~0.20 g/L,清酒で0.010~0.10 g/kgの範囲に適用可能であった.本法は2版法の問題を解消し,操作が効率的である点で有用な分析法と考えられた.
著者
加藤 和生 丸野 俊一 田嶌 誠一 笠原 正洋 後藤 晶子 田代 勝良 大隈 紘子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

3年間を通して,以下の一連の研究を行った.(1)一般サンプル(大学生)を対象に,潜在的児童虐待被害の実態およびその心に及ぼす影響を検討した.その結果,多くの潜在化した被害者が存在すること明かとなった.(2)これまでに開発してきた「多重性児童虐待目録」の併存的妥当性を検討した.その結果,理論的に予想される方向の結果が得られ,妥当性が確認された.また「多重型児童虐待目録」を養護施設に措置された被虐待児に面接形式で実施し,臨床的妥当性の探索的検討を行った.本目録が,これらの子どもの体験した虐待経験を概ね測定していることが確認された.(3)F県3市の保育園に在園する幼児について,親による虐待の実態の大規模調査を保育士に実施した.その結果,約1.5%の潜在的被虐待児が存在することが明らかなった.また同時に,1-3歳児用・4-5歳児用の「幼児用児童虐待症状尺度」を開発した.(4)保育士の被虐待児の早期発見と対応に伴う問題点に関する質問紙調査を行い,その結果を質的に分析した.この結果をとおして,潜在化する被虐待児の早期発見と対応のための対策を考案する上で,今後の研究の手がかりを得た.(5)保育士による園内での児童虐待の実態を,大学生の回想報告の調査を行うことで明らかにした.(6)大規模な精神科医療機関に通院する患者における潜在的児童虐待被害の実態を調査した.(7)虐待通報が十分に行われていない理由として考えられる「虐待・しつけの認知」に関するズレを,13の職種の人たち(児童相談所職員,医師,検察官,保育士,教師,その他の職種,主婦,大学生など)について調査し,比較検討した.その結果,児童相談所の児童虐待に専門性をもつ人たちは,一般人(主婦,他の職種,大学生)よりも,虐待的行為をより非虐待的に見なしていることが明らかとなった.また他の職種の人の評定値は,これら2群の間にくることがわかった.
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.
著者
黒川 顕 戎崎 俊一 丸山 茂徳 原 正彦 クリーヴス ヘンダーソン 鎌形 洋一 磯崎 行雄 青野 真士
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

H29年度は立案した計画に基づき、以下の活動を実施した。1. キックオフWSの開催:H29年度から14課題からなる第二期の公募班が新たに領域に加わった。計画班と公募班との連携を強めるために、キックオフWSを開催した。2. 中規模WSの開催:領域全体での合同班会議を白馬八方文化会館にて開催した。3. Origin of Life 国際シンポジウムの開催:新学術領域研究「ゆらぎと構造の協奏」と合同で、化学進化および初期生命体に関する国際シンポジウムを開催した。4. 総括班会議を年6回開催した。会議後には計画班横断WSを開催し計画班間の連携を強めた。5. 地球生命アーカイブの開発:微生物統合データベースの開発ならびに東工大地球史資料館のデータベースの整理作業を継続した。また、領域の最先端研究内容をわかりやすく発信するために製作している映像ライブラリ「全地球史アトラス映像」をインターネットで配信できるよう、YouTubeチャンネルを開設した。さらに、「全地球史アトラス映像vol.3」を完成させた。6. 地域活性化イベント:中規模WSと同時に長野県白馬村役場にて教育講演会「白馬とカガクの奇跡episode2」を長野県教育委員会および白馬村の後援を受け開催し、最新の研究成果および白馬と生命起源との関係性に関する講演を行った。また、白馬高校(2017年10月19日)および大町岳陽高校(2017年12月21日)に出張講義を行った。また、大町岳陽高校では、理数科の生徒の課題研究に協力し、3つの班の課題を引き受け、共同研究を実施した。3班のうち1班の研究は、日本ゲノム微生物学会第12回年会にてポスター発表をした。
著者
山田 茂 久野 敏行 中村 清隆 小原 正紀 加文字 幸雄 郷 義明
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.51-56, 1979

小学校5学年男女, 78名を, 2群に分け, A群41名に, a歯みがき剤を, B群37名に, b歯みがき剤を, 1ヵ月間使用させ, その間における歯面清潔度と, PMA指数を, 調査した。<BR>実験集計終了後, A群は2.5% Chlorhexidine digluconate (以下CHDGと略称) 含有歯みがき剤, b群はPlaceboであることが判明した。使用歯みがき剤は, スイスHawe-Noes Dental社製のもの (商品名Plak Out) である。<BR>歯面清潔度は, 日数の経過と共に, 改善の傾向を示し, 15日後と, 30日後は, 1%の危険率でCHDG含有パスタ使用群が勝っていた。PMA指数は, 歯面清潔度ほど明確でなかったが, 日数の経過と共に, いくぶんCHDG含有パスタ使用群が優る傾向を示し, 30日後では, 5%の危険率で勝っていた。<BR>実験期間中は副作用を認めなかった。
著者
本田 泰弘 井上 博雅 義田 博 藤原 秀雄 古谷 生 小坂 二度見 杉原 正晟
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.57-61, 1985-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7

最近3年間の鍼灸学校卒業者の進路と実態についてアンケートを行なった。回収数288で, 回収率は28.8%であった。結果, 鍼灸学校卒業者の進路は, 鍼灸院開業41%, 鍼灸院関係勤務27%, 病院関係勤務25%であった。現在開業している者と将来開業を希望している者とを合わせると, 76%であり, 卒業生の多くは開業を目的としており治療費, 患者数, 年収などについてはそれぞれの進路により差があることが判明した。
著者
柴田 史子 杉浦 久嗣 上原 正巳
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.150-155, 2004 (Released:2011-07-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎患者でしばしばみられる冬季の皮膚の乾燥が洗濯洗剤の使用を避けることで改善されるかを検討した。対象:冬季に肩周囲の皮膚の乾燥状態が増強するアトピー性皮膚炎軽症例26名。方法:電解水洗浄型洗濯機(SANYO ASW-HB700)の洗剤ゼロコースで洗濯した衣類を2週間着用し,その前後で皮膚症状の変化を調べた。結果:洗濯洗剤の使用中止により皮膚の乾燥は26名中24名(約90%),乾燥性湿疹は26例中16例(約60%)で改善した。衣類に残留する洗濯洗剤が冬季に被服部にみられるアトピー性皮膚炎の乾燥皮膚の一因であることが示唆された。
著者
藤川 光利 吉野 博 高木 理恵 奥山 博康 林 基哉 菅原 正則
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.652, pp.499-508, 2010-06-30 (Released:2010-08-26)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

The aim of this study is to develop the measurement method of multi-zonal airflow rates via human expiration (CO2). The adopted method measures multi-zonal airflow rates based on system identification theory. Also, it is a simple and cost effective method that is suitable to apply in domestic places. In addition, the method will only have minimal interference in the daily life of the residents concerned. As a step toward the practical use of this measurement method, several experimental studies were carried out in a full-scale test house and an existing house in order to investigate the accuracy.
著者
石原 正治
出版者
一般社団法人 日本循環器学会
雑誌
循環器専門医 (ISSN:09189599)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.128-133, 2018 (Released:2019-07-20)
参考文献数
15
著者
鶴 鉄雄 菅原 正博 西村 治彦
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.117-126, 2019 (Released:2020-02-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The objective of our studies is the inquiry into data set of the silhouette styling by machine learning for the luxury brands. The computer vision meets the visual fashion for the long years. Recently, computer vision techniques has been employed in algorithm of fashion recognition. But the aim of the computer vision is that the computer vision meets fashion but not that fashion meets computer visions. The luxury fashion consumer expects the favorite own beautiful silhouette styling, not simply the computer pictures. Therefore, silhouette learning of clothing by Neural Network Console needs to meet the personal professional styling knowledge.
著者
荻原 正博 井田 茂 モルビデリ アレサンドロ
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.37, 2006

原始惑星同士の衝突による地球型惑星集積の最終段階を、円盤乱流トルクを考慮してN体計算した。原始惑星系円盤は磁気回転流体不安定によって乱流状態にあると考えられ、乱流による円盤ガスの密度揺らぎによって発生するランダムな重力トルクが原始惑星の軌道進化に影響を与える可能性がある。計算の結果、乱流トルクが軌道離心率を間欠的に上昇させながら軌道長半径のランダムウォークを生じさせ、惑星同士の孤立化が妨げられ衝突が増える傾向にあることが分かった。
著者
細川 泰秀 柴田 徹 拜原 正人
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
pp.36-39, 2012-01

本誌 日経SYSTEMSが実施した調査によると、プロジェクトの失敗を繰り返す割合は89.9%と、非常に高い結果となりました。最初にプロジェクトの失敗が実際にどの程度あるのかについてお聞きします。ユーザー企業の代表として、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の細川さんは、どのようにご覧になりますか。
著者
高松 操 川原 啓孝 伊藤 裕道 宇敷 洋 鈴木 信弘 佐々木 純 大田 克 奥田 英二 小林 哲彦 長井 秋則 坂尾 龍太 村田 長太郎 田中 淳也 松坂 康智 立野 高寛 原 正秀 岡﨑 弘祥
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-42, 2016 (Released:2016-02-15)
参考文献数
10

In the experimental fast reactor “Joyo”, it was confirmed that the top of the irradiation test subassembly of the material testing rig named “MARICO-2” was broken and bent onto the in-vessel storage rack as an obstacle, damaging the upper core structure (UCS). In this paper, we describe the in-vessel repair techniques for UCS replacement, which are developed in Joyo. The UCS replacement was conducted in the following four stages: (1) jack-up of the existing damaged UCS, (2) retrieval of the existing damaged UCS, (3) installation of the O-ring, and (4) insertion of the new UCS. Since the UCS replacement was not anticipated in the original design, the work conditions at Joyo were carefully investigated, and the obtained results were applied to the design of special handling equipment. The UCS replacement was successfully completed in 2014. In-vessel repair techniques for sodium-cooled fast reactors (SFRs) are important in confirming the safety and integrity of SFRs. However, the techniques demonstrated in the actual reactor environment with high temperature, high radiation dose, and remaining sodium are insufficient to secure the reliability of these techniques. The experience and knowledge accumulated in the UCS replacement provide valuable insights into further improvements of in-vessel repair techniques for SFRs.