著者
山本 英輝 黒瀬 武史
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.680-687, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
41

明治維新後、各都道府県の行政機関の中枢機能として都道府県庁(以下県庁)が置かれたが、その後施設の狭隘化や老朽化といった課題への対応に迫られ、いくつかの県では県庁舎の移転を行った。本研究では、県庁移転の概要と経緯を整理し、移転先の立地として中心市街地内、中心市街地近郊と郊外があることを明らかにした。そのうえで、移転した県庁舎周辺地区の特性を明らかにした。県庁舎周辺地区には、県庁や県議会に直接関係のある事業所に加え、県全域にサービスを行う産業が集積しやすいことがわかった。また、県庁に関連する産業の集積が共通してみられた典型的な県庁周辺地区では、県庁建設用地取得時から周囲に関連する事業所が立地できる街区が存在し、地区計画等で拠点の形成を促す施策がとられていた。
著者
水野 佑基 金子 伸幸 中元 秀明 小川 義明 山本 晋一郎 阿草 清滋
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.35(2006-SE-151), pp.121-128, 2006-03-24

本稿では,GUI抽象化規則を用いて実装言語とGUIツールキットに対して柔軟に抽象GUI記述を生成するする手法を提案する.ウィジットと直接操作を表現するGUIプログラミングモデルと,共通GUIツールキットを定義する.抽象GUI記述はGUIプログラミングモデルに従い,共通GUIツールキットを用いて記述される.実装言語やGUIツールキットごとに異なるGUIコードと抽象GUI記述の対応付けをGUI 抽象化規則として定義する.GUI抽象化規則に基づきGUIコードから抽象GUI記述を生成するシステムを提案し,異なる実装言語とGUIツールキットで実装された同一のGUIアプリケーションを同じ抽象GUI記述へと変換できることを確認した.
著者
川口 俊太朗 山本 澄子
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.86-94, 2021-01-18 (Released:2021-03-15)
参考文献数
29
被引用文献数
1

背景:脳卒中患者に対し膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節のコントロールが可能な長下肢装具を装着させ,各装具の違いが歩行へ与える影響を検証することを目的とした.方法:対象は,回復期リハビリテーション病棟入院中で歩行が見守り以上で可能な脳卒中患者7名である.方法は,膝関節伸展固定の長下肢装具と膝関節屈曲が可能な長下肢装具で10 m歩行を行い,IMU慣性センサー・EMGを用い歩行計測を行った.結果:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具において,歩行速度,ストライド長,歩行率が有意に増加を示し,関節角度は歩行中の麻痺側股関節伸展,外転,外旋角度の最大値が有意に小さい結果となった.筋活動は上記の条件下で荷重応答期の大腿直筋が有意に増加,遊脚期の脊柱起立筋は筋活動が有意に減少した.考察:膝関節のコントロールが可能な長下肢装具は,歩行時間距離因子を改善し,遊脚期における麻痺側の分回し動作を軽減させることを示唆した.
著者
小久保 秀之 谷口 順子 平澤 雅彦 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.247-254, 1998-09-01 (Released:2018-12-29)
参考文献数
2
被引用文献数
1

本研究室における手の温度測定経験から、安静時に、手掌部中央の温度が高いヒトと、母指球・小指球の温度の高いヒトがいることがわかっていた。そこで、安静時のヒトの手の温度分布の基礎データを得ることを目的に、一般人81名の右手の温度分布2次元パターンを調べ、その平均温度を比較した。2次元パターンの特徴から、測定データを、手掌部中央が高温のタイプ、母指球・小指球が高温のタイプ、およびその中間的タイプと混合的タイプの4群に分けた結果、タイプによって平均温度に違いが見られた。また、性別・年齢による平均温度の違いは見られなかった。
著者
山本 加代子 池部 晃司 白井 和美 笹谷 真奈美 水野 誠士 川尻 なぎさ
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第56回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.83, 2007 (Released:2007-12-01)

今回、外科領域の術中検査として検査した際に全てのパネルセルと反応する不規則性抗体が検出され、精査の結果、高頻度抗原に対する抗Ku抗体を保有した症例を経験したので報告する。高頻度抗原に対する抗体を保有する場合、ほとんどすべてのパネルセルと反応し陽性となるため、一般病院での同定や抗原陰性血の確保は困難である。このような場合、血液センターとの情報交換や連携が重要となり、主治医との迅速かつ的確な連絡を改めて示唆された1症例である。 <症例>患者 : 66歳 女性 妊娠歴あり 2子出産経験あり 現病歴:2006年12月 胃部不快感出現 2007年1月 食欲低下、体重減少のため他院受診 2007年2月1日 胃癌精査のため当院外科紹介受診 2月13日 膵臓、胃十二指腸摘出手術のため、輸血に備え、 タイプ&スクリーニング実施 既往歴:特になし <結果>ABO式血液型 O型 Rh式血液型 (+) 不規則性抗体(カラム凝集法)Pegクームス法、フィシン法 (2+)~(3+)陽性 抗体同定用パネルセルにて、Pegクームス法 自己対照以外すべて(3+)~(4+)陽性 レクチンH(3+)の反応 在庫MAP3本とのクロスマッチ Pegクームス法(4+) 上記の結果より、高頻度抗原に対する抗体の保有を疑い、広島県赤十字血液センターに精査を依頼した。その結果、ABO式、Rh式以外その他の血液型検査をさらに実施したところ、Kell式血液型がK-k-、Kp(a-b-),Js(a-b-)であり、抗Ku血清と患者血球との反応が陰性であることから、稀な血液型K0が疑われた。また、O型K0血球と患者血清との反応を確認したところ、生食法、ブロメリン法、Pegクームス法すべてにおいて陰性であったため、血清中には抗Ku抗体の存在があると考えられた。 <まとめ> 全てのパネルセルと反応することから高頻度抗原に対する抗体を疑い、血液センターに連絡し、精査と適合血の確保を依頼した。抗Ku抗体の存在が確認され、適合血が広島に解凍赤血球4単位あるとの連絡があった。主治医には高頻度抗原に対する抗体を保有しているため、適合血の確保が容易ではないことや、解凍赤血球の使用について説明した。高頻度抗原に対する抗体の同定は、一般病院では困難なため、血液センターとの情報交換や速やかな血液製剤供給体制のための連携が重要となると思われた。また今回の場合、術中および時間外に対応した症例であり、タイプ&スクリーニングの事前検査の重要性を再認識し、同定不能な時の適切な対応ができるマニュアルを備えておくことが重要と思われた。
著者
土居 正人 山本 南利 川内 三奈美
出版者
学校法人 加計学園 国際教育研究所
雑誌
国際教育研究所紀要 (ISSN:13437119)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.23-31, 2023-03-10 (Released:2023-10-13)
参考文献数
15

自傷者の実体はそこにあるが、心が入っていないように見える時がある。本研究の目的は自傷傾向者の実存感の有無について調べることである。また、自傷傾向者の実存感の無さは、母親からの不承認や感受性の高さを示すHighly Sensitive Person (HSP)と関連するかについても検討を行う。方法として、本調査は大学生129名(有効回答者127名、有効回答率98.4%)を対象に実施した。結果として、母親からの不承認は自傷傾向者の実存感を低めることが示された。また、母親からの不承認は子供の実存感を低めて推論の誤りを高め、一方でHSPは子供の推論の誤りを直接的に高めており、両者が相乗的に関係し合って自傷傾向を高めていることが確認された。自傷傾向者は実存感が低いことから他者との交流をすることが困難であり、それゆえに自傷傾向者には心が無いように見えるのだと結論づけた。自傷の改善には他者との交流を高めるようなアプローチが必要であると考えられた。
著者
村上 健太 山本 章夫
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.606-607, 2023 (Released:2023-10-10)
参考文献数
4

新型燃料の場合,海外で実績があるとしても,メーカ毎の設計の違いが解析結果に与える影響を評価することが必要である。商業機密に留意しながらも,代表的な製品に対する試験結果を外挿するような判断の仕組みを整えることが好ましい。統計的安全評価コードは,個々の要因がパフォーマンスに与える影響を詳細に分析するためのプラットフォームの役割を果たす。その普及には,95/95値に代表される評価基準を関係者の共通理解とする必要がある。核燃料の場合,過渡・事故時の挙動の評価が特に重要である。材料試験炉という基盤インフラが危機的な状況にあるなか,安全機能と物理現象の関係を丁寧に整理し,個々の試験の意義を明確に定義する姿勢が求められる。
著者
刀根 隆広 笠原 政志 山本 利春
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.83-93, 2022-10-31 (Released:2022-11-19)
参考文献数
30

高校野球現場の熱中症予防に関する全体的な実態を明らかにし,今後の熱中症予防を推進していく上での課題を検討することを目的とした.質問内容は,熱中症予防に関する知識・態度・実践(KAP),実践する際の促進要因と阻害要因についてであった.その結果,選手・指導者ともに態度は良好であったものの,知識と実践については十分ではなかったため,教育の強化をしていく必要がある.また,選手と指導者間でKAPのスコアにはギャップがあり,熱中症予防の実践にあたっては,他者の存在に影響を受ける可能性が高いことから,選手と指導者がコミュニケーションを取って共通認識を高めることが,熱中症予防を強化する一助になると考えられる.
著者
古川 真二郎 山本 美紗 戸島 慎二 寺田 佳子 原 和之
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.91-95, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
15

【目的】神経線維が障害された場合の動眼神経麻痺では通常眼筋麻痺は障害側と同側に生じる。今回我々は左中脳梗塞により右眼上直筋麻痺を呈し、動眼神経上直筋亜核単独障害が疑われた一例を経験したので報告する。【症例】72歳、男性。仕事中に上下複視を自覚し近医受診。精査加療目的で当院神経内科を紹介受診した。頭部MRIでは左中脳内側に高信号域を認めた。発症より4日後、眼球運動精査目的で当科初診。初診時所見、両眼とも矯正視力(1.2)。遠見眼位はAPCTで右眼固視:20⊿外斜視9⊿左上斜視、左眼固視:20⊿外斜視8⊿右下斜視であった。9方向むき眼位検査及びHess赤緑眼に上転制限を認めた。複像間距離は右上方視時で最大となった。左眼の眼球運動には異常を認めなかった。瞳孔は正円同大で対光反射も迅速であった。上直筋の支配神経は中脳で交叉している事より、動眼神経上直筋亜核の障害に伴う対側上直筋麻痺であると考えた。1か月後、上下偏位は消失した。眼球運動は正常範囲内であり、全てのむき眼位で複視は消失した。【結論】対側上直筋単独麻痺を呈した動眼神経亜核障害の一例を経験した。過去に報告の少ない非常に稀な症例であったと考えられた。
著者
村田 英明 村上 恒二 宗重 博 浜田 宣和 天野 幹三 山本 健之 生田 義和
出版者
Japanese Society for Joint Diseases
雑誌
日本リウマチ・関節外科学会雑誌 (ISSN:02873214)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.273-282, 1993-12-20 (Released:2010-10-07)
参考文献数
13

To study the effectiveness of bone peg graft from the ulna for osteochondritis dissecans of the elbow joint, we analyzed 16 patients with bone peg graft who had various types of preoperative and postoperative findings. All the cases were baseball players except for one volleyball player. The onset ages ranged from 10 to 16 years (mean 11.2), and the periods from then to the operation from 5 to 72 months (mean 2.6 years) . The follow-up periods were from 12 to 29 months (mean 20 months) . Based on Minami's X-P classification, 8 cases were categorized into the stage of fragmentation and 8 into the stage of isolation. Patients were also classified with respect to the osteochondral lesion found during operation; 9 were without abrasion of the lesion or, if with it, without invasion of fibrocartilage into the lesion and were classified into Type 1. The 7 in which the osteochondral lesion was unstable due to the invasion of fibrocartilage were classified as Type 2. The results with regard to postoperative X-P were classified as excellent when the osteochondral lesion was repaired anatomically, as ‘good’ when the lesion was under repair and the osteosclerotic halo of the capitulum had disappeared, and as ‘poor’ when the halo remained. As a result, 7 Type 1 cases (78%) were excellent and 2 cases (22%) good, while one Type 2 case (14%) was excellent, 4 (57%) were good and 2 (29%) were poor. All patients were clinically not symptomatic and were satisfied with the surgery. We emphasized that bone peg graft could be indicated in all cases of osteochondral dissecans of the elbow joint and that there were difficulties in repairing osteochondral lesion in Type 2 (unstable) cases.
著者
一宮 一夫 佐川 康貴 山本 武志 藤山 知加子 千々和 伸浩
出版者
大分工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2022-04-01

石灰石を主原料とするセメントは,製造時のCO2の大量排出,天然資源の消費抑制の点で課題がある。一方,セメントと同等以上の性能を有し,国内外で研究開発が進行中のアルカリ活性材料(AAMs)は,石炭火力発電が縮小・廃止されると,主要材料のフライアッシュ(石炭灰)の確保が困難になる。本研究では,火山堆積物や木質バイオマス灰などの各種未利用資源をAAMsへ適用するための,材料調整方法や施工法を開発する。
著者
山本 一貴
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.943, 2023 (Released:2023-10-01)
参考文献数
4

タンパク質分解誘導剤は,標的タンパク質に結合してその機能を低下させる従来の阻害剤とは異なり,標的タンパク質を化学的にノックダウンすることから,新たな創薬モダリティとして注目されている.Proteolysis targeting chimera(PROTAC)は,分子内にE3リガーゼおよび標的分子への結合部位を有し,強制的に標的タンパク質をユビキチン化することで分解を誘導する.PROTACは,触媒的に働くことも利点の1つであり,低用量化による毒性低減も期待できる.しかし,PROTACの開発においては,標的バインダーの修飾位置やリンカーの長さ・形状の最適化には指針がなく,標的によってオーダーメイドする必要があり,効率化が求められている.今回,ChenらのDNA encoded library(DEL)を用いたPROTAC最適化のアプローチについて紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Sakamoto K. M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 98, 8554-8559(2001).2) Brenner S., Lerner R. A., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 89, 5381-5383(1992).3) Chen Q. et al., ACS Chem. Biol., 18, 25-33 (2023).4) Winter G. E. et al., Science, 348, 1376-1381(2015).
著者
原田 直之 山本 佳乃子 小暮 敏明
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.241-245, 2020 (Released:2021-09-28)
参考文献数
12

腰痛とそれに伴う下肢痛,しびれ感はしばしば難治性で日常生活動作の低下につながるため漢方治療の良い適応となっている。今回我々は,精神神経症状の有無にかかわらず柴胡加竜骨牡蠣湯が奏功した症例を複数経験したので報告する。症例は腰痛を主訴とし,下肢の痺れあるいは疼痛を伴う5例である。そのうち4例には精神神経症状はみられなかった。柴胡加竜骨牡蠣湯の投与によっていずれも2ないし4週間で疼痛の軽減と歩行距離の改善がみられ,鎮痛薬が不要となった。一般に,柴胡加竜骨牡蠣湯は精神神経症状を伴うものが適応とされるが,自覚的な症状がなくとも著効する場合があり,慢性疼痛による潜在性うつ状態を精神神経症状ととらえることで,腰痛緩和の鑑別処方になり得ると考える。
著者
石川 和良 倉渕 隆 山本 学 嵐口 晃宏 遠藤 智行 平野 剛
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成16年 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.465-468, 2004-08-20 (Released:2017-08-31)

Because of amendment of the Construction Standard Law, almost all houses must equip with a full time mechanical ventilation system. However, people could feel cold draft in sanitary area when the ventilation system provides sufficient volume of air. So, an investigation using thermal manikin was carried out to find out proper exhaust flow rate from thermal sensational point of view. It was found that flow rate less than 20 CMH and 50 CMH would be appropriate for bathroom and toilet, respectively to avoid uncomfortable sensation in cold season based on the evaluated EHT and PMV.
著者
酒井 章次 洪 淳一 山本 修美 橋本 光正 細田 洋一郎 椎名 栄一 川村 貞夫
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.975-979, 1990-05-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
17

後天性食道気管支瘻は食道癌に伴って起こることはよく知られているが,憩室に伴う食道気管支瘻は比較的まれである.本症例は66歳,女性で,55歳時に嚥下困難があったが肺化膿症および食道アカラシアの診断で放置していた.66歳になり嚥下困難,発熱,体重減少,背部痛があり当院に入院した.食道鏡により上部食道に発生した食道憩室を認めた.食道憩室造影から食道憩室と右肺上葉との連絡がみられた.この食道憩室造影所見から上部食道憩室の胸腔内破裂により生じた後天性食道気管支瘻と考えられた.
著者
山本 和英 安達 康昭
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.51-78, 2005-01-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
4 1

換言・削除規則を用いた国会会議録の要約手法とその評価について報告する.国会会議録には, 丁寧表現の頻出や独特な言い回し等の特徴がある.また, 会議における発言の書き起こしであるため, 話し言葉の特徴も見られる.本論文では, この様な特徴的な表現に着目し, 換言・削除することで要約を試みた.まず, 単語n-gramの統計結果から得られた頻出する敬語表現を普通体の表現に言い換えた.次に, 手がかり語を用いて頻出する冗長な表現や挿入句を推定し削除することによって要約した.これらの処理を約20年分の会議録に対して行なった結果, 自由発話が含まれる会議録では80%程度の要約率が得られた.また, CSJコーパスに対して本システムを適用した結果, 平均要約率が約84%であった.したがって, 本システムが国会会議録以外の話し言葉データに対しても有効に働くことを確認した.
著者
山本 啓之
出版者
資源地質学会
雑誌
資源地質 (ISSN:09182454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.79-95, 2019-12-16 (Released:2022-08-27)
参考文献数
108
被引用文献数
3

Deep-sea environments are faced with cumulative effects of many human activities, e.g. accumulation of plastics, overwhelming fishing and resource exploitation, heavy maritime transportation, and effects from climate change. Recently, growing interest in deep-sea mining enhances the activities of engineering development on seabed mining and environmental monitoring, and exploration of mining sites within States Exclusive Economic Zones (EEZ) or in areas beyond the limits of national jurisdiction. Since 2010, attention paid to potential environmental impacts caused by deep-sea mining has been increased, and many workshops and research conferences have been held. In the Western Pacific Ocean, the Nautilus Minerals Ltd. has announced that the sea mound located in Papua New Guinea will be a first site likely to be commercially exploited polymetallic sulfide deposit. The Japan Oil, Gas and Metals National Corporation (JOGMEC) conducts a feasibility project for seabed mining in the Okinawa Trough. In 2015, the leaders’ declaration from the G7 summit in Germany identified the conducting of Environmental Impact Assessment (EIA) and scientific research as a priority issue for sustainable development of deep-sea mining. The EIA protocol developed for deep-sea mining is recognized that it will be a practical component for ensuring effective management and protection of ocean ecosystems. The development of EIA protocols is started in Japan as a national project. This paper describes the current situation of technologies concerning deep-sea environmental assessment and monitoring on seabed mining, and technical background of multidisciplinary approaches for deep-sea environmental survey.
著者
山本 啓太
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.81-109, 2016-11-25 (Released:2019-04-09)
参考文献数
3

平成26年の保険業法改正によって意向把握義務及び乗合代理店等に対する推奨販売ルールが導入された。これは来店型保険ショップ等の増加といった保険募集チャネルの多様化や大型化など,保険募集を巡る環境の変化に対応できるようにするための見直しとのことである。確かに,適合性原則の具体化を論ずる中で導入された意向確認書面はその本来の機能を果たしておらず,また,来店型の大規模乗合代理店の中には,「公平・中立」を標榜しながら,実際には手数料の高い商品を顧客に勧めるという現状は改善の必要がある。この点,今回導入された意向把握義務及び推奨販売ルールは,いずれも顧客の意向に焦点を当てたものであるが,そこでいう意向,言い換えれば,顧客のニーズがどのようなものをいうのかについて,十分な議論がなされていないように思われる。 保険業法上,「意向」という用語は,意向確認書面において初めて使われたものであるので,まずは意向確認書面導入時に「意向」というものがどのように議論されていたのか,意向確認書面において確認すべき「意向」と意向把握義務において把握すべき「意向」が同一でよいのか,更に,意向把握義務でいう「意向」と推奨販売ルールにおける「顧客の意向に沿った商品選別・推奨」でいうところの「意向」との関係はどのように整理されるべきなのか,について分析することとしたい。 最後に,施行されたばかりではあるものの,意向把握・確認義務及び推奨販売ルールの再整理の方向性についても考えてみることとしたい。