著者
中嶋 彩乃 古屋 正貴
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 2021年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.57, 2021 (Released:2021-08-07)
参考文献数
1

ラベンダー・ジェダイトについてはPinkish Lavenderと表現されるものも報告されているが(Lu, 2012)、主たる色がピンクの天然のジェダイトについての報告は少ない。天然のピンク・ジェダイトと思われるものを検査する機会を得たので、その宝石学的特徴やマンガンによる色について報告したい。10年ほど前にミャンマー産という、上記の写真のような円盤状のルース(現地名:壁)3点、カボションカット6点のピンク・ジェダイトを入手することが出来た。ピンクのジェダイトには有色樹脂によって着色されたものも多く流通し、当該石についても同様の処理が疑われた。しかし、着色の特徴となるような、色素の色溜まりや鮮やかなオレンジの蛍光はなく、蛍光もラベンダー・ジェダイトで見られる微かなオレンジものもだけだった。また、FT-IRの透過検査でもジェダイトの着色にしばしば用いられる樹脂による吸収は見られず、ワックスの吸収があるか、それすら見られないものであった。紫外可視分光スペクトルでも、着色による500~550nmの強い吸収は見られず、 540nm前後をピークとする弱い吸収が見られたのみだった。ラベンダー・ジェダイトでは同様のピークが 570nm付近がピークであり、ピーク波長は異なるが、似たような吸収が確認された。ピンク・ジェダイトといっても白い脈の部分もあり、白色部分とピンク部分の微量元素を比較したところ、蛍光 X線成分分析では主だった差は確認されなかった。しかし、 ICP-MSでさらに微量な成分を調べると、ピンク部分からは 20~40ppmの Mnが検出されたが、白色部分では 5ppm以下であった。その他にもラベンダー・ジェダイトとの比較では Feが少ない傾向が見られた。このため、ピンク色は微量なMnによるものでかつ Feが少ないことによるものと考えられた。
著者
古谷 誠治 水田 良三 大段 宗久 長倉 純幸 細辻 豊二
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.49-60, 1979

関東地方の4住宅団地の芝生地における雑草を調査した結果, 夏季は35科122種, 秋季は34科99種, 総計38科143種が認められた。このうち優占種としては, 団地, 季節により異なるが, アキメヒシバ, オヒシバ, カゼクサ, メヒシバ, ヒメムカシヨモギ, カタバミ, ヒメジヨオン, タンポポ, シロツメクサ, ツユクサ, スズメノカタビラ, ハルジヨオン, オオバコ, ハコベ, ノゲシなであった。中でもアキメヒシバ, スズメノカタビラ, ヒメムカシヨモギ, ハルジヨオン, カタバミは全団地に共通かつ優占的に出現した。<BR>これらの芝生雑草種は, 樹園地・水田裏作・畑地の雑草種の半数以上と共通であり, 牧草地の雑草種より共通種の比率は高く, 住宅団地の芝生地は牧草地よりはむしろこれら樹園地等に近い。しかし出現雑草種の半数以上を示める優占科については, 牧草地・畑地・芝生地とも極めて共通的である。なお, 水田雑草とは種・科とも大いに異なる。
著者
世古 俊明 隈元 庸夫 高橋 由依
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101430, 2013

【はじめに】大殿筋、中殿筋は股関節の肢位の違いによって筋線維走行や筋線維長が変化し、発揮される筋活動や運動作用の逆転が起こり筋機能も変化する。そのため立位保持や歩行など運動機能を考える上で関節角度の変化に伴う筋の作用や筋力発揮の特性を解明することは運動療法で重要となる。とりわけ大殿筋と中殿筋のトレーニングは関節可動域制限などの理由にて股関節屈曲位での実施となることが多々みられる。本報告の目的は、股関節の肢位の違い及び運動の違いが大殿筋、中殿筋の筋活動に及ぼす影響を筋電図学的に検討し、その機能を考察することである。【方法】対象は健常者9 名(全例男性、平均22.5 歳、169.7cm、65.0kg)とした。施行運動は等尺性股関節伸展運動(股関節伸展運動)と等尺性股関節外転運動(股関節外転運動)の2 種類とした。施行条件は股関節の屈曲角度の違いとして、側臥位での股関節屈曲90 度位(90 度位)、股関節屈曲0 度位(0 度位)、股関節伸展15 度位(−15 度位)の3 条件とした。90 度位のみハムストリングスの影響を最小限とするため膝関節90 度屈曲位とした。筋活動の測定には表面筋電計(Tele Myo G2、Noraxon社製)を用いた。右側の大殿筋上部線維(UGMa)、大殿筋下部線維(LGMa)、中殿筋(GMe)、大腿二頭筋(BF)、腰部背筋(LE)を導出筋とし、得られた筋活動を徒手筋力検査判定5 の筋活動量で正規化し、これを%MVCとして算出した。なお筋電図は生波形を全波整流し、筋電図解析ソフトにて解析した。また施行運動での股関節伸展筋力と股関節外転筋力を施行条件ごとに徒手筋力測定器(MICROFET2、Hoggan Health社製)で計測し、体重で除した値をそれぞれの筋力値として採用した。筋電図と筋力値の測定は同期化し、被験者の施行運動中は検者と別の検者が体幹を固定して測定の再現性に努めた。各筋の%MVCを施行運動の違いで、筋力値を施行条件の違いで比較検討した。統計処理はt-test、Welch検定、Wilcoxon-t検定、Holmの方法を用いて有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に則り、十分な配慮を行い、本研究の目的と方法、個人情報の保護について十分な説明を行い、同意を得た。【結果】UGMa、LGMaの%MVCは−15 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。UGMa、LGMaの%MVCは90 度位で股関節伸展運動時よりも股関節外転運動時に高値を示した。GMeの%MVCはすべての施行条件で施行運動の違いによる差を認めなかった。BFの%MVCは0 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。LEの%MVCは90 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。股関節伸展筋力値は施行条件の違いで差を認めなかったが、股関節外転筋力値は90 度位、−15 度位よりも0 度位で高値を示した。【考察】UGMa、LGMaは筋走行の特性から股関節伸展位では伸展作用、屈曲位では外転作用を有することが考えられている。今回、大殿筋の筋活動量が−15 度位では股関節伸展運動時に、90 度位では股関節外転運動時に筋活動量がそれぞれ高値を示したことは、この解剖学的筋走行の影響を筋電図学的に裏付ける結果になったと考える。また股関節伸展筋力値が施行条件で差を認めなかった。この股関節伸展運動時の筋活動量と筋力値の結果は、UGMa、LGMが90 度位では筋長が伸張位となるため活動張力よりも静止張力に依存し、−15 度位では筋長が短縮位となるため静止張力よりも活動張力に依存していた可能性を示唆するものと考える。また骨盤の代償動作を固定していたとはいえども90 度位での股関節伸展運動時にはLEが伸張位となり骨盤を介した股関節伸展運動の固定筋として活動しやすく、UGMa、LGMaによる伸展運動を効率的に発揮させていた可能性も考えられた。GMeがすべての施行条件で股関節外転運動時と股関節伸展運動時の筋活動量に有意差を認めない一方で股関節外転筋力値が0 度位で高値を示したことは、股関節深屈曲位よりも浅屈曲位でより活動すると筋電図学的に報告されている大腿筋膜張筋の影響が考えられ、膝関節屈曲角度要因とともに今後の検討課題となった。【理学療法研究としての意義】股関節屈曲角度の違いによる筋活動の違いとして、中殿筋は今後の検討課題が明確となり大殿筋は筋活動特性の一知見が筋電図学的に得られた。この知見は臨床での運動療法時や動作分析時における基礎的情報になると考える。
著者
石丸 幹二 古賀 咲江 高田 真菜美
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-48, 2012-01-15
参考文献数
7
被引用文献数
1 4

微生物制御発酵茶は,近年特に日本において開発,商品化されている新しいタイプの発酵茶である.単一の微生物を用いて発酵処理を行うのが特徴であるが,特に<I>Aspergillus</I>で発酵処理した茶から,新しいカテキン代謝物であるteadenol類が発見され,その化学構造の新規性と抗メタボリックシンドローム活性が注目されている.今回,現在日本で市販されている<I>Aspergillus</I>で発酵処理した5種の微生物制御発酵茶についてHPLC分析をおこなった.分析したすべての茶においてteadenol類が含まれていたが,発酵条件等の違いによる成分含量の差異も認められた.また,茶葉からのteadenol類の調製に関する実験では,比較的安全&middot;安価な試薬類を用いたカラムクロマトグラフィーによりteadenol類を効率的に単離することができた.今後も,茶由来の新規機能性成分の生産とカテキン代謝機構の解明に利用される新しい微生物制御発酵茶の開発が期待される.
著者
松田 昇 馬場 俊行 古田 佑紀
出版者
法曹会
雑誌
法曹時報 (ISSN:00239453)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.p377-398, 1981-02
著者
古村 健太郎
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2016

この博士論文は内容の要約のみの公開(または一部非公開)になっています
著者
南山 泰宏 古谷 規行 稲葉 幸司 浅井 信一 中澤 尚
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.411-416, 2012 (Released:2012-09-30)
参考文献数
13
被引用文献数
2 5

京都府特産野菜のひとつである舞鶴市在来の甘トウガラシ‘万願寺’では,栽培環境によって,時折,辛味果実が発生して問題になっている.これまでの遺伝解析研究において,生食用のピーマン品種では,単一の劣性遺伝子により辛味果実が全く発生しないことが明らかにされている.本研究では,新品種‘京都万願寺2号’の育成過程で得られた戻し交雑世代を用い,この遺伝子座に連鎖したDNAマーカー(SCY-800)の開発を行った.また,各戻し交雑世代を本DNAマーカーで選抜したところ,在来品種‘万願寺’の主要特性を残しながら,辛味果実が全く発生しない優良個体が得られて新品種の完成に繋がった.先行して育成された‘京都万願寺1号’と各形質を比較すると,新品種は低温期のアントシアニン着色果実の発生が少なく,辛味のない長果を産することが判明した.以上より,新品種はこれまでの品種にない優良形質を有しており,今後の生産現場への普及に期待がもたれる.
著者
古木 隆寛 竹内 日登美 原田 哲夫
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.39-42, 2019

<p>生物の解剖を行うことは学生の生物に対しての意識に有益に働くことが数多く報告されている。しかし、高知大学の学生で過去に生物の解剖を実際に行ったことのある学生は多くない。そこで、高知大学教育学部において開講されている「生物学実験Ⅰ」ではこれまでアフリカツメガエルの解剖を行ってきた。アフリカツメガエルの解剖を通して、体のつくりなどを学ぶと同時に、解剖に関して適切な手順や注意点を知ることを目的とした授業であるが、実際に決められた時間の中で、全てを指導するのはやや困難であった。そこで本研究では、全ての学生が適切に解剖を行い、十分に観察および考察ができるように、資料やサンプルを作成し、解剖に臨んだ。その結果、全ての学生が適切に解剖を行うことができ、十分に観察、考察をした結果、生命尊重の観点においても深く考えを至らせることができた。</p>
著者
浅古 泰史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

政治経済学・公共選択論の主な数理モデルは、米国の政治制度を強く意識したものが多い。しかし、二大政党制や大統領制など、米国の政治制度は欧州やアジアの民主主義国から見れば特殊なものである。政治制度の在り方が政策の意思決定過程に与える影響を考えるうえで、米国以外の政治制度を想定した研究が必須であると言える。そこで本研究では、日本や欧州などの議院内閣制を分析する理論的枠組みを構築していくことを目的とする。特に、議院内閣制の特徴の1つである内閣不信任決議、および首長が有している議会解散権に着目する。
著者
内山 光 古川 浩二郎 福田 倫史 平田 雄一郎 恩塚 龍士 田山 栄基 森田 茂樹
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.235-239, 2021

<p>冠動脈大動脈起始異常症は比較的稀な先天性冠動脈異常である.心筋虚血や心室性不整脈が問題となるが,初発症状が心停止である例が約半数との報告もある.しかし,かかる病態に対する手術適応や手術術式に関して不明な点も多い.今回,右冠動脈大動脈起始異常症に対して外科治療を行い良好な結果を得たので報告する.繰り返す胸部圧迫感を主訴とする47歳男性に精査を行ったところ,右冠動脈が左バルサルバ洞より分岐する右冠動脈大動脈起始異常症であった.血液検査,心電図,心臓カテーテル検査を含め客観的な心筋虚血所見を認めなかったものの,右冠動脈の比較的急峻な大動脈からの起始角度,両大血管間に挟まれた走行形態が胸部症状に関与している可能性と,突然死の可能性が否定できなかったため,手術の方針とした.手術は右冠動脈移植術を施行した.画像上良好な結果が得られ,術後一年の現在,胸部症状の再燃なく外来経過観察中である.</p>
著者
古野 真菜実 今泉 修 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

蓮の花托などの集合体に対する嫌悪はトライポフォビアと呼ばれる。トライポフォビアを誘発する視覚刺激の物理的要因については詳細な検討が行われているものの(Le et al., 2015),認知的要因については検討されていない。本研究では認知的要因について探索的に検討した。トライポフォビア喚起刺激(Le et al., 2015)に対する不快感評定実験の結果,集合体を有する物体が自然物か人工物か(e.g., 蓮かスポンジ)によって不快感が異なることが示唆された。さらに詳細に検討するため自然物・人工物の集合体画像からなる新規刺激を用いて不快感評定実験を行ったところ,自然物は人工物よりも不快感が強かった。以上の結果から,集合体を有する物体における自然物・人工物の違いがトライポフォビアに影響する可能性が示唆された。身体損壊や有害生物の連想からトライポフォビアが生じるとするならば(Cole & Wilkins, 2013),集合体を有する自然物はそのような連想を起こしやすい可能性がある。
著者
川畑 宣之 徳永 憲洋 古川 徹生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.413, pp.141-146, 2008-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
2

本発表では自己進化型モジュラーネットワーク(SElf-Evolving Modular network: SEEM)を提案する.SEEMは進化型のモジュラーネットワークであり,入力データに対応できる能力を持ったモジュールが存在しない場合にモジュールを増加させる機能,およびモジュール間の関連性を入力データから動的に獲得する機能をもつ.さらにSEEMは外部から時々刻々と入力される情報の分節化および分節化された情報の関連づけをオンラインで行う特徴も持つ.これによりSEEMは,自律行動型ロボットが環境との相互作用により機能を進化させるような課題,大規模情報の分類問題などに応用できると期待される.本稿はSEEMのアーキテクチャ,アルゴリズム及び3次元オブジェクト画像のオンラインクラスタリングへの応用について報告する.
著者
大山 吉幸 古河 俊哉 森 利枝 中村 匠吾 田熊 翔 池田 政輝 草ヶ谷 英樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.151-156, 2020

<p><b>背景.</b>有瘻性膿胸は内科的治療のみでは治癒が期待しがたく,手術も考慮されるが,年齢や合併症などにより手術が困難な症例もしばしば経験される.<b>症例.</b>85歳男性.右膿胸のために入院となり,胸腔ドレナージと抗菌薬治療を開始した.第5病日より気瘻が出現したため,CTを再検したところ右肺上葉に瘻孔が確認された.ドレナージを継続するも気瘻は持続した.高齢かつ全身状態不良で手術も困難であったことから,EWS(Endobronchial Watanabe Spigot)により右上葉支を充填したところ,気瘻は減少した.しかしそれでも気瘻が持続していたため,感染制御後に自己血癒着を追加したところ気瘻は消失した.<b>結語.</b>本症例のように手術が困難な有瘻性膿胸の症例において,EWSと自己血癒着の併用は有用である可能性があり,文献的考察を加えて報告する.</p>
著者
柴崎 隆一 青山 和浩 加藤 浩徳 村上 進亮 川崎 智也 新井 洋史 鳥海 重喜 渡部 大輔 和田 祐次郎 坪田 建明 古市 正彦 松田 琢磨 杉村 佳寿
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本課題は,研究代表者らがこれまでに蓄積したモデル構築やデータ分析に関する知見を活用し,全世界のすべての輸送モードを包含する統合的な国際物流シミュレーションモデルを構築して,世界各地の物流インフラ投資や越境抵抗削減などの実際の諸施策や,船舶大型化や新航路開拓(パナマ運河,北極海航路など)などの技術進歩が,輸送パターンにもたらすインパクトを定量的に予測するものである.