著者
後藤 渡
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.69-84, 2022 (Released:2022-08-31)

Relation entre noms propres et cinéma chez Georges Perecétymologie motivante, projection, aspirationWataru GOTO   Les études précédentes menées sur l’onomastique dans l’œuvre de Georges Perec (1936-1982) ont montré que les noms propres des personnages de ses romans présentent des caractéristiques signifiantes : les noms désignent leur origine et leur destin. Perec nomme stratégiquement ses personnages au moins depuis le moment où il a assisté au séminaire de Roland Barthes en 1965.  Ce jeu onomastique se retrouve dans ses propos sur l’actrice Cyd Charisse. Perec voit dans le vrai nom de l’actrice, Tula Ellice (Tulle à Hélice), l’anticipation d’une scène de Singin’ in the Rain. D’autre part, ce patronyme a la même sonorité que le nom de l’île où est localisée l’« autobiographie probable » de l’écrivain : Récits d’Ellis Island. En considérant cette ressemblance sonore et la tendance de Perec à se projeter dans les personnes qu’il aime, nous pouvons penser qu’il s’est identifié à cette actrice qu’il admire avec adoration.  Nous analysons ensuite l’influence considérable et précoce d’Orson Welles dans l’onomastique perecquienne. Tout d’abord, à travers le personnage de Gaspard Winckler, double de l’écrivain : nous révélons la relation de ce patronyme avec celui d’un personnage du Troisième homme, le Dr. Winkel et nous analysons les points communs entre Gaspard Winckler et Harry Lime joué par Welles, dans le même film. En outre, un autre double de Perec, Percival Bartlebooth, possède certaines caractéristiques d’un personnage joué par Orson Welles : Kane de Citizen Kane.  C’est ainsi que Perec crée des doubles où il projette à la fois son identité et l’adoration qu’il éprouve pour certaines actrices et certains acteurs, en un jeu complexe de miroirs.
著者
鐘ケ江 弘美 松下 景 林 武司 川島 秀一 後藤 明俊 竹崎 あかね 矢野 昌裕 菊井 玄一郎 米丸 淳一
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.115-123, 2022-12-01 (Released:2022-12-22)
参考文献数
30

作物の系譜情報は育種を行う上で必要不可欠であり,特に交配親の選定において極めて重要である.しかし,系譜情報の分析基盤や可視化ツールは少なく,育種家は範囲が限定された系譜図を使用せざるを得ない.本研究では,育種や作物データの解析に系譜情報を広く活用するため,系譜情報グラフデータベース「Pedigree Finder」(https://pedigree.db.naro.go.jp/)を構築した.系譜情報を整備するために語彙やデータフォーマットの統一を行うとともに,品種・系統の標準化されたIDを利用することにより,関連するゲノム情報および形質情報との紐づけを可能にした.系譜情報の整備にはデータモデルとしてリソース・ディスクリプション・フレームワーク(Resource Description Framework, RDF)を採用し,共通性と永続性を高めた上で,グラフデータベースを構築した.グラフデータベースの利用により,系譜情報をわかりやすく可視化し,セマンティック・ウエブ(Semantic Web)技術による外部データベースとの情報統合や高度な検索が可能である.本システムにより系譜情報を収集・可視化することで,系統の育成過程をたどり,遺伝的な近縁性を考慮した交配親の選定や系譜と特性との関係の把握など,品種育成や遺伝研究の意思決定における育種データの統合利用が可能になると期待される.
著者
張 涵泳 沖井 英里香 後藤 栄治 宮原 文彦 宮崎 潤二 前田 一 古澤 英生 宮里 学 吉田 茂二郎 白石 進
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.88-93, 2019-04-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
31

九州の8地域に生息するマツノザイセンチュウの遺伝的多様性と遺伝的構造の解明を10個のEST遺伝子座の塩基配列多型を用いて行った。九州全域の遺伝子分化係数(GST)は0.53で,全遺伝子多様度(HT=0.63)の半分以上が地域集団間に存在し,集団間に大きな差異があった。8地域集団のHTは0.12~0.59であり,多様性に富んでいたのは,川内,新富,松浦,唐津(0.59,0.57,0.56,0.55)で,地域集団内におけるGST(0.43,0.35,0.25,0.25)も高く,被害木内集団(亜集団)間に大きな差違があった。一方,多様性が特に低いのは,天草,宮崎(0.12,0.18)で,そのGSTも小さく(0.01,0.02),亜集団間の違いは極めて小さかった。これらの2集団の形成には,ボトルネック/創始者効果が影響していることが示唆された。九州では地域集団が保有する多様性の二極化が進行していると思われる。
著者
後藤 佐多良 熊谷 仁 福 典之 宮本 恵里
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、骨格筋の速筋線維や遅筋線維の割合を規定する遺伝子多型を明らかにし、それらの遺伝子多型が将来の生活習慣病リスクとなるか否かについて検討を行った。日本人男性において、ACTN3 R577X多型およびACE I/D多型が骨格筋の筋線維組成に関連することを明らかにした。さらに、これら2つの遺伝子多型の組み合わせが、将来の高血圧発症リスクに影響を及ぼすことを明らかにした。これらの研究成果から、ACTN3 R577X多型およびACE I/D多型は骨格筋の筋線維組成に関連し、将来の高血圧リスクを反映する可能性が示唆された。
著者
吉田 真美 後藤 潔 田名部 尚子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.255-265, 2003-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
24
被引用文献数
4

1.中国,朝鮮,日本料理中のショウガ利用を,25冊の料理書を調査することにより,様式別に比較研究した.2,629品のレシピから,ショウガ使用の有無,主材料,調理法,切り方,併用香味野菜・香辛料の面から調べた.2.中国料理では48%のショウガ使用率であり,特に肉類や魚介類を,煮る料理や蒸す料理において高率であった.主に消臭を中心として,香り付けや味付けの目的で使用されていた.3.朝鮮料理では,ショウガは小形状で使われ,多種類の香味野菜・香辛料と共に複合的な食味形成のために用いられていた.特にキムチ料理に高頻度で使用されていた.4.日本料理においては,ショウガは料理の唯一の香味野菜として使用される場合が多かった.料理表面に盛り付けられ,生の芳香や辛味を直接賞味できる使用法が多く,また装飾的役割もはたしていることが特徴的だった.
著者
後藤 蔚
出版者
東洋大学
巻号頁・発行日
2009-03-25

2008
著者
後藤 勝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.197-202, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3
著者
大槻 紘子 山崎 友昭 黒崎 尚子 須賀 正伸 柴田 由理 後藤 渉
出版者
医学書院
雑誌
理学療法ジャーナル (ISSN:09150552)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.635-640, 2009-07-15

要旨:労災事故による利き手の手関節部離断後,クルッケンベルグ法による手術を行った症例に対して,理学療法を行う機会を得た.クルッケンベルグ法とは,前腕を橈骨と尺骨の間で2つに分け,ピンセットのように物を挟めるようにする機能再建術で,特異な外観により適応が限定されていたが,機能的に優れているため,近年は片側前腕切断例でも行われている.今回,断端の開閉動作に必要な筋収縮を得ることを目的として筋電図バイオフィードバックを用いた結果,症例の希望する両手の日常生活活動(activities of daily living:以下,ADL)が自立に至った.治療開始時には医療サイドは義手を検討していたが,症例は特異な外観に抵抗がなく,当初から手術を勧めた場合にはより早期にADLの自立が可能だったとも考えられ,目標設定に関して反省点も残った.
著者
濱崎 俊光 後藤 昌司
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.147-163, 1999-03-10 (Released:2009-06-12)
参考文献数
34

事象数の変換または「再表現」は,データ解析者が最も頻繁に行っていることである.例えば,変換後に誤差分散の均一性を狙うのであれば,Poisson分布に従う変数の場合に平方根変換,2項分布に従う変数の場合には逆正弦変換あるいは角変換を使用することが多い.本稿では,一般的に用いられている既知の離散分布または事象数に対する変換の妥当性を, Box and Cox (1964)が提案したべキ変換の枠組みの中で評価し直した.とくに,Poisson分布に対する分散安定化のための正規化変換に注目し,変換として対数変換と平方根変換をとりあげ,それらの性能を検討した.その結果,変数がPoisson分布に従うときに分散を安定化させるための変換として,Bartlett (1949)の分散安定化公式による平方根変換が, Box and Cox (1964)のべキ変換からも支持された.そして,Poisson分布に従う変数に対数変換を施したとしても変換後の変数の分散は一定でなく,分散の安定性と分布の正規性の両方の意味で,Poisson分布に従う変換には平方根変換が対数変換に比べて適していることが示唆された.
著者
可知 悠子 前田 基成 笹井 惠子 後藤 直子 守口 善也 庄子 雅保 廣山 夏生 瀧井 正人 石川 俊男 小牧 元
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.215-222, 2006-03-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
27
被引用文献数
4

本研究の目的は, 摂食障害とアレキシサイミア傾向の関連を, 健康な対照群との比較から検討することである.68名の摂食障害女性患者〔神経性食欲不振症制限型(AN-R)28名, 神経性食欲不振症むちゃ食い/排出型(AN-BP)25名, および神経性過食症排出型(BN-P)15名〕と236名の女子学生を対象に, 日本語版Toronto Alexithymia Scale-20 (TAS-20)ならびに日本語版Eating Attitude Test-26 (EAT-26)を用いて自己記入式質問紙による調査を施行した.その結果, 摂食障害患者においては病型に関係なくアレキシサイミア傾向が強いことが明らかになった.また, TAS-20の下位尺度である"感情の同定困難"と摂食障害の症状の重症度との間に関連が認められた.以上により, 摂食障害患者の治療においては, アレキシサイミアを考慮したアプローチが重要あることが示唆された.
著者
高松 薫 石井 直方 田中 喜代次 後藤 一成
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、有酸素運動の途中に休息を挟みながら間欠的に行う「分割法」による運動が、糖・脂質代謝や体組成に及ぼす影響を検討した。その結果、「分割法」による運動は休息を挟まずに行う「連続法」による運動に比較して、脂質代謝の亢進に対する効果が大きいこと、食後における血中グルコース濃度の調節に有効であること、長期のトレーニングに伴う体脂肪量の減少や体力の改善に対する効果の大きいことが明らかになった。
著者
花田 弘文 後藤 三晴 尾崎 勝博 宮本 浩幸
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.165-168, 1999-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

175 high school basketball players in Miyazaki were studied with regard to basketball injuries through questionnaires on the history of knee and ankle injuries and basuketball shoes. Many players were found to high-top shoes to decrease ankle sprains. They mentioned the need for basketball shoes that are soft and stable with better spring. Many prevention of ankle sprains.We emphasize the importance of checking shoes and footwork when examining players. In the future, we will conduct further studies on the relationship of injuries and shoes.
著者
浅野 晃太 後藤 浩之 奥村 与志弘 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.I_638-I_648, 2021 (Released:2021-07-22)
参考文献数
20

2018年大阪府北部の地震について,被害の大きかった大阪府高槻市,茨木市に着目し,地震による被害の詳細な分布を推定した.両市の罹災証明書発行数データに基づいて建物被害率を推定した結果,被害が局所的に集中している地域があることが明らかとなった.この結果を既存の地盤増幅率の分布のみで単純に説明することは難しいが,高齢化率の分布とは一定の対応が見られた.特に高槻市内で局所的に被害率の高い3つのエリアについて,町の成り立ちや土地利用の変遷なども考慮しつつ分析を進めたところ,地震動の特性,地質や地盤の条件といった自然的要因のほかに地域特有の歴史を背景とした住宅の特徴などが被害分布に影響を与えた可能性が示された.
著者
後藤 邦康
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.149-159, 2012 (Released:2017-10-24)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

全国新酒鑑評会は,国内において全国的規模で開催されている唯一の鑑評会であり,最高の酒造技術を擁して製造される吟醸酒を対象としている。この鑑評会は,出品する蔵元,技術者各位の酒質向上への真摯な姿勢によって支えられ,現在なお継続しており,今年(平成24年)の開催で第100回目を迎える。これまでにもいろいろな角度から述べられてきた全国新酒鑑評会ではあるが,この節目の時に当たって,新たな視点に立った捉え方で改めてこの100年を概観していただいた。関心ある方の一読をお薦めする。
著者
吉江 俊 後藤 春彦 山村 崇
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.716, pp.2231-2241, 2015 (Released:2015-11-11)
参考文献数
23
被引用文献数
5 8

The purpose of this research is to identify the spatiotemporal characteristics of values of living environment, based on the analysis of housing advertisements within the Tokyo metropolitan area from 1980 to 2010. (1)Firstly the values were sampled as 102 groups based on their meanings, and their tendency of increase and decrease was revealed. (2) Secondly the housings were classified into 7 types and their geographical characteristics were identified. (3)And finally the qualitative changes of the values which reflect the transformation of the center of tokyo metropolitan area were revealed, which were represented as “being high-rised” of housings, “being imageable” of the nature, “being security - biased” of safeties, and ”being individual - biased” of families. At the same time in the whole metropolitan area, “being indoor“ of the comfortableness and diversification of families were also identified.