著者
岩本 喜伴 宮崎 正則 前田 ゆう子 堀尾 嘉友
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.213-217, 1970
被引用文献数
1

市販バナナ生果中の硝酸塩含量の測定ならびにバナナピューレーを用い果汁含量 (硝酸塩含量) を異にした試験かん詰を製造し, スズ異常溶出におよぼす硝酸塩の影響を検討した。<BR>1) 市販されているバナナ生果中の硝酸塩含量は外観からの熟度に関係なく, 硝酸性窒素は3-30ppmとバラツキが認められた。<BR>2) 原料中に多量の硝酸塩が含まれているとオレンジジュースならびにトマトジュースかん詰で認められたのと同様にバナナジュースかん詰においても製造後短期間内にスズの異常溶出が認められた。<BR>3) 実かん試験の結果から硝酸性窒素1ppmに対するスズの溶出量は約30ppmであった。<BR>4) バナナをかん詰原料として使用する場合には原料中の硝酸塩含量に注意しなければならない。
著者
山口 惠三 宮崎 修一 岡本 博樹
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.55-65, 2003-09-30
参考文献数
21
被引用文献数
5

Telithromycin (TEL) の日本の臨床分離株に対する<I>in vitro</I>抗菌力を検討し, マクロライド系抗生物質のerythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM), ペニシリン系抗生物質のamoxicillin (AMPC), セフェム系抗生物質のcefdinir (CFDN) ならびにニューキノロン薬のlevofloxacin (LVFX) と比較した。その結果, TELは, EM感受性<I>Streptococcus pneumoniae</I> (MIC<SUB>90</SUB>=0.008μg/mL) だけでなく<I>mefE</I>保有 (葉物排出型) EM耐性菌および<I>ermB</I>保有 (作用部位変異型) EM耐性菌のいずれに対しても試験葉物中もっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性および<I>mefE</I>保有EM耐性株に対し, 殺菌的 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) に作用したが, <I>ermB</I>保有EM耐性株に対するそれは若干弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4)。TELは, <I>Streptococcus pyogenes</I>および<I>Streptococcus agalactiae</I>に対しても<I>S.pmumoniae</I>同様もっとも強い抗菌作用を示した。TELは, EM感受性および誘導型EM耐性<I>Stapkylococcus aureus</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.125および0.25μg/mL) を示したが, 殺菌的な作用は弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=16および8)。また, TELは構成型EM耐性株に対しては効果を示さなかった。同様の結果が, <I>Stapkylococcus epidermidis</I>についても得られた。TELはEM感受性<I>Enterococcus faecalis</I>に対しもっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>≦0.063μg/mL) を, EM耐性株に対してもEM, CAMおよびAZMより32倍以上強い作川 (MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) を示した。さらに, TELはEM感受性株に対し殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=4) を示したが, EM耐性株に対するそれは弱かった (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=32)。TELは, <I>Entmcoccus faecium</I>に対してももっとも強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=2μg/mL) を示した。<I>Haemophilus influenzae</I>に対するTELの抗菌作用 (MIC<SUB>50</SUB>=2μg/mL, MIC<SUB>90</SUB>=4μg/mL) はEM, CAMより2~4倍強く, AZMと同等もしくは2倍弱かった。TELは<I>Moraxella catarrhalis</I>, <I>Rordetella pertussis</I>, <I>Legionella</I> spp.および.<I>Neisseria gonorrhoeae</I>に対し強い抗菌作用 (MIC<SUB>90</SUB>=0.25, 0.032, 0.063および0.125μg/mL) を示した。これらのTELの効果は, <I>M. catarrhalis</I>に対する効果がAZMより劣っていた以外は, EM, CAMおよびAZMと同等またはそれ以上であった。しかし, EM, CAMおよびAZMと同様, TELの<I>Klebsiella pneumoniae</I>に対する抗菌作用は弱かった。TELは<I>H. influenzae</I>および<I>M. catarrhalis</I>に対して殺菌的な作用 (MBC<SUB>90</SUB>/MIC<SUB>90</SUB>=1) を示した。次に, <I>S. aureus</I> Smith株による全身感染モデルを用いて, TELの<I>in vivo</I>感染防御効果を検討し, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXと比較した。その結果, TEL, CAM, AZM, CFDNおよびLVFXは感染防御効果を示し, そのED<SUB>50</SUB>はそれぞれ, 7.3, 12.1, 13.2, 2.1および5.7mg/kgであった。以上の実験結果から, TELはグラム陽性菌に対し非常に強い抗菌力を有し, 特に<I>S. pneumoniae</I>においてはEM耐性菌に対しても作用を有すること, グラム陰性の市中呼吸器感染の原因菌にも優れた作用を有すること, および<I>S. aureus</I>性感染モデルにおいてCAMおよびAZMよりも強い感染防御効果を有することが明らかになった。
著者
岩瀬 弘明 村田 伸 宮崎 純弥 大田尾 浩 堀江 淳
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.101-108, 2012 (Released:2012-12-05)
参考文献数
33
被引用文献数
3 3

本研究の目的は,床から立ち上がる動作の過程で,四つ這いをとるか否かに影響を及ぼす要因を明らかにすることである。方法は,地域在住の女性高齢者47名を対象に,握力,大腿四頭筋筋力,足把持力,上体起こし,長座体前屈距離,片足立ち保持時間を評価した。床から立ち上がる動作の過程で四つ這いをとる要因について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した。その結果,立ち上がり動作の過程で四つ這いをとる要因として,上体起こしが選択された。これらの知見から,高齢者が床から立ち上がる際,四つ這いを経由するか否かには,体幹筋力が関係しており,体幹筋力が強いものほど四つ這いをとらずに立ち上がれる可能性が示された。
著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
18

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
著者
宮崎 剛司
出版者
旭川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究目的は、仮想現実を用いてヘッドマウントディスプレイを装着し臨地に近い看護体験を提案する新しい教育方法を開発して、この教材の安全性と学習効果を自律神経測定器と脳波測定器で分析することである。また、視聴後には、質問紙にて新しい教材の有用性を検証した。分析方法は、学習者をこれまでの視聴覚教材と本研究で開発した教材との2群に分けて比較した。この結果、これまでの学習方法より、本研究による教材では容易に多重課題を繰り返し学習できることを可能としながら安全性と学習効果があると示唆された。この成果は、今後さらにこのような教材の発展や応用の教育効果を確かめるひとつの指標となるだろう。
著者
宮崎,陽子
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, 2008-04-15

The purpose of this study is to examine the learning contents of the housing field of home economic education given at senior high schools. Some university students were chosen for our questionnaire survey so as to analyze the contents of the housing sector of home economic education at senior high schools as well as to find out how they viewed this part of home economic education. The results are as follows : 1) More than half of the respondents had studied it only insufficiently in their high school days. 2) Those who admitted its usefulness tended to recognize the necessity of learning it. 3) The respondents' view of housing education greatly varied, to wit, what they had learned may not be what they wished to learn or what should be taught. It is to be noted that those contents which they considered important were related to social viewpoint, and that the majority of respondents felt the need to deal with housing issues or problems as well as housing policy. To some up, the contents which the respondents considered important for home economic education in high schools would be useful for social life. On the basis of this report, we will further try to clarify what stands in the way of introducing better contents with a view to improving the housing education curriculum at high schools.

1 0 0 0 OA 防長歴史談

著者
宮崎勇熊 編
出版者
宮崎勇熊
巻号頁・発行日
1893
著者
竹内 義真 紙本 篤 古地 美佳 関 啓介 髙見澤 俊 宮崎 真至
出版者
日本歯科医学教育学会
雑誌
日本歯科医学教育学会雑誌 (ISSN:09145133)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.42-49, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
7

抄録 日本大学歯学部付属歯科病院 (以下, 当院) は, 島しょ地区の各診療所 (以下, 離島歯科研修施設とする) を研修協力施設に設定し, 離島歯科研修を地域歯科医療分野の歯科医師臨床研修プログラムに導入している. 各離島歯科研修施設では, 当院の指導歯科医および研修歯科医が2人1組を編成して, 島民のニーズに応じた地域歯科保健や歯科医療を目的に1週間の研修を実施している. 研修歯科医の研修では, 離島歯科研修終了後にポートフォリオ作成の一環として研修体験シート, 総括的自己評価シート, 研修歯科医診療・介補記録, 離島歯科診療における自己評価チェックリストを作成する. また, 指導歯科医も研修歯科医に対する評価チェックシートを作成する. 離島歯科研修が歯科医師臨床研修に有益であることは, 2007年に日本歯科医学教育学会雑誌で報告している. 今回は, 2009年から2018年の研修歯科医138名の既存データをもとに, 離島歯科診療における診療内容, 研修歯科医の自己評価と指導歯科医の評価の比較および研修体験シートと総括的自己評価シートの自由記載を, テキストマイニングツールにてテキストマイニングを行い分析した. その結果, 離島歯科研修は研修歯科医が地域社会における歯科の役割を理解し, 医療人としての人格を育てる機会となり, 生涯研修の第一歩となることが示唆された.
著者
宮崎 文典
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.62, pp.329-344_L19, 2011

In Plato's <i>Gorgias</i> 474c4-475e6, the issue of whether it is worse to do injustice or suffer it is considered. Socrates and Polus discuss this issue, regarding it as a problem in relation to their own choice of action and way of life. Polus thinks that suffering injustice is worse than doing it. He also thinks, on the other hand, that doing injustice is more shameful than suffering it. Socrates shows him that it is by exceeding in evil that doing injustice is more shameful than suffering it. As a result, Polus concedes that doing injustice is worse than suffering it.<br>Here, we can find a surface and a deeper significance in the judgment that doing injustice is more shameful than suffering it. At the surface level, (1) a &lsquo;fine or shameful&rsquo; judgment has no effect on a judgment of good or bad, and (2) a &lsquo;fine or shameful&lsquo; judgment is not linked to one's choices of action and way of life. However, the judgment that doing injustice is more shameful indicates, deep down, a truer sense of good and bad which are not equated with pleasure and pain, i. e., the judgment reveals what is good and bad for the soul. In this discussion, Polus is, at first, only aware of the surface meaning of his own judgment that doing injustice is more shameful. Socrates shows him the deeper meaning.<br>We can find, here, a fundamental problem with rhetoric: rhetoric concerns persuasion about what is just and unjust, and, faced with public opinion, orators cannot deny that what is just is fine and what is unjust is shameful; but rhetoric cannot make clear the true meaning of the fineness of justice and the shamefulness of injustice, because it aims at pleasure without regard for the good for the soul. Rather, the fineness of justice and the shamefulness of injustice are based on taking care of the soul by political <i>techne</i>.
著者
大崎 雄介 樺山 繁 山本 多恵 宮崎 真理子 中山 昌明
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.429-438, 2020 (Released:2020-08-28)
参考文献数
32

【背景・目的】2018年の厚生労働省・腎疾患対策の主目標に透析患者を含む慢性腎臓病患者のquality of life (QOL) 向上が掲げられたが, 具体的なQOL内容やその評価法は示されていない. そこで, 本邦の研究実態を確認するために, 透析患者QOLに係る研究内容について文献的調査を行った. 【方法】医中誌にて血液透析, QOL, 生活の質のキーワードで過去10年間の検索を行った. 該当489件のうちQOL研究77論文の内容を確認した. 【結果】QOL研究対象は包括的 (53件) と症状特異的 (疲労感, 掻痒感, 睡眠障害, 消化器症状, 心理等) なものが含まれ, 評価尺度は前者で8種類, 後者で42種類の尺度が単独あるいは複合で使用されていた. 【結論】本邦の透析患者QOL研究対象は広く, また研究目的に沿ってさまざまな評価尺度が使用されていた. 今後, 研究間の結果比較のために使用尺度の標準化が必要と考えられる.
著者
石原 誠 宮崎 泰地 原田 智広 ターウォンマット ラック
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2414-2425, 2016-11-15

本稿では,対戦格闘ゲームにおけるゲームAI(AI)や操作法がプレイヤの感じる面白さに与える影響について分析する.対戦格闘ゲームには,キーボードなどの指先による操作と,Kinectを用いて体の動きで操作する方法がある.プレイヤがいずれの操作においても楽しく対戦格闘ゲームをプレイするためには,プレイヤと互角に戦うようなAIが必要である.また,それを実現させるためには強さをある程度持ったAIが必要である.本稿では,UCTをノード選択における戦略としたモンテカルロ木探索,ルーレット選択,ルールベースの手法を組み合わせることで,先述したAIを開発する.このAIをベースにし,UCTの評価関数を改変することによってプレイヤに合わせて強さを調整(難易度調整)するAIを開発する.そして,AIや操作法がプレイヤの感じる面白さに与える影響を,キーボード,Kinectのそれぞれの操作において分析する.対戦格闘ゲームの国際AI大会のプラットフォームとして利用されているFightingICEを用いた被験者実験より,難易度調整はプレイヤがより楽しんで対戦格闘ゲームをプレイするための重要な要素であり,特にKinectにおいて顕著な効果が示された.