著者
坂本 清子 綱脇 恵章 津波古 充朝 田中 和男 小林 正光
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1990, no.4, pp.363-369, 1990
被引用文献数
1

五酸化ニリンと水酸化アルミニウムとの反応によるリン酸アルミニウムの生成における3種の結晶形の異なる五酸化ニリン(H型,0型および0'型)の反応性の相違,および水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基がリン酸アルミニウムの生成におよぼす効果について,粉末X線回折,示差熱分析および熱重量分析法を用いて検討した。1.生成するリソ酸アルミニウムの種類およびその生成量は,五酸化ニリソと水酸化アルミニウムの混合割合(R=P205A1(OH)3),加熱温度および加熱時間によって異なった。すなわち,R=0.5ではオルトリン酸アルミニウムAIPO4のberliniteとcristobalite型およびメタリン酸アルミニウムAl・(PO3)3のA型,R=1.5では三リン酸二水素アルミニウムAIH2P3O10.のI型およびA1(PO3)3のA型とB型,R=3ではA1(PO3)3のA型.B型およびE型が生成した。2・水酸化アルミニウムに対する五酸化ニリンの反応性は,H型五酸化ニリンが一番高く,次にO'型,0型五酸化ニリンの順であった。この傾向は五酸化ニリンの加水分解速度の順序と一致した。3.水酸化アルミニウム分子内のヒドロキシル基は五酸化ニリンの加水分解に寄与し,それは五酸化ニリソとα-アルミナとの反応においてあらかじめ添加した水分と同様に重要な役割を果した。
著者
下瀬 良太 只野 ちがや 重田 枝里子 菅原 仁 与那 正栄 内藤 祐子 関 博之 坂本 美喜 松永 篤彦 室 増男
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A2Se2038, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】随意筋収縮における筋力発揮の力-時間曲線は神経筋機能を評価する上で有効な情報を与えてくれる.特に高齢者は若年者に比べ筋力の発生からピークまでの力発達曲線(Rate of Force Development;RFD)が低い傾向にあり,不意の重心移動などに素早く対応できずに,転倒に繋がる事が多いといわれている.高齢者の転倒予防を考える際に,高いRFDの改善に繋がるトレーニングは重要である.RFDを変化させる因子には運動初期の速い運動単位(fast-MUs)の動員,発射頻度とその同期性や,運動単位の二重子的同期性(doublet discharge)が関与している.RFDの増加は高強度トレーニングによる報告が多く,fast-MUsの動員の寄与で起こると考えられている.しかし,高齢者に対して高強度のトレーニングは臨床的に適しておらず,日常動作で負荷が及ぶ筋力レベルの低強度の運動トレーニングが求められる.最近,低強度でfast-MUsの動員を可能にする皮膚冷刺激筋力トレーニング法が提案されているが,皮膚冷刺激がRFDにどのような影響を与えるかについての報告は未だ皆無である.そこで今回我々は,皮膚冷刺激がRFDに与える影響について検討し,高齢者への皮膚冷刺激筋力トレーニングの有効性についての一資料を得る目的である.【方法】本研究の説明を受け,同意の得られた健常成人男女8名(男性5名,女性3名,年齢34±10歳)を対象とした.被験者は椅子に座り,股関節屈曲90度,膝関節屈曲60度の姿勢で,「なるべく早く最大の力で」という指示のもと等尺性膝関節伸展運動を皮膚冷刺激(Skin Cold Stimulation; SCS)と非皮膚冷刺激(CON)の状態で行なった.SCSは冷却したゲルパック(Alcare製)を専用の装着バンドで数分間大腿四頭筋上の皮膚に密着させ,適切な皮膚温であることを確認して試行を行なった.CONも同重量の非冷却ゲルパッドを装着して行なった.試行順はランダムとし,各試行間では十分な休息をとり,皮膚温を確認して各試行を行なった.プロトコール試行中は,筋力出力と筋電図(EMG)を測定した.EMG(電極直径10mm,電極間距離30mm)は外側広筋(VL),内側広筋(VM),大腿直筋(RF)から双極誘導した.測定データはコンピュータに取り込み,後日解析を行なった.データ解析は力曲線の最高値(Fpeak)と微分最大値(dF/dtmax)を解析し,RFDは,0-30,0-50,0-100,0-200msecの区間での平均勾配を算出した.また各試行のFpeakで標準化したRFD(normalized RFD; nRFD)を,0-1/6MVC,0-1/2MVC,0-2/3MVCの区間の平均勾配として算出した.EMG解析は上述の各区間のroot mean square EMG(rmsEMG)を算出した.統計学的処理は各区間でのSCSとCONの値についてWilcoxonの符号付順位和検定を行い,統計学的有意水準は5%未満とした.【説明と同意】本研究を行うにあたり,ヘルシンキ宣言に基づいた東邦大学医学部倫理委員会実験計画承認書を得た上で,本研究の意義と実験に伴う危険性を協力依頼被験者に十分説明し,納得して頂いた上で測定を行なった.【結果】SCSでFpeakとdF/dtmaxは有意に増加した.dF/dtmaxまでの到達時間はSCSで平均9msec短縮したが,有意差は見られなかった.RFDは,0-30msec,0-50msec区間でSCSにより有意な増加が見られた.またnRFDは,0-1/6MVC区間でSCSにより有意な増加が見られ,到達時間もSCSで有意に短縮した.筋活動は,0-30msec区間でRFのrmsEMGが増加し,0-100msecと0-200msecでVLのrmsEMGが増加した.nRFDの区間では,0-1/6MVCにおいてVMとRFのrmsEMGが増加し,0-1/2MVCと0-2/3MVCにおいてVLのrmsEMGが増加した.【考察】皮膚冷刺激によりRFDの増加が見られた.各筋のrmsEMGの増加傾向が見られたことや皮膚冷刺激によってfast-MUsの動員が引き起こされる結果,初動負荷の素早いオーバーカムが可能となり,RFDの増加に繋がったと考えられる.特に筋力出力の初期でRFDの増加が見られ,不意の重心移動に対して素早く対応できる可能性を示唆した.本研究において,皮膚冷刺激により筋活動・RFDは増加し,皮膚冷刺激は高齢者の転倒予防トレーニングに対して有用であることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】本研究において,高齢者の日常動作に類似した低強度でもfast-MUsの動員による筋機能改善の筋力トレーニングが提案でき,高齢者の転倒予防にも繋がる新しい筋力トレーニングとしての可能性を探るデータが得られる.そして,本研究は臨床運動療法の一戦略になり得る可能性を秘めている意味で理学療法研究として意義がある.
著者
坂本 光弘 松本 理器 十川 純平 端 祐一郎 武山 博文 小林 勝哉 下竹 昭寛 近藤 誉之 髙橋 良輔 池田 昭夫
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.609-616, 2018 (Released:2018-10-24)
参考文献数
26
被引用文献数
4 2

自己免疫性てんかんが近年注目されているが,抗神経抗体以外の特異的な診断法は確立していない.今回我々は最初に病歴・臨床症候,次に検査成績と2段階で自己免疫性てんかんを診断するアルゴリズムを作成し,臨床的有用性を予備的に検討した.自己免疫性てんかんが疑われた70名に後方視的にアルゴリズムを適応した.MRI,髄液,FDG-PET検査のうち,2項目以上異常所見があれば診断に近づく可能性が示された.一方で抗体陽性13名のうち2名は,第一段階の臨床症候で自己免疫性てんかんの可能性は低いと判断された.包括的抗体検査のもと診断アルゴリズムの更なる検証,改訂が望まれる.
著者
清水 孝一 塩田 智美 仲谷 善彰 坂本 匡一 岩瀬 彰彦 青木 茂行 松岡 緑郎 永山 剛久 河端 美則
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.1099-1103, 1997-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
5
被引用文献数
1

26歳女性が感冒様症状に対して投薬された薬剤を内服後約1日の経過で呼吸困難を呈して来院した. 入院時の胸部レントゲン写真では両側上肺野を中心とした不規則な浸潤影を認め, 胸部CT写真でも汎小葉性の肺野濃度の上昇を認めた. BALより総細胞数の増加, 好酸球分画の著増を認めTBLBで胞隔の肥厚と間質への好酸球の浸潤が見られた. 前医で投与されたバッファリン®に対するリンパ球芽球化反応試験が陽性であったために本剤の投与が関与する薬剤誘起性肺障害と考えた. 薬剤の中止により自覚症状, 血液ガス所見, 胸部レントゲン写真は速やかに改善し, その経過は急性好酸球性肺炎様であった. 治療に際してステロイド剤の投与は不要であった.
著者
坂本 清恵
出版者
早稲田大学国語学会
雑誌
早稲田日本語研究
巻号頁・発行日
no.1, pp.26-39, 1993-03-25
著者
上山 恵子 坂本 裕子 三好 正満
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.65, 2003

【目的】我が国では高齢化と共に、女性に加え男性においても骨粗鬆症が増加するといわれている。そこで、男性高齢者を対象に骨強度の2年間の変化と生活状況を調査し、骨強度の変化に影響を与える要因について検討した。【方法】1999年~2002年にN市内に在住する60歳~86歳の健常な男性68名を対象に、超音波測定による踵骨の骨強度(stiffness)および体脂肪率の測定と、身体状況、食生活・運動を含む日常生活習慣、社会活動状況などについて聞き取り調査を行った。解析には同性・同年齢健常者におけるstiffness の平均比較値であるAM値を用いて、初年度値を100とした時の2年後の変化値を求めた。変化値97~103の者を除く前期高齢者(60~74歳)26名、後期高齢者(75~86歳)22名の計48名で生活習慣等との関連について検討した。パラメトリック項目については得点を与え、t検定を行い比較した。【結果】初年度及び2年目の対象者全員のAM値および変化値の平均は、それぞれ94.8±11.0、96.4±18.0および101.7±7.7であった。また、前期及び後期高齢者の各変化率はそれぞれ101.4±6.9、102.1±8.8で両者に有意な差はみられなかったが、体脂肪率、牛乳量および乳・乳製品や卵の摂取頻度などの食事に関する項目で後期高齢者が、一方、速足歩行時間や趣味活動量などの活動量に関する項目で前期高齢者が有意に高かった。また、前・後期高齢者をそれぞれ上・下位群にわけ、生活習慣の差異を比較した結果、後期では両群に明確な違いが得られなかったが、前期では牛乳量および乳製品摂取頻度などの食事に関する項目や、地域活動・友人交際時間および趣味代謝量で上位群の得点が高い傾向にあり、適切な生活習慣による骨強度の維持が示唆された。
著者
伊藤 慎吾 市川 亮介 本庄 薫平 河合 雅也 田代 良彦 丹羽 浩一郎 石山 隼 杉本 起一 神山 博彦 高橋 玄 柳沼 行宏 小島 豊 田中 真伸 五藤 倫敏 冨木 裕一 坂本 一博
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.142-143, 2014-06-14 (Released:2014-06-21)
参考文献数
5
被引用文献数
1

A 68-year-old woman was admitted to the hospital with lower abdominal pain. Abdominal CT revealed a long linear high-density foreign object measuring about 3 cm long, which had penetrated the wall of the sigmoid colon. Emergency endoscopy was performed, because the patient was diagnosed as having possible penetration of the sigmoid colon by a fish bone. The emergency endoscopic examination revealed a fish bone penetrating the sigmoid colon, which was removed with grasping forceps. The removed bone measured 3 cm in length and was believed to belong to a sea bream. The patient was treated conservatively without any complications. For intestinal perforation and penetration caused by a fish bone, such as in our case, endoscopic treatment may be considered as the treatment procedure of first choice.
著者
岡村 航太 小川 次郎 坂本 一成
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.552, pp.141-146, 2002
参考文献数
11
被引用文献数
2 9

The aim of this study is to clarify the spatial composition of contemporary Japanese urban houses in terms of relations between interior rooms and exterior rooms. Exterior rooms are defined as exterior space limited by architectual compositional elements. First relations between fellow exterior rooms are analyzed in two levels of composition: arrangement and connection of fellow exterior rooms. Secondly relations between interior rooms and exterior rooms are analyzed in two levels of composition: arrangement and connection of interior rooms and exterior rooms. Then we found 13 types of comnosition. Comparing every type, characters of composilion are clarified From these considerations, we found that expression of composition, which network interior rooms and exterior rooms in three dimensions, formed in contemporary Japanese urban houses.
著者
岩崎 和樹 浅川 大地 中川 和昌 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0078, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】重量物持ち上げ動作(以下,リフティング動作)は,腰痛受傷率が最も高い動作であるとされており,腰痛の一因とされる体幹表層筋の過剰な筋活動を伴いやすい。また,体幹深層筋の機能低下は代償的戦略として体幹表層筋の筋活動を増加させることが推測されている。本研究では,体幹深層筋に対する継続的な運動が体幹表層筋の筋活動量に及ぼす影響を検証することを目的とした。【方法】対象は腰痛の既往のない健常男性10名(年齢20.7±0.7歳,身長171.2±4.2cm,体重62.4±5.2kg)とし,継続的な運動の実施が可能であった7名を分析対象とした。介入内容は体幹深層筋に対して3種類の運動を4週間にわたり可能な限り毎日実施してもらい,その前後で腹横筋機能評価とリフティング動作時の筋活動量を測定した。腹横筋機能評価には,圧バイオフィードバックユニット(CHATTANOOGA社製)を使用し,腹臥位でのDraw-inによる腹圧の変化を計測した。リフティング動作時の筋活動量の測定には表面筋電図計(酒井医療社製マイオリサーチXPテレマイオG2 EM-601 EM-602)を使用し,両側腹直筋,外腹斜筋,広背筋,胸部および腰部脊柱起立筋の筋活動量を測定した。動作課題は体重の30%の重量物のリフティング動作とした。開始肢位は足底が全面接地した膝関節最大屈曲位の時点とし,終了肢位はリフティング動作後,体幹と下肢が完全伸展位をとった時点とした。筋電図計測は,計測開始2秒後に検者の合図で動作を開始し,終了肢位から2秒経過した時点で計測終了とした。動作は3回試行し,全3回の筋活動量の平均値を代表値とした。運動方法は①腹臥位・背臥位でのDraw-in保持,②四つ這い姿勢から対側上下肢の挙上,③背臥位で臀部を挙上し体幹と大腿を一直線に保持する運動の3種類とした。統計学的解析は,エクセル統計Statcel Ver.3を使用し,介入前後の各代表値をWilcoxonの符号付順位和検定にて比較検討した。尚,有意水準は5%とした。【結果】腹横筋機能評価は,介入前-5.0±9.0mmHg,介入後-7.1±3.4mmHgであり,介入後に圧の減少傾向を認めた。リフティング動作時の筋活動量は,右広背筋では30.4±10.3μVから24.1±9.1μV,左広背筋では34.4±10.3μVから22.7±8.5μVと両広背筋で介入後有意な減少(p=0.018)を認め,有意差はないものの右外腹斜筋以外の全筋で減少傾向がみられた。【結論】体幹深層筋に対する4週間の運動介入により,体幹表層筋の活動量は抑制されることが示唆された。体幹深層筋機能向上により,リフティング動作時に動員されていた体幹表層筋の筋活動が減少したことが推測される。これらより,今回実施した運動はリフティング動作時の腰痛予防プログラムの一助になる可能性が示された。
著者
広内 哲夫 坂本 和義
出版者
文教大学
雑誌
情報研究 = Information and Communication Studies (ISSN:03893367)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.159-177, 1997-01-01

Young-Helmholzの3色説とHeringの反対色説を融合した段階説の数理モデルを構築することを試みた。色光の混合におけるGrassmanの第3法則を3色説と反対色説に適用して、3色説の3原色と反対色説の6基本色を相互に変換する混色式/脱混色式の導出した。この式を利用することによって、NCSと類似の表色系をコンピュータ画面上に容易に作成することが可能となった。また、反対色応答の機構を数学的に説明することも出来た。\nAn attempt has been made with construction of a mathematical model of the stage theory obtained by merging Young-Helm-holz's trichromatic theory and Hering's opponent colors theory. By applying Grassman's 3rd Law in the mixture of color lights to the trichromatic theory and opponent colors theory, introduction has been made with mixed color equation / de-mixed color equation with which 3 primary colors of the trichromatic theory and 6 fundamental colors of the opponent colors theory are interchangeable. Utilization of this equation has made it possible to form very easily the color order system similar to NCS on a computer screen. On the other hand, a mathematical explanation has been possible with the structure of the chromatic response.
著者
坂本 直道 安野 拓也 八木 貴弘 寶諸 知史 向後 保雄
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.389-389, 2004

我々は将来のナノマシニングへの応用を狙い、FIB-CVD法を用いて形成したDLC構造体に関する研究を行っている。本研究ではDLC構造体の微細構造と構成原子の化学結合状態を明らかにすることを目的とする。解析には高分解能分析透過型顕微鏡を用いた。透過電子像から得られた回折像は明瞭なハローパターンを示し試料が非晶質であることを示した。またDLCの典型的な電子エネルギ損失分光スペクトルを得ることが出来た。
著者
坂本 峻 末永 浩一 笠間 周平 木村 卓 芳川 浩男
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.200-204, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
11

症例は73歳男性である.6カ月で進行する全身倦怠感,四肢筋力低下,体重減少を主訴に入院した.血液検査上ではCa,ACE,リゾチーム,sIL-2R,ビタミン1,25(OH)2Dが高値であった.胸部X線およびCT上BHLを認めず,気管支肺胞洗浄で,CD4/CD8比の上昇を認めた.67Ga-citrateシンチグラフィーでは大腿および肩~上腕部にかけて集積を認め,T1強調画像でガドリニウム造影効果を認めたことより,右大腿直筋より筋生検を行った.筋生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めたため筋サルコイドーシスと診断した.高Ca血症,四肢筋力低下で発症し,BHLを欠く筋サルコイドーシスはまれな症例である.
著者
浅尾 泰彦 坂本 龍太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

画像認識において、画像全体のうち意味のあるものとそうでないものの境界を見極めることは重要な問題である。本稿では準写真という「写真らしい画像」を定義することで、この問題への数学的アプローチを試みた。「写真らしさとは何か」という問いを数学的に定式化するために、depthという画像に対して実数値をとる関数を導入し、その漸近挙動を解析した。また例において実際の写真が準写真であることを確かめた。depthの概念は方体複体の0次パーシステントホモロジーの階数から着想を得ており、将来的に高次の階数を解析することでより精密な画像の分類が得られると期待できる。また画像認識において近年積極的に活用が進められている深層学習の、学習データ選定への応用も期待できると考えている。本稿で画像認識における純粋数学の活用の1つのアプローチを提案したい。