著者
安川 宏紀 平田 法隆 浮田 寛之
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.49-56, 2013 (Released:2014-01-17)
参考文献数
9

This paper presents a practical simulation model for ship launching taking the dynamic coupling effect of trim angle change and vertical motion into account. The motion equations were derived in three stages of sliding, lift by stern and afloat modes in launching. By solving the motion equations in three stages continuously, ship speed change, trim angle change, traveling distance, pivoting load, etc. during launching can be calculated. To obtain the validation data of the simulation method, a fullscale test was carried out to measure the ship motions during launching by a Kinematic GPS (KGPS) system. Then, three antennas for KGPS were arranged on a Chip Carrier with 191.5 m in ship length. Some parameters needed for the simulation were determined by comparing with the fullscale test result. The present simulation method is useful for capturing th ship launching behavior.
著者
平田 利美 前川 麻弥 能美 隆
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.259-274, 1998 (Released:2007-07-20)
被引用文献数
14 13

Mechanisms of pyrolysis of cellulose which have been presented are reviewed in terms of pathways of the reaction, production of levoglucosan, carbonization and pyrolysis of levoglucosan, and kinetics. In addition measurements with machines are discussed in relation to the pyrolysis. In the section of reaction pathways five models given in diagrams are introduced and indicated lack of clear chemical definition of them, and in the levoglucosan formation six principal models are briefly described, and a proposal of an ion mechanism against a radical mechanism, and different interpretations of effects of fine structures on the reaction and the chain length are pointed out to make important controversial points. In the third section changes in residue structure through carbonization are discussed, and courses of levoglucosan pyrolysis full of variety are shown and significance of researches on the pyrolysis in air is emphasized from viewpoint of fire science. In the fifth section an enormous number of kinetic data presented with different orders of reaction are shown and a kinetics is systematically developed to explain the different reaction orders. In the sixth section, the dependency of data on individual instruments are revealed in the measurement with instruments problems involved in analytical pyrolysis. Understanding of the implication and reasonable choice of the data is shown to be important.
著者
中川 伸 陳 冲 萩原 康輔 平田 圭子 藤井 優子
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.67-75, 2023-02-22 (Released:2023-03-09)
参考文献数
12

うつ病の薬物療法,精神療法などが進歩し一定の効果を示してきている.しかし,無効な患者が多く存在し,日常生活や社会生活の障害を改善するためには未だ不十分であるため,実臨床では補完療法などの開発,改良が重要になってきている.本研究では,心肺運動負荷検査 (Cardiopulmonary Exercise Test, CPX) の客観的な指標により運動量を明確化し,既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化された運動プログラムのうつ病に対する有効性を検討することを目的とした.慢性または反復性うつ病患者8名 (うつ病6名,持続性抑うつ障害2名) を対象に8週間の運動プログラムを行い,その前後に抑うつ症状,不安症状などの臨床評価を実施した.その結果,介入後に抑うつ症状が寛解に近い状態になり,状態不安および社会適応度の改善もみられた.少数の被験者ながら既報に比較して運動強度・時間・回数が大きく軽減化され,それでも効果が見られることから,これらの結果が今後大規模臨床試験において確認されれば,うつ病の補完療法の大きな進歩になると思われる.
著者
高橋 剛士 福瀬 達郎 倉橋 康典 木場 崇之 高橋 鮎子 福田 正順 妻鹿 成治 板東 徹 田中 文啓 平田 敏樹 越久 仁敬 長谷川 誠紀 寺田 泰二 池 修 和田 洋巳 人見 滋樹
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.685-689, 1999-07-15 (Released:2009-11-11)
参考文献数
11

上肢に症状を呈したBuer墓er病に対して胸腔鏡下交感神経切除術が奏功した一例を経験したので報告する.症例は46歳, 男性.一日約40本, 25年の喫煙歴があった.約半年前から両上肢の指末梢側を中心として痺れ, 冷感が出現し始めた.Buerger病との診断にて星状神経節ブロック術を受けたが症状の改善は一時的で, 疼痛も増悪してきたため両側胸部交感神経節切除術を施行した。術直後より癖痛, 痺れ, 冷感の著しい改善を認め, 術後6週間を経た時点では痺れ, 冷感は全く認められず, 術前潰瘍化していた指の完全治癒を認めた.サーモグラフィーにても上肢末梢皮膚温の著明な上昇を認めた.レーザードップラー血流計を用いて指末梢側の組織間血流を計測したところ, 症状の改善とよく一致して血流の増加を認めた.このことからBuerger病における術前術後の組織間循環の評価に際してレーザードップラー血流計が有用であると考えられた.
著者
平田 逸俊 下稲葉 さやか 川田 伸一郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-118, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
27
被引用文献数
2

所在不明とされていたコウライムササビ(Petaurista leucogenys hintoni)とコウライキテン(Martes melampus coreensis)の標本が英国自然史博物館において見つかった.標本の特徴及び付属するラベルを記載論文と比較検討した結果,これらの標本は,記載論文の著者の一人である森 為三が教授をしていた京城第一高等学校に保存されていたコウライムササビの模式標本とコウライキテンの原記載に用いられた参考標本であることが分かった.
著者
伊東 賢生 川瀬 敬三 平田 修 柳瀬 龍二 加藤 貴史 高岡 昌輝 日下部 武敏 高橋 史武
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.397, 2022 (Released:2022-11-30)

廃水銀の中間処理・処分方法に関しては廃水銀を硫化設備で硫化し、硫化水銀の固化体を処分すると定められている。筆者らは、水銀廃棄物の埋立手法を確立するため、埋立地における水銀の環境リスクを低減させる最適条件として、黒色硫化水銀のセメント固化体を準好気性埋立地の中層部(非滞水部)に処分する手法を提案した。そこで、水銀廃棄物の埋立処分において、さらに水銀の流出リスクの低減化手法を確立させるため、水銀廃棄物固化体に注目し、作成手法の異なる3種類の固化体(改質硫黄固化体、エポキシ樹脂固化体、低アルカリセメント固化体)を用いた埋立実験を2020年7月より開始した。その経過20ヶ月間の浸出水への水銀流出は、水銀廃棄物固化体を実験槽中央部に埋立処分した場合、いずれの埋立手法においても、水銀流出率は0.000006%以下となり、固化体から浸出水への水銀流出はほとんどないと考えられた。
著者
平田 未季
出版者
北海道大学高等教育推進機構国際教育研究部
雑誌
日本語・国際教育研究紀要
巻号頁・発行日
vol.26, pp.42-65, 2023-03

本稿では、江別市を事例とし、来訪者との国際交流を目的として活動を開始した住民有志による団体が、地域の内なる国際化に目を向け日本語教室を開設するに至るまでの過程と、彼らが教室の運営において抱える課題や思いを、当事者へのインタビュー調査に基づき記述する。インタビューから、当事者が、日本語教育や多文化共生支援は専門家が行うものであり自らが主体的に関われるものではないと認識していること、日本語教室が軌道に乗らない中でかつての国際交流活動こそが多様化する市において必要な活動ではないかと考えていること、しかし、現在の文脈で国際交流を中心とする団体には戻ることは難しいという意識があることが分かった。本稿では、日本語教室が団体にもたらした質的変化についても述べ、地域日本語教室の存在意義について考える。
著者
平田 寛
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.21, no.5, pp.544-551, 1982-05-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
4
著者
宮西 圭太 平田 道彦 織部 和宏
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.102-107, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
10

線維筋痛症は西洋医学的には薬物治療が中心的に行われるが,その効果はときに限定的であり,日常生活に支障を来たす痛みが遷延する症例が少なくない。本報告では十味剉散により痛みが緩和した線維筋痛症の1症例を報告する。28歳女性。4年前より左上腕部の痛みが出現し,2年前より痛みが全身に拡大した。左上腕部の痛みがとくに強く「うでを下げているだけでも響く」と表現された。ほかに疲労感,頭痛,動悸など多彩な症状を併発した。 古典の記載から,血虚の症候および上肢の重さに耐えられないほどの上腕部の激痛,歩行困難を目標として十味剉散(煎じ漢方)を投与したところ,3ヵ月後には痛みは半分以下まで改善した。線維筋痛症に対してこれまでに様々な漢方薬の有効性が報告されているが,十味剉散の報告は少ない。痛みの漢方治療において「血虚,上腕痛,歩行困難」を呈する症例において,十味剉散は鑑別すべき方剤として考慮されてよいと考える。
著者
平田 明裕
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.12-23, 2023-03-01 (Released:2023-03-30)

本稿では、2021年に実施した「メディア利用の生活時間調査」のテレビ画面で動画を視聴する人(全体の6%)に焦点をあて、テレビ画面の利用実態や動画の視聴状況を分析し、今後、コネクテッドテレビが普及しテレビ画面の動画を視聴する人が広がると、テレビ画面の利用が変わるのかどうかについて考察する。テレビ画面での動画視聴者がテレビ画面で「動画」を視聴する時間量は1時間47分で、「リアルタイム」(1時間39分)と同じくらいであった。1日の推移をみてみると、朝の時間帯は「リアルタイム」が圧倒的に多い一方で、夜間の遅い時間にかけて「動画」が増えていくなど、テレビ画面での動画視聴者は時間帯によってテレビ画面で何を見るかを変えている様子がみられた。また、テレビ画面での動画視聴は、「ながら」視聴も「専念」視聴も同じくらいであった。動画を見ながらしている行動は「食事」「SNS(スマホ)」「身のまわりの用事」などで、リアルタイムと同じような「ながら」視聴が行われていて、これまでのリアルタイムテレビに近い見方で動画を視聴するようになっている様子もうかがえた。こうしたテレビ画面での動画視聴者の特徴であるテレビ画面の使い方は、今後、コネクテッドテレビが普及しテレビ画面での動画視聴者が増えていくと、広がっていくのではないかと考えられる。
著者
朝日 稔 金 秀浩 藤本 基秋 岡田 崇志 平田 英周
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.55-61, 2006 (Released:2006-08-29)
参考文献数
14

Traumatic atlanto-axial subluxation (AAS) is a rare injury which can be diagnosed by flexion-extension dynamic radiograph on the cervical spine. Here we report on a case of delayed progression of AAS in the chronic phase after a cervical spinal injury. The described case is a 58-year-old man who sustained a closed occipital head injury with subsequent severe tetraparesis and was admitted to our hospital. Although, no obvious bony injuries of the cervical spine were revealed on plain radiograph and CT scan, Magnetic resonance imaging demonstrated intramedullary spinal cord injury at the level of C1-2. In the acute phase, the patient was treated conservatively and the motor dysfunction was well ameliorated. However, the patient gradually suffered again from motor deterioration eight months later and the radiological examinations revealed delayed progression of AAS. After the unsuccessful trial of external reduction for AAS, the patient underwent atlas laminectomy and occipito-cervical internal fixation with compact Cotrel-Dubousset instrumentation. The motor disability improved again after the operation. Sufficient decompression of spinal cord and stable fixation of craniovertebral junction have been obtained for over two years post-operatively. The unique clinical course of the present case is discussed.
著者
平井 重三 平田 尚美 多田 英喜
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.354-360, 1966 (Released:2007-07-05)
参考文献数
7
被引用文献数
6 3

油処理によるイチジク果実の成熟促進について, 果実の発育と処理時期の関係および油の種類による効果の相違について, マスイドーフィンの第2期果を材料として実験を行なつた。1. 果実生長の第II期の末ごろ, 果径が約34.0mmに達した時, 果皮が緑色から黄緑色に変わり, 果頂部の目の部分が多少隆起して, 淡桃色から赤桃色に変わり, かつ花托内の小果が淡桃色から赤桃色に変つたころが, 油処理を行なつて成熟促進に効果のある時期であると判定された。2. 各種の植物油処理では, その沃素価の大小にかかわらず, 同様の促進効果が認められ処理後6日で成熟した。油処理された成熟果の大きさ, 糖, 酸含量および着色度など, 自然成熟果と差異がなかつた。3. 動物油処理は植物油よりも効果はやや劣つたが処理後8日で成熟し効果が認められた。4. 鉱物油処理は成熟促進効果は著しく劣り, その効果も不均一であつた。また流動パラフィンの効果はほとんど認められなかつた。
著者
井口 健太 小島 有悟 小林 葉 髙井 智琉 平田 彩乃 矢木 陽 小橋 拓司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 97回 (2023/2) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.05-10, 2023-02-27 (Released:2023-02-27)

これまで研究が乏しかった拍手という事象に着目し,「集合的行為としての拍手」を研究対象として,多人数集団による拍手の更なる解明を目指して研究を行った。本校体育館で行われたイベントにおいて,生徒や保護者を含む200人規模の集団の拍手の記録,分析をした。検証の結果,イベント開始時に発生する拍手の開始,終了,またイベント終了時に発生する拍手の開始は,発表者の発話の開始,終了などの周囲からの影響を大きく受けた。その一方,イベント終了時に発生する拍手の終了には個人特有の傾向が強く現れた。
著者
髙村 康之 平田 勝弘 新口 昇 加藤 雅之 大川 明美 東條 威士 髙口 大樹
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.87-93, 2020 (Released:2020-10-13)
参考文献数
13

In this paper, we propose a mathematical model for evaluating the performance of an onboard energy harvester. First, the static analysis results using the finite element method and the measurement results using a prototype are compared, and the parameters are supplemented as table data. In addition, the parameters necessary for a mathematical model are identified using a damping vibration. In order to easily evaluate the harvester, we propose a mathematical model that combines the results of using the finite element method with the identified parameters. Finally, a power generation experiment is conducted, and the experimental results are compared with the simulation results to discuss the validity of the proposed mathematical model.
著者
森田 晃司 平田 伊佐雄 津賀 一弘
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、要介護者の咀嚼能力と腸内細菌叢に着目し、咀嚼能力の向上により腸内環境叢の種類や多様性が変化し短鎖脂肪酸が増加する影響について調査することで要介護者の肥満や便秘以外にも全身状態を改善させる可能性を明らかにすることを目的とする。客観的咀嚼試験による咀嚼能力をはじめとする各種口腔機能、シーケンサーによる腸内細菌叢の測定に加えて短鎖脂肪酸、免疫グロブリン、α―アミラーゼ活性、セロトニン、特異的IgE、経皮水分蒸散量やBMI・便秘・口臭を解析することで咀嚼能力と肥満や便秘など全身状態との関連を観察研究と介入研究から明らかにする。
著者
平田 直之 宮本 英昭
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会誌遊星人 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.271-280, 2011-12-25 (Released:2017-08-25)
参考文献数
22

土星系の魅力的な衛星は,タイタンやエンセラダスだけではない.カッシーニ探査機の活躍によって得られたさまざまな知見は,その他大勢の小型衛星も,太陽系科学において極めて興味深い対象であることを示している.小型衛星は,その小さな重力場や弱い熱的変成履歴という意味で小惑星と対比できるだけでなく,その特徴的な形態や表層の状態が,ほかの衛星や周囲の環と複雑な相互作用の結果であることから,土星系における衛星や環の形成や進化の鍵を握っていると考えられる.本稿では,こうした多様性に富む土星系小型衛星の姿と推定される内部構造,さらには進化史について概説するとともに,今後の探査で期待される観測について議論する.