著者
樫田 陽子 町田 登 山本 剛 桐生 啓治
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.6-11, 1999 (Released:2005-11-11)
参考文献数
18

レースにおいて突然1着馬から大差で遅れて入線し,その直後の心電図(ECG)検査で発作性心房細動(AF)が認められた2例の所見について報告した。症例1ではレース終了10分後にAFが確認され,頻発性多源性心室性期外収縮(VPC)を伴っていた。本例は24時間後には正常洞調律に復帰していたが,その後の調教で状態不良のため競走馬から除籍された。症例2ではAF発症時にVPCは認められず,洞調律復帰後の成績は良好であった。運動直後に発作性AFが起こりVPCが併発した場合,予後は不良となる可能性が示唆された。
著者
遠藤 久美子 山本 真吾 大江 直美 天野 陽介
出版者
学校法人 敬心学園 職業教育研究開発センター
雑誌
敬心・研究ジャーナル (ISSN:24326240)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.83-88, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
13

【目的】鍼の刺鍼方向によって顔面部のシワに対する影響を調べることで、美容鍼灸の基礎的なアプローチ方法の開拓を行い、学校教育、鍼灸業界発展に寄与できると考え研究を行った。【方法】健康成人男女10名を対象とした。目尻のシワに対してレプリカ剤を用いて採取した。シワに対して平行方向で刺激を行う群と、シワに対して直角方向で刺激を行う群の2群とし鍼を行なった。統計処理はt検定分析を行い、有意判定は5%とした。【結果】施術前後の比較では有意差がみられたが、シワに対して平行方向で刺激を行う群と、シワに対して直角方向で刺激を行う群との比較では有意差はみられなかった。【考察】シワに対しての鍼刺激は、鍼の方向に関係なく減少傾向が認められた。ただし個人差も大きいため、今後さらなる研究が必要である。
著者
鷹見 凌 染宮 聖人 平山 紀夫 山本 晃司 松原 成志朗 石橋 慶輝 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本複合材料学会
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.32-39, 2022-01-15 (Released:2023-02-10)
参考文献数
26

When analyzing the fracture behavior of unidirectional carbon fiber-reinforced polymer (CFRP), it is important to consider the interfacial strength between the reinforcing fiber and the base resin, and the strength of the base resin. Therefore, the adhesiveness of the base material and the compatibility with the sizing material and fibers are important design parameters in the development of CFRPs. However, a quantitative method for estimating the interfacial strength and the strength of the base resin has not been established. In this study, we propose a method to evaluate the interface strength of unidirectional CFRPs by creating learning data through a series of numerical material tests and by constructing a neural network that outputs the interface strength based on a homogenization method from the results of off-axis tensile tests. We adopt a general feed forward neural network whereby parameters are learned by employing a backpropagation method. The interfacial strength and the matrix resin strength is predicted and evaluated from the results of the off-axis tensile test to demonstrate the effectiveness of this system.
著者
滝本 成人 山本 直
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.49, 2013 (Released:2013-06-20)

本研究は、福井県越前市のタケフナイフビレッジ協同組合青年部との共同研究による、新しい刃物鋼材の実用化に向けた基礎研究である。「越前打刃物」は、約700年の歴史を持ち、昭和54年に全国打刃物業界では初めて、伝統的工芸品としての国の指定を受けた。今回の研究は、新素材「チタン圧延クラッドメタル」と、伝統技法である「火造り鍛造」を組み合わせた、新しい取り組みである。チタンクラッドメタルは中心材に炭素鋼とステンレス鋼で実験を行った。切断実験はプレス加工機とレーザー加工機で行った表面加工実験は陽極酸化法により単色とグラデーションを試みた。試作制作においては、同協同組合の山本直氏の協力と技術指導もとで研究を進めた。
著者
木澤 敏毅 加藤 辰輔 重富 浩子 田中 藤樹 飯田 一樹 永井 和重 五十嵐 敬太 山本 雅樹 畠山 直樹 鈴木 信寛 堤 裕幸
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.150-155, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
13

約6カ月間にわたり移動性関節痛・骨痛,皮膚紅斑を呈し,血液検査ではCRP,赤沈値の持続的な上昇,軽度の貧血を認めた1女児例を経験した.当初は若年性特発性関節炎,慢性再発性多発骨髄炎を疑ったが,約6カ月後にLDH 573 U/mLと上昇し,また末梢血中に芽球が出現したため骨髄穿刺を行い急性リンパ性白血病と診断した.骨痛,関節痛を主訴とする慢性炎症性疾患には感染性骨髄炎,リウマチ性疾患,血液・悪性腫瘍,骨の自己炎症症候群(とくに慢性再発性多発骨髄炎)などが鑑別に挙げられるが,炎症所見の他には血液検査上の異常所見に乏しく,画像検査によっても一般小児科医にとって,診断の確定が困難な例が存在する.とくに小児白血病においては,画像検査を行い,特異な所見の検討を行った報告は少なく,また非特異的な画像所見を呈することも多く,鑑別に苦慮した.しかし今回の症例を通じて,小児放射線専門医によれば,早期の画像から白血病特有の所見が読み取れるとされ,画像を専門的に読影することが重要と思われた.また,小児の画像検査の蓄積により骨痛,関節痛を伴う急性リンパ性白血病の病態解明や早期診断につながることが期待された.
著者
山本 大輔
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.50-55, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
14

トリアセチルセルロース(TAC)をベースとする,写真用フィルムの劣化状態を診断するシステムについて記述した.この診断システムは人間ドックの考え方を参考としており,TACベースフィルムから発生する酢酸ガス量だけではなく,TACベースフィルムの構造や,物性に関する知見が得られる.複数の分析機器を用いた結果から,定量的かつ総合的に,TACベースフィルムの劣化診断が可能であった.また,目視や嗅覚による検査では劣化の兆候が観測されなかったTACベースフィルムについても,本診断システムを適用することによって,TACベースの劣化状態を識別可能であることが示された.
著者
大滝 悦生 山口 洋一郎 塩月 由子 片淵 幸彦 松石 豊次郎 松浦 伸郎 山本 正士
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.502-506, 1987-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
18

単純ヘルペスウイルス1型脳炎 (以下HSV1型脳炎と略す) 罹患後, 著明な精神運動発達遅滞, 両側片麻痺を認め, 8カ月後シリーズ形成する点頭てんかんを発症した1歳4カ月男児を報告した. 病初期の脳波でperiodic sharp wave, CTで左右側頭葉の低吸収域が認められ, 造影剤注入後にはstreak linear enhancementを認めた. 急性期を過ぎた発症後8週のCTでは著明な左右側頭葉, 視床の低吸収域, 第III脳室拡大, 脳皮質萎縮が認められた.髄液でのenzyme-linked immunosorbent assay (以下ELISAと略す) による抗体測定によりHSV1型脳炎と確定した. HSV脳炎は, 局所症状を呈することがよく知られているが点頭てんかんを認めたという報告はわれわれが調べた範囲では見当たらなく極めてまれと考え病巣についても考察を加え報告した.
著者
岡寺 良 山本 義孝 吉田 扶希子 藤岡 英礼
出版者
九州歴史資料館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、背振山の山岳信仰を考古学的な証拠を元に、その信仰の実態を明らかにするというものである。本研究における学術的成果としては①背振山系を領域とした山中修行(峰入り)の存在を示した②背振山系における主要霊山の実態解明のデータを提示した③山岳信仰・霊場遺跡としての二丈岳の実態について、経塚の発見により新たなデータを提示した、という3点が挙げられる。本研究の調査成果については、学会発表、展示、展示図録作成、シンポジウム発表、報告書作成などにより広く公表することができた。
著者
安部 厚志 若旅 正弘 石橋 清成 岡本 善敬 内田 武正 山本 哲
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
Journal of Rehabilitation Neurosciences (ISSN:24342629)
巻号頁・発行日
pp.222402, (Released:2022-12-28)

This study reports a case of a paraplegic stroke patient who had difficulty walking with an ankle–foot orthosis, but was able to walk independently with a short knee–ankle–foot orthosis (semi-KAFO). A 34-year-old man presented with right hemiplegia due to left putaminal hemorrhage. At 143 days after the stroke onset, he could not obtain sufficient support for the paralyzed leg and required assistance during his walk with an ankle–foot orthosis because the knee joint of the paralyzed side was always flexed due to knee flexor hypertonia. Conversely, he was able to walk with a semi-KAFO under observation. He practiced putting on and taking off the semi-KAFO, standing, sitting, walking, and toileting with a semi-KAFO for three weeks. At 164 days after stroke onset, he was able to walk and toilet independently with a semi-KAFO. This study’s results indicate that a semi-KAFO is useful as a daily living orthosis for hemiplegic stroke patients who have difficulty walking with an ankle–foot orthosis due to increased knee joint flexor muscle tone.
著者
山本 浩 澤村 淳 向井 信貴 菅野 正寛 久保田 信彦 上垣 慎二 早川 峰司 丸藤 哲
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.401-404, 2013-07-01 (Released:2013-08-09)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

過去10年間において男性2名,女性4名の計6例の急性リチウム中毒を経験した。炭酸リチウムの服薬量は,全症例において中毒域に達するとされる40 mg/kg以上であった。血清リチウム濃度が判明した症例は2例であり,ともに致死濃度である4 mmol/lを超えていたが,1症例に持続的血液濾過透析を施行した。輸液療法主体の症例では血清リチウム濃度の減少勾配は比較的緩やかであり36時間後でも有効治療域を超えていたが,continuous hemodiafiltration(CHDF)症例では速やかに血清リチウム濃度は治療域に減少し,CHDF離脱後の再上昇も認められなかった。血清リチウム濃度の測定ができない施設があり,臨床症状では中毒症状の判断ができないことが指摘されている。血清リチウム濃度が中毒域を超えている場合,あるいは中毒域に達するとされる40 mg/kg以上の服用例では急性血液浄化法導入を考慮すべきと考えられた。
著者
大久保 紀一朗 佐藤 和紀 山本 朋弘 板垣 翔大 中川 哲 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.157-169, 2022-02-20 (Released:2022-03-15)
参考文献数
25

本研究では,小学校社会科の農業の学習においてドローンを用いたプログラミング教育を実践し,テクノロジーを米作りへ活用する必要性の理解に関する効果について検証した.授業の事前事後において,米作りへの参画意識に関する調査への回答と,米作りに関連すると考えられる仕事の記述をさせた.その結果,ドローンを用いたプログラミング教育が,ドローンを米作りに活用することを想起させることに有効であり,米作りへの参画意識を育むことが示唆された.また,授業の事後において米作りに対するイメージを自由記述で回答させ,テキストマイニングによる分析を行った.その結果,ドローンを用いたプログラミング教育を経験することにより,ドローンを米作りに活用することの必要性を理解するとともに,人が担う役割について再考するなど,これからの米作りに必要なことについての思考を促すことが示唆された.
著者
榊原 哲也 西村 ユミ 守田 美奈子 山本 則子 村上 靖彦 野間 俊一 孫 大輔 和田 渡 福田 俊子 西村 高宏 近田 真美子 小林 道太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、これまで主として看護研究や看護実践の領域において注目されてきた、看護の営みについての現象学的研究(「ケアの現象学」)の、その考察対象を、医師による治療も含めた「医療」活動にまで拡げることによって、「ケアの現象学」を「医療現象学」として新たに構築することを目的とするものであった。医療に関わる看護師、ソーシャルワーカー、患者、家族の経験とともに、とりわけ地域医療に従事する医師の経験の成り立ちのいくつかの側面を現象学的に明らかにすることができ、地域医療に関わる各々の当事者の視点を、できる限り患者と家族の生活世界的視点に向けて繋ぎ合せ総合する素地が形成された。
著者
山本 武志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.22-00054, 2023 (Released:2023-01-23)
参考文献数
19

燃料炭の品質変動に伴う多様な物理・化学特性を示すフライアッシュに対してAPI法を適用できるよう反応時間と反応温度の最適化検討を行った.フライアッシュ:セメント:水を質量比1:1:40で混合した懸濁液に対して80℃下で18時間~48時間反応させた場合にポゾラン反応は収束しない状態ではあるが,80℃-28時間の反応条件で得られるAPI値が材齢28日ならびに91日における活性度指に対して良好な相関を示した.反応性の異なる3種類のフライアッシュを用い,繰返し数3として5機関によるクロスチェック試験を行った.各機関における繰返し数3における繰返し性と5機関の間での評価値の再現性が良好であったことから,API法は誤差要因が比較的少ない手法であることを明らかにした.
著者
山本 敏久 杉村 健
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-124, 1996-03-01

宿題を忘れた級友が叱責されるという仮想場面で、小学2、4、6年生の反省の程度を調べた。すべての場面で学年とともに反省の程度が減少した。4、6年生では、叱責に対して反発する子どもよりも萎縮する子どもの方が反省するが、宿題を忘れた理由を聞くと、前者の子どもの反省が促された。教師の機嫌が悪いからと認知する子どもよりも、励ますためと認知する子どもの方が反省するが、理由を聞くと前者の子どもの反省が促された。反発感情と機嫌認知、萎縮感情と励まし認知はそれぞれ反省に対し類似した効果があった。
著者
本岡 里英子 山本 真士
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000926, (Released:2016-09-16)
参考文献数
11
被引用文献数
4 6

症例は39歳女性.1年前より下肢痙性,上下肢異常感覚が出現し,痙性による歩行障害が進行した.神経学的に両下肢痙性,両下肢深部感覚障害,四肢異常感覚を認めた.各種自己抗体,HTLV-1を含むウイルス抗体,腫瘍マーカー,ビタミンに異常を認めず,髄液細胞数,蛋白は正常で,OCB,MBPは陰性であった.頭部MRIは異常なく,頸胸髄MRIで,後索にT2WI高信号を認めた.血清銅,セルロプラスミンが低値であり,銅欠乏性ミエロパチーと診断した.生活歴を再聴取した結果,5年以上前から牡蠣を毎日15~20個摂取するという極端な食生活が判明し,亜鉛過剰摂取が原因と考えた.亜鉛過剰摂取による銅欠乏症の原因として本例のような食餌性は稀である.
著者
山田 玲子 石川 保茂 宮森 吉昌 山田 恒夫 山本 誠子 水口 志乃扶 立石 浩一 伊庭 みどり 北村 美里 江口 小夜子 楊 シュイ 飯野 義一
出版者
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

音韻、語彙、構文といった様々な要素に分けて外国語の学習実験を行う環境を構築し、要素間の相互関係、特に学習の順序効果を調査した。その結果、同一処理レベル内では順序効果はなかったが、処理レベルが異なる音韻学習と語彙学習の間で有意な順序効果があり、学習初期段階に低次処理を習得することの重要性が示された。この結果に基づき、低次から高次へと習得していく「ボトムアップメソッド」を学習モデルとして提案する。また、その学習モデルの効果を最適化するためのカリキュラムモデルとして「反転学習の概念モデル」を作成し、効果があることを確認した。さらに、学習解析の手法で個別に最適化する方略について整理、考察を行った。