著者
土居 寿之 近藤 しおり 八島 千恵 鈴木 将史 吉田 沙希子 山本 晋 福岡 富和 岡田 貴典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.283-289, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
6

50歳代の女性,抗GAD(glutamic acid decarboxylase)抗体陽性インスリン依存状態の1型糖尿病に対し,持続皮下インスリン注入療法を行っていた.糖尿病発症前からの肥満が問題であり,1年前よりSGLT2(sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬の内服を開始した.数日前より感冒症状があり,食事は摂取できなかったが,少しずつ経口摂取していたためSGLT2阻害薬内服は継続していた.嘔気と倦怠感が増悪し受診,血糖269 mg/dlであったが,ケトアシドーシスを認め入院,ブドウ糖とインスリンを同時に持続静注開始.速やかに症状が改善し翌日退院した.SGLT2阻害薬内服中,インスリン依存状態では,経口摂取量減少時に正常血糖ケトアシドーシス(euglycemic diabetic ketoacidosis:euDKA)を起こす可能性があることを念頭に置く必要がある.
著者
白井 千香 内田 勝彦 清古 愛弓 藤田 利枝 上谷 かおり 木村 雅芳 武智 浩之 豊田 誠 中里 栄介 永井 仁美 矢野 亮佑 山本 長史
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.292-304, 2022-10-31 (Released:2022-11-18)
参考文献数
7

保健所は2022年 4 月時点で全国に468か所設置されており,「地域保健法(1994年)」に基づき,健康危機管理の拠点となる役割をもち,災害時や感染症対応には主体的に関わることになっている.新型コロナウイス感染症対応が始まってから,自治体はこの 2 年半,第 1 波から第 7 波の現在に至るまで,流行状況およびウイルス変異及び重症度等に応じて,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づき様々な感染症対応に模索を繰り返してきた.基本的には全国的に共通する感染症対応業務(相談,検査,発生届受理,入院調整,患者の移送,健康観察,積極的疫学調査,入院勧告や就業制限通知等)を行うが,都道府県単位で,感染症の発生状況や医療資源の違いもあり,具体的な業務内容や方法は全国一律ではなく,現実的には地域の実情により,それぞれの自治体で工夫されてきた.流行状況を振り返ると,第 1 波,第 2 波,第 3 波は全国的に行動制限を要請され,PCR検査の需要と医療体制の供給がミスマッチであった.新型コロナウイルスは変異以前の特徴として呼吸器機能を低下させる病原性を持ち,有効な薬剤やワクチンがまだ普及せず,診療可能な医療機関も不足していた.第 4 はα株で高齢者の施設内感染で医療提供が困難となり,第 5 波は東京オリンピックの後でδ株の変異ウイルスが主となり,首都圏での流行が目立った.第 6 波および第 7 波はο株が中心で感染性が高く,病原性は低いが感染者数の急増かつ膨大なため,保健所の能力を大きく上回る対応が求められた.全国的にどこの自治体でも保健所の負担軽減策について外部委託も含めて対応するようになった. 2 年半の間に厚生労働省からの通知も多く,全国保健所長会は要望や提言などの意見活動も行った.日本は自然災害の多い国であるが故に,健康危機管理として災害や感染症においては,保健所が平時から備えとしての仕組みづくりや危機発生時の対応,被害からの回復という過程において,主体となることが期待されている.新型コロナウイルス感染症対策で得た教訓を生かしパンデミックとなりうる感染症対策を地域単位で行っていくため,住民の命と健康を維持する「保健所」を,医療機関や福祉施設等と有機的に連携し,持続可能な社会の枠組みとして活かしていくことを提言する.
著者
山本 莉央 岩嵜 博論
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.33-41, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
10

本研究では量り売り型食品小売業における顧客の文脈価値を明らかにし,量り売り型小売店の価値共創プロセスをサービス・ドミナント・ロジックの視点を援用し探索的に調査した。対象店舗でのフィールド調査と顧客インタビューを通じて,「来店の準備をする」「量る」といったこれまでのセルフサービス業態では見られない特徴的な行動による価値創出の機会が明らかになった。さらに,M-GTAを用いて顧客の文脈価値の把握を行なった結果,店舗において店員と顧客の交流がなくとも量り売りに関する背景知識や文脈などの情報を顧客が認識しており,店舗側が用意する量り売りシステムに能動的に顧客が参加することで「社会貢献に関する価値」「自己影響力に関する価値」「理想的な暮らしに関する価値」という文脈価値が創出できることが分かった。以上の分析をもとに量り売り型小売店での価値共創プロセスの把握を行い,食品小売業においてこれまで価値共創の優位性が低いとされてきたセルフサービス業態における価値共創の可能性を明示するとともに,小売業の新しいあり方を示唆することを目指した。
著者
山本 洋一
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.500-504, 1962-11-30 (Released:2012-11-20)
被引用文献数
1 1
著者
川口 麻衣 足立 茜 荒木 敬雄 大桑 由美 大納 英美 岡田 梨亜 金谷 妃佐子 北林 聖子 黒田 普美子 厳本 英 高田 圭美 谷元 直美 橋本 達矢 鶴亀 美幸 樋浦 絵美子 三島 準也 森岡 賢一 吉元 奈央子 斎藤 美智子 山本 和代 別府 清香
出版者
地方独立行政法人 神戸市民病院機構
雑誌
神戸市立病院紀要 (ISSN:0286455X)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.41-50, 2022 (Released:2022-04-25)
参考文献数
1

神戸市立医療センター西市民病院では、2020 年4月から新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れた。コロナ専用病棟や発熱外来の開設、一般病棟の閉鎖、スタッフの異動など、すべての部署で様々な影響があった。その中で主任研修において各部署の主任看護師が、コロナ禍における自部署での経験や学びを発表する場を設けた。今回この学びをまとめることにより、主任看護師は普段から持っている力を非常事態の際にも発揮していたが、状況に合わせてその力を使い分けていることが分かった。

1 0 0 0 笑う招き猫

著者
山本幸久著
出版者
集英社
巻号頁・発行日
2004
著者
山本 公夫
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.137-142, 1990-03-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
山本 経之 釆 輝昭
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.120, no.3, pp.173-180, 2002 (Released:2003-01-28)
参考文献数
35
被引用文献数
5 4

精神疾患の動物モデルは,その根底に存在する神経機構の解明や前臨床における新規化合物の治療効果の予測を行う上において欠くことが出来ない.しかし当然のことながら,動物の脳内で起っている事とヒトの脳内で起っている事が等しいという証拠を見い出せない為に,適切な精神疾患の動物モデルを確立することは極めて困難である.ヒトにおける精神疾患の初期の動物モデルは,ヒトと動物で観察される行動上認められる症状の類似性,即ち“表面妥当性”(face validity)に基づいたものが多かった.その後,行動系の変容と神経系の変容との関連性が,動物での変化とヒトの臨床像との間で認められるか否かという“構成妥当性”(construct validity)に基づいた動物モデルの開発もなされるようになってきた.動物モデルの実際的な有用性は,結局,精神疾患に対する新規化合物の臨床効果を予測する“予測妥当性”(predictive validity)にある.本稿では,主に,精神疾患患者の症状に類似した症状を引き起こすことが期待できる環境ストレスや薬理学的処置による分裂病とうつ病の動物モデルに焦点を当て,これらの妥当性を考慮に入れながら概説する.
著者
松本 雄宇 岩崎 優 細川 恵 鈴木 司 井上 順 重村 泰毅 高野 克己 山本 祐司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00090, (Released:2023-02-17)

腎臓病患者の治療食として使用されている低タンパク米の製造工程で生じるERPの脂質代謝改善効果を検討した. 高脂肪食を与えた肥満モデルマウスにERPを摂取させたところ, 体重および精巣周囲脂肪重量の増加が抑制された. また, ERP摂取により糞中TG量が増加した. さらに, 血中ALT活性と肝臓中脂質量の結果から, ERP摂取は高脂肪食に起因する肝障害を抑制することが示された. 興味深いことに, ERP摂取によりインスリン抵抗性に関連するCerS6の発現量低下も観察された. ERPは主にペプチドと遊離アミノ酸から構成されていること, また一部の血中遊離アミノ酸濃度と精巣周囲脂肪重量との間に負の相関関係が認められたことから, 本研究で観察された効果はペプチドと遊離アミノ酸のどちらかないし両方を介していると考えられる. これらの結果から, ERPは抗肥満食品として有用な素材であることが示唆された.
著者
山本 皐
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.206-213, 1966-09-15 (Released:2018-11-30)
著者
池田 裕子 岡本 真理子 山本 健 今村 武浩 山近 重生 斎藤 一郎 中川 洋一
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.10-17, 2014-04-01 (Released:2014-09-05)
参考文献数
26
被引用文献数
4

Purpose: The purpose of this study was to investigate sleep quality and its related factors in dry-mouth patients. Subjects and Methods: A cross-sectional study was conducted in 362 patients who visited the Dry Mouth Clinic at Tsurumi University Dental Hospital with the complaint of oral dryness. Sleep quality was assessed using the Japanese version of the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI-J), and factors associated with the PSQI-J global score were analyzed by multiple regression. The dependent variable was the PSQI-J global score, while age, gender, resting saliva flow rate (RSFR), stimulated saliva flow rate (SSFR), VAS score of nocturnal dry mouth sensation, the presence or absence of snoring, grinding, clenching, and mouth breathing, and anxiety and depression score in the Hospital Anxiety Depression Scale (HADS) were used as the independent variables. Results: The mean PSQI-J global score was 7.9±3.9, and 232/362 (64.1%) cases were considered to be poor sleepers who showed a score of less than 5.5. The multiple regression analysis showed that anxiety (standardizing coefficient 0.330) and depression score (0.151) in HADS, nocturnal dry-mouth sensation (0.165), and age (0.209) were significantly associated with the PSQI-J global score. Conclusion: Anxiety, depression, and sleep-related xerostomia were found to be factors closely associated with the risk of disturbance of good sleep quality.