著者
太田 茂 岩見 美香 成田 努 東野 克巳 鈴木 淳史 多賀 崇 島田 司巳
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC HEMATOLOGY/ONCOLOGY
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.364-368, 1998

Hodgkin病 (以下HDと略) の治療後における心合併症の報告は欧米では多数報告されているが, 本邦ではきわめて少ない.われわれはHDの治療経過中に心タンポナーデを発症し, 治療終了後にtherapyrelated pancytopeniaをきたした症例を経験したので報告する.症例は14歳男児, 前上縦隔原発のHD (nodular sclerosis) でmodified MOPPおよびセミマントルと縦隔部に総計36.3Gyの照射を行った.化学療法6クール目の前半終了後から突然, 胸痛, 胸内苦悶感および呼吸困難が出現した.心嚢穿刺の結果, 心タンポナーデと診断され経皮的ドレナージにて軽快した.細胞診によりHDの浸潤は否定された.その後, 1クールの化学療法後に治療終了となったが, しだいに大球性貧血となり汎血球減少となった.骨髄は低形成であったが, 染色体検査は正常であった.オキシメトロン投与にて経過観察したところ, ほぼ4ヵ月で汎血球減少は改善し現在治療終了後5年を経過しているが無病生存中である.
著者
萩原 剛 太田 裕之 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.117-123, 2006
被引用文献数
6

人々の自発的な交通行動変容を促すコミュニケーション施策である「モビリティ・マネジメント」を実務的かつ広範に展開していくためには、なるべく多数の人々と、なるべく安価に接触できるようなコミュニケーション技術を検討する必要がある。この認識の下、本研究はアンケート調査の「回収率」に着目し、回収率の向上に影響を及ぼす要因について分析を行った。その結果、配布方法や報酬の提供方法によって、回収率が大きく異なることが示された。また、これらの方策に要するコストを算出することで、より効率的・効果的なアンケート回収率向上方策について検討した。
著者
太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.171, pp.35-38, 2011-07-25
被引用文献数
1

一般に万能チューリングマシンによる計算は,計算途中で情報を失わないようにすれば可逆とすることができる.熱は情報が失われた時にのみ発生するからである.一時的にエネルギーが必要な場合も,後に計算過程を逆転させれば回収できる.同様に可逆なルータを作成することができるが,さらに,パケットにソースルーティング情報等を含ませ,各ルータを保存的,つまり入出力されるパケットの0と1の数を変化させないようにすれば,消費電力0のルータが実現可能であることを,光による実装を念頭に,示す.バッファとしては,SRAMでは可逆には程遠いが,光ファイバ遅延線はほぼ理想的な可逆,保存的バッファとなる.
著者
太田口 和久
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

大規模プラント排ガス中のCO_2を除去する技術のうちモノエタノ-ルアミン化学吸収法は、吸収能力および経済性および経済性などの点で高く評価されている。この方法では、CO_2吸収後のモノエタノ-ルアミンは水蒸気の作用によりCO_2を分離し再生される。しかし、長期間に亘る反復使用の後に劣化物を含んだ吸収液のCO_2吸収能力は低下し、吸収液は廃棄されている。本研究では、そのような使用済みモノエタノ-ルアミンを大腸菌Escherichia coli K12株を用いて生分解し、有価物の酢酸へと変換するバイオリアクタ-を考案し、培養条件が生物反応に及ぼす効果について検討した。培地成分について吟味した結果、モノエタノ-ルアミンはE.coliの生育のための窒素源となるが、効率良い増殖を望むためにはグリセロ-ルまたはグルコ-スなどの炭素源が不可欠であることがわかった。モノエタノ-ルアミンを分解するエタノ-ルアミンアンモニアリア-ゼは、その生合成および機能発現のためにビタミンB_<12>を必要とした。この酵素は、反応生成物のアセトアルデヒドにより不活性化したが、培養液中のアセトアルデヒドの蓄積を抑えるためにはアセトアルデヒドを酢酸へと変換するアルデヒドデヒドロゲナ-ゼの活性を高めることが大切であることがわかった。酢液は、これらの酵素の活性を低下させ、また細胞の増殖を抑制したためpH制御が生分解反応を促すことを演繹した。モノエタノ-ルアミン自身をpH制御用のアルカリ溶液とする新しい培養方法を考案し最適pH値を求めた。モノエタノ-ルアミンの処理産および酢液の生成量はpHが7.5の時に最大となり、処理量1g/(l・h)および酢液生産性0.9g/(l.h)が得られた。
著者
太田 純一 大竹 慎二 南村 和宏 澤田 卓人 藤川 敦 林 宏行 森山 正敏
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.289-293, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
10

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(Transurethral resection of bladder tumor in one piece:TURBO)は,腫瘍を細切せず一塊に切除することで,より正確な病理診断が可能である.その治療成績と病理診断における有用性について報告する.膀胱腫瘍135例,173病変に対し経尿道膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)を施行した.切除は1.marking,2.粘膜切開,3.水平切除,4.腫瘍摘出の順に施行した.腫瘍は膀胱内いずれの部位でも切除可能であり,合併症も許容される範囲であった.切除検体に筋層を含む症例は123例(91.1%)に認めた.pT1 23例中22例(95.7%)に粘膜筋板を認めた.粘膜筋板を超えない浸潤であったT1症例は進行例を認めないが,粘膜筋板を超える浸潤を認めた7例中4例に病期進展を認め,1例に上部尿路再発を認めた.TURBOにおける深達度診断は正確であり,粘膜筋板浸潤の有無は予後と相関する可能性が示唆された.
著者
松村 良之 太田 勝造 岡本 浩一
出版者
日本法社会学会/有斐閣
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.49, pp.198-202,247, 1997-03-30 (Released:2009-01-15)
参考文献数
13

Japanese judges usually spend their entire legal career as judges. Many of their legal jargons are unique to their professional circle and reflect their cognitive structure about legal issues."Suji" and "suwari" are among such most frequent jargons. "Suji", whose lexical translation is "line", is often used in a phrase "suji ga warui", meaning "suji is bad for this case". Such a phrase might be translated into "this case has a bad logic or an unclear background". The phrase is typically used to describe civil cases, and is less often spoken of by other legal professionals. "Suwari", whose direct translation is "well-seatedness" is similarly phrased, but it is, arguably more often used to describe judgments that are already made at courts of lower level.The present study is an attempt to give quantitative description of these two concepts by a cognitive psychological approach. As the first stage of our study, we made intensive interviews to seven retired or current judges. Based upon the interview result, we structured the questionnaire.As the second and final stage, we sent out the questionnaires to all the retired judges in Japan (1, 120), out of which 339 were returned. The respondents were asked to respond in psychological judgment scales, to fictitious cases in which some crucial details were manipulated as experimental variables. Statistical analyses on these variables are worked out to render experimental description of these concepts as correlates to and functions on more direct legal perceptions.
著者
太田 幸夫
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第55回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.99, 2008 (Released:2008-06-16)

薬の正しい服用指示はこれまで、病院ないし薬局で入手する薬の容器または紙袋に文字で表示されてきた。その文字表記の意味内容を正しく理解し、正しく服用することは、全ての人にとって極めて重要でありながら、実際には困難が伴っていた。用語の難しさ、小さな文字による視認性と可読性の低さ、言語の違いなどが主な原因であった。 本研究では、薬の服用者の年齢差や、多国籍化や輸出入などを考慮し、教育程度や国語の違い、視覚障害や表示スペースの制約などを克服し、全ての人にわかりやすい薬の服用指示を可能とする視覚言語デザインを研究・開発する。さらにそのデザイン成果の国際標準化をめざす。
著者
太田 次男
出版者
三田史学会
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.1-42, 1973-10

論文
著者
太田 敬子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、非ムスリム統治法や統治制度の正当性を巡るムスリム知識人の議論、具体的にはナジュラーンのキリスト教徒の法的処遇に関する議論を分析した。その結果、異教徒統治制度の整備・発展には、異教徒統治理論の確立が不可欠であったこと、その理論は9~10世紀に輩出した法学書・歴史書・ハディース集における様々な議論を基礎として発展し、またその時代の政治・社会情勢に大きく影響されていたことを実証的に確認した。
著者
吾妻 崇 太田 陽子 石川 元彦 谷口 薫
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.169-176, 2005-06-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
25
被引用文献数
3 9 2

御前崎周辺には,御前崎段丘(高度48~25m,三崎面相当の海成段丘)と4段の完新世海成段丘(高度15m以下)が分布する.御前崎段丘は,全体として西-南西に向かって傾動し,小規模な活断層,撓曲崖および背斜構造を伴う.御前崎段丘を開析する水系の分布形態および駿河湾側の海食崖上にみられる風隙の存在は,旧汀線が北西に位置することと不調和で,段丘形成後の変形を示している.御前崎段丘上にみられる東西方向に延びる低崖は,更新世段丘上に残された地震性隆起の記録である可能性がある.完新世海成段丘は4段に区分され,I面は後氷期海進最盛期直後,II面は約3,500cal BP以前,III面は2,150cal BP以前にそれぞれ離水したと考えられる.I面の内縁高度は14mに達するが,既存のボーリングコア解析から推定される海成層の上限高度は約3mにすぎない.これらの段丘の形成過程を,海溝型の活動間隔の短い地震による隆起と,地震間における沈降および活動間隔の長い地震による大きな隆起との和として解釈した.
著者
太田 ひろみ
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.101-104, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

都市部の合計特殊出生率は全国平均より低く,特に東京都は全国でも最低の数値にとどまっている。都市部の出生率が低いことの背景には,現代の子育てをめぐる特徴的な課題が存在することが考えられる。都市部の子育てをめぐる課題として1.家族形態の変化,2.地域のつながりの希薄化,3.女性の社会参加などの要因が存在する。大学が行う子育て支援活動として,地域のニーズに応じた大学だからこそ可能な独自性のある支援を行うことが期待されている。大学が有する物的・人的資源を開放し提供することや,地域住民や当事者を含む地域資源との協働や連携のシステムを構築することなどが子育て支援活動として可能であろう。
著者
朝倉 敏夫 太田 心平 岡田 浩樹 島村 恭則 林 史樹 韓 景旭 岡田 浩樹 島村 恭則 林 史樹
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

東アジアのコリアン・ネットワークについて、既存の研究では明らかとなっていなかった、ないし否定されてきた3点が明らかとなった。越域性、多重性、主体性の3点である。この研究成果の主たる報告書、および現地還元活動として、『韓民族海外同胞の現住所―当事者と日本の研究者の声』(學研文化社、2012)を、韓国語にて出版した。
著者
佐野 比呂己 本橋 幸康 井口 貴美子 太田 幸夫 大村 勅夫 菅原 利晃 花坂 歩 谷口 守 増子 優二
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまで研究されてこなかった柳田国男監修高等学校国語科教科書について、その所収教材を中心に研究を進めてきた。所収教材そのものを分析、考察するとともに、分析・考察をもとに、研究協力者である高等学校教員との連携により高等学校国語教室での実践を行った。実践を検討する中で、教材としての有用性、問題点を抽出し、教材価値の検討を行い、時代は経過しても現代の高校生の国語教室において価値ある教材であるという共通認識を持ち、実践研究報告を学術雑誌に投稿、掲載された。
著者
太田 圭一 松原 厚 水山 元
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.856-861, 2014-09-05 (Released:2014-09-05)
参考文献数
6

Machine tool assembly is dynamic and complex because of intrinsic uncertainties in its process. Human dependent production system is often used to deal with uncertainties, but it also increases complexity. Significant research about production scheduling has been done, but effectiveness of its application to human dependent production system is not investigated enough. In addition, not only scheduling but also other countermeasures are applied to improve production performance. This paper presents a framework to analyze how machine tool assembly system responds to supervisors' instruction. The framework includes an event driven simulation, and the simulation model is generated by the facts observed at the real machine tool assembly site. The simulation results reveal conditions which enable to improve production performance effectively at machine tool assembly site.
著者
太田 圭
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
no.62, pp.95-98, 2002-06

この原稿が掲載される頃は、サッカーのワールドカップは大詰めを迎える。日本代表の戦いぶりはどうだろうか、決勝はどの国が、共催した日韓両国の相互理解は深まったか…など、いろいろと思いを巡らしている。執筆中の昨夜も、日本代表が前哨戦となる …