著者
久保 加織 吉田 愛 石川 直美 堀越 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成22年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.174, 2010 (Released:2010-08-27)

目的 輸入柑橘類には、防カビ剤としてポストハーベスト農薬が使用されることが多い。本研究では、日本で食品添加物として使用が認可されている防カビ剤のなかの一つであるイマザリルのレモン各部位での残留濃度を調べた。さらに、イマザリルが添加されている米国産レモンを用いて、保存や洗浄、調理によってどの程度その量が変化するかについて調べた。 方法 試料には、2005年~2009年に京都市内あるいは大津市内の小売店から購入した国産および米国産のレモンを用いた。イマザリルは、厚生労働省公定試験法に基づいて抽出後、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。レモンの保存は、10℃に設定した冷蔵庫内で行った。洗浄は、水洗やゆでこぼしのほか、洗剤や重曹、酢酸、エタノールを用いて行った。レモンの調理として、レモンティー、レモンのハチミツ漬け、レモンのすりおろした皮とレモン汁を加えたマドレーヌを調製した。 結果 イマザリル使用の米国産レモンからは、イマザリルが基準内濃度で検出され、内皮や果汁に比べると外皮の残留量が高かった。10℃保存では、国産レモンは約1ヶ月で傷みがみられたが、米国産レモンに変化はみられず、4カ月保存後もイマザリル量の減少はなかった。レモンを水洗した後のイマザリル量は47.6%に減少した。レモンをハチミツに漬けたり、紅茶に加えたりすることで、ハチミツや紅茶にイマザリルが溶出し、50ml紅茶に10gのレモンを30秒間浸漬した時の紅茶への溶出は47.1%であった。焼成後のマドレーヌからもイマザリルが検出され、残存率は51.0%であった。以上のことから、洗浄や調理を行ってもかなりの量のイマザリルが食品中に残存することがわかった。
著者
湯川 進太郎 吉田 富二雄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.89-96, 1998-06-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

The present study investigated the effects of media violence on affective, cognitive, and physiological reactions of viewers. Eighty undergraduate students (male=40, female=40) participated in the experiment. First, subjects were exposed to one of four violent films whose levels of violence and entertainment were based on ratings taken in a previous study (Yoshida & Yukawa, 1996). Immediately after viewing the film, subjects described their thoughts which occurred during watching the film and rated thier affective reactions toward the film. Heart rate and eyeblink rate as indicators of physiological arousal were measured continuously before, during, and after the film. Results showed that the film high in violence elicited more negative and empty-powerless affects, while the film high in entertainment evoked more positive affects.
著者
太田 和希 吉田 拓矢 小野 響也 前村 公彦 谷川 聡
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.793-808, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
38
被引用文献数
2

This study investigated the relationships between pelvic behavior and impulse of ground reaction force as well as leg backward swing velocity during the acceleration phase and full speed phase of sprint running. Eleven male sprinters performed 30-m and 60-m sprints from a crouching start at maximal effort. Threedimensional motion analysis was performed to investigate the relationships between pelvic behavior and impulse of ground reaction force as well as leg backward swing velocity during the acceleration phase and full speed phase of sprinting running. The angular displacement of the pelvic free leg side lateral flexion in the frontal plane showed a significant positive correlation with the propulsion and vertical impulse during the acceleration phase. Also, the lumbosacral free leg side lateral flexion angular impulse showed a significant positive correlation with the propulsion and vertical impulse during the acceleration phase. Additionally, the lumbosacral free leg side torsion angular impulse showed a significant positive correlation with the peak value of the free leg backward swing velocity during the full speed phase. Therefore, the results obtained during the acceleration phase suggest that the pelvic free leg side lateral flexion was able to increase the propulsion and vertical impulse, whereas during the full speed phase, the pelvic free leg side rotation contributed to increasing the free leg backward swing velocity.
著者
吉田 元
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.101, no.11, pp.862-866, 2006-11-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16

終戦の翌年 (昭和21年), 奄美諸島は突然鹿児島県から切り離されて, 米軍政下におかれることになった。 以来, 紆余曲折を経て, 昭和28年に宿願の本土復帰をはたしたが, 軍政下の8年間は奄美の歴史のなかでも極めて特異な時期であった。 すなわち, 軍政下という小さな独立国のなかで, 奄美島民が主体的に行政, 経済, 文化を担うことになったからである。本稿では, 奄美群島政府の行政資料や新聞記事などにもとついて, 軍政下における奄美の酒造史, 特に 「黒糖焼酎」 誕生までの前史について2回にわたって解説していただいた。
著者
伊藤 嘉博 尾畑 裕 片岡 洋人 加登 豊 篠田 朝也 丸田 起大 吉田 栄介 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.81-94, 2021 (Released:2022-09-22)

『メルコ管理会計研究』編集委員会の委員・委員長補佐にオンラインで集まってもらい,2020年8月12日に「査読制度についての座談会」を開催した。この座談会は,日本の管理会計研究者が査読制度についての理解を深めるための一助として開催されたものである。査読制度を運用する立場にある編集委員・委員長補佐同士がそれぞれの経験や考え方についてざっくばらんに意見交換し,それを読者と共有することが有用であるという考えにたち,下記に座談会の模様をお伝えする。
著者
高木 秀雄 吉田 健一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.128, no.1, pp.131-141, 2022-08-17 (Released:2022-08-17)
参考文献数
32

ジオパーク秩父は1市4町(秩父市,横瀬町,皆野町,長瀞町,小鹿野町)をエリアとしており,2011年に国内で15番目の日本ジオパークに認定された.ジオパークのメインテーマは「大地の守人を育むジオ学習の聖地」であり,東京から比較的近いこともあり明治時代より多くの研究者がこの地を訪れて,近代地質学を発展させた地学の歴史が盛り込まれているとともに,宮沢賢治の足跡を辿ることもできる.また,秩父札所34ヶ所観音霊場などに代表される寺社には,人々が特異な地形に神秘を感じ,大切に守り伝えてきた特別な場所が数多くあり,ジオパーク秩父の見どころともなっている.公開されているジオサイトも札所の数と同じ34ヶ所に絞られており,そのほか文化・歴史サイト,生態サイト,眺望サイトが選定されている.この巡検では,関東を代表する三波川帯,秩父帯(メランジュ),および中新統秩父盆地層群の代表的なジオサイトを見学するとともに,盆地に広がる中新統と,それを取り巻く山々を構成する基盤岩の地形,および両者の境界をなす不整合と断層を,札所と和銅遺跡で見学する.ジオと文化・歴史のつながりを感じることができるコースでもある.
著者
吉田 豊
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.165-176, 1988 (Released:2010-03-12)
被引用文献数
2
著者
山口 昌樹 金森 貴裕 金丸 正史 水野 康文 吉田 博
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.234-239, 2001 (Released:2011-10-14)
参考文献数
15
被引用文献数
17

It is more than a half-century since Dr. Hans Selye proposed that the reaction to an external stimulus to a human be called a “stress.” However, an index that can quantitatively evaluate the stress has not yet been established. We have focused on the change of α-amylase activity in saliva (salivary amylase) and carried out an in vivo evaluation in six normal subjects to define the levels of mental stress through amylase activity. In this evaluation, the Kraepelin Psychodiagnostic Test was used as a mental stressor for the subjects. In normal subjects, a comparatively quick response was observed by the experiment for stress load, which verified a correlation between mental stress and salivary amylase activity. The sign of gradient calculated from the salivary amylase activity was negative or positive, depending on whether the stress reaction is comfortable. Furthermore, when the salivary amylase activity and salivary total protein were measured, the effect of the salivary flow rate could be estimated. The change of salivary amylase activity was confirmed as being originated from stress. These results suggest that the monitoring of salivary amylase could be used as a noninvasive indicator of stress reaction.
著者
吉田 圭一郎 岩下 広和 飯島 慈裕 岡 秀一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.516-526, 2006-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
35
被引用文献数
3 9 4

本研究では父島気象観測所で観測された78年分(戦前: 1907~1943年,占領期間: 1951~1959年,返還後: 1969~2000年)の月別気温および降水量データを用いて小笠原諸島における水文気候環境の長期的な変化を解析した.占領期間および返還後の年平均気温は戦前と比較して0.4~0.6°C 高く,年平均気温の上昇率は0.75°C/100yrであった.また,返還後の年降水量は戦前に比べて約20%減少した.修正したソーンスウェイト法により算出した月別の可能蒸発量と水収支から,年平均の水不足量(WD)が戦前に比べ返還後には増加したことがわかった.また,返還後は夏季において水不足となる月が継続する期間が長くなった.これらのことから小笠原諸島における20世紀中の水文気候環境は乾燥化の傾向にあり,特に夏季に乾燥の度合いが強まり,また長期化することにより夏季乾燥期が顕在化した.
著者
吉田 克己
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.273-277, 2017 (Released:2020-02-19)
参考文献数
5

原発設置認可の取消しやその建設・運転の差止めを求める原発訴訟は,福島第一原発事故前には,若干の例外を除いてすべて住民敗訴の結果に終わっていた。福島後は,大飯原発に関する福井地裁の差止認容判決や高浜原発に関する大津地裁の差止認容仮処分決定など,注目すべき住民勝訴の裁判例が出るようになっている。判断を導く論理にも,従前とは異なる新たなものが見出される。これらを通じて,従来は基本的には行政の一元的チェックに委ねられていた原発の安全性確保について,司法も加えた多重かつ多元的なチェック態勢の構築が展望される。
著者
小川 秀樹 櫻井 哲史 手代木 徳弘 吉田 博久
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.3, pp.192-199, 2021-06-01 (Released:2021-08-12)
参考文献数
23
被引用文献数
4

コシアブラは人気の高い山菜の一つであるが,山菜類の中でも137Cs濃度が高いことが知られている。しかしながら,葉,幹,主根,側根といった樹体部位別ごとの137Cs分布を捉えた研究はこれまでほとんど報告されてこなかった。本研究は,部位別の137Cs分布や重量比に着目し,統計解析により,コシアブラの葉の高濃度化の要因について検討することを目的とした。2016年と2017年の春期と秋期に,福島県内に自生する小さい個体(樹高が2 m以下)のコシアブラを採取した。各部位への137Cs分布割合を,各部位の137Cs濃度と重量から算出した。春期には樹体全体に含まれる137Cs蓄積量の約50%が葉に分布した。また,いずれの採取時期においても幹より地下部に多くの137Csが分布していた。さらに,線形回帰モデルの結果,側根と幹および主根の内皮の137Cs濃度には高い正の相関が認められた。これらの結果から,137Csは内皮を通じて主根や幹へと移動した可能性が示唆された。コシアブラの葉が高濃度化する要因については,既往研究で指摘されてきた浅根性という特徴に加えて,地下部に蓄えられた137Csの内皮を通じた転流による可能性が考えられる。
著者
吉田 誠 阿部 貴晃 菊地 デイル万次郎 木下 千尋 中村 乙水
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.95, 2022 (Released:2022-04-11)
参考文献数
106

飛翔および遊泳する動物にとって、移動時のエネルギーコストを低く抑えることは重要である。移動コストは、ある地点から別地点に到達するまでに必要な運動コストと、移動中に体内の恒常性維持のため消費される代謝コストからなる。代謝コストは移動時間に比例して増加するため、運動コストと代謝コストの間には移動時間を介したトレードオフが生じる。温度環境に応じて代謝コストが変動する外温動物の場合、自身の適温範囲外に滞在できる時間は限られ、こうした制約(体内と体外における環境差)も動物の移動範囲を規定する要因となる。近年、バイオロギングやバイオメカニクス分野の発展により、野外で暮らす動物の移動コストが、動物自身の形態や移動様式により巧妙に低減されている様子がわかってきた。多くの水生動物に見られる抵抗の少ない形状や、流体中における特徴的な移動方法は、個体が移動する際に生じる抵抗を抑え、運動コストを低減する。野外で観察される様々な動物の移動パターンは、運動コストと代謝コストの和(cost of transport)を最少化するような理論的予測とよく一致する。本稿ならびに本特集で紹介してきた、エネルギーコストを指標として、動物の行動を捉え直す試みは、動物の形態や、様々な時空間スケールで繰り広げられる個体の移動様式を統一的に理解し、変わりゆく環境下に置かれる動物個体群の将来を予測する有用なアプローチとなるだろう。
著者
吉田 成仁 高嶋 希 皆川 陽一 脇 英彰 山本 純 小林 直行
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.147-153, 2019-04-30 (Released:2019-11-13)
参考文献数
21

トレーニングを安全に効果的に実施するには,目的に合わせたトレーニング負荷で実施することが求められる.本研究は,サイドブリッジの足の高さや不安定性を変化させた時の筋活動を明らかにすることを目的とした.健常な大学生を対象とし,安定した床(安定面),台上安定面,バランスディスク(不安定面),台上のバランスディスク(台上不安定面)に足を置いて実施する4種類のサイドブリッジを行い,実施時の筋活動を比較検討した.台上に足を挙げると中殿筋の活動が低下し,不安定面に乗せると体幹筋の活動が増加することが示唆された.高さは中殿筋の活動量,不安定性は体幹筋の活動量に影響を与える可能性がある.