著者
笹嶋 宗彦 石橋 健 山本 岳洋 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1N4GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施しており,今年で4年目となる.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルと統計学の知識を用いてデータを分析する力だけではなく,実社会の課題を定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年はデータ分析力が低いが,ツールを利用して実データを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来1年生向けのPBLを4回実施し,今年度は新しい試みとして,実習対象となる店舗を1店舗に限定して実施した.事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価した.本稿では,2022年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
著者
山本 剛
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.370-374, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
12

近年, 本邦においても静脈血栓塞栓症 (venous thromboembolism : VTE) の治療に直接作用型経口抗凝固薬 (direct oral anticoagulant : DOAC) が選択可能となった. VTEの初期治療方針は早期の予後リスクに基づいて決定する. 肺塞栓症によるショック例には血栓溶解療法を行う. 非ショック例には抗凝固療法を行うが, その方法として, (1) 未分画ヘパリンやフォンダパリヌクスの非経口薬からワルファリンへ橋渡しする従来法, (2) 非経口薬投与後にDOACの1つであるエドキサバンへ切り替える方法, (3) DOACのリバーロキサバンあるいはアピキサバンを初期強化用量にて開始し, その後維持量にて投与する単剤治療法がある. DOACを用いた抗凝固療法は, 従来治療の欠点を補い, 投与レジメンの標準化, 初期からの外来治療が可能になるなど, VTE管理の適正化をもたらした.
著者
鶴田 良介 山本 隆裕 藤田 基
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.389-397, 2017-07-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
49
被引用文献数
2 2

睡眠は睡眠ポリグラフィによりレム睡眠とノンレム睡眠に分類される。睡眠-覚醒リズムは概日リズム機構とホメオスタシス機構の2本立てでコントロールされている。その調節にあたっては,視床下部前部に睡眠の,後部に覚醒の中枢があり,GABA(γ-aminobutyric acid),ヒスタミン,オレキシン,アセチルコリン,ノルアドレナリン,セロトニンなどの神経伝達物質とアデノシンが関与している。免疫-内分泌系も睡眠調節に関わっており,炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインはそれぞれノンレム睡眠を促進,抑制する。重症患者の睡眠の特徴は,睡眠潜時の延長,睡眠効率の低下,徐波睡眠とレム睡眠の減少,睡眠の断片化などである。環境要因も含めたICUでの治療・ケア,基礎疾患,重篤な病態が睡眠障害を引き起こす。このような睡眠障害はICU環境とケアの改善により患者の睡眠に関する満足度が上がり,せん妄の発症率が低下することが報告されている。
著者
山本 武 林 周作
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

食物アレルギーの患者数は急増しているが、未だ有効な治療方法がない疾患である。申請者は、病態モデルマウスを用いた検討により、漢方薬の葛根湯が食物アレルギーの発症を抑制することを明らかにしている。近年、腸管粘膜免疫系が食物アレルギーの発症に関与することが明らかになってきた。そこで本研究では、葛根湯による腸管粘膜免疫系に対する効果の検討を行い、葛根湯が腸管に制御性T細胞を誘導し、腸管粘膜免疫系を制御することにより治療効果を示すことを明らかにした。
著者
清水 優菜 山本 光
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.43, no.Suppl., pp.57-60, 2020-02-20 (Released:2020-03-23)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究は,教員養成課程の大学生を対象に,小学校での教育実習前後における教授・学習観の変容,および教育実習のエンゲージメントが教授・学習観に与える影響を検討した.はじめに,実習前後での教授・学習観の変化について,実習後に構成主義的教授・学習観は高まるが,直接伝達主義的教授・学習観は低くなることが明らかとなった.次に,教育実習のエンゲージメントと教授・学習観の関連について,実習前の教授・学習観が実習後の教授・学習観に,実習エンゲージメントが実習後の構成主義的教授・学習観に正の影響を与えることが示された.また,実習前の構成主義的教授・学習観は,実習エンゲージメントに正の影響を与えることが示された.
著者
山本 喜久 宇都宮 聖子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.96-107, 2012-02-05 (Released:2019-10-19)
参考文献数
56

量子井戸にトラップされた励起子とプレーナマイクロ共振器に閉じ込められた光子が強結合を起こして生成される励起子ポラリトンは,その質量がアルカリ原子に比べて約10桁,励起子に比べて約4桁も軽いため,極めて高温・低密度で量子凝縮相を実現できる.一方,励起子ポラリトンは,数ピコ秒から数十ピコ秒という短い寿命を持つため,超流動液体ヘリウムやアルカリ原子ボーズアインシュタイン凝縮体(BEC)が熱平衡下の量子凝縮相を示すのに対し,非平衡開放系での量子凝縮を発現する.本稿では,急速に発展しているこの新しい量子凝縮相の研究をレビューする.特に,同じ非平衡系でありながら巨視的コヒーレンスを実現しているレーザー相転移との違い,2次元系に特有なBerezinskii-Kosterlitz-Thouless(BKT)相転移の実験的証拠,音波的な励起スペクトラム,高次軌道関数での量子凝縮,などに焦点を当てて解説する.
著者
和田 直樹 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.21-28, 2021

<p>〔目的〕座位から歩行までの動作において胸郭・骨盤角度の特徴を運動学的に分析し,若年者と高齢者の違いを明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕若年者14名と高齢者12名を対象に,3軸傾斜計・荷重スイッチシステム・ビデオカメラレコーダーにて座位からの歩行動作を計測した.〔結果〕高齢者は若年者と比較して一歩目離地時(foot off: FO)に胸郭・骨盤前傾角度が小さく,離殿からFOまでの時間が長かった.高齢者のFO時胸郭前傾角度・FOまでの骨盤前傾角度変化量とFunctional Reach Testに正の相関があった.〔結語〕両群ともに胸郭・骨盤前傾位で離殿するが,高齢者は前傾位を保持できずFOに至る.起立から歩行に短時間で移行するには胸郭の前傾に加え,骨盤の前傾が必要であることが新たにわかり,バランス機能の低下により若年者と異なる動作戦略に至ったと考えられる.</p>
著者
高橋 澄夫 井野口 卓 華 常祥 堤 善多 森脇 優司 山本 徹也
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.211-215, 2006 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15

It is well known that patients with gout frequently have acidic urine, a major risk factor for urolithiasis. However, the underlying mechanism of acidic urine in patients with gout remains unclear. Recently, uric acid nephrolithiasis has been reported to be a factor contributing to of renal manifestation of metabolic syndrome. Therefore, to clarify the mechanism of acidic urine in patients with gout, we investigated the relationships between urinary pH and other components of metabolic syndrome. Patients with a 24-hour urinary pH below 5.5 showed higher or greater levels of blood pressure, serum triglyceride, blood sugar, plasma insulin, and visceral fat area, compared with those with a 24-hour urinary pH above 5.5. In addition, there were negative relationships between 24-hour urinary pH and serum triglyceride, visceral fat area, and HOMA index. PPAR a agonist, bezafibrate, significantly raised the 24-hour urinary pH in gout patients in accordance with a reduction in serum triglyceride concentration and HOMA-R, probably through improvement of insulin resistance. These findings suggest that insulin resistance plays at least a partial role in the development of acidic urine in patients with gout.
著者
山本 裕二 星 博幸 佐藤 雅彦 中田 亮一
出版者
高知大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

100万年を超える長期間をカバーできる準連続時系列の古地磁気強度絶対値(API)データ源は、世界でもアイスランドの溶岩層序群をおいて他はない。本研究では、異なる地磁気逆転頻度を示す2つの期間を中心としたAPI準連続変動の解明を目指す。さらに海底堆積物から明らかにされつつある同期間の古地磁気強度相対値の時系列データと統合することで、試料依存性のない古地磁気強度連続変動記録を確立する。
著者
狩山 和亮 吉仲 亮 山本 章博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回 (2013) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1F51, 2013 (Released:2018-07-30)

本論文では,大学入試センター試験の数学問題文を対象とした検索手法を提案する.文中で特定の役割を持つ記述を生成するパターンの発見によって,問題文を大問文と小問文からなる構造へ構造化する.さらに,Earth Mover's Distanceを用いて数式集合間の類似度を定義し,数式を含む小問文間の類似度を定義する.これらを用いた検索手法の有効性についてNTCIRで配布されるデータを用いて評価を行った.
著者
山本 英弘 竹中 佳彦 海後 宗男 明石 純一 関 能徳 濱本 真輔 久保 慶明 柳 至 大倉 沙江
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年、経済的・社会的不平等の拡大への政治的対応が求められている。しかし、政治への参加や政策による応答に格差があるとしたら、かえって不平等を助長するおそれがある。そこで本研究では、政治参加と政策応答という2つの点から政治的不平等の実態を捉え、さらに経済的・社会的不平等と関連付けながら政治的不平等の生成メカニズムを解明する。具体的には、1)大規模質問紙調査に基づく個人と団体の政治参加における不平等の把握、2)個人や団体の政策選好と実際の政策との照合による政策応答における不平等の把握、3)事例研究に基づく具体的な政策争点における参加と応答をつなぐプロセスの把握、という3つの調査研究に取り組む。
著者
濱口 冴香 山本 貴和子 佐藤 未織 大海 なつき 隈元 麻里子 小川 えりか 野村 伊知郎 山本 康仁
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.132-137, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
13

急性食物蛋白誘発胃腸炎(acute FPIES)の経口食物負荷試験(OFC)における,OFC施行時期,過去の症状の重症度や負荷量と,OFCでの誘発症状の重症度の関係については明らかでない.今回,生後1か月まで混合栄養で症状がなかったが,生後3か月時の普通ミルク再導入により軽症のacute FPIESを疑う症状を呈し,確定診断のために国際コンセンサスガイドラインに準拠した通常負荷量でOFCを施行したところ,意識障害やアシドーシスを伴う重症な症状を呈したacute FPIESの乳児例を経験したため報告する.乳児期,また最終エピソードからOFCまでの期間が短い場合は,ガイドラインに準拠した負荷量でも重症の誘発症状を生じる可能性があり,負荷量設定,緊急時対応の事前準備が,安全なOFC実施に重要である.Acute FPIESに対するOFCの方法はまだ標準化されておらず,今後のエビデンスの蓄積が必要である.
著者
西川 直人 稲川 祥史 吉田 昌弘 山本 敬三
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.93-101, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
18

本研究の目的は,着地時の足部接地の違いが衝撃吸収作用に及ぼす影響を検討することである.対象は10名(後足部接地1名,前足部接地9名)とし,30 cm台からのドロップジャンプ動作を実施した.三次元動作解析装置を用いて足,膝及び股関節のパワー,床反力鉛直成分を計測し後足部接地と前足部接地で比較した.その結果,前足部接地と比べ後足部接地では,膝における負の仕事量(衝撃吸収量)が大きく,関節パワーのピークが早期に発現した.
著者
備前 宏紀 木村 大介 村松 歩 山本 祐輔 原地 絢斗 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.270-278, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
32

単一脳領域と脳内ネットワークの2つの視点から,運動学習過程における脳機能変化と運動学習の遅速の違いによる脳機能変化の差異を解明し,運動学習を作業療法に応用するための基礎資料を得ることを目的に,賦活量と媒介中心性を運動学習前後で比較検討した.その結果,運動学習後に右背外側前頭前野,左前頭眼窩,左右前頭極の賦活量は減少し,左背外側前頭前野の媒介中心性は上昇した.また,運動学習の遅速による脳機能変化の差異では,右背外側前頭前野の媒介中心性の変化に違いを認めた.これらの領域をモニタリングすることは,作業療法の実践歴に加え脳機能の観点からも,対象者に合わせた作業療法介入を検討する上での基礎資料になりうる.
著者
山本七平著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
1983