著者
松本 欣三 Suresh Awale 藤原 博典 堀 悦郎
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

ADHAを含む発達障害(DD)と病因と症状が類似する隔離飼育マウスをエピジェネティック発達障害モデルとして用い,発症機構と漢方薬(抑肝散,桂枝湯)による治療及び予防を検討した。抑肝散のみが注意様行動,一部の症状に対して治療効果を示した。一方,抑肝散や桂枝湯の投与を発達初期から開始した場合,DD様症状が抑制されたことから,両漢方薬はDDの予防軽減に有用と推測された。また隔離飼育動物では神経ステロイドのアロプレグナノロン (ALLO)の生合成が障害されている点に着目し,脳内ALLO量を低下させた結果,社会性行動の障害が誘導されたことから,ALLO産生障害がDDの発症に関与する可能性が示唆された。
著者
小渕 浩平 竹林 崇 堀内 博志 村岡 尚 中村 裕一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.197-204, 2019-04-15 (Released:2019-04-15)
参考文献数
20

急性期脳卒中患者5名に対し,実生活での非麻痺手の抑制を行わず,補助的手段を併用した上肢集中練習を1日2時間,平均3週間実施した.本研究では,麻痺手の機能と生活における使用の改善での有用性と安全性を検討した結果,集中練習が麻痺側上肢機能と実生活における麻痺手の使用頻度および質を有意に改善させることを確認した.加えて,急性期における集中練習介入期間中に有害事象は認めなかった.これらの結果は,急性期における短時間の集中練習のプロトコルが,意味のある方法である可能性を示唆した.しかしながら,急性期の集中練習の効果を実証するためには,今後,対照群をおいたランダム化比較試験による検証を行わなければならない.
著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
遠藤 信英 度会 正人 堀部 秀樹
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.311, 2006 (Released:2006-11-06)

<症例>18歳女性。<既往歴>15歳の頃より近医心療内科に自ら通院。2回の自殺企図の既往があった。<現病歴>2006年4月9日、インターネットにてジギタリスの毒性を知り、花屋でジギタリスの鉢植えを購入し、その葉20枚を煮て、煮汁を服用した。服用直後から嘔気があり嘔吐を続け、症状が持続するため翌日当院救急外来を受診した。受診時身体所見は、意識清明・血圧99/59mmHg・脈拍数55回/分・経皮的酸素飽和度97%であった。心電図では_II_・_III_・aVfとV4-6に盆状ST低下を認め、2:1房室ブロックを中心に、WenckebachやMobitz2型2度ブロックといった多彩な不整脈を呈していたため入院管理とした。<入院後経過>ジギトキシン・ジゴキシンの血中濃度はそれぞれ128ng/ml,5.33ng/mlと正常値上限の5倍程度まで著明に上昇していたが、心エコー検査にて心機能は正常で心不全兆候はなく、肝腎機能は良好であり、モニター心電図にてlong pauseなどの危険な兆候が見られなかったことから保存的治療で経過を見ることとした。入院中は心電図モニターによる監視下のもと、補液治療を行った。入院時から2:1房室ブロックは持続していたが、特に危険な不整脈を誘発することなく経過し、第4病日頃から、それまで2:1房室ブロックで50台ほどの脈拍数であったものが1:1でつながり始めるようになった。第7病日頃には伝導が2:1となることはなくなり、1:1伝導で脈拍数が100ほどの洞性頻脈になった。その後は脈拍数も70ほどへ低下し、嘔気もとれ経口摂取も十分可能になったため第10病日退院した。第7病日の時点でジギトキシン・ジゴキシンの血中濃度はそれぞれ38.4ng/ml,1.75ng/mlであった。<まとめ>自殺企図にてジギタリスの葉を大量摂取した一例を経験した。本症例では不整脈の増悪・急変に備えペースメーカーなどの緊急処置も考慮していたが、健康若年者であったことから良好な転帰をとったと考えられる。
著者
堀口 沙記子 杉田 早苗 土肥 真人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.763-768, 2001-10-25 (Released:2017-12-01)
参考文献数
3

The purpose of this article is to grasp people's sitting behavior on streets spaces. Design survey of the spatial apparatus for sitting, observatory survey of the sitting people and interview research for sitting peoples' psychological situation are conducted at the Harajuku area Shibuya-word. Tokyo pref. the conclusions are as follows. 1. Spatial apparatus for sitting on streets spaces are grouped into 18 types using form and function category. 2. Sitting people have preference for choosing the sitting apparatus, which is depending on spatial apparatus type, surroundings atmosphere and purpose of sitting behavior. 3. Peoples who sit on spatial apparatus essentially not for sitting tend to relax and to sit longer than who use spatial apparatus for sitting.
著者
堀井 徳光 井上 直子 大嶋 繁 冲田 光良 秋元 勇人 根岸 彰生 大島 新司 沼尻 幸彦 小林 大介
出版者
一般社団法人 日本老年薬学会
雑誌
日本老年薬学会雑誌 (ISSN:24334065)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.28-33, 2018-09-30 (Released:2019-10-07)
参考文献数
19

In the Integrated Community Care System, pharmacists are expected to play a central role in addressing patients’ drug problems. Therefore, it is necessary to know the patients’ drug problems as well as the occupations of professionals in solving these problems, and to clarify the problems to be preferentially resolved. Thus, we surveyed care managers working in a district near the Josai University pharmacy about their drug problem recognition and the professionals who solved these problems. Many of the care managers identified “the patient has leftover drugs” and “the patient has declining cognitive abilities” as drug problems. Many of the care managers expected pharmacists to solve the problems of “the patient has leftover drugs” and “the patient does not understand the dosage regimen.” “The patient has leftover drugs,” “the patient needs allotting of drugs to ensure adherence,” “the patient does not understand the significance of the meditation,” and “the patient does not understand the dosage regimen” are drug problems in which pharmacists should preferentially intervene and play a role in the Integrated Community Care System.
著者
堀口 亜有未 宮城 拓也 山口 さやか 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.289-292, 2019

<p>80 歳,男性。約 4 カ月前から体幹四肢に瘙痒を伴わない浮腫性紅斑と皮膚の硬化,疼痛があり,当科を受診した。手足を除く上下肢に左右対称性に皮膚の硬化と皮膚表面に光沢があり,下肢には敷石状に凹凸があった。爪上皮出血点や後爪郭の血管拡張,レイノー症状はなかった。MRI T2 強調像で大腿二頭筋膜の肥厚と高信号があり,病理組織検査で筋膜の肥厚と筋膜に併走するように帯状の細胞浸潤があり好酸球性筋膜炎と診断した。プレドニゾロン(PSL)40 mg/日で治療を開始したが,PSL を漸減する過程でアルドラーゼ値の上昇があったためメトトレキサート(MTX)を併用した。以後,皮膚硬化は改善,アルドラーゼ値は低下し,PSL を漸減できた。現在まで MTX による副作用はない。ステロイド抵抗性の好酸球性筋膜炎において,MTX は有用であると考える。</p>
著者
石塚 丈晴 堀田 龍也 小川 雅弘 山田 智之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.225-228, 2004-03-05
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究では,PDAの手書き文字認識機能を利用して書きとり練習を行なう漢字ドリル学習システムを開発した.本システムを搭載したPDAを1クラスの児童全員に各1台貸与し,PDA漢字ドリルと学習効果の関係について研究を行なった.その結果,PDA漢字ドリルの利用量が多いほど漢字能力も向上するという関係があることが,判明した.一方で,児童の学習記録を教師が把握し適切な指導を随時行なっていく必要も判明し,そのためのシステムを今後開発していく必要があることが分かった.
著者
高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.117-120, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
10
被引用文献数
4

27名の小学校教員を対象に,教員が普通教室で効果的と考えるICT活用場面を収集した.その結果1395件が得られた.最も多い活用の組み合わせは,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書や書籍を映すことであった.続いて,29名の小学校教員を対象に,最も活用されていたプロジェクタと実物投影機の活用に限定し,効果的と考える活用場面を収集した.その結果3395件が得られた.教員が効果的と考える最も多かった活用は,教科書・書籍を実物投影機で映し,写真や実物,考え方を示すことであった。以上のことから,現時点での小学校において,教員が効果的と考える教室でのICT活用は,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書等を映すことといえる.
著者
渡邉 実 堀内 靖雄 市川 熹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.338, pp.17-22, 1997-10-23
参考文献数
6
被引用文献数
3

数式の構造は欧米語に近く、日本語とは非常に異なるため、その日本語の音声表現は決まったものがない。視覚障碍者がインターネット等を通して電子化された情報を得る場合を想定し、HTMLやLATEXで記述されている表形式や数式を音声で表現するための基礎検討を進めている。
著者
堀口 康太
出版者
日本子育て学会
雑誌
子育て研究 (ISSN:21890870)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.16-26, 2018 (Released:2018-10-02)
参考文献数
50

本論文は児童家庭支援センターが児童家庭相談においてどのような役割を果たしてきたか各種の報告を通して検討し、今後の児童家庭相談において、児童家庭支援センターが果たしていくべき役割を検討することを目的とした文献研究である。児童福祉法の改正や設置運営要綱の改正の流れに沿って、便宜的に 3 つの段階 (1. 創設から 2004 年児童福祉法改正まで、2.2004 年児童福祉法改正から 2012 年設置運営要綱改正まで、3.2012 年設置運営要綱改正後から 2017 年まで ) を設定し、児童家庭支援センターが果たしてきた役割を整理した。整理した結果から、今後の児童家庭支援センターに求められている役割を検討したところ、児童家庭支援センターが行っている各事業が児童家庭相談の中で一貫して継続的に提供されていないことが役割を不明確にしている理由であり、今後は予防的観点から要保護児童等やその家庭に対して一貫して継続的に支援を提供し、地域包括ケアシステム構築に重要な児童家庭相談における中核的機関としての役割を担うことが必要であると整理された。最後に、中核的機関としての役割を担う上での課題が整理された。
著者
堀江 祐範 杉野 紗貴子 藤本 博雄 山辺 啓三
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.71-77, 2017-03-15 (Released:2017-03-29)
参考文献数
26
被引用文献数
1

腸内環境の改善には,乳酸菌をはじめとしたプロバイオティクスの摂取が効果的である.一般に整腸作用や有害菌の増殖抑制には,摂取した菌が生存率を保った状態で腸内に到達することが重要であるが,乳酸菌が必ずしも胃での生残性が高いとは限らず,せっかくよい効果があっても,胃で死滅しては意味がなくなってしまう.一方,こんにゃくは多糖類の繊維からなる難消化性の食品で,強アルカリ性の食品であることから,乳酸菌をこんにゃくに付着させ,一緒に摂取することで生残性を向上させることができないかと考えた.製造時に発泡させることで表面積を大きくした球状のこんにゃくに,Lactobacillus crispatusおよびL.plantarumを取り込み,pH 1.2の人工胃液中で保持した.こんにゃくがない場合には,これらの乳酸菌は30分で死滅したが,こんにゃくと一緒に保持することで,60分及び120分後まで生存が認められた.本技術により,乳酸菌をこんにゃくと一緒に摂取することで,生存率を保ったまま腸管に届けられる可能性が示された.