著者
山本 和義 西川 和宏 平尾 素宏 福田 泰也 中山 環 永妻 佑季子 谷川 清 前田 栄 原口 直紹 三宅 正和 濱 直樹 宮本 敦史 大宮 英泰 池田 正孝 高見 康二 中森 正二 関本 貢嗣
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.35-41, 2015 (Released:2015-05-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

胃癌患者は高齢者や低栄養症例も多いため,術前からサルコペニアの有病率が高いことが予想される.2012年7月~2014年2月の期間で当科にて行った65歳以上の胃癌手術症例69例中38例(55.1%)にサルコペニアを認めた.サルコペニア群で有意に摂取エネルギー量が少なく(25.6 vs. 29.9kcal/(IBW)kg, p=0.0060),摂取タンパク質量が少なかった(0.95 vs. 1.12g/(IBW)kg, p=0.0041).Clavien-Dindo分類Grade Ⅲ a 以上の重篤な合併症発生率はサルコペニア群で有意に高かった(23.7 vs. 6.5%, p=0.043).サルコペニア有りは重篤な合併症発生に関する独立した危険因子であった(OR 5.86, 95%CI 1.06? 51.65, p=0.042).サルコペニア合併高齢胃癌手術症例に対し,適切な栄養介入が重篤な合併症を回避するうえで有用であると考える.
著者
横溝 佐夜子 山本 由美 山下 英代 四谷 美和子 水野 千恵 丸山 悦子 荻野 正子 深蔵 紀子 山田 克子 瓦家 千代子 冨岡 和子 内田 真理子 梶田 武俊 辻 郁代 花崎 憲 生野 世方子 吉村 美紀 芥田 暁栄 山野 澄子 奥田 展子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.43-48, 2002-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
15

5種の設定した加熱条件下でじゃがいもを加熱した場合の針入度と官能評価について,以下の結果を得た. 1.針入度による硬さの測定では,測定部位,測定時間による差がみられた. 2.設定した5種の加熱での官能評価では,弱火32分が最もやわらかいと評価されたが,総合評価は3分放置では中火20分が,20分放置では強火16分が最もよい評価となり,加熱条件と官能検査項目や放置時間との影響が確認された. 3.官能評価項目を5種の加熱条件での有意差の表れ方で比較すると,加熱条件の影響を受けやすい項目と,受けにくい項目とに分類できることが認められた. 4.5種の加熱条件における硬さの官能評価と針入度の間には,一致した傾向が認められた.
著者
和泉 潔 池田 竜一 山本 仁志 諏訪 博彦 岡田 勇 磯崎 直樹 服部 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2877-2887, 2013-12-01

本研究では,構成論的なアプローチに基づくエージェントベースの社会シミュレーション研究の新たな方法論,可能世界ブラウザを提唱した.更に,実際の購買データに基づいたシミュレーションによる購買ターゲットの特定を題材にして,可能世界ブラウザを応用した結果を紹介した.顧客の購買行動をエージェントベースモデルに組み込んだシミュレーションモデルを作成した.そしてユーザが目的となるようなケースを作り出す.特定ケースでのエージェントの購買行動パターンの特徴を分析することで,目的の達成に大きく関係している購買行動パターンを特定し,更にその成分の組合せから具体的な消費者像の推定を行うことで顧客ターゲティングにつなげることができた.
著者
佐藤 良三 鈴木 伸洋 柴田 玲奈 山本 正直
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.689-694, 1999-07-15
被引用文献数
6 10

瀬戸内海・布刈瀬戸の産卵場周辺の三原市幸崎沖で, ディスク標識を装着した197尾のトラフグ親魚を1994年と1995年の5月中旬に放流した。瀬戸内海では放流後6カ月以内に計14尾が再捕されたが, 多くは放流直後に周辺海域で再捕され, 以後西方の海域へ移動した。外海域では放流1∿22カ月後に11尾が玄界灘∿黄海, 志布志湾などで再捕された。翌年の産卵期に布刈瀬戸の産卵場周辺海域で計10尾が再捕され, 走島沖の2尾を除き, 他の産卵場と関係した再捕報告はなかった。この2尾が備讃瀬戸へ回遊した可能性はあるが, 布刈瀬戸への回帰性も否定できない。以上の結果から, トラフグは産卵場への回帰性を有すると判断された。
著者
下村 泰彦 廣野 慎 山本 聡 増田 昇
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.639-642, 1999-03-30
被引用文献数
3 2

本研究では,大阪市の都心業務地区で緑が集積して存在することによる環境保全に係わる効果を微気象,鳥類出現,景観評価の視点から,緑の集積度(街路上での天空状況,100m圏域内での緑被率)が異なる4地区を対象に比較考察した。結果,微気象に関する気温では8月測定から緑の集積度が高い今橋・安土両地区の方が全時間帯で0.6〜2.7℃気温上昇が抑制され,12月測定では16,17時台で0.2〜1.2℃気温低減が抑制されること。鳥類出現では今橋地区(7種97羽)が種数・個体数共に最多であること。景観評価では『ゆとり』『広がり』『開放感』等の空間量や『親しみ』『美しさ』等の修景面での評価が有意に高いこと等,緑の集積による効果が確認できた。
著者
山本 将士
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.153-170, 2008-12-23

本稿の目的は,笠地蔵の教材価値の再発見,笠地蔵の変容過程に関する調査研究,絵本として再話された作品分析である。比較研究の結果,民話「笠地蔵」絵本は,本来「貧乏な爺が満足な正月を迎えたいという願望を叶えるために町へ買い物に行く。しかし町へ行く途中に,地蔵が雪を被っているのを見つけて,爺が2人でこしらえた売り物の笠を地蔵にかぶせるが,笠が1つ足りないので,自分の笠(手ぬぐい,ふんどし)を地蔵に被せてあげる。爺が家に帰って,何も持っていない理由を説明すると,婆も一緒に喜んでくれるが,大晦日に食べものが何もないために,そのまま2人とも寝てしまう。夜中に地蔵が賽物,金銀,米,餅を運んで来てくれる翌朝外を見ると,地蔵が立ち去る後姿が確認できた。そして,爺婆は良い正月を迎えることができた。」が,理想の物語であるとことを示すことができた。また,上述した条件に,最も近似する笠地蔵の採話が,『日本昔話名彙』(柳田國男,1951)であった。さらに,これまでに出版された58冊の絵本を評価した結果,(稲田・梅田,1978) 『かさこじぞう』,(瀬田・赤羽,1966) 『かさじぞう』の2冊を優れた民話絵本であることを示すことができた。
著者
山本 文彦 古川 眞一 須田 裕之 小山田 弥平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, 1994-09-26
被引用文献数
3

分岐形光線路を用いた1.31/1.55μm波長多重(WDM)伝送システムが検討されている。本稿では、分岐形光線路について、インサービス時に光加入者ネットワーク装置(ONU)または光線路内に故障が生じた場合に、故障の切分けを行う技術について検討し、その結果を示す。
著者
鈴木 幹三 岸本 明比古 山本 和英 足立 暁 山本 俊幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1004-1010, 1986

Ceftizoxime500mg (力価) を含有する新規の抗生物質坐剤CZX-Sの高齢者における体内動態および尿路感染症に対する有効性・安全性について検討し, 次の成績を得た。<BR>1) CZX-S500mg1回投与後の血清中濃度の平均は投与後30分で0.93μg/ml, 1時間で1.31μg/ml, 6時間後は0.40μg/mlであり, 半減期3.02時間であった。<BR>2) 尿中濃度は0~2時間37.9μg/ml, 2~4時間86.8μg/ml, 4~6時間43.0μg/mlであり, 投与後6時間までの平均尿中回収率は2.15%であった。<BR>3) 臨床成績は有効9例, やや有効2例で, 有効率81.8%であった。<BR>4) 細菌学的効果では, 13株中7株が菌消失し, <I>E.coli, E.aggiomerars</I>などに有効であった。<BR>5) 副作用は認められず, 臨床検査値異常は, 好酸球増多2例であった。<BR>以上の成績より, CZX-Sは抗生物質の経口または静脈内投与に制約・困難が伴う高齢者の尿路感染症に対し有効な薬剤と考えられた。
著者
山本功著
出版者
学陽書房
巻号頁・発行日
2014
著者
山本 健太
出版者
The Tohoku Geographical Association
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.185-206, 2008
被引用文献数
1

本研究の目的は韓国におけるアニメーション産業の集積と特質を企業間取引と労働者の活動実態の分析により明らかにすることである。韓国における当該産業はソウルに集積し, 日本および欧米制作企業からの受注業務が最大の売上額を占める。しかも, 取引および生産の様式が受注先国によって異なる特徴をもつ。日本を主要な取引国とする企業において, 企業間取引は日本の特定制作企業との間に, 相互の信頼関係を重視した固定的取引関係を構築している。日本におけるアニメーションの性質上, 納期は最短で1日と短い。また, 現場での柔軟な対応が要求される。そのため, 企業は労働者をフリーランサーとして雇用することで, 仕事の多寡やスケジュール変更に対応している。フリーランサーの仕事は所属する企業に依存する。また新規参入者の経歴は多様である。そのため彼らの多くは技術的に未熟な状態で参入し, 専門的な技術は現場での人的つながりによって獲得される。労働者がソウルにおいて仕事を継続する理由には, 産業自体への近接性のほか, 仕事仲間の存在や, ともに仕事をしたい労働者の存在が挙げられ, 労働者間のつながりを意識していることが指摘される。一方で, 欧米を主たる取引国とする企業では, 制作企業は多様な関連産業との問で取引をしている。また, 取引に際し, 企業の社会的信用を重視する。自社に対する信用は場所のネームバリューや生産量および資本の安定性によって評価されると考えている。そのため, 制作企業はCBD近隣にオフイスを構える傾向をみせる。これらの企業においてもまた, 多くの労働者はフリーランサーとして雇用される。彼らの就業後の技術習得機会については, 担当職種に応じて多様な機会を選択する。労働者の仕事の受注活動については所属企業外からの受注もみられる。彼らもまた, ソウルにおいて仕事を継続する理由として当該産業への近接性, 仕事獲得の窓口となる仕事仲間とのつながりを重視している。以上のように, 企業間取引および労働市場の特徴から, 韓国におけるアニメーション産業はソウルに集積している。
著者
太田 康嗣 山本 辰久 神吉 正和 松浦 龍基 辻田 圭一
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第17回全国大会
巻号頁・発行日
pp.133, 2002 (Released:2002-09-19)

Since public planning process is now heavily depending upon government officials' personal experiences and skills, sharing knowledge and information of its departments is essential to encourage efficient and logical planning.This paper is focusing on profiles and promising advantages of a bland-new package system "KGM (Knowledge Government Manager) (TM)". KGM integrates major government information systems such as planning, budgeting, staffing and documents database, and also introduces analytical techniques (i.e. operations research). Through these, it is going to support local governments to improve efficiency and to reduce time and/or cost; furthermore, KGM ultimately aims to realize democratic society.
著者
新保 みさ 赤松 利恵 山本 久美子 玉浦 有紀 武見 ゆかり
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.244-252, 2012
被引用文献数
2

【目的】成人を対象とした体重管理の誘惑場面における対策について,ゲームを通して学習できるカード教材「ベストアドバイザーFORダイエット」を開発した。本稿では,カード教材の解説を行うとともに,保健医療従事者によるカード教材の評価を報告する。<br>【方法】2011年7月~10月に開催された市町村の保健医療従事者向けの研修会に参加した66名を対象にカード教材のゲーム式の使い方を実施した。ゲーム終了後に,質問紙を用いてゲームの感想や遊び方,体重管理の教材としての評価,属性をたずねた。また,質問紙の最後に意見や感想を自由記述で記載する欄を設けた。<br>【結果】解析対象者は62名(女性:57名,91.9%)だった。「ゲームは楽しかったですか」,「体重管理の教材として役立つと思いますか」という問いに対してそれぞれ57名(91.9%),49名(79.0%)が「とてもそう思う/そう思う」と回答した。自由記述では,指導者向け</TS><TS NAME="抄録">の教材として利用したいという意見があがった。一方で,教材や遊び方について,ルールや内容が難しいなどの改善すべき点もあがった。<br>【結論】体重管理の誘惑場面における対策に関する学習教材として,肯定的な意見が得られた。あげられた改善点をもとに,教材の見直しを行い,今後は一般成人を対象に実行可能性および教育効果について,検討をする必要がある。
著者
前田 佳一 山本 潤 江口 大輔 桂 元嗣 木戸 繭子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本プロジェクトは文学作品において固有名が有する機能について、中世から現代までのドイツ語圏文学における人名、地名を対象に、個々の作品のケーススタディを通じて検証した。その際には、とりわけ<神話化>ならびに<錯覚形成>という機能に着目した。結論として、文学的固有名には<産出性>、<虚構性>、<否定性>という三つの契機が認められることが明らかとなった。
著者
佐伯 潤 山本 精治 矢部 眞人 長崎 淳一 林 健一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.135-140, 2015-02-20 (Released:2015-03-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

狂犬病予防法は91日齢未満の幼齢犬にワクチン接種義務を課していない.このようなワクチン未接種幼齢犬は,移行抗体による防御免疫を有する場合もあるが,その消失に伴い免疫を失うと考えられる.狂犬病発生時,幼齢犬が本病の拡大や人への伝播に関与する可能性もあるが,国内での抗体保有状況に関する報告は少なく,その実態は明らかではない.そのため,91日齢未満の幼齢犬における狂犬病中和抗体の保有状況を調査し,狂犬病発生時を考え,家庭で飼育されている幼齢犬の狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価の推移を調査した.その結果,中和抗体価8倍以上の幼齢犬は,216頭中34頭と少なかった.幼齢犬への狂犬病ワクチン接種後の中和抗体価は,一時的な上昇にとどまるか,十分に上昇しなかった.しかし,その後の追加接種により感染防御が可能な有効抗体価が得られた.
著者
小林 弘幸 大村 卓矢 山本 知仁
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.233-239, 2015 (Released:2015-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
4

Speech dialogue systems, such as Apple's “Siri,” have gradually become more widespread, and in the near future, a greater number of general users will have the opportunity to communicate with such systems. To facilitate this, it is necessary for the system to communicate more naturally with users, and to realize that both verbal and nonverbal information must be taken into consideration. In this research, using an available speech recognition platform, we have developed simple dialogue system that consider utterance timing and evaluated it. As a result, it is clarified that the mean error of generated pause duration is controlled within 20msec, and the proper fixed pause duration is turned to be 600msec in this system. Moreover, the evaluation of generative models of pause duration showed that the model that synchronized the utterance duration weakly or fixed pause duration (600msec) model tended to get best results.