著者
大城 昌平 穐山 富太郎 後藤 ヨシ子 横山 茂樹 鋤崎 利貴
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.355-358, 1996-09-30

本論文は低出生体重児77名を対象として,在胎週数に換算して(修正)44週時のブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)とベイリー乳幼児精神運動発達検査(BSID)による修正12カ月時の精神運動発達との関連について統計学的に検討し,NBASが低出生体重児の早期介入及び療育の適応決定に有効であるかどうか考察した。NBASの8つのクラスター(漸減反応,方位反応,運動,状態の幅,状態調整,自律神経系の安定性,誘発反応,補足項目)と12カ月時の精神運動発達指数との関連を単相関分析により概観した結果,自律神経系の安定性クラスターを除いた他のクラスターと精神運動発達指数は有意な相関を示した。12カ月時の精神運動発達指数を目的変数,NBASの各行動クラスターを説明変数とした重回帰分析の結果,高い相関が認められ,精神運動発達指数はNBASから約60%の精度で説明することができるという結果であった。また,標準偏回帰係数を算出した結果,運動,状態の幅,誘発反応の各クラスターが統計的に有意に影響を及ぼす因子であった。これらのことから,修正44週時のNBAS評価は初期乳児期の精神運動発達を予測するうえで有用であり,早期介入及び療育の適応決定において有益であると考えられた。
著者
後藤 浩介 西沢 健 田中 一雄 松岡 智之
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.6-9, 1998-03-30

阪神淡路大震災以降、防災への意識が一気に高まり、各家庭や自治体などで防災資材や食料の備蓄、準備が進められている。しかし、個人的なサバイバルのための食料や、避難所生活で必要となる仮設トイレなどに比べて、震災発生から避難所生活に至るまでに発生する災害に対する準備例えば倒壊家屋からの救出、二次災害防止、消火活動などに関わる資材にまでは、なかなか進んでいないのが現状である。一方、現状の防災用品の備蓄場所については、小学校や公民館、市役所など公的な施設に集中的に管理されているか、街区公園の防災倉庫、自治会役員宅などに収納されている場合が多い。ところが、家屋の倒壊や火災についてはいつ、どこで発生するか分からないという点で1箇所に集中して配備するより、災害時の早急な対応のためには分散して収納、配置することが望まれている。また、公園等に設置されている防災倉庫については、ベニヤ板による手作りの倉庫や家庭用の既製品が流用されていることも多く、倒壊、火災などで利用出来なくなる恐れも指摘されている。その他、景観的には狭い公園の敷地に唐突に置かれていたり、日常の利用がないために公園のスペースを狭くしているなどの問題も発生している。本プロジェクトは、上記のような防災用品の備蓄および防災倉庫の現状を背景として、二次災害を防止するための救助用資機材を分散して準備すること、及びそのために日常的な利用価値をあげて分散配置を促すことを目的としてベンチの基礎部分を収納スペースとした防災対応の新しいストリートファニチュアの開発である。
著者
白川 仁 駒井 三千夫 後藤 知子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

高等動物の組織内で変換・生成されるビタミンK(メナキノン-4、以下MK-4)の変換機構と生理的意義の解明を目的として、MK-4の新しい作用(抗炎症効果、性ホルモン産生調節)とビタミンK3からMK-4への変換の分子機構を解析した。MK-4処理によって炎症シグナルを仲介する分子の活性化が阻害され、性ホルモン産生を活性化させるリン酸化酵素の活性化が明らかになった。また、MK-4変換には昨年報告のあった酵素の必須性が再確認された。
著者
川島 隆幸 狩野 直和 小林 潤司 後藤 敬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、斬新な特定位置占拠型配位子の設計と、それらを活用した高配位典型元素化合物の創製を目的に行われた。まず、電子・立体効果の両面で安定化能力にすぐれた三座配位子の実現を目指し、三方両錐構造の二つのアピカル位と一つのエクアトリアル位を占拠するように独自に設計・開発した、新規な平面型三座配位子の応用を検討した。次に、配位座の完全固定化による高配位状態の安定化を指向し、全てのエクアトリアル位と一つのアピカル位を占拠しうる剛直な四座配位子を開発し、その高配位リン化合物および高配位14族元素化合物の合成への応用と、四座配位子のアピカル炭素原子を他の典型元素へ置き換えた新配位子の開発を試みた。続いて、デンドリマー型置換基の開発を行い、これを3個導入することにより、フレキシブルなエクアトリアル位占拠型置換基として機能し得るかどうかを検討した。さらに、ジチオカルボキシラト配位子およびカルボキシラト配位子を二座配位子として活用した6配位ケイ素化合物の構築について検討した。これらの検討の結果、熱的に安定な4配位1,2-ヨードキセタンの酸化剤としての応用、三つの酸素原子がエクアトリアル位を、炭素原子が一つのアピカル位を占めたカルバホスファトランやカルバシラトラン、および5配位ケイ素原子あるいは7配位ケイ素原子同士が連結したジシランの合成に成功した。加えて、これらの関連化合物、リンとアルミニウムからなるホスファアラトラン、オレフィン重合活性を示すカチオン性シラノラトジルコニウム錯体、および電子供与能の最も高いアミノ(イリド)カルベンの創製にも成功した。このように独自に開発した配位子を活用して、従来の配位子では安定化し得なかった新規な有機高配位典型元素化合物を創製し、その構造、結合様式および反応性を明らかにするとともに、有機元素化学の発展に貢献する新構造に基づいた新しい知見を得ることができた。
著者
後藤 順一 眞野 成康 島田 美樹 山口 浩明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プロテオミクス手法を駆使して、脳内胆汁酸の機能解明に挑戦するとともに、胆汁酸シグナル伝達解析法の構築を試みた。まず、成長ホルモンとケノデオキシコール酸の結合につき、アフィニティーラベル化法により解析し、受容体結合部位とは異なる部分にケノデオキシコール酸が結合することが判った。次に、特異的誘導体化法と疑似ニュートラルロスを組み合わせるリン酸化タンパク質解析法を構築し、本法が複雑なタンパク質混合物中のリン酸化タンパク質の特定に有用なばかりか、リン酸化部位の同定にも優れることが判明した。さらに、ケノデオキシコール酸固定化cleavable affinity gelを用いて肝細胞中の結合タンパク質の抽出を試み、胆汁酸結合タンパク質として知られているジヒドロジオールデヒドロゲナーゼのほか、ペルオキシレドキシン1 がケノデオキシコール酸と結合することが明らかになった。
著者
赤木 和夫 後藤 博正 朴 光哲
出版者
筑波大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

キラルネマチック液晶を溶媒とする不斉反応場でのヘリカルポリアセチレンの合成を展開するとともに、らせん状モルホロジーの制御を目指した。(1)軸不斉キラルビナフティル誘導体をキラルドーパントしてネマティック液晶に添加して、キラルネマティック液晶を調製した。これに所定量のチグラー・ナッタ触媒を加えた後、5テスラーの磁場を印加して、キラルネマティック液晶が一方向に配向したモノドメイン構造を構築した。配向した不斉反応場でアセチレンの重合を行い、磁場方向に平行にかつ巨視的に配向したヘリカルポリアセチレン薄膜を合成することに成功した。従来の通説では、キラルネマティック液晶に磁場を印加すると、らせん構造が消失しネマティック液晶になるといわれていたが、本研究により、少なくとも5テスラーの磁場強度を印加する限りでは、液晶のらせん構造は壊れることなくキラルネマティック相が維持されたまま配向することがわかった。(2)ヘリカルポリアセチレンのねじれ方向をより一層厳密に制御すべく、ネマティック液晶に加えるキラルドーパントを分子設計し、種々の軸不斉ビナフチル誘導体を合成した。その中で、ビナフチル環の2、2'位をメチレン鎖で連結した架橋型バイナフチル誘導体は、非架橋型と同じ旋光性(R体ないしS体)であっても、ネマティック液晶に加えた段階で逆のらせん構造を形成し、結果的にヘリカルポリアセチレンのねじれも逆転することを見出した。すなわち、ビフェニル環同士の相対的ねじれ方向は同じであっても、ねじれの度合いが架橋型と非架橋型で異なるため、母液晶のネマティック分子のねじれ方向をも変えうる作用が働いていると理解された。すなわち、ヘリカルポリアセチレンのねじれ方向を制御するには、同じキラル化合物でR体とS体という二種類の旋光性を使い分けるアプローチの他に、同じR体ないしS体のビナフチル誘導体でも架橋型と非架橋型に分子修飾することで制御可能であることが明らかとなった。
著者
後藤 昭八郎
出版者
明治大学政治経済研究所
雑誌
政経論叢 (ISSN:03873285)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.65-99, 1973-11

David Humeは、経験から抽出されたものだけが妥当性をもつとする経験論の哲学者として最もよく知られている。しかし、Humeは、単に経験論の哲学者であったばかりでなく、倫理学、政治理論、社会理論、歴史学の分野においても、優れた業績を残し、また経済学の分野においても、当時のイギリス社会における重要な経済問題をとりあげて、鋭い洞察力を発揮し、「イギリス初期資本主義の発展と成熟とを背景に経済思想が豊かに生成しつつあった、重商主義からスミスへの過渡期における、英仏における広範な経済学論争の起点となり、経済学の成立に独自の貢献を残しているのである。」
著者
福井 厚 木谷 明 後藤 昭 白取 祐司 水谷 規男 葛野 尋之 中川孝博 豊崎 七絵 緑 大輔 石田 倫識 斎藤 司
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3年間の研究成果は、福井厚編『未決拘禁制度の改革と展望』(日本評論社)と題して、龍谷大学矯正・保護研究センター叢書の1冊として2009年7月に公刊される予定である(既に入稿済である)。第一部が未決拘禁の実体的要件の理論的検討、第二部が未決被拘禁者の権利制限の解釈論的検討、第三部が不服申立・その他、附属資料1として外国調査の結果、附属資料IIとして施設調査の結果、付録(CD-Rom版)として、福井厚監訳「ドイツ未決勾留法対案」、という構成になっている。
著者
柴田 拓二 後藤 康明 城 攻 城 収
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

耐震壁脚部の応力条件やコンクリ-トの打継ぎ条件を実験変数とする単層鉄筋コンクリ-ト造耐震壁模型7体の水平加力試験結果を用いて、壁脚部におけるスライディングの発生条件及びスライディング耐力について検討し、以下の諸点を明らかにした。なお、試験体形状は両側に柱形を有する単層1スパンモデルで、シアスパン比M/QD、コンクリ-トの脚部打継ぎの有無、躯体素材(コンクリ-トとモルタル)、脚部界面処理法、基礎スラブ厚さの5つを影響要因とする計7種各1体である。(1)試験体はすべて曲げ降伏型に設計されているが、繰り返し水平加力によってシアスパン比が大きいと曲げ破壊し、小さいと曲げ降伏後に脚部の滑り破壊に至りやすい。初期剛性に占める滑り変位の割合は、打ち継ぎがある場合と基礎梁のせいが大きい場合にやや大きい。また最大耐力時に占める滑り変位の割合は、シアスパンが小さいほど大きい。いずれも柱脚部のダボ・素材の相違の影響は殆ど無い。(2)耐震壁の層間変形角を滑り・脚部回転・剪断・曲げの4成分に分解して、繰り返し加力における剪断力と各変形成分とから求められるエネルギ-吸収量の全量に対する割合の推移は、変形成分そのものの推移と大きな相違は認められない。(3)既往の滑り破壊耐力式は、均等な圧縮応力と剪断応力が分布している応力条件から導かれたものであるが、これを曲げモ-メントを受けている壁脚部へ適用する方法として、中立軸の測定結果を考慮して壁脚部の圧縮断面積を圧縮柱断面と仮定し、均等軸力に純剪断力を受ける場合の滑り剪断応力度式3種を適用して比較した。この結果、Brirkeland式の適合が最もよく、Mattock式は曲げ亀裂後の壁脚には適合しにくい。今後は更に、シアスパン比・コンクリ-ト強度・柱軸力・柱壁軸筋量等の影響についても明確にすることが望まれる。
著者
松本 金矢 森脇 健夫 根津 知佳子 後藤 太一郎 磯部 由香 滝口 圭子 中西 良文
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

先行研究や実践活動で実績のある拠点校(5校区)を中心に、教育現場や隣接領域の実践現場のニーズを調査し、それに応じた領域を超えた教材・活動を開発・展開した。開発した教材は、現場との協働において教育実践に活用された。その実践報告を基に公開研究会を開催し、その有効性が検討された。得られた成果は、学会発表(33件)・論文発表(36件)として公開され、関係研究者の評価を得た。
著者
後藤 寿夫
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

環形動物の細胞外ヘモグロビン(Hb)は分子質量が3.5MDaに及ぶ超分子であり、ヒトHbの約50倍、リポゾームの約2倍のサイズである。これまでに、構成要素として4種のグロビン鎖(a, A, b, B)と2種の非ヘム蛋白(リンカー、L1,L2)の存在し、12個のサブ構造体(S)がリンカーによって連結されていることが知られている。本研究では、サブユニット構成、リンカーの役割、リンカーとグロビン鎖の結合様式の3点に焦点を絞って調べた。主な結果は以下の通りである。1.アオゴカイHb等のサブ構造体の分子質量をESI-Tof-MSにより直接測定することに成功して、その構成が(3(a・A-b-B))であることを明らかにした(Green, B.N., Gotoh, T., et al., J.Mol.Biol.309,553,2001)。2.アオゴカイHbを蛋白質分解酵素で処理するとリンカー鎖が優先的に消化されることを見つけた。これを利用してサブ構造体を単離し、光散乱法により分子質量を計測した。サブ構造体がグロビン鎖の12量体(3(a・A-b-B))であるとの結論を得た(後藤寿夫ら、動物学会中国四国支部会・山口・2001.5.12,13)。3.アオゴカイHbのグロビン鎖のうち3種類((a, b, B)のアミノ酸配列を決定した。配列から求まる質量値はESI-Tof-MSで求めた値によく一致し、これらのグロビン鎖に糖鎖が含まれないことを示している。また、分子系統樹を描き、2系統あることを確認しするとともに、これら2系統(サブファミリー)は脊椎動物のヘモグロピンとミオグロビンが分岐した時期とほぼ同じ頃に分岐したことを明らかにした(本年度の動物学会中国四国支部会・高松で発表の予定)。4.リンカーは超分子構築の最終段階に効いていることを明らかにするとともに、リンカーの活性を検定することに初めて成功した(Gotoh et al.Arch.Biochem.Biophys.,360,75[1998])。なお、2と3については論文を準備中である。
著者
北村 正 徳田 恵一 後藤 富朗 宮島 千代美
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

今年度は、手話の手座標・形状情報の統合に基づく認識法の検討、アクティブ画像探索法に基づく手の高速追跡法、基本動作モデルの検討を行った。以下にそれぞれについて述べる。1.国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所開発の日本手話データーベース(DB)を利用した。当該DBの中から動作数の多い手話動作者、出現頻度の高い18単語を選び学習・認識の対象とした。手話の特徴パラメータとして、手の動作と形状情報を利用しているが,それらを統合する方法(初期統合法、結果統合法)を検討した。動作:形状に7:3の重み付けをした統合により、形状情報単独に比べて誤り改善率が12.5%と向上し、82.8%の単語認識率が得られ、その有効性が示された。手話単語モデル作成には隠れマルコフモデルを用いている。2.手の座標抽出の実時間処理を目指して、アクティブ画像探索法に基づく方法を検討した。提案法は、過去の手座標から現在の探索範囲を予測し、探索範囲内の動作領域と肌色領域の情報から手座標を高速抽出する方法である。RWCPの手話単語DBに対して、肌色情報のベクトル量子化に基づき手の座標を抽出する従来法と比較を行い、4倍高速に抽出可能であることを確認した。3.前後の基本動作情報に基づくコンテキストクラスタリングを用いる基本動作モデル学習法を提案した。RWCPの手話単語DBを用いたが、まず手話単語を基本動作のラベル付けを行い、コンテキストクラスタリングに基づいて基本動作モデルを作成し、更に連結学習により各モデルを再学習する。得られた基本動作モデルの接続により任意の単語モデルを作成する。研究では、33単語モデルの認識実験を学習データに対して行ったが、約93%の認識率が得られ、提案法の有効性が確認できた。今後は,テストデータに対して有効性を検討していく予定である。
著者
木村 俊一 澤木 勝茂 井上 昭彦 鈴木 輝好 辻村 元男 鈴木 淳生 高嶋 隆太 八木 恭子 後藤 允 中野 張
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「OR指向ファイナンス」とは,数理ファイナンス理論をオペレーションズ・リサーチ(OR)における意思決定支援という観点からそのモデル作りを見直そうという本研究の基本概念である.この基本概念の下に,5つの研究テーマ(1) オプション価格評価;(2) 仕組債の価格評価;(3) 数理ファイナンス理論 (4) 企業ファイナンスにおける価値評価;(5) リアルオプションに対する数理モデルの開発とそれらの応用に関する研究を行い,数多くの国際的な研究成果を得た.
著者
小沢 弘明 大峰 真理 上村 清雄 橋川 健竜 秋葉 淳 後藤 春美
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、近現代ヨーロッパにおける中心=周縁関係の再編過程を分析することであった。この研究では二つの側面を重視した。第一は、ヨーロッパ内部の地域的な不均等発展を分析することである。この側面では、ルネサンス・イタリアにおける中心=周縁関係をフィレンツェとシエナめ関係に見る研究、ハプスブルク君主国とオスマン帝国内における中心=周縁関係から分析する研究を行った。第二は、ヨーロッパ概念の特質と、近代世界における構造化の中でヨーロッパの位置を探る研究である。本研究では、両大戦間期の国際社会における中心=周縁関係の議論をイギリス帝国を中心に分析する論考、植民地期の北アメリカを帝国史や大西洋史(アトランティック・ヒストリー)などの研究動向から分析する論考、18世紀フランスにおける奴隷貿易を基軸にヨーロッパ=アフリカの通商関係を再考する論考を準備した。本研究ではまた、いくつかの方法論上のアプローチも検討に付した。それは、「域内周縁」理論、 「境界地域」理論、ハプスブルク君主国やオスマン帝国について最近行われているカルチュラル・スタディーズやポストコロニアル・スタディーズからの議論である。EUの東方拡大と新自由主義による世界の構造化が進んでいる現在、とりわけ周縁の位置からヨーロッパの歴史的位置を解釈することは不可欠である。そのような視点を取ることは、帝国論や、新帝国主義論、新自由主義論などに関するわれわれの理解を深化させることになろう。本研究ではさらに、主題に関する今後の研究の基礎を拡大するためにデータベースの作成を行った。これらを利用することによって、近現代ヨーロッパ史を、これまでとは異なった観点で分析していくことが可能となろう。
著者
金 金 八重樫 朋祥 澤田 建 斉藤 隼人 後藤 由希 中嶋 侑佳 澤井 健 橋爪 力
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.101, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】本研究は,日長や温度変化が反芻家畜の成長ホルモン分泌(GH)に及ぼす影響を明らかにするために,ヤギを人工気象室内で飼養し,日長や温度を変化させた時のGH分泌の変化を調べた。 【方法】成熟雌シバヤギを室温20°Cに設定した人工気象室内で,8時間明,16時間暗(8L-16D), 12時間明,12時間暗(12L-12D)及び16時間明,8時間暗(16L-8D)の人工照明下で飼養した。また12L-12Dの一定照明下で室温を25°C又は5°Cに設定した人工気象室内でもヤギを飼養した。それぞれの条件下で飼養したヤギの頸静脈内にカテーテルを留置し,15分間隔で4時間採血して血中GH濃度の変化を調べた。また各期に成長ホルモン放出ホルモン(GHRH: 0.25 µg/kg b.w.)を頸静脈内投与してGHの放出反応も調べた。GHパルスの解析はEllisら方法に従った。 【結果】(1) 照明を変化させた時,GHのパルス頻度には有意な変化は見られなかった。パルスの振幅は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区では高くなる傾向が見られた。平均GH濃度は8L-16D区に比べ12L-12D区と16L-8D区は有意に高かった(P<0.05)。(2)温度を変化させた時,パルス頻度と平均GH濃度には有意な変化は見られなかった。GHパルスの振幅は25°C区に比べ5°C区の方が高い傾向にあった。 (3) GHRH投与実験においては,16L-8D区は8L-16D区に比べGH放出反応が高まる傾向が見られた。温度変化による差は見られなかった。 本研究の結果は,ヤギのGH分泌は温度変化より,日長変化により修飾されることを示唆する。
著者
後藤 和子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

創造的産業、日本ではコンテンツ産業が、今後の都市経済を牽引する重要な産業であることは異論のないところであろう。しかし、日本のコンテンツ産業を分析した経済産業省の報告書(2007年9月,2008年1月)は、その未来が決して明るいものではないことを指摘する。報告書は、日本のコンテンツ産業は、現在、世界第二位のシェアを占めているが、それは国内市場規模の大きさを反映したものであり、貿易に関しては輸入超過となっていること、輸出は各分野で減少していると指摘する。重要なのは、この報告書では、コンテンツ産業は「文化」と「産業」の2つの側面を有するが、敢えて、産業としての側面、文化を経済価値にどう結びつけていくかに焦点を合わせたと述べていることである。しかし、創造的産業とは、非営利的で創造的な活動と、営利的で単調なビジネスとの契約による結合であり、その契約が不完備契約であることが、産業組織の構造を規定している側面がある。そのため、日本のコンテンツ産業の問題を本格的に分析しようと思えば、文化と産業の結節点を分析する必要があるし、政策化にあたっても文化政策と産業政策の両面から、あるいはその結節点に新たな光を当てて検討する必要がある。本研究では、創造性へのインセンティブに焦点を合わせ、創造的産業の産業組織の国際比較を行い、その容器である都市政策との関連を探った。インセンティブとしての著作権の配分や税制(タックス・インセンティブ)、産業組織構造の国際比較により、日本の創造的産業の特徴が浮き彫りになるとともに、欧州では、創造的産業政策が、文化部局と経済部局、都市空間部局の密接な連携のもとに行われるようになっていること等が分かった。
著者
黒田 彰 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、古代幼学の実態解明に向けて、孝子伝(図)、列女伝(図)、体腔か陽など、未解明の題材を取り上げ、発展的研究を目差したものである。中で、後述日中共同研究による和林格爾後漢壁画墓の未公開の孝子伝図、列女伝図を含む、全壁画の公開報告書の公刊や、太公家教の現存全本の校本と校訂本文の作成、注解などの公刊(『太公家教注解』、汲古書院)を中心とする、学際的特色をもった成果を齎すことが出来た。
著者
和泉 潔 後藤 卓 松井 藤五郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

定期的に発表され決まった形式を持つテキスト情報を対象とした長期市場動向分析のためのテキストマイニング手法を、実データによる運用テストで評価する手法を開発した。2008年1月から2009年5月の1年5カ月間の国債市場で評価したところ、年率平均に換算して、4.9%~88.05%の高いリターン成績を示すことができた。