著者
稲富 久人 濱崎 隆志 生山 俊弘 小野 誠之 原田 修治 日田 官 藤本 直浩 高橋 康一 松本 哲朗
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

【目的】膀胱癌の発がんには、職業、環境要因が大きな位置を占めている。職業性膀胱癌の歴史より、β-ナフチルアミン、ベンチジンなどのアリルアミンが膀胱発がん物質として明らかである。その代謝には、N-アセチルトランスフェラーゼ(以下NATと略す)が重要な働きを担っている。NATにはNAT1とNAT2の2つの遺伝子があり、多型が存在する。また、それぞれの遺伝子多型より、個体の代謝能を推定できる。そこで、NAT1およびNAT2遺伝子多型を分子生物学的に解析し、膀胱癌発がん素因との関連性について検討する。【対象と方法】膀胱癌患者98名、対照として健常人122名を対象とした。膀胱癌の組織学的は移行上皮癌であった。対象の末梢血液よりゲノムDNAを抽出し、PCR-RFLP法にて、NAT1,NAT2の遺伝子多型を検出した。【結果】NAT1遺伝子迅速型の頻度は、膀胱癌群においては75.5%と対照群における頻度62.3%に比べ、有意に高かった(オッズ比=1.87;95%信頼区間1.04-3.35)。NAT2遺伝子遅延型の頻度は、膀胱癌群においては18.4%と対照群における頻度5.7%に比べ、有意に高かった(オッズ比=3.69;95%信頼区間1.47-9.26)。NAT1とNAT2の遺伝子多型の相互の関連について検討すると、NAT1遺伝子迅速型でNAT2遺伝子遅延型の個体は、発がんの危険度がもっとも低いと推定されるNAT1遺伝子正常型でNAT2遺伝子迅速型の個体に比べ、危険度は8.19倍高かった。【考察】今回のわれわれの結果は、NAT2による代謝の遅い個体、NAT1の代謝の速い個体は、発がん感受性が高いことを意味し、その両者をもつ個体では相乗効果があることを示している。これはアリルアミンによる膀胱癌発がんの機序の仮説を裏づける結果となった。また、NAT1,NAT2の遺伝子多型が膀胱癌発がんの感受性マーカーとしての生体指標として利用できる可能性が示唆された。
著者
小野 雅司
雑誌
日本衞生學雜誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, 2008-03-01
著者
小野 泱
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.334-361, 1970-11-25

1963〜1968年に十勝地方の平野部から高山部までの特に音更川水域のブユ相を調査した結果は次の通りである。1.十勝地方には2属3亜属10種のブユを産する。調査の中心となった糠平地方には10種がすべて棲息する。2.成虫の出現期:各種ブユ類の出現期とその最盛期はオオブユ4,5,6月(5月中旬) キアシオオブユ5,6,7月(6月上旬) ウチダツノマブユ平地高地6,7月(6月下旬) 7,8月(7月下旬) オタルツノマブユ5〜9月(6,8月) アオキツメトゲブユ5〜9月(6月中旬) アシマダラブユ5〜9月(6月中旬) オオアシマダラブユ5〜9月クロアシマダラブユ5〜9月(6,8月) ァカクラアシマダラブユ5〜9月ヒメアシマダラブユ8,9,10月(8月下旬) 3.棲息場所:一定面積当り集中的に個体数が多くなる場所を河川型によって分けると源流型ウチダツノマブユ上流型アシマダラブユ,オタルツノマブユ,アカクラアシマダラブユ中流・下流型オオブユ,キアシオオブユ,アオキツメトゲブユ,オオアシマダラブユ,クロアシマダラブユ,ヒメアシマダラブユ河川の形質(川幅,流速,水深,底質など)によって棲息場所が規定されており,海抜高,水温,気温などはあまり関係がない。4.個体数:発生源となる好適河川のRiver densityが発生量を左右し,一定面積当りの個体数の多寡を比較すると,ウチダッノマブユーアシマダラブユーアオキツメトゲブユーオオブユーキアシオオブユの順に少なくなりいずれも普通種であるが,オオァシマダラブユ,クロァシマダラブユ,アカクラアシマダラブユ,ヒメアシマダラブユ,オタルツノマブユは稀少種である。5.高山部雪渓直下の原始河川の細流に大量発生するウチダッノマブユは氷河期のRelicであると推察される。6.吸血源:各種ブユ類の刺咬動物嗜好性はオオブユ,キアシオォブユ,アシマダラブユ人,豚その他牛馬 ウチダツノマブユ鳥類 アオキツメトゲブユ人畜,鳥類 ヒメアシマダラブユ人畜 オオアシマダラブユ馬,その他人,牛 クロアシマダラブユ,アカクラアシマダラブユ反芻獣,その他人 オタルツノマブユ鳥類 7.人体に特に被害を与える種:アシマダラブユ,オオブユ,キアシオオブユ,アオキツメトゲブユ。他の人体から吸血するブユ類はいずれも個体数が少なく被害はほとんどない。8.東大雪高山部で7,8月にウチダツノマブユが大量発生するが,人体から吸血するのはこれに混じている小数のアシマダラブユとヌカカの1種である。
著者
小野 智弘 本村 陽一 麻生 英樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.111, pp.79-84, 2005-11-15
被引用文献数
3

近年の情報やコンテンツの爆発的な増大およびユーザニーズの多様化に伴い,ユーザが欲する情報の選択を支援する推薦システムへの要求が益々高まっている.映画鑑賞の場合,家族と観るか恋人と観るか,元気であるか沈んでいるか等,状況や気分に応じてユーザの嗜好は変化する.これまでの推薦方式はユーザの履歴情報やプロファイル,コンテンツの特徴に基づいて推薦を行う方式が主流でユーザの状況に関わらず同じ結果となってしまう.一方場所などの状況に基づいて推薦候補を絞りこむ方式も提案されているが同一の状況に対してはどのユーザにも同じコンテンツが推薦されてしまう.筆者らはこれらの問題を解決するためにユーザの履歴やプロファイル等の情報と気分や場所などの状況の依存関係をベイジアンネットにより表現し,個人差と状況に応じて最適なコンテンツを推薦する方式の研究を行っており,本発表ではこの経過を報告する.With the flood of various information and contents through the Internet, the need for recommendation systems that assist users in finding the information they desire is increasing. In case of movie recommendation, user preference may change according to his situation such as mood and location etc.. Existing approaches which use user profiles and/or histories are insufficient as they provide the same results regardless of users' situation. Context-aware methods such as location-based services are neither sufficient as they cannot provide personalized recommendation. In this paper we propose a recommendation system which achieves context-aware personalized recommendation based on Bayesian network by making use of various information related to user profiles, histories, situations, and content attributes.
著者
海蔵寺 大成 青山 秀明 田中 美栄子 藤坂 博一 増川 純一 小野崎 保 相馬 亘 高安 秀樹 生天目 章 藤原 義久
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究の課題である統計力学の視点から経済現象を分析しようとする試みは最近、経済物理学と呼ばれ始めている。経済物理学は急速に発展しつつある学際的分野であるが、始まったばかりの研究領域である。本研究の目的は経済データの統計分析を通して経験則を発見し、その観察事実を物理学者と経済学者がお互いの知識を持ち寄り、議論することでこれまでの学問的な枠にとらわれない新しい実証的経済科学を作ることである。この時期にこの分野で研究している研究者が共同して一つの課題に取り組みお互いの知識や考え方を共有する機会が与えられたことは、今後の経済物理学の発展にとって非常に重要な意味があったと考える。本研究における主要な研究対象は次の2つである。I.「資産市場におけるゆらぎ」、II.「企業・個人の所得のゆらぎおよび経済社会ネットワーク」である。すなわち、本研究の課題は経済のストックとフローおよびそれらの相互作用を統計物理学的視点から分析することである。この2つの課題は経済物理学において最も関心をもたれているテーマであると同時に、多くの未解決な問題を含む研究課題でもある。それぞれの研究課題において、まず、徹底したデータマイニングが行われ、多くの統計的法則が発見された。また、発見された経験則を説明する新しい経済理論が統計物理学の視点から構築された。本研究の成果は、多岐に亘っているが、今後、これらの成果を発展、統合してゆくことで、実証的な立場からマクロ経済現象を明らかにする極めて独創的な経済学を作り出すことができると期待している。
著者
小野 泱 岩佐 光啓
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.751-768, 1976-06-25

1.1973年6月から9月にわたって各月毎に1回,4回にわたり日高幌尻岳七ツ沼カールボーデン(1,600m)とその登山口(900〜1,000m)において吸血昆虫の種類と月別発生状況を調べ,4属9種のブユ類,4属11種のカ類,1属5種のヌカカ類,3属4種のアブ類を確認した。特に七ツ沼におけるブユ類の日周活動についても調査した。2.一般に日高山系は特有の地形,気象条件,植物相などから大雪山系に比較して吸血昆虫の発生量は少ない。これは特に七ツ沼カールボーデンは乾燥した砂礫質で,同一高度の大雪山の高原状湿原と環境が著しく異なっている点と関係深いようである。3.ブユ類ではTwinnia sp.,Cnephia (Stegopterna)sp.の2属が今回の調査で北海道にも生息していることが確認された。種名は本州産,大陸産の類似種と幼虫,雄成虫の形態が比較されていないので後日検討すべきである。4.七ツ沼のブユ類ではTwinnia sp.が優占種となり,6月から9月まで見られ7月が最盛期となっていた。これに少数のアシマダラブユが混じ,きわめて少数のC. (Stegopterna)sp.,ウチダツノマユブユ,キアシオオブユ,スズキアシマダラブユおよびアカクラアシマダラブユが採集された。5.Twinnia sp.の日周活動は7〜16℃の温度範囲で,夕方にピークが見られる1山型消長が普通であった。しかし早朝から無風快晴15〜16℃となった日には朝夕にピークが見られる2山型を示した。6.ブユ類の刺咬活動は18〜28℃の温度範囲で観察されたが,優占種のTwinnia sp.は人体に吸血性はないと見なされ,アシマダラブユも亜高山帯のように明瞭な吸血性を示さなかった。7.カ類ではチシマヤブカが最も多かったが,大雪山系に見られるような大発生は認められなかった。七ツ沼で採集されたオオモリハマダラカは北海道未記種である。8.ヌカカ類ではヌカカが優占種となっていたが,本種も大雪山系のような大発生は観察できなかった。9.アブ類は4種発見されたが,それらの個体数は少なかった。
著者
小野 泰正 林 幸雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.126, pp.93-96, 2008-12-10

大規模な問題を分散処理で効率良く解くためには問題の分割粒度と相互依存関係によって分散処理システムを考えなくてはならない. ネットワークダイナミクスの問題の多くはパラメータ問題でありその相互依存度が低く粒度の細かい分割ができる. この特徴を使ったスケーラブルな分散環境を作り負荷の異なる問題を効率良くために動的負荷分散を行う. 結果, 簡潔な記述による分散処理環境の構築と効率の良いネットワークダイナミクスシミュレーションを提案し, そのシステムを使った結果, AS ネットワークでのサイバーテロに相当する攻撃に対しての危険を示唆する.Dependence and granularity is important for task divide of distributed processing of large and complex network analysis. It almost is the issue of parameter, so it can be split to low interdependence and the small granularity. We make distributed computing suitable for such a lot of careful tasks. It promotes efficiency of network dynamics simulation. We examined about dange of the cyberterrorism by the experiment that became possible by the system. Result, We warn that, AS network are in a dangerous state for cyberterrorism.
著者
長谷川 康弘 桝澤 美紀 桝澤 良和 小野寺 由香 古川 宇一
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183-194, 1999-02-10
被引用文献数
2

本報告は,旭川市にある障害者地域共同作業所において,通所者の作業の一環として取り入れている乗馬活動を通して障害者は何を得たかを述べたものである。障害者の乗馬は,馬,障害を持つ乗り手,そして両者を理解する介助者の三者が揃って活動されるものである。特に障害児者を乗せる馬からは生きものと運動していることを馬の表情や動きから感じ取ることができ,馬にまたがる障害児者からは表情が生き生きとした笑顔に変わったり鼻歌が出たりといった心理的な変化を観察できた。また動物が苦手な障害児者が馬には触れることができたり,馬がきっかけで他の動物に興味を持ったりしている。そして馬の存在が障害のあるなしにかかわらずあらゆる人の交流のきっかけも作っている。
著者
小野寺 民也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.1020-1026, 1994-11-15
被引用文献数
2
著者
澤邉 知子 鈴木 純司 小野 定康
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.1207-1214, 1994-10-20
被引用文献数
2

パイプライン演算器を中心とする従来のDSPは, 画像符号化への応用に対し, 積和演算が主体の変換符号化等の処理効率は高いが, シリアルなビット列に対する論理演算が主体のハフマン符号化等の処理効率は低いという問題があった.本論文では, こうした特性を有するエントロピー符号化の高速処理が可能で, しかも実現アルゴリズムをプログラムで記述することにより, 機能の柔軟性をも兼ね備えた新しいシステム構成法を提案している.最初にJPEG符号化を例に, 符号化処理に含まれるビット列処理の比率を明らかにし, ビット列処理と演算器との不整合性を指摘する.そして, 高位記述論理合成LSI-CADシステムとFPGA(Field Programmable Gate Array)による新しいアプローチを提案し, 実際にハフマン符号化部の設計を行った結果について述べ, DSP/汎用マイクロプロセッサとの処理速度の比較結果から, 高速性と機能の柔軟性の2つの目標が達成可能であることを実証している.
著者
小野内 雅文 斉藤 康祐 藤島 実 鳳 紘一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.102, no.611, pp.67-72, 2003-01-22
被引用文献数
1

問題の規模に応じて指数関数的に処理時間を要した整数問題(NP問題)を、量子力学の重ねあわせを利用した量子コンピュータは高速に解けるため、近年注目を集めている。しかし、量子現象を直接用いる量子コンピュータでは、ハードウェアを用いる周囲の環境の影響を受け、実用的な規模のアーキテクチャを構築することが困難である。そこで、量子コンピュータと同等の演算能力を持ち、実用的なアルゴリズムを実行可能なアーキテクチャを実現すべく、FPGA内部で大規模な並列演算を行う量子計算エミュレータを試作した。その結果、NP問題である充足可能性問題(SAT問題)を解くために必要な時間は、従来のコンピュータと比較し数百分の1となった。これにより、集積回路の並列性を利用し、量子コンピュータの計算能力に匹敵するプロセッサの可能性を示すことができた。
著者
小野 裕二
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.215-228, 2004-08

清水猛教授退任記念号本稿は,小売構造の一側面としての店舗密度に焦点を当て,店舗密度がある特定の地域間でなぜ相違するのかといった,店舗密度の地域間変動の問題を検討することを目的として,その関連研究をレビューした上で,取り上げられた規定要因や実証分析の諸側面に関して整理を行い,問題点を識別し,今後の研究課題を提示していく。
著者
佐藤 亮 小野 晋太郎 永塚 遼 川崎 洋 池内 克史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.88, pp.1-6, 2009-06-11
被引用文献数
1

実写画像ベースのImage-Based Rendering(IBR)を用いて,広域な都市空間を再現するシステムについて提案する.これを実現するために,入力として大量の全方位画像データを固有空間法を用いて効率よく圧縮する手法と,より良いレンダリング結果を得るための障害物除去手法を併せて提案する.障害物の除去は,圧縮の際に障害物のあった箇所をサンプリングに含めないことにより圧縮率の向上にも寄与する.また,GPUを用いた実時間での自由視点レンダリング手法を実装し,その効果を描画時間の評価により確認した.さらに,これらの手法をドライビングシミュレータシステム上に実装した.