著者
堀内 茂木 山本 明 松沢 暢 河野 俊夫 長谷川 昭 高木 章雄 伊神 輝 山田 守 青木 治三
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.529-539, 1985-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

A real-time system of automatic detection and location of seismic events has been developed by using a personal computer. Since speed of computation by a personal computer is low, a simple digital band-pass filter has been developed for the real-time system. The band-pass filter needs only several times of addition and subtraction to get an output. Event dection is based on a ratio of short to long term average of outputs of the filter whose cutoff frequencies are set to decrease amplitude of long period noise owing to microtremor and amplitude of short period noise owing to culture. Arrival times of the P and S waves are determined by applying Akaike Information Criterion (AIC) to outputs of the band-pass filter with narrow band whose central frequency is set to be a value of predominant frequency of the seismic signal.A temporary seismic observation with 8 stations for the aftershocks of the 1984 Western Nagano Prefecture Earthquake has been made by the use of radio and telephone telemetries. The real-time system of the automatic location of the seismic events was tested to demonstrate that hypocenter distribution obtained by the real-time system is nearly consistent with that determined from arrival time data which were read manually. It is shown that hypocenters of 60% among triggered events can be determined by this real-time system.
著者
岡本 博 矢田 祐之 堀内 佐智雄 鹿野田 一司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

分子内あるいは分子間のπ電子の移動が分極の起源である電子型有機強誘電体(TTF-CA、α-(ET)2I3、クロコン酸)を対象とし、テラヘルツ電場パルスによるサブピコ秒の強誘電分極変調に初めて成功した。また、TTF-CAの常誘電相にテラヘルツ電場を印加することにより、サブピコ秒の時間で強誘電相の約20%の巨大分極を誘起できることを明らかにした。このような高速高効率の分極応答は、電子型誘電体に特有のものであることを示した。本研究で実証したテラヘルツパルスによる分極制御法は、高速の光変調や光スイッチに応用できるものであり、今後、基礎、応用両面からの研究の進展が期待される。
著者
堀内 茂木 上村 彩 中村 洋光 山本 俊六 呉 長江
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.399-406, 2007

緊急地震速報は,大きな揺れが到着する前に,震源とマグニチュードを配信し,地震災害の軽減を目指すものである。我々は,緊急地震速報を実用化させることを目的として,防災科学技術研究所のHi-net他約800点のリアルタイム地震観測データを利用して,P波が観測されてから数秒間で信頼性の高い震源を決定するシステムの開発を行った。このシステムは,P波到着時刻の他に,P波が到着してないという情報を不等式で表すことにより震源決定を行っている。この手法の利点は,到着時刻データの中にノイズや別の地震のデータが混入した場合,残差の小さい解が存在しなくなり,ノイズ等の混入を自動的に検出できる点である。本研究では,ノイズ等のデータが混入した場合,それを自動的に除去するアルゴリズムを開発した。また,2個の地震が同時に発生する場合の解析手法を開発した。その結果,99%の地震について,ほぼ正確な情報が即時的に決定できるようになった。このシステムは,気象庁にインストールされ,緊急地震速報配信の一部に利用されている。現在の緊急地震速報には,約30km以内の直下型地震に対応できない,震度推定の精度が低いという課題があるが,地震計を組み込んだ緊急地震速報受信装置(ホームサイスモメータ)が普及すると,これらの課題が一挙に解決されると思われる。<br>
著者
園田 希 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.72-82, 2012 (Released:2012-08-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2

本研究は,正常分娩において人工破膜が実施された状況を振り返ることで,正常分娩における人工破膜の実態を明らかにすること,そして人工破膜と分娩経過,児の娩出方法,児に与える影響を明らかにすることを目的とした。なかでも,児の娩出方法に関しては検証されておらず,明らかになっていない。そのため,これらを明らかにすることは,長年伝統的に行われていた人工破膜を,根拠に基づき実施するための一助となると考える。 調査対象は,助産所,病院で正常妊娠経過を辿った初産婦326名,経産婦435名の計761名とした。過去の診療録や助産録などより情報を収集し,自然破水群,人工破水群に分類した。分娩経過として,分娩第 I 期,第II期,分娩所要時間,促進剤の使用の有無,を比較した。分娩第 I 期,第II期,分娩所要時間,については,Mann-Whitney U検定を,促進剤の使用の有無に関しては,χ2検定を実施した。また,児の娩出方法として,医療介入の有無,新生児の予後について比較した。医療介入の有無,新生児の予後についてはχ2検定を,度数が5以下の場合は,フィッシャーの直接確率検定を採用した。 その結果,破水から児娩出までの所要時間に関して,初産婦においてのみ,自然破水群は中央値74分,人工破膜群では中央値58分で人工破膜群が有意に短かった(p=.029)。 分娩第II期の所要時間は,経産婦でのみ,自然破水群は中央値18分,人工破膜群では中央値16分で,人工破膜群が有意に短かった(p=.002)。 児の娩出方法は,自然破水群の初産婦と比較すると,人工破膜群の初産婦で【圧出分娩】【圧出分娩および器械分娩の併用】が有意に高率であった(χ2=5.420, p=.020, χ2=7.071, p=.001)。 初産婦において,破水から児娩出までの所要時間の平均は,人工破膜群が有意に短かったが,初産婦の人工破膜群において【促進剤の使用】が有意に高率であったこと,促進剤の使用時期は人工破膜後からが最も多かったことが,破水から児娩出までの所要時間の平均が有意に短いという結果をもたらしたと考えられる。 そのため,人工破膜による分娩促進の効果は,初産婦・経産婦とも必ずしも効果があるとは言い難く,分娩促進目的での人工破膜の実施は,頸管開大度から判断するだけでなく,産婦の身体的,精神的状態,産婦の希望を考慮し,慎重に判断していく必要がある。 なかでも,初産婦では,人工破膜後に圧出分娩や促進剤の使用などの医療介入を必要とする可能性が示唆された。そのため,初産婦に対して人工破膜を実施する際には,人工破膜後に生じる可能性のある弊害を考慮し,その必要性を慎重に判断していく必要がある。
著者
松岡 知子 堀内 寛子 山中 亜紀 伊藤 倫子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.398-404, 2000-12-01
参考文献数
16
被引用文献数
5
著者
堀江 陽介 森 高通
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.16-00579-16-00579, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
15

In a biochemical automatic analyzer, generally it is necessary to open the cap of the sample tube before the analysis. Users of the analyzer demand a closed tube sampling (CTS) function to reduce the workload and the infection risk. CTS is a sampling method in which the sharp tip of a nozzle goes through the rubber cap of a sample tube and aspirates a part of the liquid in the tube. One of the main challenges of this method is the development of a nozzle that has high durability (requires low insertion load) and produces few rubber chips when inserted through the rubber cap. This paper describes the study of the shape of the nozzle in order to reduce the insertion load and the production of rubber chips. It was found that the parameter that influences the insertion load most is the angle of the taper. Therefore, to reduce the load, it is necessary to reduce the taper angle. By using a nozzle with a tip diameter of 0.8 mm, base diameter of 1.6 mm, and taper length of 20 mm, it was possible to reduce the load required to insert the nozzle through a rubber cap to 34 N. It was also found that the parameter that most influences the production of chips is the cut angle of the nozzle. Rubber chip production could be avoided with the combination of an angle smaller than 28.5° at the nozzle chip for smooth insertion and an angle larger than 15.0° at the inside edge for preventing cutting rubber off. Finally, to validate the durability and effectiveness of this shape, the nozzle was subjected to a test in which it was inserted through a rubber plate 50,000 times. Results showed that there was almost no nozzle abrasion nor increase of insertion load, which demonstrates the durability and effectiveness of this new shape.
著者
中村 幸代 堀内 成子 毛利 多恵子 桃井 雅子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.205-214, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

目 的 ブラジル在住のブラジル人妊婦を対象に,冷え症の自覚がある妊婦の体温及び,妊娠中の随伴症状や日常生活行動の特徴の実態を分析する。対象と方法 妊娠20週以降のブラジル在住ブラジル人妊婦200名を対象とし,体温測定と質問紙調査を行った。調査期間は2007年10月から2008年2月である。結 果 1,冷え症の自覚があった妊婦は114名(57%)であった。前額部深部温と足底部深部温の温度較差の平均は,冷え症の自覚がある妊婦は,2.8℃,冷え症の自覚がない妊婦は2.0℃で,2群間に有意差が認められた(p=0.018)。2.冷え症の自覚と冷え症を判断する基準(寺澤,1987)との比較にて,冷え症の自覚がある妊婦のうち,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症である妊婦は70.2%であり,冷え症の自覚がない妊婦のうち,89.5%は冷え症を判断する基準(寺澤,1987)でも冷え症ではないと判断できた。3.妊婦の冷え症と随伴症状・日常生活行動との関連性では,「冷えの認識」と「冷えに関連した妊娠に伴う症状」は相互に因果関係は認められなかった。「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」に正の影響を与えていた(β=0.41, p=0.049)。さらに「不規則な生活」は「冷えに関連した妊娠に伴う症状」を介して「陰性食品の摂取」に正の影響を与えていた(β=0.38, p=0.021)。結 論 1.冷え症の自覚がある妊婦の,前額部深部温と足底部深部温の温度較差は,冷え症の自覚がない妊婦に比べて有意に大きい。冷え症の自覚は,客観指標となる温度較差を反映している。2.冷え症の自覚がない妊婦と,冷え症を判断する基準(寺澤,1987)の一致率は約8割と高かった。3.ブラジル人妊婦は,「深部温温度較差」や「冷えの認識」と,「冷えに関連した妊娠に伴う症状」や「不規則な生活」や「陰性食品の摂取」との間に因果関係はなく,日常生活行動が冷え症に影響を与えない。
著者
中村 幸代 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.94-99, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
11
被引用文献数
3 6

目 的 冷え症と早産,前期破水,微弱陣痛,遷延分娩,弛緩出血との関連性について分析することである。対象と方法 研究デザインは対照のある探索的記述研究であり,後向きコホート研究である。調査期間は,2009年10月から2010年10月,調査場所は,早産児の収容が可能な首都圏の産科と小児科を要する総合病院6箇所である。 研究の対象者は,入院中の分娩後の日本人女性2810名である。調査方法は,質問紙調査と医療記録からのデータ収集であり,質問紙の回答の提出をもって承認を得たものとした。結 果 2810名を分析の対象とした。冷え症と異常分娩である5因子を観測変数として,構造方程式モデリングを施行し,パス図を作成した。冷え症から早産へのパス係数は0.11(p<0.001),冷え症から前期破水へのパス係数は0.12(p<0.001),冷え症から微弱陣痛へのパス係数は0.15(p<0.001),冷え症から弛緩出血へのパス係数は0.14(p<0.001),冷え症から遷延分娩へのパス係数は0.13(p<0.001)であり,いずれも正の影響を与えていた。また,前期破水から早産へのパス係数は0.05(p=0.013),前期破水から微弱陣痛へのパス係数は0.07(p<0.001),微弱陣痛から弛緩出血へのパス係数は0.08(p<0.001)であった。そして,微弱陣痛と遷延分娩の誤差間のパス係数は,0.24(p<0.001)であり相互に影響を及ぼしあっていた。結 論 冷え症は,早産,前期破水,微弱陣痛,遷延分娩,弛緩出血のすべてに影響を与えている。各異常分娩間の関係では,前期破水は早産に影響を与えており,さらに前期破水は,微弱陣痛に影響を与え,微弱陣痛は弛緩出血に影響を与えている。また,微弱陣痛と遷延分娩は相互に影響し合っていた。
著者
諸星 典子 遠藤 久 斎藤 兆古 堀井 清之
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.235-238, 2001

Visualization of interactive mutation inside reader's mind while reading a book has been studied by employing the discrete wavelet analysis. Readers are attracted to the book world as if they are. However, it is difficult for the readers to keep concentrating their own minds on the book world. Since reading a book is to switch the book and real worlds constructed by some layers of the story, then this sometimes confuses the readers. The layers are classified into two types. One is a real world in the story as character's life. The other one is a virtual world representing character's thoughts or recollections. To clarify the effects of these layers, movement among them is visualized by the wavelet multi-resolution analysis. In the present paper, Ekuni's novel, Rakka suru Yuhgata, is studied to extract the opportunities when the text lets the readers move from the book to real worlds.
著者
堀 泰智
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-9, 2011 (Released:2011-09-08)
参考文献数
34
被引用文献数
1

近年,心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)やB-タイプナトリウム利尿ペプチド(BNP)などの心臓バイオマーカーに関する基礎的および臨床的研究成果が蓄積され,心臓バイオマーカーを応用した診療が広く普及しつつある。本総説では,基礎的および臨床的研究データを交えながら心臓バイオマーカーの生理的分泌および代謝機構,測定値の臨床的解釈,測定時の注意点などについて解説したい。ヒトをはじめイヌおよびネコの慢性心疾患患者では,血中ANPやBNP, NT-proBNP濃度が重症度に関連して上昇している。これら心臓バイオマーカーは慢性心不全犬の診断や予後予測に有用であると考えられるが,ANPとBNPの臨床的意義は異なっている。ANPは主に心房筋の伸展刺激によって即座に血中へ分泌され,BNPは主に心室筋の伸展刺激によって血中に放出される。また,ANPは心房が伸展刺激を受けた直後から血中濃度に反映されるが,BNPは心室筋が伸展刺激を受けた後から血中濃度に反映されるまでにタイムラグが存在する。これらのことから筆者は,ANPは急性および慢性のうっ血マーカーとして,NT-proBNPは心室筋の負荷や障害のマーカーとして使い分けている。しかし,心臓バイオマーカーの測定値のみで病態を判断することは危険であり,一般身体検査や胸部X線検査,心エコー図検査などと組み合わせた評価が必要である。
著者
萩原 文子 堀 七湖 中村 さち子 大槻 かおる 寺尾 詩子 大島 奈緒美 三枝 南十 上甲 博美 佐藤 幸子 小川 美緒
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.G3O1233-G3O1233, 2010

【目的】育児休業(以下、育休)が男性も取得可能な制度である中で実際の取得率は大変低くなっている(平成19年度育休取得率:女性89.7%、男性1.56%)。当部では育児経験のある男性理学療法士(以下、PT)に育児に関する意識や環境についてアンケート調査を行い、実際に育休の取得経験があるパパPT及び作業療法士(以下、OT)より経験談や意見を聴取した。今回はパパPTの実態を踏まえ、育休取得パパPT・OTの経験談と比較し問題点や改善点を見出すことを目的とした。<BR>【方法】2008年12月の1ヶ月間に20~40代のパパPT107名にアンケート用紙を使用し、家庭環境・職場環境や育児支援制度の認知度などの実態調査を行った。回答は無記名・多選択方式で得た。また、育休の取得経験があるパパPT3名・OT1名(平均年齢34歳)に調査票を使用し、家庭環境・職場環境・育休取得について面接又はメールにて調査をした。<BR>【説明と同意】調査依頼文にて目的や学会での公表を明記、もしくは口頭にて説明を行い、回答を得た時点で同意を得たものと判断した。<BR>【結果】家庭環境は共働き家庭が67%、育児援助者がいない家庭が72%と半数以上であった。子供と接する時間は平日で毎日30分以上が63%、また何らかの家事を行っている人が97%であった。職場は総合病院が最も多く43%、職場のPT数は1~56名、職場での育休の有無は「なし・わからない」が20%、育休取得環境の有無は「わからない」が43%であった。育休取得率は0.93%で、取得しなかった理由は「妻が取得した」という意見が多く、次いで「職場の環境」「仕事への影響」「必要なし」「制度不明」が挙げられた。パパになってからの変化としては経済的な責任や家庭を持つことで仕事以外にも役割が増え、休まざるを得ないことが増えたり、自分の時間が少なくなったと感じている人が多いが、同時に仕事のやりがいが向上し、PTとしての広がりや生活の充実を感じている人も多かった。パパPTの39%は出来れば育児支援制度を利用したいと思っていた。<BR>育休を取得したパパPT・OTの家庭環境は妻が出産を機に退職1名・共働き3名であり、育児援助者がいる1名、いない3名であった。職場は公的・準公的施設でPT・OT数は2名~28名、休業中の代替者の確保は「あり」2施設・「なし」2施設。職場での女性の育児休業取得は「取り易い」3施設・「退職圧力なし」1施設、リハビリテーション部門の対応は4施設とも協力的であり、そのうち3施設では代替者の募集が行われた。事務の対応・反応は「権利なので可能」「制度はあるが事務職員の認識がなく、自分で制度を調査し担当者の上司へ説明を求めるなどの対応を必要とした」「事情に詳しい他職種の上司が直属の上司や事務方への対応をしてくれた」が挙げられた。育休取得期間は2~12カ月で3名は妻の育休取得後、1名は妻の出産直後に取得した。困ったことは全員が「特になし」、良かったこととして「子供や家族との関係の向上」「人としてやリハビリテーションを担う職業人としての向上」を挙げており育休取得によるメリットが大きいことがわかった。<BR>【考察】両調査において共働き・育児援助者なしが多く、夫婦が助け合って仕事と育児を両立していく必要性が高い家庭が多かった。その中でも日本人男性が家事や育児に関与する時間は約1時間という報告がある中が、パパPTは家事や育児に協力している傾向が見られ、さらにパパが育児に関与することは仕事面・家庭面において親として・人として・職業人としての向上などのメリットが挙げられた。しかし、育児支援制度に関してはパパPTの39%が出来れば利用したいと思っているが、実際に育休を取得した人は0.93%であり、育児・介護休業法にて取得権利が認められているといっても制度の利用には課題があることがわかった。パパの育休取得に関してはまず、今回の結果からパパの育休に関する情報不足を感じ、さらに職場の環境としては代替え要員の雇用支援や人材バンクの整備、上司や事務職への制度に関する理解と啓発の必要性を感じた。また、公的・準公的施設や女性が取得しやすい職場などの環境も育休取得に影響していることがわかった。今後は会員のみならず職場への育児支援制度の情報提供・支援サービスの整備などを進めていく必要性を感じ、今後の活動へ生かしていきたい。<BR>【理学療法学研究としての意義】ライフワークの中で就業が継続できる働きやすい環境を支援することでPTの質の向上にもつながると思われる。
著者
大堀 研
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.143-158, 2010

地域再生の文脈で使用される「ローカル・アイデンティティ」という用語は, これまで複数の意味・水準で使われてきた. 明確な概念規定抜きで使用すると, 現場に混乱をもたらしかねない. これまでの使用例は, 個人レベル(個人の地域に対する帰属意識)と, 集合レベル(地域関係者の多くに共有されている地域内の要素), の二通りに大別できる. 現場では, 語義を明示して使用する必要があり, コミュニケーション・コストは高い. だが「アイデンティティ」という語は「自己認識」の意識を喚起する利点がある. ただし正負の両側面の複合的な自己認識が求められる. また「アイデンティティ」の語が誘発する本質化の危険性を避けるために, 「ローカル・アイデンティティ」を, 変化し得るものと把握することが必要である. 一方で「アイデンティティ」と言う以上, 保持すべき要素の弁別も欠かせない. ここでも複合的な認識が求められる. 地域の複合性を捉えるツールとすることに, 「ローカル・アイデンティティ」の語を用いる意義を見出すことができる.The term "local identity" is used to mean a number of different things. Its meanings can be classified into two broad categories: the individual level (an individual's sense of belonging to a community) and the collective level (elements within a community that are shared by many people within it). At the community level, there is a need to clarify this definition, and it is a complicated process. Here, the word "identity" is advantageous in that it triggers an awareness of the "recognition of the self." However, both positive and negative aspects should be recognized in a composite way. Also, in order to avoid the risk of falling into essentialism, "local identity" should be understood as changeable, and should be understood in a complex way, along with the elements that ought to be preserved.
著者
堀 光代 長野 宏子 阿久澤 さゆり 下山田 真 吉田 一昭
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.31-37, 2010 (Released:2014-12-05)
参考文献数
22

岐阜県産小麦粉(中国152号)の製パン性を製粉方法による粒度の面から検討した。ロール製粉機による製粉(中国152号(I)),テストミルによる製粉(中国152号(II))の2種類で製粉し,これらの小麦粉粒度,色差,製パン性等を比較した。小麦粉の平均粒度は,中国152号(I)95.5μm,同(II)56.9μmであった。粒度分布タイプも異なり,中国152号(I)にふすまの混入が示唆された。小麦粉の色差は「感知できるほど」の差がみられた。製パン結果では,比容積は中国152号(II)が(I)より高い結果であった。パンの色差は,小麦粉の色差結果より差が大きかった。パンのクリープ試験結果では,中国152号(II)は1CWに近く,中国152号(I)と(II)には顕著な差がみられた。パンの品質評価は,中国152号(I)の焼き色と色相の2項目が低かった。官能評価では中国152号(I)は(II)と比較して香り以外のすべての項目で低い評価であった。
著者
松田 和徳 堀 洋二 雫 治彦 武田 憲昭
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.809-814, 2005

In the present study, we evaluated daytime sleepiness in 32 patients with obstructive sleep apnea syndrome (OSAS) using epworth sleepiness scale (ESS). ESS scores of patients with OSAS were significantly higher than those of patients with simple snoring and healthy subjects. ESS scores of patients with OSAS were significantly correlated with apnea-hypopnea index, the longest apnea time, but not with the lowest oxygenation. It is suggested that ESS score is a predictive index of the severity of OSAS. We then examined whether ESS in combination with body mass index (BMI) can identify patients with OSAS among patients complaining of snoring. When the cut off points were 11 in ESS and 25 in BMI, the combination of ESS and BMI correctly classified 18 of 25 patients with OSAS (sensitivity=72.0%) and 7 of 10 patients without OSAS (specificity=70.0%). We concluded that the combination of ESS and BMI was useful for screening of sleep apnea syndrome.
著者
木村 明憲 高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.25-36, 2016

家庭での自主学習において,児童が情報活用の実践力の育成を意図した学習支援カードを活用した.自主学習における学習支援カードの活用の状況,効果について, 1年間の調査結果を分析した.学習支援カードの活用状況について,児童が自主学習を行うノートに学習支援カードの領域及び項目の名称が記述されていた場合に,記述されている領域及び項目をカウントし,一人あたりの年間記述数の平均値を求めたところ135.4回であった.これは,年間の自主学習の実施回数の平均である111.2回を超えており,毎回のように学習支援カードが用いられたと考えられる.特に「まとめる」「集める」領域に関連する活動が多く行われた.また,児童の感想やノートの記述から児童の情報活用の実践力に高まりが見られた.こういった学習活動が年間を通して繰り返し行われたことによる効果であると考えられた.
著者
堀越 善太郎
出版者
早稲田大学国文学会
雑誌
国文学研究 (ISSN:03898636)
巻号頁・発行日
no.75, pp.p69-79, 1981-10
著者
清水 康敬 堀田 龍也 中川 一史 森本 容介 山本 朋弘
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.115-123, 2010
参考文献数
13
被引用文献数
2

教員のICT活用指導力を向上させる教員研修Web統合システム(TRAIN)を開発した.このTRAINでは,教員のICT活用指導力の向上や校内でのICT活用の普及促進に役立つことを意図した短時間のビデオ・モジュール218本をストリーミング視聴ができるようにした.また,全ビデオ・モジュールのタイトルと内容説明,画面の一部,説明者名をA4版半ページ程度で分類整理したハンドブックを作成し,これを参考に視聴することができるようにした.さらに,TRAINを利用した自己研修,校内研修,神合研修への支援を強化するために,ビデオ・モジュールの中から50の実践事例を選んで,アドバイス付き事例を作成した.これらと関連した指導場面,実践事例とともにTRAINから提供した.教員のICT活用指導力に関する234件のFAQを提供し,このFAQを利用した学習も可能とした.このTRAINに関する教育委員会対象の評価を実施した.
著者
堀口 良一
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦前期日本の安全運動の誕生・発展の過程で中心的役割を果たした蒲生俊文(1883~1966)に関する大量の資料-その多くが未出版、未公開の状態にある-についての綿密な調査を踏まえて、本研究では、蒲生の生涯が1914年から亡くなるまでの間、一貫して安全運動に捧げられていたことを、一次資料に基づく史料を駆使しながら示した。とくに、その成果として重要ものに、履歴書各種、著作目録(全461点)および伝記がある。