著者
元山 宏行 榎本 大 安田 隆弘 藤井 英樹 小林 佐和子 岩井 秀司 森川 浩安 武田 正 田守 昭博 坂口 浩樹 河田 則文
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1234-1239, 2008 (Released:2008-08-05)
参考文献数
16
被引用文献数
4

症例は37歳の女性.肥満症に対し薬局で購入した防風通聖散を約1カ月間服用していた.服用開始から約2カ月後に黄疸を主訴に来院し,肝機能異常を認め入院となった.肝生検では門脈域と小葉内に炎症細胞浸潤を認めたが線維化は乏しく急性肝炎と診断した.防風通聖散についてリンパ球刺激試験は陽性であり,成分別ではトウキ,センキュウ,ハッカが陽性であった.DDW-J2004のスコアリングにより薬物性肝障害と診断した.
著者
小嶋 信博 岡 壽士 宮山 信三 浜井 直人 岩井 裕子 木村 一雄
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.601-604, 1987-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

経肛門的直腸異物を2例経験したので報告する, 症例1: 25歳, 男性。自慰行為にてウイスキーのミニボトルを経肛門的に挿入.腰椎麻酔下にて非観血的に異物を抜去したが, 術後2日目になって腹膜刺激症状, 腹腔内遊離ガス像が出現開腹手術を施行し, 直腸前壁に穿孔を認めた, 症例2: 36歳, 男性自慰行為にてシャンプー瓶を経肛門的に挿入, 腰椎麻酔下にて非観血的に異物を抜去し, 術後経過は順調であった.本邦においては経肛門的異物の報告は少いが, 今後は増加することが予想され, その治療には苦慮する点も多い.われわれの経験した2症例に若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
井上 明星 板橋 健太郎 濱中 訓生 井本 勝治 山﨑 道夫 坂本 力 岩井 崇泰 川上 光一 小林 久人 村田 喜代史
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.99-106, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
15

[背景]Fibromatosis colliは新生児の頸部腫瘤で斜頸の原因となる疾患である.過去に多くの画像所見が報告されているが,その画像所見は日齢に応じて変化する可能性がある.[目的] 本研究の目的はfibromatosis colliのUSとMRIの画像と検査時の日齢をと画像所見を検討し,その多様性を明らかにすることである.[対象と方法]対象は臨床的にfibromatosis colliと診断された13症例(M:F=6:7)である.超音波検査が12例に対して21検査(8例に1検査,1例に2検査,1例に3検査,2例に4検査),MRI検査が5例に対して7検査(3例に1検査,2例に2検査)が行われていた.USでは,長軸像における患側の胸鎖乳突筋の最大径,健側と比較した胸鎖乳突筋の輝度,筋束の不連続性,胸鎖乳突筋内の低輝度域,MRIでは胸鎖乳突筋の最大径,T2WIでの胸鎖乳突筋の高信号域のパターン(斑状またはびまん性),胸骨頭および鎖骨頭の腫大の有無を評価した.4例のUS,2例のMRIについて画像所見の推移を評価した.[結果]USが行われた12例中,胸鎖乳突筋の高信号を12例,筋束の不連続性を4例,胸鎖乳突筋内の低輝度を8例に認められた.MRIが行われた5例中,斑状高信号が2例,びまん性高信号が3例,胸骨頭の腫大が4例,鎖骨頭の腫大が1例に認められた.胸鎖乳突筋の最大径と検査時の日齢の間に有意な相関を認めなかった(R=0.111).USでの経過観察で,胸鎖乳突筋の輝度は4例中2例,筋束の不連続性は1例中1例,胸鎖乳突筋内の低輝度域は4例中2例で改善を認めた.[結論]Fibromatosis colliのUSおよびMRI所見は時間経過とともに変化すると考えられた.
著者
森勢 将雅 藤本 健 小岩井 ことり
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.1523-1531, 2022-09-15

本論文では,統計的歌声合成に向けた日本語の歌唱データベース(以下ではデータベースをDBと呼称する)を構築した結果について報告する.歌唱DBは歌声のジャンルを統一して構築することが望ましく,著作権上の問題を勘案し,従来は著作権の切れた童謡が用いられてきた.一方,2019年に改訂された著作権法第三十条の四に基づき,利用条件に制約があるものの,既存の楽曲を用いた歌唱DBを研究者向けに公開する動きもある.本研究は,さらに利用条件を緩めるため,従来の歌唱DBと同程度の規模ですべてオリジナルの楽曲で構成される新たな歌唱DBを構築する.構築する歌唱DBでは,音高,音高遷移,音符の長さや,日本語で出現するモーラを幅広くカバーすることで,様々な楽曲の合成に対応できることを目指す.既存の歌唱DBと比較してカバーするモーラの種類が多いことを確認し,エントロピーによる評価では,全項目で最高値ではないものの,良好な結果を達成した歌唱DBであることが示された.
著者
岩井 洋 広沢 俊宗 井上 義和
出版者
関西国際大学
雑誌
関西国際大学地域研究所叢書
巻号頁・発行日
vol.3, pp.41-48, 2006-03

本稿は、社会人を対象としたインターネット調査から、日本のプロ野球における、阪神ファンと巨人ファンに対するイメージの違いを明らかにしようとするものである。特に、阪神ファンと巨人ファンに対する、阪神ファンあるいは巨人ファンの自己イメージと、他球団ファンからみた阪神ファンと巨人ファンのイメージを明らかにする。また、アンチ巨人傾向についても、球団別に分析する。加えて、同じ質問項目を使用し、大学生を対象として行なった調査の結果との比較も試みている。
著者
林 美佳 神田 隆善 佐藤 直美 岩井 恵美 棟方 哲
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.229-234, 2008 (Released:2008-09-27)
参考文献数
13

成熟嚢胞性奇形腫は外胚葉,中胚葉,内胚葉の成分を有し,卵巣良性腫瘍のうちでもっとも一般的な疾患である.しかし,その1型である胎児型奇形腫は非常にまれな疾患であり,文献的にも本例を含め28例の報告しかない.われわれは成熟嚢胞性奇形腫の診断で手術を施行したが,手術後に胎児型奇形腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は22歳の未妊婦で月経過少を主訴に外来を受診した.初診時超音波画像で径2.0cm大の卵巣腫瘍を認めた.成熟嚢胞性奇形腫と卵巣機能不全の診断で3ヵ月毎に経過観察およびホルモン療法を施行していた.4年間で腫瘍が径5.0cm大としだいに増大し,さらにその3ヵ月後径7.0cm大と急激に増大してきたため腹腔鏡手術を施行した.摘出標本は径5.0cm×7.0cm大の嚢胞性腫瘤で,内部に充実性部分を有していた.充実性部分は頭部,体幹,四肢様構造をもち胎児に類似していた.組織学的には脳,脊椎,皮膚,毛髪,歯牙,骨,気管,消化管さらに骨格筋などを認めた.胎児型奇形腫の診断で現在外来で経過観察中である.また胎児型奇形腫と類似した形態を示す封入奇形腫,卵巣妊娠との相違点,胎児型奇形腫の発生についても文献的考察を加えた.〔産婦の進歩60(3):229-234,2008(平成20年8月)〕
著者
今井 裕一 岩井 久和 水谷 稔 春日井 邦夫
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.219-226, 2019 (Released:2019-05-18)
参考文献数
23

慢性便秘症で薬物治療中の血液透析患者28例を対象として, 結晶ラクツロース製剤を4週間上乗せ服薬した時の便秘に対する作用および安全性を検討した. 有効性については, 完全な自発排便回数は服薬1週から増加傾向を示し, 4週では有意な増加であった. 便の硬さは服薬1週から有意に改善し, 服薬3週および4週において作用は持続した. また便秘症の重症度については, 服薬開始前の重症度0の被験者は0例, 服薬4週では重症度0は11例と著明に増加した. また, 腎機能の指標であるBUNおよびCrは服薬により有意な低下がみられた. 安全性については, 死亡例はなく, 1例が下痢のため中止となったが, 軽症で服薬中止により回復した. 以上の成績から, 結晶ラクツロース製剤は, 慢性便秘症を有する血液透析患者に対し安全で有用である.
著者
広沢 俊宗 井上 義和 岩井 洋
出版者
関西国際大学
雑誌
関西国際大学地域研究所叢書
巻号頁・発行日
vol.3, pp.29-40, 2006-03

本研究は、20代から50代までのプロ野球ファン各200名、計800名を対象にインターネット調査を実施し、ファン心理、応援行動、および集団所属意識の構造を明らかにすることを目的としたものである。ファン心理は、『尊敬・憧れ』『共依存的感情』『ファン・コミュニケーション』『熱狂的ファンの弱さへの両価感情』『疑似恋愛感情』『不安定性への魅力』『メジャー志向』『Bクラス的戦力への魅力』『強さへの魅力』の9因子、応援行動は、『直接的応援行動』、『メディ接触型応援行動・優勝便乗』、『批判的・分析的応援行動』の3因子、集団所属意識は、『準拠集団的意識』、『独自意識』、『親近感・愛着意識』の3因子が抽出され、大学生調査(広沢・小城,2005b)の結果と比較検討された。
著者
JAEA大洗プルトニウム 汚染事故ワーキンググループ 岩井 敏 佐々木 道也 桧垣 正吾 山西 弘城 甲斐 倫明
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.271-281, 2018 (Released:2019-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

On June 6, 2017, in the hood of the analyzing room at Plutonium Fuel Facility of Oarai Research and Development Center in Japan Atomic Energy Agency, five workers were checking the storage container of fast reactor nuclear fuel material. Around 11:15 a.m., vinyl bags in the container of the fuel material including plutonium and enriched uranium burst during the inspection work. All the workers heard the bang; which caused misty dust leakage from the container. This event caused significant skin α-contamination for four workers and nasal cavity α-contamination for three workers. Decontamination was conducted for workers in the shower room. Then, the five workers were transferred to the Nuclear Fuel Cycle Engineering Laboratory to evaluate inhalation intake of plutonium etc. in lungs. The maximum values of 2.2 × 104 Bq for 239Pu and 2.2 × 102 Bq for 241Am were estimated by the lung monitor. From these results, injection of chelate agent was conducted for prompt excretion of plutonium etc. Next morning, the five workers were transferred to the National Institute of Radiological Sciences for treatments including decontamination of their skin and measurement by lung monitor. Then no obvious energy peak was confirmed for plutonium. The Japan Health Physics Society launched the ad-hoc working group for plutonium intake accident around the middle of June to survey issues and to extract lessons on radiological protection. We will report the activity of the working group.
著者
山本 郁男 井本 真澄 岩井 勝正
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
no.5, pp.241-245, 2004-03

This paper deals with Cannabis which was produced in Hyuga (Miyazaki Prefecture). Although Cannabis, so called Marijuana, has been prohibited as one of abused drugs by Japanese Government in the present time, it was widely used as fiber materials until now. We examined the historical status, production, circumstances, and product materials for Cannabis fiber in Hyuga. As result, it was found that Hyuga areas also produced Cannabis fiber as famous economical goods through Edo. Meiji, Taisho and the middle of Showa periods in all districts of north Miyazaki, especially at Takachiho, Gokase and Hinokage. However, after World War II, only a few farmers in Hyuga cultivated until about fifty years ago these plants under the permission of Japanese Government according to Cannabis control low.
著者
滝澤 恵美 小林 育斗 川村 紗世 岩井 浩一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11546, (Released:2019-06-05)
参考文献数
40
被引用文献数
5

【目的】本研究は,運動器検診の項目であるしゃがみ動作の可不可,さらに下肢の関節間協調性に関連する要因を調べた。【方法】小学生47 名を対象に,踵接地でしゃがみ動作の可不可を確認した。動作中の膝関節に対する股関節の屈曲角度の変化率が一定であることを表す直線からの偏差を二乗平均平方根で計算し,この値を関節間協調性の指標とした。独立変数として,年齢,性,疼痛・傷害歴,スポーツ活動,生活様式(寝具の種類),身体特性(下肢長,肥満度,足関節背屈の角度および筋力,長座体前屈距離)を調べ,ロジスティック回帰分析または重回帰分析を行った。【結果】しゃがみ動作が不可であった児童は12 名(25.5%)であり,疼痛・傷害歴,肥満度,長座体前屈距離が有意に影響した。膝関節と股関節の関節間協調性は年齢のみが関連した。【結論】児童において,しゃがみ動作の可不可は身体構造の状態を反映し,下肢の関節間協調性には発達による変化が現れる。
著者
底田 辰之 澤井 俊宏 岩井 勝 野村 康之 竹内 義博
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.55-59, 2007-04-15 (Released:2007-11-15)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

症例は8歳,男児。3歳時に自閉症と診断され,養護学校に通学中である。平成17年11月16日,生来初めてのインフルエンザHAワクチンの接種を受けた。接種3日後より発熱があり,近医にて解熱剤,抗生剤を処方されていた。改善がないため再診したところ,強い炎症反応がみられたため入院となった。熱源不明のまま抗生剤投与を続けられたが,発熱の持続とともに急激な腎機能低下が判明したため当科に紹介入院となった。軽度の尿異常および尿中β2ミクログロブリンの著明な高値などから急性尿細管間質性腎炎を疑い,持続血液濾過透析を行いながらステロイドパルス療法を実施したところ,透析開始後6日目で利尿が得られ,以後順調に回復した。腎生検の結果から急性尿細管間質性腎炎であることを確認した。患児に投与された種々の薬剤を抗原としてリンパ球幼若化試験を実施したところ,インフルエンザHAワクチンの関与が疑われた。
著者
岩井 琢磨 牧口 松二
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.107-117, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
4
被引用文献数
1

このケースでは,年間4億本という売上本数を誇る氷菓「ガリガリ君」に注目する。「ガリガリ君」は,赤城乳業から1981年に発売されたロングセラーブランドである。赤城乳業は2004年から,同商品のパッケージ・キャラクター「ガリガリ君」のマーケティング活用を積極化している。以降,新味追加などの契機に話題を発信し,氷菓「ガリガリ君」の売上本数を,2004年の1億本台から2013年の4億本台へと成長させている。この間の「ガリガリ君」のマーケティングを担当したのが,現在は赤城乳業株式会社 執行役員 開発本部本部長代行である萩原史雄である。荻原は1995年に赤城乳業に入社,営業として販売現場に立ち,販売企画課を経て2004年に営業統括部(マーケティング担当)を設立した。さらに2006年にはキャラクター「ガリガリ君」をマネジメントする「ガリガリ君プロダクション」を設立し,2013年にはマーケティング部を設立した。正に「ガリガリ君」を核とした取り組みによって多くの生活者による語りを生み出してきた人物である。このケースでは,萩原に対する2018年の取材および2020年の講演に基づき,赤城乳業が氷菓「ガリガリ君」を成長させたマーケティング活動のプロセスについて見る。
著者
石黒 寛人 岩井 紀子
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.177-186, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
32

都市の騒音や光は、野生動物の繁殖成功を阻害しうる。カエルは都市に生息し、繁殖の際、鳴き声によってオスがメスを誘引することや、夜間に繁殖を行うことから、都市の騒音や光の影響を受けやすい可能性がある。本研究では、都市の水場において、カエルの繁殖地選択と繁殖地内の産卵場所選択に対する、騒音や光の影響を明らかにすることを目的とした。日本の都市部に生息するカエルのうち、アズマヒキガエルとニホンアマガエルを対象とし、前者で62ヶ所、後者で69ヶ所の水場において、カエルによる繁殖地利用を踏査とレコーダーを用いて明らかにした。それぞれの種について、水場における繁殖地としての利用を、騒音と照度を含む10項目の環境条件によって説明する一般化線形混合モデルを作成し、モデル選択を行なった。その結果、ベストモデルにおいて、水場の繁殖地としての利用有無を説明する要因として騒音は選択されなかったが、照度は2種ともに負の影響として選択された。さらに、繁殖地を選択した後の産卵場所選択における騒音と光の影響を明らかにするため、網で囲った実験区内に2つの水場を設置し、片方から騒音(交通騒音、人間の足音)または光(弱光、強光)を発生させる操作実験をニホンアマガエルについて行なった。実験区中央に放した抱接ペアによる産卵場所の選択回数は、4つの実験全てで条件間に有意な差は認められなかったが、人間の足音の実験においては、騒音源が設置されていない水場を選択する傾向が見られた。本研究から、都市の水場におけるカエルの繁殖地利用に対し、照度は負の影響を与えることが示された。抱接後のカエルにとっては、騒音や光の影響は小さいが、騒音の質によっては影響がみられる可能性が示唆された。