著者
長谷川 恒雄 岸 久博 重野 幸次 種村 純 楠 正 木船 義久 吉田 道弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.638-646, 1984 (Released:2006-08-04)
参考文献数
3
被引用文献数
31 1

Factor and scalogram analyses were carried out on data obtained from 313 aphasic patients whose clinical state was evaluated by the Standard Language Test of Aphasia (SLTA). This report describes the results of scalogram analysis following up the previous report which dealt with the results of factor analysis, and proposes a rating scale which determines over all severity of aphasic patients.    Guttman's scalogram analysis was performed in various ways on the SLTA items in order to construct a simple and practical scale. The 26 items were classified into three item-groups based on the results of the factor analysis which was reported in the previous report : group A consisting of items with high factor loadings on the 1 st factor (writing), group B consisting of items related to the 2 nd factor (speech) and group C related to the 3 rd factor (comprehension). Four compound items were constructed in group A and three each in groups B and C, and these compound items were analyzed separately. The analysis reveals that they are sufficiently unidimensional for scale construction. A rating scale with total scores of A, B and C was proposed for overall assessment of aphasia.
著者
惠多谷 雅弘 鶴間 和幸 中野 良志 村松 弘一 小林 次雄 吉田 愛 福島 惠
雑誌
学習院大学国際研究教育機構研究年報 (ISSN:21890838)
巻号頁・発行日
no.3, pp.89-112, 2017-02-01

高分解能衛星データで秦始皇帝陵墳頂を通る南北中軸線の方位を計測すると,北方向は現在の真北からやや東偏している。この南北中軸線を方位図法投影した地球の三次元球体衛星画像上にプロットしたところ,その北方向は驪山北方約700 km に位置する陰山山脈烏拉山の最高峰近くに達した。またこの時,『史記』の記述で統一秦の東門がおかれた場所とされる胊県(現在の連雲港市)を通る東西線は,『三輔旧事』で秦西門との記述がある約1,100 km 西方の汧水(千河)を横切り隴山に達することも分かった。『史記』や『三輔旧事』の記述は統一前後の秦に当時の方位を意識した空間的概念が存在したことを示唆しているが,衛星画像の解析結果は秦帝国形成において胊県(東海),隴山(汧水),驪山(渭水),烏拉山(黄河)の山水を東西南北のランドマークとした壮大なグランドプランが存在した可能性を示唆している。
著者
岩永 希 原田 康平 辻 良香 川原 知瑛子 黒濱 大和 和泉 泰衛 吉田 真一郎 藤川 敬太 伊藤 正博 川上 純 右田 清志
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.478-484, 2016 (Released:2016-10-30)
参考文献数
21
被引用文献数
11

症例は25歳女性.2013年6月前医で原発性シェーグレン症候群と診断.2014年7月発熱,著明な炎症反応,全身リンパ節腫脹,肝脾腫を認め前医に入院.抗生剤(ceftriaxone,meropenem)を投与,ステロイドを増量(PSL 50mg)するも無効で,急速に進行する全身浮腫を認め当院へ転院.リンパ節生検では好中球浸潤を認め,骨髄穿刺では巨核球増加と線維化を認めた.minomycinを併用したところ,発熱・全身浮腫・炎症反応は徐々に改善したが,貧血・血小板減少を認めていた.感染症を疑いステロイドを減量したところ,再び発熱,浮腫・胸腹水の出現,血小板減少・貧血の増悪を認めた.ステロイドパルス,ステロイド再増量を行うも治療抵抗性で,cyclosporin(CyA)を併用し軽快した.典型的なリンパ節の病理像を認めなかったが,本症例の臨床像はTAFRO症候群と酷似していた.TAFRO症候群は,Castleman病の一亜型と考えられているが,感染,リウマチ性疾患,悪性腫瘍などによる高サイトカイン血症により二次的に生じ得るとされている.本症例では原発性シェーグレン症候群を背景に発症し,化膿性リンパ節炎様のリンパ節病理像を認めた点が興味深いと考え報告する
著者
村上 三郎 中島 三恵 吉田 裕 橋本 大樹 辻 美隆 大久保 雄彦 浜田 節雄 平山 廉三
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-6, 2004 (Released:2009-06-05)
参考文献数
32
被引用文献数
6 3

血液透析治療中に繰り返し発症した宿便性大腸穿孔症例を経験したので,文献的検討を加えて報告する.症例は76歳,女性.慢性腎不全にて血液透析治療を受けている.3年前に宿便性S状結腸穿孔にてHartmann手術を施行されている.今回,突然の腹痛が出現し再入院となった.腹部X線写真および腹部CTで,freeairおよび多数の宿便を認め,宿便性大腸穿孔の再燃と判断し緊急手術を行った.S状結腸に穿孔を認め,その近傍に宿便を認めた.前回のストーマ造設部に新たなストーマを造設してHartmann手術を行った.水分摂取の制限を要した血液透析患者で宿便性大腸穿孔が発症したことを考えると,圧迫壊死という物理的因子以外に便塊表面の粘稠度の充進や腸粘液分泌減少などによって便塊が大腸粘膜へ強固に付着すること,さらに,それに続く大腸壁の局所循環血流障害などが本疾患の発症に関与している可能性がある.
著者
吉田 雅昭
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.45-60, 2008-04-01

東北諸方言の基本的時間表現形式の考察を行った。過去継続相としてテアッタ・テデアッタ形が秋田市,タッタ形が青森市,テラッタ・テダッタ形が平鹿町・八戸市・盛岡市,テタッタ形が福島市方言で使用される。過去・現在継続相としてテタ形が見られるが,平鹿・八戸・盛岡ではテラ形も使用される。完成相ではタッタ形が平鹿・八戸・盛岡・福島で使用される。東根市では文末詞のケとタが共起することが多い。元々存在した過去継続相のテアッタ形が音変化によりタッタ形へ変化していった。変化当初は継続相として機能しながらも,継続相表示の「テ」の消失のため,やがて完成相(タの連続)として意識される。そして完成相と継続相の2項対立を実現させるためにテタッタ形を生じる,というプロセスを主張した。時間表現を通して,安定した体系を成立させるために言語変化が生じていく様を,各方言を対照させ論じた。
著者
吉田 正 中村 光士郎 小林 泰輔 富所 雄一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.96, no.9, pp.783-789, 2003-09-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

Mycosis in the paranasal sinus is commonly found in the maxillary sinus, but rarely in the sphenoid sinus. In this paper, three cases of sphenoid sinus mycosis are reported and the clinical feature are compared with the 25 other cases reported in Japan since 1968. Our three patients had complained of headache and eye pain, which were thought to be characteristic symptoms in the 25 previous cases. One of the three patients had onset with a background of rheumatoid arthritis and needed steroid medication, but the other two patients had no improvement with medication for sinusitis. By CT scanning and MRI, a localized sphenoid sinus lesion was detected as a characteristic findings for paranasal sinus mycosis, showing irregular mosaic contras on CT scanning and low intensity signal on T1 and T2 MRI imaging. The definite diagnosis was made by means of histological examination for a block age in the affected sinus cavity. Endoscopic sphenoidectomy was performed through the parsnaslis of the anterior wall of sphenoid sinus and was usefull for total removal of the lesion.
著者
吉田 真
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.35-40, 1986 (Released:2007-03-29)
参考文献数
5
被引用文献数
3 2

山地渓流上に張られたジョロウグモの網に円網を張るクモ3種が侵入し, その中に自分の網を張って餌を捕らえたり, 宿主の網にかかっている餌を盗んでいた。これらの種の侵入の目的を, 宿主の網での餌盗みと造網足場としての宿主の網 (とくに迷網) の利用の, 2点から考察した。
著者
山下 哲史 千代延 友裕 吉田 路子 諸戸 雅治 森田 高史 森岡 茂己 加藤 光広 才津 浩智 森本 昌史 細井 創
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.64-66, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
10

STXBP1変異による大田原症候群の1例を経験した. 新生児期に部分発作で発症し, 生後1カ月よりepileptic spasmsが出現した. その後, 種々の抗てんかん薬およびACTH療法に対して難治に経過したにもかかわらず, 生後8カ月より開始したlevetiracetam (LEV) が著効した. STXBP1変異がもたらすてんかんの病態とLEVの作用機序を考察する上で示唆に富む症例と考えられたため報告する. 一方で, 発作が抑制されたにもかかわらず痙性を伴う重度の発達遅滞を呈しており, STXBP1のハプロ不全はてんかんのみならず, 神経機能に重大な障害を引き起こすことが示唆される.
著者
安藤 真 吉田 和弘 谷川 智洋 王 燕康 山下 淳 葛岡 英明 廣瀬 通孝
出版者
日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.65-74, 2003
被引用文献数
18

Recently, virtual reality technology has been used in numerous practical applications. In this paper, we developed and evaluated a proto-type system of educational VR system by using networked VR technology. To build proto-type systems, we constructed high quality historical VR contents, Copan ruins of Mayan civilization, and integrate two different types of VR systems, theater-type and home-type VR systems. By using VR Theater, a teacher can give lecture on Mayan civilization to his students as if they are in the real Copan ruins. Also, we divide students into four groups and inspect the effect of mutual observation to group stydy. In proto-type system, each group walk through Copan ruins by using home-type VR systems set up in front of the VR theater, and solve historical questions about Mayan civilization. Throughout the experiments, almost all students are interested in Mayan civilization and communicate each other in both real and VR environments.
著者
吉田 コマキ 木曽 隆
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学マルチメディア教育研究センター紀要 (ISSN:13464264)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.13-20, 2008-03-31

近年、カーナビゲーション、Apple社のiPhoneをはじめとした「指で触れる」行動が一般化しつつある。しかしながら、その「触れる」という行動は、まだ模索の段階であることから、利用者にはコンセンサスが形成されているとはまだいえない。利用者はタッチ型インターフェイスを前に常にトライ&エラーをせざる得ないのが現状といえる。そこで、本稿ではAdobe MAX Japan 2007でのインスタレーション展示を通じて行ったタッチデバイスの利用者の観察とその考察、ならびにインタラクションデザインの課題をのべる。
著者
森岡 一樹 深井 克彦 大橋 誠一 坂本 研一 津田 知幸 吉田 和生
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.653-658, 2008-07-25
被引用文献数
1 14

口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた.一つはブラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で,もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった.プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた.また, O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し, SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果,ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた. SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果, VP2の133番目とVP3の56番目のアミノ酸に相違がみられた.それぞれSPVはAsnとArg, LPVはAspとHisであった.乳飲みマウスに対する病原性はLPVのLD_<50>が10^2以下であったのに対しSPVでは10^5以上であった.これらの結果よりSPVの病原性は著しく低いことが推測された.またVP3の56番目アミノ酸に関してHisからArgへの変化は細胞馴化ウイルスで報告されていることから, O/JPN/2000株が典型的な症状を示さなかった一つの要因とも考えられる.