著者
清水 政明 柿木 重宜 冨田 健次 川口 健一 岩井 美佐紀 春日 淳 田原 洋樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、現在日本における学習者人口が日々増加の一途をたどるベトナム語の学習成果を客観的に測定する基準を策定するべく、その検定試験の内容・形態・評価方法を確定するための基礎的研究を遂行した。ベトナム本国において教育・訓練省が策定する海外在住ベトナム人のベトナム語能力測定基準案等を参照し、ベトナム本国との連携関係を保持しながら徐々に改良・発展させることが可能な形態を有する検定試験の制定を目標とした。
著者
岩井 茂樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.31, pp.69-114, 2005-10-31

現在、能といえばすぐさま「幽玄」という言葉が想起されるほど、両者は固く結びついている。なるほど、世阿弥が残した能楽書には「幽玄」という言葉がたびたび使われている。だが、「幽玄」は、能の世界では長らく忘れ去られていた言葉であった。それでは、能と「幽玄」は、いつから、どのようにして、結びついたのだろうか。本論稿はこの点を明らかにすることを目的とする。
著者
岩井 洋 角嶋 邦之 川那子 高暢
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.600-609, 2012-11-10 (Released:2012-11-20)
参考文献数
48

MOSFET is a key component for integrated circuits which controls and helps the human activities in modern society. The demands for high performance and low power MOSFETs become stronger and stronger with the progress of smart society. Gate stack is the most critical element of the MOSFETs which controls its operation. In this report, after the explanation of the overall basics of the gate stack technology, recent status of the gate stack R & D are reviewed, focusing on that for high-k/metal gate stack.
著者
岩井 紀子
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.30-42, 2011
被引用文献数
5

本稿は,Japanese General Social Surveyのデータを基に日本の家族の変化をとらえ,現状を把握し,今後の方向について考える資料を提供する.2000年から2010年までに継続的に尋ねた85項目を14分野に分けて変化のトレンドを記述する:婚姻状態,同居世帯員,世帯構成,就労・所得,夫婦の働き方,階層意識,結婚観,性別役割意識・夫婦別姓,子ども観,セクシュアリティ,育児・介護の社会化,家族生活,墓についての意識,満足度・幸福感.個人も家族も,雇用情勢の変化に振り回されながらも,強い不満を抱くことなく,現実に向き合っている.若年層の無職・非正規雇用が拡大し,未婚率を押し上げ,未婚成人子の親との同居が増加した.女性の就業率は全体として高まり,M字の谷が浅くなった.高齢者の生活保障と介護の社会化に続いて,育児・教育の社会化が望まれている.若年層と女性の就労の変化が,家族の今後に与える影響は大きく,税制と雇用政策と福祉の全体像の改革に左右される.
著者
岸本 寛史 小島 一晃 原武 麻里 藤原 和子 岩井 真里絵 石丸 正吾 金村 誠哲
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.911-915, 2014 (Released:2014-09-02)
参考文献数
2

アブストラル®舌下錠は, フェンタニルの速放製剤と位置づけられるが, その用法・用量の調整は, 従来のオピオイド製剤と異なる点が多い. 留意点として, 本剤の増量がレスキュー・アップであることを意識した用量調整, ベース量に見合った1回投与量の上限の目安の設定, レスキュー投与と追加投与の区別, その間隔や回数についての制限の周知, コストなどが挙げられる. これらを鑑みて, 当院では, 原則として経口摂取が難しくなってきた患者で持続注射が導入されていない入院患者を適応とした. 緩和ケアチーム・薬剤部・看護部が協力して上記留意点の周知を図った. 医師向けの講習会を診療科ごとに開催し, 講習を受けた医師のみが処方できるライセンス制を導入し, 医師から看護師への指示を標準化した. また, 看護師をはじめとする医療スタッフ向けに10回の勉強会を開催した. 処方後は, 薬剤部と緩和ケアチームによるモニタリングも行う体制を整えた.
著者
岩井 雅子 広瀬 侑 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.575-582, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の一種として,相同組換による遺伝子操作がよく整備されているものが多いが,重要な種でも形質転換できないものもある.代表的な形質転換のプロトコルとともに今後の展望を述べる.
著者
丸笹 直子 岩井 大 吉永 和仁 泉川 雅彦 金子 明弘 立川 拓也 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.237-241, 2001-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11
被引用文献数
4

1988年1月から1997年8月までに, 関西医大耳鼻咽喉科で全身麻酔下に口蓋扁桃摘出術を施行された725例を対象とし, このうち術後出血例につき検討した.その結果, 11例 (1.5%) で術後出血が見られ, 6例 (0.8%) は再度の全身麻酔が必要な症例であった.習慣性扁桃炎の11~20歳の年齢層に術後出血が生じやすく, 出血部位は左に多く, 出血時期は術後24時間以内に多く見られた.扁桃摘出術に際し, こうした事項の認識が重要であると考えた.
著者
赤嶺 淳 長津 一史 安田 章人 落合 雪野 浜本 篤史 岩井 雪乃
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ゾウ類や鯨類など環境保護運動のシンボルとして表象(エコ・アイコン化)された特定の稀少生物と、そうした野生生物が生息する生態空間(生態資源)を資源としてツーリズム振興をはかろうとする人びとの動態を、①東南アジアとアフリカ、日本でのフィールドワークにもとづき批判的に検証し、②エコ・アイコン化された野生生物のみならず、そうした生物群を利用してきた人びとの生活様式・生活文化の保全を目的に、観光振興の可能性を展望した。本研究が目指すmulti-sited approachの実践例として、ラオスにおいて野生生物の利用者と(調査者をふくむ)多様な利害関係者間の対話を創出し、研究成果の社会還元をおこなった。
著者
有田 真己 万行 里佳 岩井 浩一
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11118, (Released:2016-02-29)
参考文献数
25

【目的】施設および在宅での運動を想定した場合,それぞれ実施する自信の差を運動種目別に明らかにし,差の大きさを効果量により判定する。さらに,各運動種目を実施する自信と行動の予測因子である自己効力感(以下,SE)との関連について明らかにする。【対象】要支援・要介護者114 名を対象とした。【方法】施設および在宅での運動を想定した場合,各運動種目を実施する自信について5 件法で調査した。また,在宅運動SE 尺度(以下,HEBS)を用いて,SE の程度を得点化した。【結果】在宅を想定した場合における運動の自信は施設と比較し有意に低く,効果量は高値を示した。各運動種目すべてにおいても同じく有意に低い結果となった。運動種目別の自信の量とHEBS 得点は有意な正の相関を示した。【結語】受け入れやすさおよび自信といった心理指標を用いることで,より対象者に適した運動内容の作成へとつながることが示唆される。
著者
岩井 信彦 山下 和樹 長尾 賢治 大川 あや
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100164-48100164, 2013

【はじめに】ADLの回復過程において潜在的な活動能力と実際の生活の中で行っている活動レベルに差が生じることを経験する。前者は「できるADL」後者は「しているADL」と称され、この二面性は「リハ総合実施計画書」にも評価項目として組み込まれている。今回、脳卒中と大腿骨頚部骨折患者のいわゆる「しているADL」と「できるADL」を機能的自立度評価法(FIM)にて評価し、双方の得点の比較からADLの二面性、格差発生の特性を調査し考察を加えたので報告する。【対象と方法】2005 年4 月から2012 年3 月までに回復期リハ病棟に入院した脳卒中患者391 例、大腿骨頚部骨折患者229 例を対象とした。実行状況ADL(実行ADL)をFIMで評価した。療法士の監視下のもと理学療法室など特定の環境で遂行可能なADLを潜在的活動能力(潜在的ADL)とし同様にFIMで評価した。得点の差の検定はWilcoxonの符号順位和検定を用い、有意水準を5%未満とした。ADL難易度はRasch分析にて求めた。Rasch分析は数値で表された順序尺度を間隔尺度に変換し、課題の難易度を数値化する解析手法である。また、FIM運動13 項目に関し得点に差のあった症例数の全症例に対する割合(格差率)を求めた。【結果】脳卒中は男性189 名、女性202 名、平均年齢74.8 ± 11.5 歳、脳梗塞258 例、脳出血110 例、くも膜下出血23 例、発症から入棟まで44.0 ± 16.8 日、入院時FIM運動13 項目合計点は潜在的ADL 43.4 ± 26.0 点、実行ADL 41.7 ± 25.6 点であった。大腿骨頚部骨折は男性44 名、女性185 名、平均年齢80.9 ± 10.7 歳、内側骨折132 例、外側骨折97 例、発症から入棟まで35.3 ± 14.2 日、潜在的ADL 51.1 ± 22.0 点、実行ADL 49.5 ± 22.2 点であった。脳卒中FIM得点は運動13 項目何れも潜在的ADLの方が高く、統計的にも有意差があった。難易度は実行ADLでは低い順に食事、ベッド移乗、整容、排便コントロール、排尿コントロール、上半身更衣、トイレ移乗、トイレ動作、下半身更衣、歩行/車椅子、清拭、浴槽移乗、階段で、潜在的ADLではベッド移乗と整容、排尿コントロールと上半身更衣の順位が入れ替わっていた。大腿骨頚部骨折の得点も同様に何れも潜在的ADLの方が高く、統計的にも有意であった。難易度は実行ADLでは食事、整容、上半身更衣、排便コントロール、ベッド移乗、排尿コントロール、トイレ移乗、トイレ動作、下半身更衣、歩行/車椅子、清拭、浴槽移乗、階段の順に高かった。潜在的ADLの順位も同様であった。脳卒中ADL格差率は食事6.4%、整容10.0%、清拭7.4%、上半身更衣14.6%、下半身更衣9.2%、トイレ動作10.0%、排尿コントロール3.3%、排便コントロール2.0%、ベッド移乗7.9%、トイレ移乗9.5%、浴槽移乗3.8%、歩行/車椅子9.7%、階段9.5%であった。格差率が高かった上半身更衣、整容、トイレ動作、歩行/車椅子ではFIM評価7 段階のうち3 で格差が発生している症例が多かった。大腿骨頚部骨折の格差率は食事2.6%、整容11.4%、清拭8.3%、上半身更衣11.4%、下半身更衣8.3%、トイレ動作8.3%、排尿コントロール4.4%、排便コントロール3.5%.ベッド移乗8.7%、トイレ移乗8.7%、浴槽移乗4.4%,歩行/車椅子11.8%、階段6.1%であった。格差率が高かった歩行/車椅子では評価段階2 及び3、整容では2、上半身更衣では4 及び5 で格差が多く発生していた。【考察】脳卒中ADLに関しGrangerらはRasch分析にて難易度を求め、階段、浴槽移乗、歩行/車椅子が最も高く、食事、整容が最も低かったと報告している。本調査でも類似した結果であった。脳卒中と大腿骨頚部骨折の難易度序列の差はベッド移乗、整容、排便コントロール、排尿コントロール、上半身更衣で見られたが、これは脳卒中では片側上下肢、大腿骨頚部骨折では一側下肢の障害という障害構造の違いによって生じたものと思われる。岩井らは脳卒中ADLに関し下半身更衣、上半身更衣、トイレ動作、トイレ移乗、ベッド移乗、整容の難易度は接近していたが、大腿骨頚部骨折ではこの傾向はなかったと報告している。脳卒中では格差率の高かったADLを中心に実行ADLと潜在的ADLで難易度序列が入れ替わったもの、大腿骨頚部骨折では序列に変化がなかったがこのことが要因と考える。高難易度のADLが必ずしも格差率の高かったADLではなかった。例えば整容や上半身更衣など難易度が低くても格差率は高かった。格差率の高低は本人の意欲や介助技術の問題、物的な環境の問題など様々な要因で生じているものと思われた。【倫理的配慮】当該病棟では主治医、担当療法士が患者・家族に対し「リハ総合実施計画書」を提示し、内容や個人情報提供に関する同意を得ている。また、本調査は当該医療機関倫理委員会より承認を得ている。【理学療法学研究としての意義】ADL構造、難易度序列、格差発生の特性を知ることで、習得が遅れているADLの確認や治療プログラムの立案を的確に行うことが期待できる。
著者
岩井 正明
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.299-319, 1969 (Released:2010-10-08)
参考文献数
10

歯の硬組織とくにエナメル質が人体組織の中で最も硬い組織であることはすでに周知のことであるが, その微細構造と硬さの関係についてはまだ充分明かでない問題が多い。本研究は最新の超微小硬度計であるハネマン式微小硬度計を使用して, 歯の硬組織の微細構造と硬さの関係をしらべたものである。本実験では, 新鮮な健態抜去歯約200例について, その肉厚切片標本をつくり, その標本の微細構造を顕微鏡下に直視しながらビッカース・ダイヤモンド圧子を圧接して, その構造部分の硬さ (VHN) を測定する方法を採用した。その場合, ダイヤモンド圧子への負荷々重が小さい (59) ので圧痕も小さく (約6μ程度) , したがって従来は測定できなかったエナメル叢自体の硬さの測定も可能であった。実験の結果, 次のような知見が得られた。1) 人の歯のエナメル質の硬さ値 (VHN) は, 200~307, エナメル叢の硬さ値 (VHN) 80~180, 象牙質の硬さ値 (VHN) 43~68であった。これらの硬さ値に差異があるのは歯質の石灰化度に差があるためであり, 同一歯牙のエナメル質でも部位によって硬さの差があった。例えば唇側より舌側が, 近心側より遠心側が硬い値を示す例が多かった。これは桐野のいう同一組織でも低石灰化帯と過石灰化帯があることを硬さの面からも実証したことになる。なおレチウス条の構造上からくる切断面の硬さの差異も明かにすることができた。従来, 不明であったエナメル叢自体の硬さを測定した結果, 他のエナメル質より軟かく, ここが低石灰化部分であるという説を裏付けた。歯質の硬さと個人差, 性別差, 歯種差との関係では特性的な有意差は認められなかった。しかし歯質の硬さと年齢差の関係では注目すべき現象が見出された。はじめ低年齢では増齢とともに硬さが高くなるが, 図12, 13, 14で示したように, エナメル質では30歳台, エナメル叢では40歳台, 象牙質では50歳台で一度硬さが減じ, 再び増齢とともに硬さが高くなる傾向が見られた。この現象が人体の代謝と関連があるかどうかはまだ明かでないが, 極めて興味深い問題である。
著者
赤羽 恵一 飯本 武志 伊知地 猛 岩井 敏 大口 裕之 大野 和子 川浦 稚代 立崎 英夫 辻村 憲雄 浜田 信行 藤通 有希 堀田 豊 山崎 直 横山 須美
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.145-152, 2014 (Released:2015-07-18)
参考文献数
52
被引用文献数
4 7

In April 2011, the International Commission on Radiological Protection (ICRP) issued the statement on tissue reactions. This stimulated interest in many countries. The Expert Committee on Radiation Protection of the Lens of the Eye was established in the Japanese Health Physics Society, and in April 2013, started discussion about the international developments and recent studies related to the dosimetry of the lens of the eye. This committee now publishes the interim report consisting of parts I-VI. Of these, this Part I overviews the structure of the eye and lens, cataract types and the scientific evidence of its new dose threshold and equivalent dose limit newly recommended by the ICRP.
著者
赤羽 恵一 飯本 武志 伊知地 猛 岩井 敏 大口 裕之 大野 和子 川浦 稚代 立崎 英夫 辻村 憲雄 浜田 信行 藤通 有希 堀田 豊 山崎 直 横山 須美
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.171-179, 2014 (Released:2015-12-18)
参考文献数
21
被引用文献数
3

Many studies have been internationally reported as part of projects regarding the radiation exposure for the lens of the eye of medical staff members under various conditions, methods of dosimetry and development of dosimeters for the lens of the eye. Recently conducted studies include the Retrospective Evaluation of Lens Injuries and Dose (RELID) of the International Atomic Energy Agency, Occupational Cataracts and Lens Opacities in interventional Cardiology (O’CLOC) study in France, Optimization of Radiation Protection of Medical Staff (ORAMED) project in European countries, and a 20-year prospective cohort study among US radiologic technologists. Given the newly implemented dose limit for the lens of the eye by the International Commission on Radiological Protection (ICRP), we summarized these studies as the necessary information for reconsideration of the Japanese dose limit for the lens of the eye. In addition, this article also covers the exposures for the lens of the eye of clean-up workers in the Chernobyl accident as shown in ICRP Publication 118 and the results of a hearing survey with specialists of the Academy of Medical Science of Ukraine.
著者
西田拓実 宮崎浩一 岩井邦紘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.1-6, 2013-05-16

本研究では,株式市場において取引のしやすさに関連する指標となるAmihudの非流動性やモデルから推定したBid Ask Spreadの各々が日本における代表的な景気指標である日銀短観を予測する力を有するかについて検証する.回帰モデルの説明変数に流動性指標以外の景気に対して予測力を有すると考えられている指標も加えて予測力が高いモデルの構築を試みる.その際には,流動性指標の回帰係数が状態に応じて異なる値をとるレジームスイッチング回帰モデルも採用し,流動性指標が日銀短観の予測に与える影響度と経済状態との関連性も議論する.This research addresses the forecasting powers of liquidity measure expressing smoothness of equity trading (Amihud illiquidity ratio or Bid Ask Spread) for Tankan short-term economic survey of enterprises, which is the representative indicator of business cycle in Japan. The other factors thought to have the forecasting power are also included in the explanatory variables of the model to make its forecasting power improved. The regime-switching regression coefficients for the liquidity measure are also incorporated in the model and the relation between the influence of the liquidity measure on the forecast and the economic regime is discussed.
著者
杉江 信之 伊東 宗行 岩井 聡美 大河内 博雄
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.501-504, 1995-06-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

10歳女児のガンゼル(Ganser)症候群を報告した. 主訴は意識混濁, 脱力, 失神卒倒. 連日数分間の意識混濁があり最寄りの総合病院を受診し, てんかん(複雑部分発作)の疑いで, バルプロ酸, カルバマゼピンなどの治療を受けたが改善がなく, 当院に紹介入院となった. 意識混濁は, 数分から数十分にわたる朦朧状態であり, その間は質問に対して見当違いの応答や, 幼児様の言葉使い, 絵や文字の鏡像表記がみられた. 時折, 幻覚や失神卒倒もみられた. 発作時脳波記録では, てんかん性異常発作活動を認めなかった. 詳細なる問診の結果, 患児の家族(曽祖母)の死去と本症発病との関違性が明らかになり, 一連の臨床症状はてんかん発作ではなく, Ganser症候群であると判明した. その後, 抗てんかん薬を中止し, 専門医によるカウンセリングによって症状の改善をみた.