著者
藤沼 宏彰 星野 武彦 吉田 忍 熱海 真希子 山崎 俊朗 清野 弘明 菊池 宏明 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.821-826, 2000-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8

中高年層で広く実施されているゴルフ練習の, 糖尿病運動療法としての有効性について検討した. 男性2型糖尿病患者18例を対象に2つの調査を行った (調査1: 9例, 調査2: 9例), 調査1では練習場でのショットを実施して心拍数, 血圧, 血糖変動を測定し, 無酸素性作業閾値に相当する心拍数を強度の指標にした自転車運動と比較した. 調査2は研究室内で回転式の練習機によるショットを実施し, 酸素消費量を測定して自転車運動と比較した、ゴルフ練習中の心拍数は無酸素性作業閾値に相当する心拍数を超える者が多かった. しかし, 予測最大心拍数の74.6%と, 糖尿病運動療法に対する運動強度として適度な範囲にあった. ゴルフ練習直後の血圧は自転車運動中の血圧よりも低い傾向にあった. ゴルフ練習は自転車運動と同様に, 昼食後1時間から1時間30分にかけての血糖上昇を抑制したが, 運動終了30分後のリバウンドは大きい傾向にあった. ゴルフ練習の酸素消費量は, ピッチングショット時には自転車運動より少なかったが, ウッドでのショット時には自転車運動と同様の値を示した, 酸素消費量から推定した総工ネルギー消費量は自転車運動と同様であった.これらのことからゴルフの運動の糖尿病運動療法としての有効性が示唆された.
著者
吉田 翔 金井 秀明
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2014-EC-31, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた.
著者
前濱 智子 林田 晃寛 久米 輝善 和田 希美 渡邉 望 根石 陽二 川元 隆弘 豊田 英嗣 大倉 宏之 吉田 清
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement3, pp.121-126, 2008-07-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
7

症例は61歳,男性.1997年から全身性強皮症と診断され,加療されていた.膠原病性肺高血圧症が急速に進行し,2006年から在宅酸素療法およびボセンタンを導入された.2007年6月,自宅で突然心肺停止となった.家人による心臓マッサージを受け,救急隊が装着した自動体外式除細動器(AED)にて心室細動が確認され,除細動2回目で心肺停止から約25分後に自己心拍の再開を認めた.来院時GCS:1-1-1で除脳姿勢を呈していたが,軽度低体温療法を行った結果,若干の記憶障害が残るものの,意識はほぼ清明となるまで回復した.原因検索の際の冠動脈造影検査にて虚血性心疾患は否定されたため,全身性強皮症の心病変による心室細動であったと診断し,植込み型除細動器を植え込み,約1カ月後に退院した.今回われわれは,強皮症による心筋障害が原因と思われる心室細動をきたし,AEDにて蘇生された貴重な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
著者
吉田 公平
出版者
東洋学研究所
雑誌
東洋学研究 = TOYO UNIVERSITY ORIENTAL STUDIES (ISSN:02889560)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.297(244)-303(238), 2019
著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。
著者
吉田 邦夫 國木田 大 佐藤 孝雄 加藤 博文 増田 隆一 Ekaterina Lipnina
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

バイカル・シベリアのマリタ遺跡は、マンモスの牙から作られたヴィーナスや鳥などの彫像が出土した著名な遺跡である。1928年以来、たびたび発掘されてきたが、出土物の層位が明確になっていない場合が多い。2013年、2014年に日ロ共同発掘調査を行い、層準が明確な資料を得た。また。ロシア国立歴史博物館・エルミタージュ国立美術館・イルクーツク国立大学に収蔵されている資料から年代測定用試料を採取した。これら、小児骨、ヴィーナス像を含む70試料を超える、主として骨試料について、年代値・炭素窒素安定同位体比を得た。同遺跡における複数の地質学的層序と文化層、自然環境とその年代についての重要な知見を得た。
著者
丹野 博 坊垣 和明 江見 和明 吉田 元紀
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成27年度大会(大阪)学術講演論文集 第10 巻 都市・環境 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.197-200, 2015 (Released:2017-11-15)

本研究では住宅冷房負荷低減の可能性評価を目的として、太陽熱集熱器を使用した夜間放射冷却システムの基礎実験を行った。実験期間での有効日数154日間のうち放射パネル冷却効果のある日でシステム冷却効果のある日は35日間(23%)であった。また、実測データを分析した結果、放射パネル冷却効果に与える要因には放熱時の外気温度と基準水平面温度との差ΔT1と冷媒往き戻り平均温度との差ΔT2があり、特にΔT2の影響が大きいことを確認した。
著者
吉田 麗玖 増村 侑希 笠原 一希 村上 優太 佐藤 成 中村 雅俊
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.71-77, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
11

本研究の目的は、異なる角度のインクラインベンチプレスにおいて、大胸筋の鎖骨部・胸肋部、三角筋前部線維、上腕三頭筋の筋活動の違いを明らかにすることである。対象はレジスタンストレーニングの経験がある健常成人男性16名とした。相対重量として各傾斜角度における1RMの70%の重量、絶対重量として40kgを負荷として設定し、各傾斜角度において筋電図測定を行った。結果は70%1RM条件にて、大胸筋胸肋部で傾斜角度の増加により有意に筋活動が減少した。一方、他の部位では、各傾斜角度において筋活動に有意な差は認められなかった。また、40kgの条件では、大胸筋鎖骨部、三角筋前部では傾斜角度の増加により筋活動は増加し、大胸筋胸肋部では筋活動が減少した。本研究の結果、70%1RMの重量において、フラットベンチプレスが4筋に高い筋活動を生じさせる最も効率的な種目であると示唆された。一方、同じ重量を用いた場合、20°、40°、60°のインクラインベンチプレスにおいて大胸筋鎖骨部の高い筋活動を生じさせる種目であると示唆された。
著者
橋本 鉄平 井上 政昭 名部 裕介 吉田 順一
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.95-100, 2023-04-20 (Released:2023-04-27)
参考文献数
15

背景.免疫チェックポイント阻害薬は非小細胞肺癌において病変ごとに異なる治療効果を示すことが知られている.症例.66歳,男性,両側上葉肺扁平上皮癌(同時性多発肺癌).心呼吸機能低下のため両腫瘍に対する根治手術は困難であり,免疫複合療法(CBDCA+nab-PTX+pembrolizumab)を選択.4コース投与後に両側腫瘍は縮小.Pembrolizumab単剤による維持療法23コース後のCTで左上葉肺癌は消失,肺門リンパ節と一塊となった右上葉肺癌原発巣は縮小を維持していたが,#4Rリンパ節のみが腫大.PET-CTでは同リンパ節と右肺門部病巣にFDG集積を認めた.経過から縦隔リンパ節転移と判断した.右肺門部に腫瘍の残存はあるが,縮小維持されていたため,病勢コントロール目的と遺伝子検査目的に縦隔リンパ節切除術を施行した.術後は維持療法を継続し初回治療から1年11ヶ月(術後4ヶ月)経過した現在無増悪生存中.結論.非小細胞肺癌に対するPD-1阻害薬治療において,個々の病変ごとに不均一な増悪パターンを示す場合は,増悪病変を外科的切除することで病勢をコントロールできる可能性がある.
著者
吉田 宗弘 斉 悦 吉原 花織 細見 亮太 福永 健治
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.80-85, 2017-07-31 (Released:2017-11-30)
参考文献数
15

茶は微量ミネラルであるマンガンを豊富に含んでおり,マンガンの給源として重要である。緑茶に含まれるマンガンの栄養有効性を確認する目的で,4週齢のWistar系雄ラット18頭を3群に分け,低マンガン飼料(マンガン濃度0.45μg/g),低マンガン飼料に10μg/gのマンガンを炭酸マンガン,または緑茶抽出物として添加した飼料を与えて4週間飼育した。飼育期間終了後に各群ラットの肝臓,腎臓,小腸,脾臓,大腿骨,および脳マンガン濃度を測定したところ,いずれも低マンガン飼料投与群が他の2群に比較して有意に低い値を示した。一方,臓器中マンガン濃度において,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間には差がまったく認められなかった。また,糞へのマンガン排泄量とマンガン摂取にもとづいて算定したマンガンの見かけの吸収率においても,炭酸マンガン添加飼料投与群と緑茶抽出物添加飼料投与群との間に差はなかった。これらのことは,緑茶に含有されるマンガンの栄養有効性が炭酸マンガンと同等であることを示している。
著者
新井 真 清水 洋治 吉田 匡志 窪田 智史 竹井 仁
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3447, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】スポーツ動作中のジャンプ着地における、膝伸展機構への過剰な牽引力や脛骨前方移動による靭帯のストレスを誘引する要因の一つとして、着地時の大腿四頭筋の過活動がある.大腿四頭筋の過活動の抑制にはハムストリングスの筋活動が重要であり、両筋のバランスを評価する指標として大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比(H/Q比)がよく用いられる.H/Q比と着地動作の研究では、筋電図や床反力を比較したものは多いが、着地時の矢状面での関節角度について言及したものは少ない.そこで本研究では、膝屈曲・伸展筋力の測定からH/Q比を求め、その値とジャンプ着地時の矢状面における下肢・体幹の屈曲角度との関係を検討することを目的とした.【方法】対象は、健常男性15名(平均年齢21.8歳)とした.ヘルシンキ宣言に基づき、実験の趣旨を説明し書面にて同意を得た.着地課題は30cmと40cm台からの右下肢片脚跳び後の左下肢片脚着地とした.上肢の影響を取り除くため、両手で体幹側部を把持させた.また、飛び降り動作の滞空時間を統一するため、台上での片脚踏切から着地までを0.5秒に規定した.この動作を側方からビデオカメラで撮影し、Frame-DIASIV(DKH社製)を用いて着地時の足・膝・股・体幹の角度を解析した.膝関節の最大屈曲時の各関節角度を着地時の角度とし、静止立位時の角度との変化量を求めた.等速性膝屈曲・伸展筋力は等速性筋力測定装置(BIODEX SYSTEM3)を用いて測定し、角速度は60°にて求心性収縮と遠心性収縮を各5回測定した.この値からH/Q比を算出し、関節角度との相関をSPSS16.0Jを用いて検定した.【結果】着地時の関節平均角度[°]は30cm、40cm台でそれぞれ足関節背屈27.0±7.7、29.8±6.0、膝関節屈曲99.6±13.8、92.8±12.5、股関節屈曲56.1±17.0、65.0±18.7、体幹前傾17.3±13.8、22.2±13.9であった.また、H/Q比[%]はジャンプ着地時の収縮様式を用い、膝屈筋の求心性筋力、伸筋の遠心性筋力の値を用いたところ平均40.9±9.8であった.H/Q比(x)と各関節角度(y)の関係は、30cm台における足関節背屈(y=1.42x+33.81,R2=0.60,p=0.03)、40cm台における股関節屈曲(y=0.96x+25.07,R2=0.40,p=0.01)、体幹前傾(y=0.59x-1.39,R2=0.30,p=0.04)にそれぞれ正の相関がみられた.【考察】30cm台においてH/Q比と足関節背屈角度との間に正の相関があることからH/Q比が低値なほど、背屈が小さくなることが示唆された.また40cm台での着地において、H/Q比と体幹前傾・股関節屈曲角度に正の相関がみられた.このことからH/Q比が低値なほど、体幹がuprightな姿勢で着地動作を行うために後方重心になり、膝伸展モーメントが増大し、大腿四頭筋に過負荷がかかる可能性が示唆された.よって、低い台からの着地における外力吸収は足関節が主であり、高い台では股関節屈曲・体幹前傾が参加することで姿勢を制御していると考える.
著者
吉田 寿人
出版者
福井大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

ハトムギは漢方薬として中国や日本で古くから利用されてきた。近年、ハトムギの抗腫瘍効果が注目され、ハトムギの抽出エキスであるヨクイニンにも抗腫瘍効果があることが示された。今回の研究では、口腔癌におけるヨクイニンおよびその有用成分Trilinoleinの抗腫瘍効果について検討を行った。口腔扁平上皮癌細胞にヨクイニンおよびTrilinoleinを作用させたが、細胞増殖活性に変化はみられなかった。口腔扁平上皮癌にCOX-2 inhibitorを作用させると抗腫瘍効果がみられたため、今後、COX-2が関与している漢方薬の抗腫瘍効果についての検討していく。
著者
斎藤 豊 岡 志郎 河村 卓二 下田 良 関口 正宇 玉井 尚人 堀田 欣一 松田 尚久 三澤 将史 田中 信治 入口 陽介 野崎 良一 山本 博徳 吉田 雅博 藤本 一眞 井上 晴洋
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.1519-1560, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
293
被引用文献数
3

日本消化器内視鏡学会は,新たに科学的な手法で作成した基本的な指針として,「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」を作成した.大腸がんによる死亡率を下げるために,ポリープ・がんの発見までおよび治療後の両方における内視鏡によるスクリーニングおよびサーベイランス施行の重要性が認められてきている.この分野においてはレベルの高いエビデンスは少なく,専門家のコンセンサスに基づき推奨の強さを決定しなければならないものが多かった.本診療ガイドラインは,20のclinical questionおよび8のbackground knowledgeで構成し,現時点での指針とした.
著者
吉田 稔 吉田 徹 齋藤 浩輝 川畑 亜加里 松嶋 真哉 森 佑紀 森 みさ子 小野寺 英孝 桝井 良裕
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.158-162, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
16

【目的/方法】2011年国際栄養調査で,本邦ICUの栄養療法における環境体制や実施状況の遅れが示唆された.2011年以降,それらに関する調査は殆どなく,神奈川県内ICUでの栄養療法の実態や栄養チーム内での栄養療法に対する見解を明確にする目的でオンライン質問票を用いた横断研究を行った.【結果】神奈川県内12施設13ICUから回答が得られ,経腸栄養プロトコール使用が54%,ICU常在管理栄養士が31%,ICU常在リハビリテーションスタッフが54%と以前と比し高水準であった.一方,エネルギー・たんぱく質の目標投与量に関し『わからない』と答えた施設が39%を占めた.【結論】ICUにおける栄養療法の環境体制は,以前と比し整えられてきている.一方,栄養チーム内での栄養療法の目標に対する共通見解にばらつきがある可能性が考えられた.今後,栄養チーム内での栄養療法の目標に関する共通見解を深めていく必要がある.
著者
藤原 佳典 天野 秀紀 熊谷 修 吉田 裕人 藤田 幸司 内藤 隆宏 渡辺 直紀 西 真理子 森 節子 新開 省二
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.77-91, 2006 (Released:2014-07-08)
参考文献数
32
被引用文献数
4

目的 在宅自立高齢者が初回介護保険認定を受ける関連要因を,要介護認定レベル別に明らかにする。方法 新潟県与板町在住の65歳以上全高齢者1,673人を対象にした面接聞き取り調査(2000年11月実施,初回調査と称す)に1,544人が応答した。ベースライン調査時の総合的移動能力尺度でレベル 1(交通機関を利用し一人で外出可能)に相当し,未だ要介護認定を受けていない1,225人をその後 3 年 4 か月間追跡した。この間,介護保険を申請し要支援・要介護 1 と認定された者を軽度要介護認定群,要介護 2~5 の者を重度要介護認定群,未申請で生存した群(以降,イベント未発生群と称す)に分類し,男女別にイベント未発生群と軽度あるいは重度要介護認定群との間で初回調査時の特性を比較した。つぎに Cox 比例ハザードモデル(年齢,老研式活動能力指標の手段的自立,慢性疾患の既往は強制投入し,単変量分析で有意差のみられた変数すべてをモデルに投入したステップワイズ法)を用いて,要介護認定に関連する予知因子を抽出した。成績 追跡対象者のうち初回調査時に BADL 障害がなく,かつ申請前の死亡者を除く1,151人を分析対象とした。うちイベント未発生群は1,055人,軽度要介護認定群は49人,重度要介護認定群は47人であった。男女とも共通して在宅自立高齢者の軽度要介護認定に関連する予知因子として高年齢と歩行能力低下(男は「1 km 連続歩行または階段昇降のいずれかができないまたは難儀する」のハザード比が7.22[95%CI 1.56-33.52] P=0.012;女は「1 km 連続歩行・階段昇降ともにできないまたは難儀する」のハザード比は3.28[95%CI 1.28-8.42] P=0.014)が,また重度要介護認定の予知因子として高年齢と手段的自立における非自立(4 点以下のハザード比は男で3.74[95%CI 1.59-8.76] P=0.002;女で3.90[95%CI 1.32-11.54] P=0.014)が抽出された。また,男性のみ重度要介護認定に重度認知機能低下が,女性のみ軽度要介護認定に入院歴と咀嚼力低下が抽出された。結論 在宅自立高齢者の要介護認定の予知因子は,高年齢を除き,大半は介護予防事業により制御可能であろう。今後,これら介護予防事業の効果が学術的に評価されることが期待される。
著者
吉田 恵子 伊部 さちえ 古庄 律 四十院 成子 岡本 洋子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.61, 2015 (Released:2015-08-24)
被引用文献数
1

【目的】現在の「調理学」の教科書に記載されている豆類の吸水率は、1983年に松元文子先生によって作成されたものがほとんどである。演者らは改めて各種豆類(大豆など7種類)について吸水率を測定し新データを作ることを目的とした。また大豆を調理するときに、0.3%重曹水中で調理するとアルカリにより大豆中のビタミンB1が減少するという記述も、多くの教科書に記述されている。ビタミンB1は水溶性であり、アルカリで分解されるというデータはあるが、大豆中のB1が重曹添加で減少するという報告はみあたらない。そこで大豆の調理方法とビタミンB1量の関連についても検討することを目的とした。【方法】吸水率の測定には、黒大豆、大豆、大福豆、金時豆、うずら豆、ささげ、小豆を用い、水に浸漬後2時間ごとに24時間吸水量を測定した。調理方法によるビタミンB1量については、丹波錦白大豆を用い、水中加熱、1%食塩水中加熱、0.3%重曹水中加熱を行った豆について、pHを測定後、ビタミンB1量を定量した。定量方法は前処理後、TSKgel Amide-80カラムを用いHPLC で定量した。【結果】吸水率:7種の豆類のうち吸水率の高かった豆は黒大豆で、他の豆類も以前のデータとは異なる挙動を示した。ささげは小豆と違い種瘤からのみではなく、表皮全体から吸水され吸水曲線のカーブも大豆に似ていた。3種の調理方法による大豆のビタミンB1量:水煮での煮豆、1%食塩水での煮豆、0.3%重曹水での煮豆ともに、生の時の約30%に減少した。この減少は添加物の影響はなく、調理することにより水溶性であるビタミンB1が煮汁などに溶出したためと熱で分解したものと推察される。