著者
中村 江里 鬼頭 佳彦 福田 裕康 矢内 良昌 橋谷 光 山本 喜通 鈴木 光
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.141-148, 2004 (Released:2004-02-29)
参考文献数
50
被引用文献数
1 3 1

胃壁の筋間神経層に分布するカハールの間質細胞(ICC-MY)はミトコンドリアが豊富で,平滑筋とはギャップ結合しているので,歩調とり細胞であると考えられた.ICCで発生する歩調とり電位は早い立上がりの第1相とプラトー電位の第2相から成り,それぞれ電位依存性Ca2+透過性チャネル電流とCa2+活性型塩素チャネル電流により構成される.歩調とり電位は電気緊張的に輪走筋に伝わりslow waveを誘発させ,縦走筋に伝達しfollower potentialを形成する.輪走筋では歩調とり電位からの電気緊張電位の刺激により,細胞間間質細胞(ICC-IM)において単位電位unitary potentialが発生し,この電位の加重によりslow potentialが形成される.IP3受容体欠損マウスの胃ではslow waveが観られなかったので,自発活動発生にIP3が関与していることが推定された.slow potentialの解析から,自発活動発生にはミトコンドリアにおいてプロトンポンプ活性に伴い生じる電位勾配に起因したCa2+の出入りが関与しており,局所におけるCa2+の濃度変化がプロテインキナーゼCのようなCa2+感受性タンパク活性を介してIP3濃度を変化させ,小胞体からのCa2+遊離を律動的に起こさせると,細胞膜のCa2+感受性イオンチャネルが活性化され,電位変動を引き起こさせると考えられる.
著者
山本 和男
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.395-400, 2007-03-15

プロジェクトの完了時に限らず,実行局面においてもプロジェクト活動を通して学んだことをLessons Learned(教訓)としてまとめることは価値あることである.知識ベース化するなりして,組織・チーム・個人で大いに活用するべきである.PMBOKをはじめとする文献において,"教訓"をとりまとめる事が薦められているが,その手法・進め方を具体的に示した物を目にすることは少ないように思う.小・中規模のITプロジェクトにおける教訓の進め方について以下,考察し,提案を行う.
著者
蜂谷 俊泰 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2010年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.311-312, 2010 (Released:2010-09-01)

進化ロボティクスや人工生命の分野において、自律ロボットの制御に関する研究が行われている。本研究では仮想物理環境における多関節ロボットアームにあるタスクを与え、その挙動獲得の実現を目的とする。アームは遺伝的アルゴリズムにより人工ニューラルネットワークを学習させ、物理モデリングによるシミュレーションを実施した。この結果得られたアームの獲得したタスク動作を検証する。
著者
関屋 幸平 山本 響子 江上 健 川内 撞恵
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.314-314, 2003

[はじめに]脳血管障害に下肢切断を伴う症例は少なくない。今回、脳血管障害に伴い閉塞性動脈硬化症(ASO)にて非麻痺側下肢大腿切断によりADL能力が低下した患者の、寝返り・起き上がり動作に対する理学療法アプローチについて報告する。[症例紹介]78歳女性で、平成12年12月心原性脳塞栓症にて左片麻痺。平成14年7月に右側下肢ASOと診断され同月に右側下肢大腿切断術を施行した。B/S上肢II,下肢IVであり、MMTで右側上肢筋力はG、体幹筋力はFレベル。身辺ADL能力は、切断前において寝返り・起き上がり動作ともに監視から軽介助レベルであったが、切断後では寝返り・起き上がり動作とも全介助レベルに低下した。[アプローチとその経過]寝返り動作に対しては右側上肢にてベッド柵を握り肘関節の屈曲動作により体幹を右側へと回旋させる方法を指導した。訓練開始当初は肩甲帯の回旋後、骨盤の回旋が難しくベッド柵から手を離すと背臥位に戻ってしまい半側臥位までしか寝返りを行えなかった。そこで、開始肢位をベッド30度ギャッジアップし体幹を軽度屈曲位とすることで骨盤の回旋に続く麻痺側下肢の回旋が行いやすいのではと考え実施した。その結果介助を必要とせず寝返る事が可能となった。その後も1・2週間ギャッジアップを利用して徐々に角度を低くすることで、背臥位からの寝返り動作を獲得できた。また、寝返り動作訓練と並行して起き上がり動作訓練も実施してきた。起き上がり動作は切断前動作の再獲得を目指した。訓練開始当初では、起き上がる際断端部への荷重痛が強いこと、体幹筋の筋力低下のため介助なしでは頭部の挙上しか行えなかった。そのため、体幹筋の筋力強化訓練を追加し反復訓練を実施した結果、軽介助にて起き上がることが可能となった。[今後の課題]現在、リハ室内でベッド柵使用にて寝返り動作は自立、起き上がり動作は監視から軽介助レベルである。しかし、病棟においては患者の依存心が強く、獲得した動作を活用できていない。今後の課題としては獲得した動作の実用化にあるのではと考える。そのためにも患者への指導だけでなく、病棟スタッフとの連携が重要と考えている。 [まとめ]非麻痺側下肢の機能を失ったことで、残された機能を生かし寝返り・起き上がり動作の獲得を目標にアプローチを実施してきた。ベッド柵使用であるが、ADL能力は向上してきたといえる。
著者
佐藤 雄隆 金子 俊一 五十嵐 悟 丹羽 義典 山本 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.202, pp.15-22, 2001-07-11
被引用文献数
1

継続的に情景を撮影した画像時系列において新たな出現物体を検出し背景から分離するための画像パタン検出技術は, 環境監視, メディア処理などの様々な分野において重要となりつつある.本研究では, 明度変動の影響を抑えながら, ピクセル単位の分解能で局所的なテクスチャを評価するRRFを提案し, 本来のテクスチャ・パタンのみの類似を検出するという特性を実現している.これにより, 出現物体のもつ明度分布に依存せず, しかも影などの不良条件による明度変動の影響を低減した背景差分を実現している.理論的検討および実画像を用いた実験を行い, 手法の有効性を示す.
著者
山本 陽平 金森 由博 三谷 純
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.1507-1516, 2015-06-15

本論文では,両面に色の付いた単位正方形をピースとする組合せパズルについて議論する.ピースは両面に色を付けることができ,すべてのピースを過不足なく使用してあらかじめ指定された色模様(「正答」と呼ぶ)を復元することを目的とする.正答が2つ以下であれば,ピースの各面に適切に色を割り当てることで,必ずすべての正答を再構成できる.正答が3つ以上ある場合には,正答間で共通する色をうまく再利用する必要があり,場合によってはすべての正答を実現するピースの集合が存在しないこともあるため,パズルの問題を作成するときには注意が必要となる.そこで,複数の正答が入力として与えられたときに,その正答を実現できるピースの集合が存在するか否かを判定するための条件式と,存在する場合にはピースの生成を行う手法を提案する.そうでない場合には,正答の色合いを調整して,ピースを生成可能にする手法の提案も行う.いくつかの例題で提案手法の実験を行い,実際にパズルを試作したので報告する.
著者
山本 晃輔
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.281-301, 2014-05-31 (Released:2015-06-03)
参考文献数
13
被引用文献数
1

グローバリゼーションを背景として,人の国際移動は質・量ともに大きく変容した。国際移動が多様な姿を見せるにつれて,我が国においても人の国際移動と教育に注目があつまるようになった。本稿では,ブラジルへ帰国した日系ブラジル人の子どもたちに焦点を当て,日本とブラジルを移動する彼らの将来展望の多様性を事例に,「移動の物語」という観点からグローバリゼーションと教育の問題についてアプローチすることを目指した。 本稿では帰国した日系ブラジル人のうち,計画的に帰国した「デカセギ型」家族を抽出し,親の高い教育期待とその取り組みについて概観した。 次に,親の教育と期待を受けてブラジルで大学進学していく子どもたちを見出した。ブラジルで大学へと進学した子どもたちは,日本での体験にピリオドをうつ「切断」の物語に特徴がある。他方で,親の期待や配慮とはうらはらにブラジルでの教育達成を目指さない・目指すことができなかった子どもたちがいる。なかでも再渡日を目指す子どもたちの特徴は,いまもなお日本との移動が継続し「接続」しているという語りにある。 そして,子どもたちの帰国後の将来展望と進路選択が分岐する要因として,言語能力や学校適応などと並び,帰国後に構築される「移動の物語」が大きな影響を与えていることを明らかにした。
著者
山本 美智子 松田 勉 須賀 万智 古川 綾 五十嵐 崇子 林 雅彦 杉森 裕樹
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.8-17, 2013-12-10 (Released:2015-06-26)
参考文献数
12

The Medication Guides for Patients (MGPs) are being offered as information on prescription drugs for patients by the Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW). The MHLW published the Risk Management Plan in April, 2012, and it noted that the MGPs should be utilized in usual risk minimization activities. It is not clear, however, whether the MGPs are efficiently utilized in actual settings. Hence, we conducted a questionnaire survey of the pharmacists in the pharmacies with dispensing and the hospitals in Mie and Yamagata prefectures to investigate the actual circumstances of MGPs utilization and to understand the existing barriers associated with the use of the MGPs as medication instructions for patients. We sent the questionnaires by mail and obtained responses from 444 facilities (33.9%) of 1,309 facilities. The recognition level of the MGPs was about 30 percent in the dispensing pharmacies, and about 50 percent in the hospitals. The MGPs were utilized as a common communication tool with the patients in approximately 20 percent of the facilities. Many respondents requested that the frequency of important and other adverse reactions should be described in the MGPs, and wider ranges of MGPs should be further implemented.Moreover, our data suggests the problem is that the present MGPs are mainly applied to special types of patients, such as those with higher literacy level or those who requested a detailed explanation. Thus, it is apparent that it is necessary to review the MGPs contents again to improve their practical benefits and disseminate them more widely.
著者
山本 朱美 高橋 栄二 古川 智子 伊藤 稔 石川 雄治 山内 克彦 山田 未知 古谷 修
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-7, 2002-03-10
被引用文献数
20

肉豚に、欠乏するアミノ酸を添加した低タンパク質飼料を給与し、尿量、糞尿への窒素排泄量およびアンモニア発生量に対する影響を調べた。体重約35kgの去勢豚12頭を代謝ケージに収容し、標準タンパク質飼料(CP16.4%、標準CP区)またはアミノ酸添加低タンパク質飼料(CP10.9%、低CP区)をそれぞれ6頭に28日間にわたり不断給与した。試験開始後8~12日目に窒素出納試験を実施し、また、28日目に糞および尿を採取してアンモニアの発生量を調べた。その結果、増体量、飼料摂取量および飼料要求率ではCP水準による差は認められなかったが、飲水量は低CP区で標準CP区の約87%と少なくなり、尿量は低CP区で67%に低減する傾向を示した。また、糞および尿への窒素排泄量は、低CP区では標準CP区に比較してそれぞれ82%および50%に、また、総窒素排泄量は62%に減った。さらに、糞尿混合物からの発生アンモニア濃度は、混合1日目で、低CP区は標準CP区の36%と著しく低くなった。以上の結果より、飼料中のアミノ酸バランスを整えた低CP飼料を肉豚に給与すれば、発育成績は損なわずに、糞尿への窒素排泄量が減るばかりでなく、尿量およびアンモニア発生量も低減されることが示された。
著者
上辻 章二 山村 学 權 雅憲 奥田 益司 山道 啓吾 山本 政勝
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.211-214, 1991
被引用文献数
1

正常ラットに閉塞性黄疸を作製し, 胆汁うっ滞型肝障害時に閉塞を解除, 解除後より小柴胡湯合茵〓蒿湯を投与し, 肝機能障害改善効果について検討した。<br>非投与群では, GOT, GPT, T-Bil, ALP 値は, 閉塞解除後徐々に改善し, 2週間後にはほぼ閉塞前値に回復するのに対して, 投与群では, GOT値およびALP値が解除3日目で非投与群に比べ有意に改善された (p<0.01およびp<0.001)。T-Bil値は解除5日目で有意に改善された(p<0.001)。<br>以上より, 小柴胡湯合茵〓蒿湯の閉塞性黄疸解除時よりの投与は, 胆汁うっ滞型肝障害に対し, 速やかな改善傾向を示し有効であった。
著者
篠原 勝次 山本 吉朗
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.126, no.9, pp.1161-1170, 2006-09-01
被引用文献数
14 15

The direct ac/ac converters have been investigated in the last two decades because they had no dc-link component for large energy storage. In, Japan, 10kVA-40kVA matrix converters were developed in 2005. The direct ac/ac converters are classified into two main categories, namely, the matrix converters and the direct ac/ac converters with dc Link. And various control strategies for them have already been proposed. This paper discusses and summarizes main circuits, control strategies, overvoltage protection, and ride-through capability of the direct ac/ac converters.