著者
髙岡 有理 亀田 誠 矢島 裕子 辻 泰輔 錦戸 知喜 吉田 之範 土居 悟
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1009-1017, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
18

【目的】小麦アレルギーの経口免疫療法の有効性の報告はみられるが,その方法について比較した報告はない.今回筆者らは小麦の経口免疫療法の効果を摂取間隔の異なる2つの方法で前向きに検討し,その摂取頻度が与える影響を評価した.【対象】うどんの経口負荷試験陽性例で最終負荷量と最大誘発症状より乾麺重量で0.5~5gから摂取開始可能と判断した49名から同意を得て,摂取頻度により週6回以上(頻回群)と週2回(間歇群)の2群に年齢を層別化して無作為に割り付けた.摂取頻度を遵守しかつ経口免疫療法を遂行できた各群16名合計32名を今検討の対象とした.【方法】頻回群と間歇群に経口免疫療法を行い6カ月目の摂取量を評価した.【結果】6カ月後に目標量(3歳以下乾麺重量20g,4歳以上乾麺50g)以上に摂取あるいは負荷試験陰性だった割合は両群ともに75%だった.【結論】小麦アレルギーの経口免疫療法での6カ月後の目標到達率は,1週間当たりの摂取頻度を2回まで落としても毎日の摂取と比較して摂取頻度による明らかな違いがみられないことが示唆された.
著者
渡邉 光男 永浦 克司 長谷川 敏 島垣 満 吉田 義樹 杉田 栄一郎 Watanabe Mitsuo Nagaura Katsuji Hasegawa Satoshi Shimagaki Mitsuru Yoshida Yoshiki Sugita Eiichiro
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発資料 = JAXA Research and Development Memorandum (ISSN:13491121)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RM-09-009, pp.1-6, 2010-03-31

本報告では,「極低温流体中でインデューサに発生するキャビテーションの直接可視化(その1:耐低温樹脂の特性検証試験結果)」で行った要素試験のデータを基に,更に極低温透視管に改良を加え,目標耐圧圧力7MPaを目指した検証試験について述べる。(その1)でネジ強度に課題のあったポリカーボネートは,ネジ山形の設計変更を行い,シールは新たにスプリング荷重式テフロンシールを選定し,シール構造にも改良を加えることで目標とする耐圧7MPaを達成することができた。また,ポリカーボネート樹脂の懸念材料であった低温脆性の劣化についても,熱サイクル試験を行うことで素材の潜在能力の高さを確認できた。これらの経緯と試験結果について報告する。
著者
岩瀬 梓 山岡 加奈 王 雨晴 広江 理紗子 吉田 直輝 宮田 洋輔 石田 栄美 倉田 敬子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.101-112, 2020 (Released:2020-12-30)
参考文献数
14

2011-2018 年に38 か国で実施された「国際成人力調査(PIAAC)」のオープンデータを用い,デジタルスキルに影響する要因の比較を行った。分析にはデジタルスキルを反映すると考えられるIT を活用した問題解決能力(PSTRE)の課題の正答数(25 か国15,702 件)を用いた。分析手順は以下の通りである。1.各国のPSTRE の課題の正答率比較,2.背景調査から選択した63 設問(日常でのメディア利用等)の因子分析,3.選択された各因子の因子得点と年齢,性別,学歴を説明変数,各回答者のPSTRE 正答数を目的変数とした回帰分析(25 か国全体,日本,北欧3 か国の3 グループに実施)。主な結果として,課題ごとの正答率および課題の正答に影響する要因は国や地域ごとに異なることが明らかになった。ただし,年齢と学歴はいずれの国や地域でも共通してPSTRE に影響を与え,性別は日本,北欧3 か国では有意ではなかった。
著者
高雄 啓三 吉田 知之
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は脳発達期における RNA 編集異常がシナプス結合選択の異常をもたらし、それが高次脳機能異常を伴う発達障害の原因であるという仮説に基づき、どのような因子がRNA 編集異常とシナプス結合選択の異常をもたらすのか同定し、その制御機構を明らかにする。シナプスをオーガナイズする因子の遺伝子はこれまで20種類程度知られているがその多くが脳で発現、RNA に転写される際に編集され、多様なタンパク質が作り出されることでシナプスは多様となる。本研究では、精神疾患モデルマウスの RNA 編集を調べ、その制御機構と精神疾患との関係を明らかにする。
著者
吉田 悠 青山 久枝 井上 諭 菅野 太郎 古田 一雄
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.125-134, 2018-02-25 (Released:2018-02-25)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This paper reports positive and negative effects of salience on air traffic control (ATC) task performance and propose a screen design policy based on the effects. The ATC task has widely been known as multiple and complicated tasks of a high cognitive demand. We aim to develop screen design policy considering human perception to reduce controllers’ workloads and improve task performances. This research focuses on salience which is one of the user interface elements causing a high-impact perception in accurate and efficient ATC tasks. We carried out an experiment with ten participants in order to clarify positive and negative effects of salience on the ATC task performance. In this experiment, we defined giving heading instructions as the main tasks, and hand-in and hand-off operations as the sub tasks. Experimental conditions provided four patterns of screen designs with (a) no, (b) small, (c) middle, and (d) large gap of salience between important and the other airplanes. We controlled salience using the color salience model that we developed in our previous works. Results of the experiment showed (1) larger salience gaps among displayed information improved novices’ instruction timing to the airplanes, (2) larger salience gaps according to the importance in main tasks degrades the performance of sub tasks, (3) larger salience gaps among displayed information slightly improved novices’ situation awareness (SA). Based on these results, we proposed the screen design policy considering salience of displayed information.
著者
吉田 一彦 柴田 憲良 藤本 誠 高志 緑
出版者
名古屋市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究は、「偽」というマイナスのイメージから研究上の価値が低いと誤認されてきた「疑偽経典」を、豊かな思想を伝えるテキストととらえ直し、その思想作品としての価値を解明するとともに、それらが日本および東アジアの社会、文化に果たした役割を明らかにしようと企図するものである。本研究では、日本に仏教が土着していった様相を、疑偽経典の受容、作成、浸透に着目して考察し、そこから日本仏教の歴史と思想の特質を考究する。
著者
笹川 徹 長谷川 恭一 山元 佐和子 吉田 博子 青木 雅裕 山形 沙穂 中村 睦美
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AcOF1005, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】Timed “up and go” test(以下TUG)は、主に高齢者の歩行、バランス機能を評価する指標であり、日常生活活動(以下ADL)の低下や転倒の危険の度合いを知ることができる検査である。TUGはリハビリの効果判定に広く使用されており、判定基準の研究も多数報告されている。しかし、TUGで規定されている椅子条件は、背もたれおよび肘掛け付の椅子であり、臨床においては、この条件に合う椅子を用意することは困難であることが多い。また、肘掛けの有無による検討はされているが、背もたれの有無による検討はまだされていない。本研究の目的は、このTUGに用いられる椅子の背もたれおよび肘掛けの有無により、結果にどのような相違があるかの検討を行い、TUGで用いられている椅子以外でも容易に本検査が行える可能性を検討する。【方法】対象は、60歳以上の杖歩行可能な男性21名、女性29名の計50名(健常者4名、内部疾患7名、運動器疾患31名、脳血管疾患8名)とした。とした。対象の年齢・身長・体重の平均値(標準偏差)は、74.4(6.6)歳、身長155.6(8.8)cm、体重56.5(12.1)kgであった。開始坐位は、背もたれおよび肘掛けの使用有無で4条件とし、各々の実施順番は無作為とした。TUGは、座面高44cmの背もたれおよび肘掛け付椅子を使用した。背もたれを使用する場合は背もたれに寄りかかり、使用しない場合は体幹前後傾の無い状態で行うこととした。肘掛けを使用する場合は肘掛けに両上肢を乗せ、使用しない場合は両手を膝の上に置いた状態で行った。杖使用の場合は、どちらの条件でも杖使用側のみ杖を床についた状態で行うこととした。被験者は、検者の合図で立ち上がり、前進し、3m先の目印の所で方向転換し、元の椅子に戻って腰掛けることとした。被験者にこの課題動作を説明し、やり方が十分理解されたことを確認してから実施に移った。検者は、これらの一連の動作に要する時間を計測した。歩行速度は、結果の変動を少なくするため、“転ばない程度でできるだけ早く”と指示した。統計解析は各分析項目についてPASW(VER.18)を用いて一元配置分散分析を有意水準5%で実施した。【説明と同意】本研究に先立ち、対象者に対し、研究の目的・方法・予測される危険等について説明を行い、書面による同意を得た。【結果】椅子各条件でのTUG結果の平均値(標準偏差)は、背もたれあり・肘掛けありで15.36(7.72)秒、背もたれなし・肘掛けありで15.43(7.66)秒、背もたれなし・肘掛けなしで15.86(8.77)秒、背もたれあり・肘掛けなしで16.25(9.37)秒だった。一元配置分散分析の結果、椅子4条件のTUG結果に有意差は無かった。【考察】今回の実験では椅子各条件でのTUG結果に有意な差は見られなかった。この結果は、背もたれおよび肘掛けの有無において差が出ない可能性があることを示唆し、本検査が背もたれおよび肘掛けの有無に関係なく行える可能性があることを意味する。肘掛けの有無については、Siggeirsdottirらの肘掛けの有無による検討結果である肘掛けのない椅子は肘掛け付の椅子よりも有意に立ち上がりにくいと報告している結果に反する。この要因として、条件を統一しても上肢に疾患があり肘掛けを使用できないものや、杖使用者では、肘掛け使用条件でもほとんど肘掛けに頼らず立ち上がることが影響したと考えられる。松本らは、膝押し群、座面押し群、肘掛け押し群で比較した結果、膝押し群と座面押し群および肘掛け押し群に有意差が認められ、座面押し群と肘掛け押し郡には有意差は認められなかったと報告し、上肢使用に対して具体的な教示をすることが必要であるとしている。また、Siggeirsdottirらは高さ46cmの椅子よりも42cmの椅子はTUG結果が有意に遅いと報告している。差が見られなかった他の要因としては、身長や下腿長の差による開始時の足底接地の有無等も影響していることが考えられる。これらの原因により、立ち上がり方に多様性があることが影響していることが考えられる。今後は、更にサンプル数を多くし、疾患別による検討や下腿長や座面高および杖使用による影響を検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】椅子各条件で有意差が無いという結果は、背もたれの無い椅子でも、TUG結果に影響はせず、多数検討されている判定基準を用いることが可能である可能性があることを示唆する。これにより、臨床において、背もたれの無い椅子でもTUGを行うことができ、歩行の自立や転倒リスク予測を行うことができる。
著者
吉田 絵理子 金久保 祐介 久保田 希 坂井 雄貴 山下 洋充
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.35-40, 2023-02-25 (Released:2023-03-16)
参考文献数
6

一般社団法人にじいろドクターズでは, 卒後3年目以上の医師を対象に, 所属機関で何らかの実践を目指すことを目標とし, 6カ月間のLGBTQに関するヘルスケア学習コースを提供したので報告する. 反転学習として, 学習テーマに沿った映画や書籍にて事前学習を行い, 集合型研修では講義だけでなくLGBTQ当事者との対話や, 当事者が模擬患者役を演じるロールプレイを行い, 毎回スモール・グループでの振り返りを行った.
著者
宮部 義幸 青柳 早苗 吉田 純 石川 幹人 中瀬 義盛 鷺島 敬之
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.67(1986-CG-023), pp.1-8, 1986-10-04

画像生成用高速コンピュータMCを用いた放送用文字図形生成システムについて述べる。本システムの特長は放送用として十分に用いることのできる高品質文字が生成できること、2次元アニメーションが実時間で実現できることである。文字生成は対話的フォント作成の容易さを考慮した骨格ストローク方式を採用している。又、高密度フレームメモリと2次元フィルタを用いてジャギー、フリッカを除去した高品質な文字図形を表示することができる。更に、MCと塗り潰しハードウェア、線描画ハードウェアによる高速描画を実現しており、ムーブ、ズーム、ロール、円グラフ等の2次元アニメーションが可能である。
著者
安藤 崇仁 下尾 嘉昭 中里 政可 吉田 久博
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.53-61, 2012-08-01 (Released:2012-09-06)
参考文献数
13

歯科治療では浸潤麻酔が頻繁に行われている.しかし浸潤麻酔は患者に強い痛みを与えるため,前処置として表面麻酔が用いられており,口腔粘膜停滞性が悪く,麻酔効果も良好とは言い難い.そこで,表面麻酔薬塗布部の横に円筒形綿花を置き,さらに下口唇を術者が前方へ引き出すことで比較的簡便に表面麻酔薬の口腔粘膜停滞性を向上させる方法(改良法)を考案し,表面麻酔薬を塗布した後に口唇を閉じる方法(従来法)との間で試験を行った.複数の表面麻酔製剤を用い,表面麻酔効果の非使用部位への発現および浸潤麻酔時の除痛効果を検討した.対象は健常成人男女10名とし,試験部位は下顎前歯部歯槽粘膜とした.作用時間1分とし,注射針刺入時と薬液注入時の疼痛をVisual Analogue Scaleで評価した.その結果,改良法では,従来法よりも薬液注入時に良好な除痛効果を示した.また,従来法では1分以内に非使用部位で表面麻酔効果が認められたのに対し,改良法では認められなかった.これらの成績は,表面麻酔薬の口腔粘膜停滞性を向上させることにより副作用が軽減できること,また今回提示した改良法が薬剤の口腔粘膜停滞性向上に有効なことを示唆している.
著者
楊井 知紀 衛藤 正雄 朝長 匡 末廣 昌嗣 岩永 斉 進藤 裕幸 相良 耕三 吉田 省二
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.392-395, 2000-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

We experienced a case of dysphasia and dysphonia due to Ankylosing spinal hyperostosis (ASH) of the cervical spine.The patient was a 78-year-old man who was admitted to the department of internal medicine in our hospital for the examination and treatment of dysphasia and Mendelson syndrome. Dysphonia appeared later. X-rays of the cervical spine showed ossification of the anterior longitudinal ligament (OALL) at the C2 to C7 regions. The patient received surgical treatment.After the removal of OALL, dysphasia and dysphonia improved. The causes of these ASH symptom are examined in this study.
著者
吉田 祥
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本来ドーパミンは覚醒誘発に関与するが、逆説的にドーパミン受容体作動薬により突発的な眠気が生じることが問題となっている。ドーパミン受容体作動薬により睡眠と覚醒の相反する現象が生じうることについて、その脳内機構の解明のための研究をラットを用いて行った。その結果、動物の活動期(暗期)において、高用量では覚醒を誘発するが、低用量では逆説的に睡眠が増加することが判明した。
著者
近藤 夕騎 望月 久 加藤 太郎 鈴木 一平 板東 杏太 滝澤 玲花 吉田 純一朗 西田 大輔 水野 勝広
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.20012, (Released:2020-10-30)
参考文献数
8

目的:Ehgoetz Martensらが開発したすくみ足の詳細を把握できる質問紙Characterizing Freezing of Gait questionnaire(C-FOGQ)の日本語版を作成し,患者による回答時間などの予備調査を行うこと.方法:日本語版C-FOGQは,原著者から許可を得た後,異文化適応に関する国際的ガイドラインに準じて,①順翻訳,②逆翻訳,③予備調査のプロセスを経て作成した.予備調査では,すくみ足を訴えるパーキンソン病関連疾患患者39名から日本語版C-FOGQによる回答を得て,回答時間,誤回答・無回答率を調査した.結果:英語原版から日本語への順翻訳ならびに英語への逆翻訳過程において,重大な言語的問題は生じなかった.予備調査の結果,平均回答時間は526.8秒であり,誤回答・無回答率は1%未満であった.SectionⅡにおける総合得点の平均は20.0点であった.結論:作成した日本語版C-FOGQは言語的妥当性を有し,10分程度で回答でき,誤回答や無回答率も少ないため,本邦でもすくみ足の評価として使用可能と思われる.