著者
小山 勲男 宮脇 正一 山本 照子
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.313-318, 2001
被引用文献数
7 1

エッジワイズ治療を行った4症例において, チタンスクリューを大臼歯部あるいは小臼歯部に埋入して不動固定として用いた結果, 有用であることを確認したので報告する.チタンスクリューは歯肉切開を行わずに埋入された.埋入時や撤去時において, 痛みや出血はほとんど認められなかった.本報告で提示した4症例の治療経過から, 歯科矯正臨床においてチタンスクリューを用いた治療は, 患者に対する負担が軽く, 従来の矯正治療のメカニクスでは困難であった臼歯の遠心移動, 臼歯の圧下ならびにレベリングを行いながらの前歯牽引を患者の協力をほとんど得ることなく安全かつ確実に行えることが示唆された.
著者
山本 光夫 加藤 孝義 多部田 茂 北澤 大輔 藤野 正俊 小豆川 勝見 松尾 基之 田中 潔 道田 豊
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.243-255, 2015 (Released:2015-03-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 5

東日本大震災後の沿岸環境変化の評価を目的とし,岩手県釜石湾において,海水中の栄養塩と重金属濃度,底質の放射性物質含有量に着目した海域環境調査を行った。栄養塩は冬期に高く夏期に低い傾向がみられ,震災前と必ずしも一致しなかった。これは湾口防波堤破壊による湾内環境変化の影響と考えられる。一方で重金属は津波の影響と予想される濃度変化はみられなかった。放射性物質も最大で 60 Bq/kg 以下と他の海域に比べ特に高い値ではない上に現在は減少傾向にあり,安全性の面で海域環境は震災前に戻りつつあることが示唆された。
著者
山本 正嘉 山本 利春
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.82-92, 1993-02-01
被引用文献数
9 2 7

自転車エルゴメーターを用い, 5秒間の全力駆動を8セット反復するという激運動を行い, 33分間の休憩後に同じ運動を繰り返した.休憩中10分間にわたり, ストレッチング, スポーツマッサージ, 軽運動 (被検者の無酸素性作業閾値の80%相当の強度) , ホットパックの4種類の回復手段を実施し, これを実施しないで安静にして回復した場合と比較検討した.疲労回復の指標として作業能力および血中乳酸濃度 (La) の回復をみた.被検者は各回復手段について12名ずつとした.結果は以下のとおりである.<BR>1.ストレッチングとスポーツマッサージは, Laの回復には有意な効果をもたらさなかったが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらした.<BR>2.軽運動は, Laの回復には有意な効果をもたらしたが, 作業能力の回復には有意な効果をもたらさなかった.しかし, 作業能力の回復が悪かった被検者の多くは, 軽運動の運動強度が強すぎたと訴えていたことから, これらの被検者には運動強度をさらに低く設定することによって作業能力の回復にも有意な効果がもたらされる可能性がある.<BR>3.ホットパックは, Laの回復にも, 作業能力の回復にも有意な効果をもたらさなかった.<BR>4.1~3の結果から, 激運動後に作業能力の回復を促進する手段として, ストレッチングとスポーツマッサージは有効であると考えられる.軽運動については, 運動強度が適切に処方されるならば有効と考えられるが, さもないと逆効果となる可能性もある.<BR>5.Laの回復率と作業能力の回復率との間には, 有意な相関関係は認められなかった.したがって, 作業能力の回復を規定するのはLa以外の要因であることが示唆された.また, Laを作業能力の回復を表す指標とすることには問題があることが示唆された.
著者
鈴木 義則 山本 薫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.9-15, 1985-06-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In the western parts of Japan, there are frequent risks of frost damage on several crops such as tea plants, vine and others in the late spring. Experimental studies on protection of plants from the cold by sprinkling method utilizing latent heat of solidification were carried out to make establish practical application methods for the sake of saving water consumption.The main purpose of the experiments is to find the lowest value of effective sprinkling intensity under several air temperature conditions. Through discussions on the fitness of spray catching ratio, the experimental results were examined with the theoretical values by Niemann's and by the author's.Some results found in the experiments at cold night with radiative cooling are summarized as follows:1) Temperature of iced leaf under sprinkling could not increase up to 0°C under both conditions of lower air temperatures and smaller sprinkling intensity. There were clearly critical point of sprinkling intensity, which could maintain leaf temperature around 0°C. These points which are defined as the lowest value of effective sprinkling intensity were also changed with surrounding air temperatures. They became larger as air temperatures became lower. The relations between them was a linear one (Fig. 3.). Having compared the measured values with the theoretical values in their tendencies in the graph, it was found that the Niemann's one differed from the actual one especially in the lower temperature range but the author's one agree well throughout the giving range of temperature.2) The spray catching ratio measured using grouped branches with leaves of cranberry tree (Viburnum awabuki K. Koch) showed almost constant values in the range from 0.1 to 4.6mm·hr-1 of sprinkling intensity and was about 0.29 on average (Fig. 4.). The theoretical values by Niemann's method changed from 0.27 (at O°C) to 0.36 (at -4°C). On the other hand, the author's one was 0.27 (0--4°C), which was more close value to the experimental one.3) The fall-off of leaf temperature after 20 minutes of sprinkling-off changed proportionally to the initial leaf temperature, when air temperatures were -3.0--5.8°C. They became larger as initial leaf temperature became higher (nearly equal to 0°C). These relations were also changed parallely with air temperatures, that is, the fall-off of leaves temperatures became large as lowering of air temperatures.4) After re-sprinkling, the iced leaf temperature which was lowered to around air temperature began to increase showing the shape of saturation curve. The larger the sprinkling intensity was, the shorter the required time to make plant body temperature 0°C was. But in the case of smaller intensity of sprinkling, the required time became longer exponentially.
著者
高志 勤 生頼 孝博 山本 英夫 岡本 純
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.277-287, 1979
被引用文献数
5

土を密閉系で水飽和状態で部分凍結し, 間隙水圧の変化を観測することによって凍上力の上限を推定する室内実験を行った.<BR>軸方向に一定の全圧をかけた円柱状供試体の両端を正, 負の一定温度に保った場合, 熱的には数時間でほぼ平衡に達するが, 間隙水圧の変化は2000時間以上継続する場合もあり, 平衡に達するには長時間を要することがわかった.更に, 凍土内部で冷却面に接してアイスレンズが発達しつづけていた.このことは, 凍土内部では凍結面からアイスレンズ成長面まで不凍水が連続していて, 不凍水が凍土中をアイスレンズに向って吸い寄せられ, そのために間隙水圧が降下したことを示している.平衡に達したとき, 土は間隙水圧と全圧から計算される有効応力状態に抗してもはや水分を吸い寄せ得なくなったと解釈し, このときの応力をその凍結条件における上限凍上力σ<SUB>u</SUB>と定義した.得られた上限凍上力σ<SUB>u</SUB>は冷却面温度θ<SUB>c</SUB>に依存し<BR>σ<SUB>u</SUB>=-11.1θ<SUB>c</SUB> [kg/cm<SUP>2</SUP>] <BR>なる実験式を得た.これは方法は異なるがRadd and Oertle (1973) の実験結果と一致する. 更に, この実験式は, 凍土内部の氷層消長面における熱力学関係から, 氷と水の圧力が異なって変化する場合の氷の融点に関する拡張したClausius-Clapeyronの式と一致することがわかった.
著者
下村 泰彦 増田 昇 山本 聡 安部 大就 田村 省二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.289-294, 1992-03-31
被引用文献数
4 7

本研究は,公共空間と接道部空間とを相互に関係づけながら,フォトモンタージュ法を用いて景観シミュレーションモデルを作成し,景観モデルの評価を通じて今後の街路修景・緑化手法に関する有効な知見を得ることを目的とした。その結果,公共緑化に関しては,壁面状況の良悪に係らず,高木の樹冠を大きくすることによって景観の向上が認められ,修景・緑化効果を明らかにすることができた。特に,歩道中央植栽は,修景・緑化効果を十分に発揮することが明らかとなった。接道部緑化に関しては,壁面状況,植栽形式に係らず,接道部を緑化することによって景観が向上することを明らかにし,接道部緑化の修景・緑化効果を確認することができた。
著者
山本 敏弘 大田 霙三
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.249-254, 1989
被引用文献数
2

1987年5月29日, 茨城県内で23群を飼育する養蜂家の定期腐蛆病検査を実施したところ, そのうち3群で無蓋巣房内の蛆が多数死亡しているのが発見され, ミルクテストの結果, 8例中5例の蛆が4~8時間で陽性を示した. 11例の蛆について菌分離を試みたところ, ヨーロッペ腐蛆病の原因菌とされる<I>Melissococccus pluton</I>が11例中3例から, 二次感染菌とされる<I>Bacillus alvei</I>が7例から,<I>Enterococcus faecalis</I>が8例の蛆からそれぞれ分離された. 分離された.<I>Melissococcus pluton</I>は好気的には発育せず, 嫌気条件でのみ発育がみられた. しかも, 培地中のNa: Kの比が1未満でなければ発育しないといった特徴を持ち, その他の性状でも参照株およびBAILEYの記載とほぼ一致した. 検査成績からこの3群をヨーロッパ腐蛆病と診断し, 感染のおそれがあった8群を含めて計11群について焼却処分を実施した.
著者
山本.章博
出版者
学習院大学
雑誌
学習院高等科紀要 (ISSN:18813577)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.180-175, 2012-11
著者
堀田 吉彦 大久保 弘崇 粕谷 英人 山本 晋一郎 斎藤 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.522, pp.43-48, 2007-01-25

UNLはOOPのモデリング言語だけでなく,OOPを可視化するときにも用いられる.中でもUMLのシーケンス図はオブジェクト相互のメッセージのやりとりを図示することを目的としている.この図では,自分自身あるいは自分と同じクラスへのメッセージ送信の表現が難しい.調査の結果,そのようなメッセージ送信はプログラム中に約10%存在する.OOPの視覚化を目的として,この点に関するUMLの拡張を提案する.
著者
山本 雅昭
出版者
同志社大学
雑誌
同志社外国文学研究 (ISSN:02862832)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.176-200, 1974-03-01

論文(Abhandlungen)
著者
山本 もと子
出版者
信州大学
雑誌
信州大学留学生センター紀要 (ISSN:13467433)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-13, 2003-03

「感謝」と「謝罪」という異なった言語行動が日本語では両方とも「すみません」で表現できるという事象を、Brown and Levinson(1987)が「感謝」と「謝罪」をFace Threatening Act=FTA として同じカテゴリーに分類していることを切り口に「丁寧さのストラテジー」によって説明する。そして、日本語学習者用テキストやドラマのシナリオから感謝の意味を持つ「すみません」と「ありがとう」との使い分けを分析し、特に日本語では話し手と聞き手の相対的力関係や社会的規範がこれらの言語行動の違いに強く影響していることを言及する。また、アンケートの結果から、近年では感謝の気持ちを表すのに「すみません」より誤解の少ない「ありがとう」を用いる者が多いことが明らかになった。
著者
高地 吉一 折橋 裕二 小原 北士 藤本 辰弥 春田 泰宏 山本 鋼志
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.19-35, 2015-03-25 (Released:2015-03-30)
参考文献数
44
被引用文献数
1

We carried out an optimization of analytical parameters for U–Pb zircon dating by laser ablation inductively coupled plasma mass spectrometry (LA-ICP-MS) using a NIST SRM 610 glass. As a result, we obtained the following optimum analytical parameters: laser energy: 11.7 J/cm2, repetition rate: 10 Hz, pre-ablation time: 8 sec, integration time: 10 sec and crater diameter: 25 μm. The average 206Pb/238U ratio of the NIST SRM 610 glass normalized by a 91500 zircon standard under the conditions mentioned above was 0.2236±0.0044 (1σ, N : 87). The median value of this result matches with that of the literature value within range of the analytical precision. Furthermore, the 206Pb/238U weighted mean ages of the Plešovice, OD-3 and Fish Canyon Tuff zircons, having the proposed 206Pb/238U ages of 335.48±0.95 Ma (95% conf., N : 38, MSWD : 1.1), 33.25±0.38 Ma (95% conf., N : 23, MSWD : 1.5), 28.56±0.49 Ma (95% conf., N : 34, MSWD : 5.1), respectively, were measured, normalized by the NIST SRM 610 glass standard. The results were consistent within 1% error range of the recommended values. These results suggest that the matrix effect can be reduced to less than analytical precision on materials with different physical properties under well-optimized analytical conditions.
著者
有間 俊彦 吉田 伸二 鈴木 一人 長谷川 浩 山本 敏克 中川 善博 石井 謙二 伊坪 徳宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会研究発表会講演要旨集 第7回日本LCA学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.38, 2011 (Released:2012-02-16)

紙製ヨーグルト・カップは本体には紙、蓋にはアルミニウムが主に使用されている。本研究では、こうした紙製ヨーグルト・カップのLCAをLIME2を使用して実施した(ヨーグルトの充填及び封緘プロセスは除く)。アルミの環境負荷は相対的に大きく、木材が環境(一次生産及び生物多様性)に与える影響がゼロであるとした場合、容器1個が環境に与える影響(統合化)の50%強が蓋に由来し、その殆どが素材製造に由来している。