著者
岩崎 信
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.23-40, 2004-03
被引用文献数
2

人間の日常行動や,運動を含めた認知過程を全体的に理解するためには,基本的なある実体の概念が必要である.その実体は,脳の中において,上記の諸活動についての共通の機能的役割を担うものである.「スキーマ」は,70年代に導入されたが,その一般化概念(拡張スキーマ)が人間の行動や認知に関する脳神経科学と心理学の間の理解の広い谷を橋渡しする可能性を持つ候補と考える.
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.23-30, 2013 (Released:2013-11-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2

大根とゾルを混合した混合系試料を調整し,固形物の硬さの相違が混合系試料の食べやすさへ及ぼす影響を検討するため,力学的特性の測定,官能評価,筋活動測定を行った。 混合系試料は大根とトロミ調整食品を混合して調製した。大根は,加圧加熱,蒸し加熱,生,と硬さを段階的に変化させた三試料を用い,それぞれMR,MS,MPとした。コントロールとして蒸し大根のみの試料を大根Sとした。 喫食者にとっては試料全体ではなく,固形物の硬さが重要であることが示された。また,大根Sが混合Rよりも総筋活動量が低く,官能評価において飲み込みやすいと評価され,ゾルと混合することよりも,食品の硬さをある程度軟らかくすることが,きざみ食の食べやすさの改善に有効であることを示した。
著者
岩崎 凌 森 直樹 上野 未貴
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,人工知能による小説や漫画,アニメ,漫画といった創作物を対象とした研究が大きな関心を集めている.創作物理解や自動生成といった試みは非常におもしろいものではある反面,そもそも人の創作物理解は高次の知的活動であり,どういったタスクであれば計算機が創作物を理解したといえるのかを定義することさえ難しい.人の創作物の中で,特に漫画を工学的に扱う分野をコミック工学という.この分野では,日々様々な研究が報告されているが,多くはコミックの持つ画像を対象としており,ストーリーといったコミックの意味を自然言語から解析しようとする研究は少ないのが現状である.その一因としては,上で述べたような意味理解のためにどのようなタスクを設定すればよいか非常に難しいということが挙げられる.更にデータセットが十分にデータを持っていないこともコミック工学の実験を制限する要因となっているため,Data Augmentation による解決を試み,今後の人工知能による創作物理解の可能性を示すという立場で結果を解析する.
著者
石川 清一 岩本 真帆 正田 健 加藤 達洋 岩崎 良和 宮本 俊八 赤井 祐一 佐藤 秀樹 蓮沼 理 水野 滋章 加藤 公敏 森山 光彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.98-99, 2008-06-15 (Released:2013-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1

症例は70歳男性。癒着性腸閉塞にて癒着剥離術を施行したが,退院約1カ月後より腹痛,下血を認め再入院となった。大腸内視鏡検査,サイトメガロウイルス抗原検査よりサイトメガロウイルス腸炎を合併した潰瘍性大腸炎と診断した。UCの経過中やステロイド投与例においてCMV腸炎の合併を認める報告はあるが,本症例のように明らかな免疫不全患者ではなくステロイド投与歴もない初発のUC患者の合併は稀であるため報告した。
著者
岩崎 裕子 大越 ひろ 石原 清香 船見 孝博
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.84-95, 2012-02-15 (Released:2012-03-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

コンニャク入りゼリーの破断特性に及ぼす測定条件および調製条件の影響を検討した.コンニャク入りゼリーは比較として用いた寒天ゼリーに比べて測定条件の影響を受けやすいことがわかり,この結果をもとに測定の再現性,普遍性および実用性という観点から力学測定条件を決定した.さらに,コンニャク入りゼリーは,膨潤時間のような調製条件によっても破断特性値が変化することが明らかになった.コンニャク入りゼリーの力学試験方法を標準化する際に,これらの知見は有益である.
著者
小原 雄治 加藤 和人 川嶋 実苗 豊田 敦 鈴木 穣 三井 純 林 哲也 時野 隆至 黒川 顕 中村 保一 野口 英樹 高木 利久 岩崎 渉 森下 真一 浅井 潔 笠原 雅弘 伊藤 武彦 山田 拓司 小椋 義俊 久原 哲 高橋 弘喜 瀬々 潤 榊原 康文
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動では、支援課題の公募を行い、領域外有識者による審査委員会により選考し、支援を行った。経費上限設定など多くの採択ができるように努めた結果、応募188件、採択93件(採択率49.5%)となった。支援の成果として2017年度に54報の論文発表がなされた。②大規模配列解析拠点ネットワーク支援活動においては、最先端技術を提供するためにそれらの整備や高度化を進めた。遺伝研拠点では染色体の端から端までの連続した配列完成を目指して、ロングリードシーケンサー(PacBio Sequel)、長鎖DNA試料調製技術、さらに1分子ゲノムマッピングシステム(Irysシステム)の最適化を進め、実際の試料に応用した。東大柏拠点では、1細胞解析技術を整備し支援に供するとともに、Nanopore MinIONを用いた一連の要素技術開発を進めた。九大拠点では微生物ゲノムのNGS解析最適化を進めた。札幌医大拠点ではLiquid Biopsyによる体細胞における低頻度変異検出技術開発を進めた。③高度情報解析支援ネットワーク活動では、支援から浮かび上がった課題を解決するソフトウェアの開発を進めた。支援で特に活用されたものは、真核2倍体用denovoハプロタイプアセンブラPlatanus2(東工大)、染色体大規模構造変異高精度検出アルゴリズムCOSMOS、変異解析結果の信頼性を評価するソフトウェアEAGLE(以上、産総研)、エクソン・イントロン境界におけるスプライソソーム結合頻度の解析パイプライン(東大)、であった。また、CLIP-seqデータの解析パイプライン、高速オルソログ同定プログラムSonicParanoid、ロングリード向けアラインメントツールminialign(以上、東大)は今後の活用が予想される。高度化等の成果として48報の論文発表がなされた。
著者
中川 将吾 六崎 裕高 鎌田 浩史 俣木 優輝 遠藤 悠介 松田 真由美 高橋 一史 岩崎 信明 山崎 正志
出版者
南江堂
雑誌
別冊整形外科 (ISSN:02871645)
巻号頁・発行日
vol.1, no.75, pp.245-248, 2019-04-25

は じ め に 外骨格型の動作支援ロボットであるロボットスーツHybrid Assistive Limb(HAL;Cyberdyne社)を使用した機能回復訓練が脳卒中,脊髄損傷,変形性関節症といったさまざまな運動機能障害患者に対して導入され,その良好な結果が報告されている1~3).HALは関節運動の補助を行うとともに,補助された運動の変化を感覚系が中枢神経にフィードバックし,HAL取りはずし後にもその効果が継続するのではないかと考えられており,interactive bio-feedback仮説と呼ばれ,麻痺症状を呈するさまざまな疾患に対しての効果が期待できる4). HALは,脳性麻痺患者に対しても自立歩行を可能にすると報告されている5).脳性麻痺はさまざまな病型があるが,痙縮型に代表されるように,筋出力のインバランスを伴っている.重症度の分類であるgross motor function classification system(GMFCS)(表1)6)のレベルⅠからⅤに進むに従って重症化し,筋出力のインバランスも強くなってくる.GMFCSレベルⅢやレベルⅣの症例は,歩行訓練を行い,筋出力のインバランスを調整することで歩行能力を維持し,変形を予防し,介助量を減少させることが可能である. われわれのグループでは,運動機能障害を有する脳性麻痺患者に,HALを使用した歩行訓練を外来レベルで単回,また入院して集中的に行っている.本稿では脳性麻痺患者に対してのHALを使用した歩行トレーニング方法と,使用後の効果について報告した.

2 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正<岩崎潅園>//著
巻号頁・発行日
vol.第3冊 巻26蔓草類2,
著者
岩崎 宏
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.151-162, 1990-06-25 (Released:2010-06-15)
参考文献数
34

燈台の建設で有名なスコットランドのスチブンソン家。そのなかでトマス・スティーヴンスン(1818-1887)は、港湾工学の分野でも実際の海の波についての優れた観察者の一人であった。今、海の波の発達、推算に関して対岸距離 “Fetch”という言葉が用いられているが、これはオックスフオード英語辞典によれば、エンサイクロペディア・ブリタニカ第九版のトマス・スティーヴンスンの解説を引用して初出文献としているのである。しかし、その後百年の間に、風速や吹続時間、風域などをあわせて考えるようになり、波の理論、波の観測、確率や統計的処理などの学問が進展してくると、初期の研究者の名も次第に忘れられてしまいそうである。また、トマス・スティーヴンスンは、わが国明治初年の洋式燈建設にとって忘れることのできない功績者である。即ち在英のまま日本政府の技術顧問となり、来日したブラントンをはじめとする技術者集団を指導し、バックアップした役割は高く評価されてよい。一方、トマス・スティーヴンスンの息子は文学に転向して、家業を継がなかったが、「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」などの小説で有名になった作家のロバート・ルイ・スティーヴンスンである。エジンバラ大学で土木工学を専攻し、父に従って燈台や港湾の建設現場で波の観側をしていたことは、むしろ英文学研究者の方がよく知っている。本文は、スチブンソン家の人々を紹介すると同時にトマス・スティーヴンスンについて、その代表的著書「港湾の設計と建設」の中から二、三の話題をとりあげ、また息子ロバート・ルイ・スティーヴンスンのエッセイ「土木技術者トマス・スティーヴンスン」に触れたいと思う。

2 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正<岩崎潅園>//著
巻号頁・発行日
vol.第2冊 巻17湿草類5,
著者
久保田 江里 櫻井 梓 高橋 優宏 古舘 佐起子 品川 潤 岩崎 聡
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.531-537, 2018-12-28 (Released:2019-01-17)
参考文献数
18

要旨: 2017年, 成人人工内耳の国内適応基準が改訂され, 1) 平均聴力レベル 90dB 以上の重度感音難聴, および 2) 平均聴力レベル 70dB 以上 90dB 未満かつ補聴器装用下の最高語音明瞭度が50%以下の高度感音難聴, と新たに定められた。本研究では, 新適応基準の妥当性について, 平均聴力レベルと裸耳の最高語音明瞭度, および平均聴力レベルと補聴器・人工内耳装用下の最高語音明瞭度との関係から検討した。 対象は成人人工内耳装用者37名と, 補聴器装用者77名である。その結果, 平均聴力レベルと裸耳語音明瞭度との間に負の相関がみられ, 平均聴力レベル 70dBHL に値する語音明瞭度は45%であった。また, 補聴器および人工内耳装用下での比較では, 裸耳の平均聴力レベル 70dBHL において両群の語音明瞭度は同等となりその値は50%であった。 医療技術・機器の進歩による聴力温存と, 聴取成績の向上により, 人工内耳適応基準は今後も定期的に検証する必要があると思われた。
著者
岩崎 寛 井上 紗代 山本 聡
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.21, 2006

インテリア雑貨としての植物を健全に生育させる管理条件を明らかする目的で、流通量の多い観葉植物5種を用い、異なる環境下で一定期間管理し、その生育の差異を光合成速度・SPAD値・葉量・枯死率などから比較した。その結果、光条件の違いが草丈・葉量などの成長量に大きく影響し、潅水頻度の違いはその個体の枯死率を左右することが認められた。その影響の度合いは種類によって異なり、ドラセナ・サンデリアーナとドラセナ・マッサングアナは、どの試験区においても比較的管理が容易であるといえた。フィカス・プミラは潅水よりも光条件の違いが生育や生理機能に影響を与える傾向がみられた。逆にフィットニアは、こまめな潅水管理を施せば環境に関係なく一定の生育が見込まれた。クロトンは設置環境および潅水管理、共に配慮しなければ枯死させてしまう可能性が非常に高いことがわかった。
著者
土屋 ふとし 滝沢 明利 岩崎 晧
出版者
医学書院
雑誌
臨床泌尿器科 (ISSN:03852393)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.299-300, 2011-04-05

Q 精巣外傷の症例。出血はかなりの程度だったようだが,今は止まっている。保存的に様子をみてよいか。 [1]概 説 精巣外傷のうち最も多いのは挫傷である。受傷原因としては,喧嘩,スポーツ外傷,交通事故,落下事故などがある。 精索血管(精巣動脈,蔓状静脈叢など),陰囊に分布する血管が損傷することにより陰囊内出血をきたす。陰囊皮膚は薄く伸縮性があるため血腫,浮腫により大きく腫脹する。また出血が下腹部,陰茎,肛門にまで及んで変色を伴う場合もある。鈍的な精巣外傷は通常,局所の激しい疼痛,吐き気,嘔吐,下腹部痛などを伴いショック症状をきたす場合もある。 大きな外力が働いたり,恥骨,大腿骨に強く押しつけられた場合に,精巣白膜が損傷して,精巣実質が脱出した精巣破裂に至る。精巣の鈍的外傷の約48%に破裂が起こるとされ1),破裂後3日以内が手術のゴールデンタイムとする報告は多い。受傷後3日以内に手術を行うと精巣温存率は90%であるが,3日を過ぎると45%に激減するとの報告がある2)。 精巣破裂の診断に関して,超音波検査は簡便で損傷の概要をつかむには適している。精巣の輪郭の不整像,白膜の連続性の消失,実質内の低エコー領域の存在などを観察する。超音波検査の精巣破裂に対する診断の感度は64%,特異度は75%とする報告がある3)。MRI検査はT2強調画像もしくは造影T1強調画像が白膜の描出に優れている。MRI検査は超音波検査よりも高い診断率で再現性も高いが,検査時間が長く診断までの時間を要する。 血腫が存在すると画像的診断が難しくなり,精巣破裂は80%で血腫を伴うことから4),血腫の存在のみでも早期の手術が好ましいとの意見もある5)。血腫の大きさにより手術適応を決めるという意見もあるが,エビデンスはまだない。 血腫を伴う精巣破裂を保存的治療で経過観察することにより,感染,壊死,精巣の萎縮,精子形成能や内分泌機能の低下などの危険性が指摘されている。保存的治療により経過観察が可能であった報告例も散見されるが,いずれもretrospectiveなものにすぎず,その適応については決まったものはない。