著者
坂本 優紀 渡辺 隼矢 山下 亜紀郎
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.43-57, 2020 (Released:2021-02-28)
参考文献数
20

本稿では,長野県上伊那地域でみられる筒系噴出煙火の三国を地域文化として捉え,三国の伝播と利用形態の変容を明らかにした。伊那谷における三国は江戸時代に三河地方から伝わったとされ,各地域の神社の祭りで奉納されるようになった。現代でも駒ヶ根市以南では,主に神社の秋祭りで奉納され神事としての役割を担っている。第二次世界大戦後になると三国の利用地域が拡大し,それまで三国の北限であった駒ヶ根市より北にある宮田村と箕輪町で三国が放揚され始めた。宮田村では1962年に在来の祭礼に組み込まれる形で三国が奉納されるようになった。当初は祭礼を盛り上げることが目的であったものの,現在では神事としての意義づけがされている。一方,箕輪町では2000年代に地域イベントで放揚され始め,現在も神事としての役割はない。このように三国の拡大過程においてその意義づけは対象地域ごとに異なり,各地域それぞれの選択と解釈がなされていることが明らかとなった。
著者
高木 浩一 齋藤 達也 日下 智博 坂本 裕一 高橋 久祐 成松 眞樹 長根 健一 山口 諒
出版者
農業機械學會
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.483-489, 2012-11-01
参考文献数
11

食用きのこの増収を目的に,電気刺激用パルス電源の開発と,それを用いて増収効果を検証した。木材腐朽菌のシイタケ,ナメコ,クリタケ,ハタケシメジの4種類を実験に用いた。パルス電源は,軽量コンパクト化が可能な誘導性エネルギー蓄積方式で構成した。電源出力は100kV以上,パルス幅は約100nsである。この電源でホダ木や菌床に高電圧を印加し,収量を調べた。電圧印加により,収量は1.3∼2.0倍に増加した。シイタケの4シーズンの累積収量は,電圧50または100kVの1回印加で,160から320gへ増加した。しかし電圧130kVでは240gに減少した。他のきのこも,50∼100kVで増収となった。
著者
増田 富士雄 中川 要之助 坂本 隆彦 伊藤 有加 櫻井 皆生 三田村 宗樹
出版者
日本堆積学会
雑誌
堆積学研究 (ISSN:1342310X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.115-123, 2008
被引用文献数
4

大阪平野の沖積層(難波累層)中部に特徴的に発達する天満砂州堆積物について,地盤情報データベースによる解析とこれまでに報告されている <SUP>14</SUP>C年代値や火山灰層などのデータから,その分布と層位を明らかにした.それによれば,天満砂州堆積物は,6000年前から5000年前の最高海面期にはすでに堆積しており,約8000年前以降の海進期に形成されたものである.天満砂州堆積物は砂礫からなる"砂嘴堆積物"である.それは,分布が細長いこと,前進堆積体であること,離水していたと考えられること,海面上昇に伴い陸側斜め上方に発達していること,波浪堆積構造が認められることからわかる.また,天満砂州に堆積物を供給した波食台あるいは波食棚と海食崖と考えられる古地形が,上町台地の西縁に認められることも,それを支持している.<BR>天満砂州の発達は8000年前から7000年前のある時期の海面の急上昇というイベントを挟んで,2段階で行われた.最高海面期の天満砂嘴は,天満から長柄を経て淡路に至る地域に,幅100 m以下,長さ7~8 kmで発達していた.天満砂州は,その後の高海面期に沖側に前進する砂浜海岸や砂礫浜海岸へと変化してその幅を増していった.
著者
坂本 武士 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集 第50回システム制御情報学会研究発表講演会
巻号頁・発行日
pp.1, 2006 (Released:2006-12-01)

テキスタイルデザインにおいて、意匠パタンは製品(作品)の印象や価値を決める重要な要素である。意匠パタンの審美的解析と合成は興味深い。本研究は図形の印象が生まれるメカニズムを解明することを目的とする。具体的には、フラクタル2次元パタンをL-Systemを用いて生成し、その図形のもつ印象を解析する。解析手法として、フラクタル収束度と、構造組成分析を提案し、これらの解析手法が人間の印象をよく区別可能であることを実験的に示す。
著者
坂本 泉 開本 亮 高石 静代 近成 涼香
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.7-12, 2020

<p>本研究では、「睡眠の質」に着目し、現状の睡眠ビジネスにおける課題を分析し、今後期待されるサービスを予測することを目的とした。</p><p>まず現状の睡眠ビジネスにおける課題について、睡眠ビジネスに関する市場、睡眠ビジネスの全体像、睡眠ビジネスのプレイヤー、睡眠ビジネスの具体例を把握し、睡眠に影響を与える要因マップの作成をして、調査および分析を行った。次に、新聞記事を中心とした市場調査、睡眠分野でトピックになっている論文の抽出、特許調査を行い、さらに中央官庁の関連する政策から課題を分析した。</p><p>その結果、睡眠の質の測定は向上してきており、病院や介護施設等を対象とするBtoBのソリューションはすでに実用化されているものの、個人にフォーカスするBtoCのソリューションが不足していることが分かった。したがって、将来においては、そのソリューションを加味したデバイスをパーソナルで使用できる睡眠ビジネスが普及すると考えられる。</p>
著者
山上 佳範 坂本 洋一 河合 淳 藤井 良昭 橋本 孝治 山下 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_556-I_560, 2012

The mechanism of morphology change at the first (western) entrance of lake Saroma were investigated with the 20 years bathymetric survey data set. It shows that the volume around the entrance decreased after the east jetty construction started and the major morphology changes were erosion along the channel and movement of ebb shoal. A numerical model which aimed to predict the morphology change for several years was developed based on the sediment transport characteristics. The simulation result shows that this model can quantitatively reconstruct the observed morphological changes for 3-4 years.
著者
小畠 靖 白井 伸生 河合 昌孝 村口 元 坂本 裕一 松本 晃幸
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.13-23, 2021-05-01 (Released:2021-06-16)
参考文献数
34

紫外線照射により胞子落下量が元株(野生型)の1/10,000程度に低下したシイタケ胞子欠損性変異体B682を分離した.SEM観察において変異体ヒダ表面には成熟胞子がほとんど認められず,未熟な球状胞子が観察された.変異体の子実体ヒダ組織をギムザ染色したところ,担子器の多くで8個の核が観察され,減数分裂後の担子器内4娘核の体細胞分裂が推察された.検定集団(98115A population)を用いた遺伝性解析で,本変異形質は一因子性の顕性変異によるものと推察された.次世代シーケンス解析に基づく元株と変異体ゲノムの配列比較により,変異体の推定遺伝子領域にナンセンス変異を生じる一塩基多型(SNP)を見出した.本SNP特異的なPCR増幅の有無は検定集団(32D population)の表現型と完全に一致した.B682はシイタケで初めて確認された顕性の胞子欠損性変異体であり,育種利用を進める上で本SNPはマーカーアシスト選抜を可能にする有効な変異点と考えられる.
著者
山上 佳範 坂本 洋一 河合 淳 藤井 良昭 橋本 孝治 山下 俊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_556-I_560, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
3

The mechanism of morphology change at the first (western) entrance of lake Saroma were investigated with the 20 years bathymetric survey data set. It shows that the volume around the entrance decreased after the east jetty construction started and the major morphology changes were erosion along the channel and movement of ebb shoal. A numerical model which aimed to predict the morphology change for several years was developed based on the sediment transport characteristics. The simulation result shows that this model can quantitatively reconstruct the observed morphological changes for 3-4 years.
著者
坂本 裕子 桐村 ます美 豊原 容子 福田 小百合 湯川 夏子 米田 泰子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】平成24・25年度特別研究として京都府下の昭和30〜40年代の家庭の食について行った聞き取り調査から,副菜の地域別特徴を探った。</p><p>【方法】京都府下の北部(丹後,舞鶴,丹波),京都市内,南部(京田辺,宇治田原)の地域において,64歳から84歳の計22名を対象として平成25年12月〜平成26年2月に聞き取り調査を行った。これより地域別に副菜の特徴を比較検討した。</p><p>【結果および考察】各地域とも季節ごとに地元で採れる野菜や山菜,芋,豆を中心に,日々の副菜を作っていた。北部や南部では野菜や豆は自給自足,市内では店での購入が多かった。調理法としてはお揚げと炊く煮物,和え物,汁物が多く,大根をはじめ野菜はさらに多様な漬物や干し物にして保存性を高め料理に利用していた。古漬け沢庵はひと手間をかけ,「ぜいたく煮」として府下それぞれで食べられていた。野菜や芋の煮物は全域で「○○の炊いたん」と呼んでいたが,わかめ等の海産物利用は北部の海寄りで多くみられた(料理例「わかめのパ−」)。</p><p>地域別に料理をみると,汁物は北部で「けんちゃん」,京都市内,南部で「粕汁や若竹汁」が,和え物は北部で「白なます」,市内で「ずいきのごま酢和え」,南部で「古老柿なます」が,常備菜は北部で「ふき味噌や黒豆味噌」,市内で「きごしょうの炊いたんや山椒とちりめんじゃこの炊いたん」が作られていた。漬物は「糠漬」が多いが,市内の北では「すぐき漬やしば漬」も作られていた。保存性を増すとともに,多く収穫した時は南部では「きゅうりとお揚げの炊いたん」を作るなど食材の有効利用が図られていた。福知山では豆,京田辺では田辺ナスを利用した料理が多く見られ,京野菜や地域の特産野菜の利用が進められた。</p>
著者
井上 友子 佐藤 佳代 青木 幹太 坂本 浩 星野 浩司 佐藤 慈 荒巻 大樹
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.119, 2011

2008年から継続している博多織プロモーション計画は、2010年に3年目を迎えた。本年度の3学科共通テーマは「社会貢献」である。これは、「ものづくり」という行為を通して若者に地場産業への関心を抱かせ、「地域社会に貢献」する「人材を育成」するために計画された。本件は美術学科の染織工芸、油彩画、日本画の学生が社会との関わりを通じた体験についての発表である。
著者
坂本 知昭 片山(池上) 礼子
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.11-19, 2019-06-01 (Released:2019-06-18)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

サツマイモ「兼六」は塊根にβ-カロテンを含む特徴がある良食味品種で,1930年代に石川県農事試験場で選抜された.苗条および塊根の形態的特徴が「安納いも」のそれらと酷似していたため,「安納いも」5品種・系統と「兼六」の比較を試みた.「兼六」,「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の成葉はいずれも波・歯状心臓形で,新梢頂葉にはアントシアニンが蓄積し紫色を呈していたが,「安納イモ1」の成葉は複欠刻深裂で頂葉は緑色だった.「兼六」,「安納3号」,「安納紅」の塊根皮色は紅であったのに対し「安納イモ4」と「安納こがね」は白であったが,これら5品種・系統の塊根にはβ-カロテンの蓄積が認められた.一方「安納イモ1」の塊根皮色は赤紫で条溝が多かったほか塊根にβ-カロテンは含まれていなかった.27の識別断片を用いたCleaved Amplified Polymorphic Sequence(CAPS)法によるDNA品種識別では「兼六」と「兼六」を交配親に作出された「泉13号」および「クリマサリ」さらにその後代品種「ベニアズマ」の識別はできたものの,「兼六」と「安納3号」,「安納イモ4」,「安納紅」,「安納こがね」の識別はできなかった.45の識別断片を用いたRandom Amplified Polymorphic DNA(RAPD)法によるDNA品種識別では「兼六」と「泉13号」,「クリマサリ」,「ベニアズマ」だけでなく「安納イモ4」および「安納こがね」の識別も可能となったが,「兼六」と「安納3号」,「安納紅」の識別はできなかった.以上の結果と「安納いも」が戦後の種子島で見出された在来系統であった経緯を考え合わせると,「安納いも」のルーツはかつて全国に普及していたとされる「兼六」ではないかと結論づけられた.
著者
斯波 廣大 Chih-Chieh CHEN 曽我部 完 坂本 克好 山口 浩一 曽我部 東馬
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS102, 2020 (Released:2020-06-19)

ゲート方式の量子コンピュータを用いた最適化問題の解法は、VQEアルゴリズムを用いたものやQAOAアルゴリズムを用いたものが存在し、実社会の最適化問題に対する解法の1つとして、現在注目を集めている。ゲート方式の量子コンピュータを用いた最適化問題の計算手法は、量子アニーリングによる計算手法よりも拡張性が高く、様々な種類の最適化問題に対応できる可能性がある。しかしながら、複数の制約条件を考慮した複雑な最適化問題において、正しい最適解を計算する手法は未だ確立されていない。そこで今回は、制約条件を考慮した、より実問題に近い最適化問題に対する計算手法の1つであるハミルトニアン混合型手法を応用するとともにその有効性を検証する。