著者
山本 昌幸 栩野 元秀 山賀 賢一 藤原 宗弘
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.362-367, 2002-05-15
被引用文献数
5 5

1997年4月から1998年9月に瀬戸内海中央部において,たも網により1661塊の流れ藻をすくい,それに随伴していた幼稚魚22科34種10816尾を採集した。流れ藻1塊あたりの幼稚魚の採集尾数と採集された魚類の種数は春に増加し,6月に最高値を示し,秋冬に減少した。春の優占種はクロソイ,メバル,クジメ,夏はアミメハギ,ヨウジウオ,ウマヅラハギ,カワハギ,秋はニジギンポ,アミメハギ,ヨウジウオ,冬はクジメであった。これまでの報告と比較した結果,本海域の幼稚魚相は太平洋より日本海に類似していた。
著者
山本 俊哉 持田 耕平 今井 剛 土師 岳 八重垣 英明 山口 正己 松田 長生 荻原 勲
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 2003-03-01

17種類のマーカーを用いて,交雑育種で育成されたモモ9品種,枝変わり2品種,偶発実生由来5品種の合計16の日本のモモ栽培品種の親子鑑定を行った.交雑育種により育成された9品種では,すべてのSSR座において親の対立遺伝子が矛盾なく子供に伝達されていたことから,親子の関係が確認された.枝変わり品種の「暁星」は,原品種の「あかつき」と全く同じ遺伝子型を示したことから,枝変わりであることが示唆された.一方,枝変わり品種とされる「日川白鳳」では,原品種の「白鳳」と比較して,12ヶ所のSSR座で異なる遺伝子型を示した.このことから「日川白鳳」は「白鳳」の枝変わりではないことが明らかとなった.偶発実生由来と考えられている4品種「阿部白桃」,「川中島白桃」,「高陽白桃」,「清水白桃」では,各SSR座で推定親の「白桃」の対立遺伝子の一方を持っていた.これらの結果から,この4品種は,枝変わりではなく,「白桃」の子供であることが示唆された.以上のことから,SSRマーカーは,限られた遺伝資源に由来しているとされる日本の栽培モモ品種の親子鑑定に有効に利用することができた.
著者
山本 英貴
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.117, no.4, pp.539-560, 2008-04-20

This article attempts to clarify the process of writing and copying the diary of the Tokugawa Shogunate through an analysis of the Keeper of the Diary (Nikki-gakari 日記掛) and comes to the following conclusions. To begin with, the office of Diary Keeper was created sometime between 1737 and 1746, consisting of one supervisor and two assistants. The Keeper was to direct the various Bakufu offices to submit to him reports of their activities and then hand them to the Diary Secretariat (Nikki-Kata Omote-Yuhitsu 日記方表右筆) for entry into the Bakufu diary. This secretariat was looked after by one supervisor and one assistant rotating on a monthly basis, and the system which lasted until at least 1822. Secondly, since no copies of the Bakufu dairy existed at the time the Keeper was set up, the office issued a report in 1791 describing the reproduction of the diary and how much of it had been preserved or lost. Consequently a project was launched to copy the extant parts of the diary, with talented scribes from outside the office specially assigned to copy the content recorded between 1631 and 1790. From that time on, the Keeper and Diary Secretariat cooperated in making the copies, thus marking a significant change in how the Bakufu dairy was recorded. Another copying project was conducted during the Koka 弘化 Era (1844-47) when the Ohikaecho 御扣帳 copy of the dairy was completed.
著者
山本 晋
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.133-144, 2003-05-10

大気境界層は大気と陸面間の熱的,力学的相互作用と物質交換に重要な役割を持っている。そこでタワー,飛行機などを観測プラットホームとした野外観測により,陸面と大気間の熱,運動量,微量物質の交換過程,大気境界層の構造を解明してきた。研究の成果は大きく分けると1)大気境界層の構造の解明とそこでの大気汚染物質の拡散モデル構築,2)地球温暖化問題との関わりでは二酸化炭素の循環,収支の解明と森林生態系のC0_2吸収能の評価に応用されてきた。第1の課題では飛行機観測においては晴天時,日中に平坦陸地上に形成され,高度1500m程度に及ぶ混合層の解析を中心に行った。高タワー観測においては,観測高度が300m程度までであることを考慮して,晴天時の夕方から夜半にかけて高度200m以下に形成される安定接地境界層と早朝から日中にかけての比較的低高度の現象である安定接地境界層解消・混合層形成初期過程を重点的に調べた。第2では大気と森林生態系間のC0_2正味交換量(NEE)を野外でのタワー観測に基づき調べ,NEEと気象条件の関係, NEEの季節・年々変化を解明した。岐阜県高山の冷温帯落葉広葉樹林での1993年からの観測ではNEEは平均1.8tC/ha/年であるが,その年々変動は大きい。なお,日本の代表的な森林での観測から2から5 tC/ha/年程度という結果が得られているが,これらの結果は温帯林がC0_2の吸収源であることを示している。しかし,陸上植物生態系のグローバルな吸収・固定量を推定するには,気候,緯度などの異なる諸地域での多様な植物種に対する結果を更に集結し,総合的に解釈することが必要である。
著者
坂本 公也 永田 真 保谷 功 井上 憲一 木内 英則 坂本 芳雄 山本 恵一郎 土肥 豊
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.840-845, 1993

十分量のステロイドを含む薬物療法によっても鎮静し得ず, therapeutic awakeningを試みることにより改善が得られた気管支喘息の1例を経験したので報告する。症例は33歳の女性で17歳発症の気管支喘息である。重積発作のため近医へ入院したが, 症状の改善が得られず当科へ転送となった。種々の治療により喘息症状の軽快が得られ, 順調に経過していたが, 再度早朝から始まる喘息発作が頻発するようになった。就寝前の気管支拡張剤およびプレドニゾロンの十分量の投与等を行ったが, 喘息発作の改善は得られなかった。therapeutic awakening, すなわち患者を午前3時に治療的に静かに覚醒させサルブタモール2.5mgの吸入投与を行ったところ, 自覚症状および理学的所見の速やかかつ著明な改善が得られた。治療抵抗性のmorning dippingに対して, therapeutic awakeningは試みる価値のある治療手段の1つであると考えられた。
著者
津村 宣彦 櫻木 範明 晴山 仁志 野村 英司 大河内 俊洋 山本 律 武田 直毅 西谷 雅史 平畠 功二 藤野 敬史 大久保 仁 佐藤 力 牧野田 知 川口 勲 藤本 征一郎
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.508-514, 1996-07-01

骨盤リンパ節 (PLN) および傍大動脈リンパ節 (腹大動脈節: PAN) を含む系統的後腹膜リンパ節郭清 (RPLND) を行った原発性上皮性卵巣癌137例の手術治療について後腹膜リンパ節 (後腹膜LN) の部位別転移頻度を求めた。137例のうち, 97例は化学療法施行前の初回手術時に, 40例は化学療法施行後の二次的手術 (secondary cytoreductive surgery) の際にRPLNDを行った。本研究で用いた臨床進行期は後腹膜LN転移所見を考慮せずに術中の腹腔内所見だけに基づいて決定した暫定的進行期である。得られた結果は以下のとおりである。1. 後腹膜LN転移は137例中30例 (21.9%) に認められた。PLNのみの転移が13例, PLNおよびPAN両方に転移を認めたものが11例あり, PANのみの転移が6例あった。2. 部位別のLN転移頻度はPANが12.4% (17/137) と最も多く, ついで総腸骨節, 閉鎖節, 外鼠径上節などと続いた。3. 化学療法施行前の初回手術時にRPLNDを行った症例における孤立性のLN転移はPANあるいは総腸骨節に認められた。4. PLN転移陽性24例のうち, PAN転移陽性例のPLN 転移部位数は5.27±3.00 (mean±SD) であり, PAN転移陰性例のPLN転移部位数2.62±1.66との間に有意差 (p<0.05) を認めた。これらの結果は卵巣癌のLN転移部位としてPANおよび総腸骨節が最も重要であること, PANとは独立して閉鎖節や内腸骨節などのPLNに転移が起こること, さらにPAN転移は直接の経路によるほかにPLN転移の拡大の結果として起こることを示している。したがってLN転移の有無を明らかにするためにはPANおよびPLN両方の系統的検索が必要と思われた。
著者
山本 篤志 松本 達郎 片江 伸之 木村 晋太
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.39-40, 1994-09-20
被引用文献数
3

当社では,音声合成システムの研究開発を行なっており,これまでに,通常の文章を自然に読み上げるシステムを開発した。今回は音楽,ゲームなどのアミューズメント分野への応用として,この音声合成システムをベースとした歌唱合成システムを開発した。このシステムの特徴は,以下のとおりである。・自然音声を分析して得られた歌唱モデル(遷移モデル,ビブラートモデル,ゆらぎモデル)が組み込まれており,自然な歌声の合成が可能である。・合唱の合成が可能である。
著者
山本 みゆき
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.57-63, 1992-01-01
著者
小林 宏行 河合 伸 押谷 浩 酒寄 享 小池 隆夫 大西 勝憲 斎藤 玲 中山 一朗 富沢 磨須美 大道 光秀 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 荒川 正昭 和田 光一 岡 慎一 稲松 孝思 増田 義重 島田 馨 柴 孝也 吉田 雅樹 佐藤 哲夫 林 泉 宍戸 春美 赤川 志のぶ 永井 英明 渡辺 尚 馬場 基男 松本 文夫 桜井 磐 嶋田 甚五郎 堀 誠治 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 健一 平居 義裕 石丸 百合子 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 俊信 下方 薫 齋藤 英彦 成田 亘啓 三笠 桂一 三木 文雄 二木 芳人 副島 林造 澤江 義郎 仁保 喜之 大泉 耕太郎 市川 洋一郎 徳永 尚登 原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 伊藤 直美 松本 慶蔵 永武 毅 宇都宮 嘉明 力富 直人 那須 勝 山崎 透 斎藤 厚 普久原 浩 広瀬 崇興 佐藤 嘉一 熊本 悦明 河村 信夫 岡田 敬司 稲土 博右 守殿 貞夫 荒川 創一 宮崎 茂典 大森 弘之 公文 裕巳 小野 憲昭 渡辺 豊彦 村田 匡 熊澤 淨一 松本 哲朗 尾形 信雄 高橋 康一 天野 拓哉 中村 元信 山本 松男 清水 武昭 岩井 重富 国松 正彦 大塚 一秀 中川 良英 渡辺 哲弥 松山 秀樹 杉山 勇治 中山 一誠 品川 長夫 真下 啓二 真辺 忠夫 木下 博明 森本 健 久保 正二 藤本 幹夫 上田 隆美 岩佐 隆太郎 横山 隆 児玉 節 津村 裕昭 松田 静治 保田 仁介 山元 貴雄 岡田 弘二 遠藤 重厚 山田 裕彦 高桑 徹也 斎藤 和好 相川 直樹 田熊 清継 藤井 千穂 福田 充宏
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.846-871, 1997-10-25
被引用文献数
7
著者
召田 成美 塚村 浩二 山本 雄次 古謝 三行
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.83-116, 1983-03

この報告は第20次南極地域観測越冬隊気象部門が, 1979年2月1日から1980年1月31日まで, 昭和基地において行った地上および高層気象観測の結果をまとめたものである。観測方法, 設備, 結果の取り扱い等はほぼ19次隊と同じである。越冬期間中特記される気象現象としては, 次のものがあげられる。1) 秋から冬のはじめにかけて, ぐずつき気味の風の強い日が多く, 特に4月の月平均風速は累年平均(1957年-1979年)を3.2m/sも上まわった。2) ブリザードは平年とほぼ同数襲来したが, 長続きするものは少なく, 天気の回復が早かった。3) 6,7月の平均気温が累年平均より2℃以上低く, 年間の変化傾向が「なべ底型」に近かった。4) 成層圏の突然昇温が平年より1ヵ月も早く現れた。5) 9月から12月にかけ長い周期で天気が変化し, 特に9月下旬から10月下旬, 11月下旬から12月下旬にかけては1ヵ月以上好天が持続した。
著者
内藤 貴志 塚田 敏彦 山田 啓一 山本 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.2019-2026, 1998-09-25
被引用文献数
16

車両を対象とした認識には, 車両の検出と車種の認識および車両の同定がある.車両の同定は車両そのものを特定することで, その代表的なものは車両のナンバープレート認識である.ナンバープレート認識は, これまでの交通流計測から, これからは有料道路における課金のための車両同定, 駐車場における契約車両の判定, 更に特定車両の到着監視などへの応用展開が期待されている.筆者らは, これらへの適用を考え, 直射光のあたる昼間から低照度の夜間まで環境の明るさが広く変化する条件下で, 走行中の車両に対してもぶれが少なく, かつハレーション部のない画像を得るための撮影方式を開発した.本方式は, 入射光をビームスプリッタにより光強度が異なるように透過光と反射光の2方向に分光し, それをそれぞれのCCD素子で撮影した2枚の画像を合成して, 移動物体でも画像のぶれなく, かつ広いダイナミックレンジの画像を得るものである.試作した撮像装置では, 1.5×10^4のダイナミックレンジをもつシーンをシヤッタースピード1/1000秒で高速に撮像することができる.併せてナンバープレート認識手法を開発し, 試作した撮像装置を用いたナンバープレート認識のプロトシステムも開発した.このシステムは466枚の走行車両画像に対して98.7%の認識率を達成し, ナンバープレート認識システムとしても有効であることが示された.