著者
木村 真樹 山田 卓也 木山 茂 関野 考史 松尾 浩 竹村 博文
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.2712-2716, 2006-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

症例1は40歳台の女性.主訴は検診での血液検査異常. CA19-9高値. CTで膵尾部に辺縁と内部が造影される嚢胞性腫瘍を認めた. MRIでは内部に造影T1強調像で高信号, T2強調像で膵実質性部分と同等の信号の壁在結節を認めた.膵粘液性嚢胞腫瘍と診断し,手術を施行したところ類上皮腫を合併した膵内副脾であった.症例2は50歳台の男性.主訴は検診の超音波検査での膵腫瘤.単純CTで周囲に均一な軟部濃度を有する嚢胞性腫瘍を認め, MRIで3mm大の壁在結節を認めた. Dynamic studyで壁在結節の濃染パターンは脾臓と酷似しSPIO造影で信号低下あり膵内副脾に合併した類上皮腫と考え経過観察中である. SPIO造影剤は網内系細胞に採取され正常脾の信号を低下させ副脾の診断が可能となる. dynamic studyとSPIO MRIで膵内副脾に合併した類上皮腫の術前診断が可能である.
著者
中村 裕義 木村 真春 山形 眞一 中村 均 大森 栄 北田 光一
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.437-444, 1997-10-10 (Released:2011-08-11)
参考文献数
3

In the present study, we examined the effects of light, temperature and humidity on the residual rate of alfacalcidol in four commercially available preparations of alfacalcidol (Alfarol® capsules, Alfarol® powder, Warkmin® capsules and Onealfa® tablets). The tests were performed for up to 10 weeks with PTP seals, or without PTP seals. The changes in residual rate of alfacalcidol in Alfarol® powder packaged with cellophane-laminate paper, and Onealfa® tablets packaged with cellophane-laminate paper after crushing were also examined.The residual rate of alfacalcidol decreased in Alfarol® capsules packaged with PTP seals under fluorescent lighting (1000 lux) and in Alfarol® powder without an aluminum seal under all conditions. There were no changes in the contents of alfacalcidol in Alfarol® capsules with PTP seals and Alfarol® powder packaged by aluminum seal. A slight decrease in the residual rate of alfacalcidol in Warkmin® capsules was found under fluorescent lighting. The residual rate of alfacalcidol decreased in Onealfa® tablets under high temperature and/or high humidity. Alfarol® powder packaged with cellophane-laminate paper and Onealfa® tablets packaged with cellophane-laminete paper after crushing were found to be unstable, indicating that long-term storage should be avoided when these formulations are prepared.
著者
海津 浩一 伊藤 脩平 日下 正広 木村 真晃 木之下 広幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.862, pp.17-00485, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Joining of plastics and light metals contributes to the reduction of a product weight. In this study, the punching rivet method was applied to joining of an acrylic resin sheet and an aluminum alloy sheet. The punching rivet method can join the sheets without drilling. The riveting process of this method is constituted of the punching process of the sheets using the rivet shank and the fastening process of the sheets using the rivet and the rivet holder. The sheets are fastened by using the plastic deformation of the rivet shank. From the observation of the joints made by the punching rivet method, it was found that the acrylic resin sheet of the joint had no crack and out-of-plane deformation of the joint was small. From the results of the joint strength tests, it was considered that the joint made by the punching rivet method had high strength due to the effect of the pressures on seating faces of the rivet and the rivet holder. As a result, the punching rivet method was effective to join the acrylic resin sheet and the aluminum alloy sheet.
著者
木村 真人 梅垣 佑介 水野 治久
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.173-186, 2014 (Released:2015-03-27)
参考文献数
29
被引用文献数
2 5

本研究では, 大学生の抑うつおよび自殺念慮の問題に関する学生相談機関への援助要請行動のプロセスに焦点をあて, その特徴を明らかにするとともに, 援助要請行動のプロセスにおける各段階の意思決定に関連する要因を検討した。大学生を対象に, 場面想定法を用いて抑うつおよび自殺念慮の問題を抱えた際の援助要請行動, 問題の深刻度の評価, 援助要請に対する態度, 自尊感情, 精神的健康度, ソーシャル・サポート, デモグラフィック変数について尋ねる質問紙調査を実施し, 758名からの有効回答を得た。ロジスティック回帰分析を実施した結果, 援助要請を検討する段階では性別(女性), ソーシャル・サポート, 問題の深刻度の評価が関連を示した。学生相談機関への援助要請行動の段階では, 問題の深刻度の評価, 援助要請に対する態度が関連を示し, さらに自殺念慮の問題では, 性別(男性)が関連を示した。得られた結果より, 援助要請行動のプロセスの観点からの, 大学生の精神的健康を目指した学生相談機関による介入方法について考察された。
著者
海津 浩一 村田 裕斗 光延 裕紀 植西 亮介 日下 正広 木村 真晃
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.858, pp.17-00550-17-00550, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In order to ensure the safety of passengers in the event of an accident, side member and crash box are mounted on automobiles. Cylindrical tubes, rectangular pipes and hat-shaped members have been examined as structural members that subjected to an axial compressive load. However, these structures have problems that the initial peak load is very high and the load rapidly decreases due to buckling during crushing. To solve the problems, we proposed a cellular solid with mimetic woody structure as a new structural member. Some woods have no initial sharp peak load and have a plateau region which the load is constant in the relationship between the load and the displacement, when the impulsive load are applied to them. We considered that those features were suitable for structural members like a side member or a crash box. The basic cell was a square block with a side length of 10 millimeters and it had a hole in the center. The cellular solid was constituted by combining some basic cells. Therefore, a homogeneous cellular solid was fabricated by making small holes in the aluminum cube. From results obtained from the impact crushing test and simulation by the FEM software LS-DYNA®, it was demonstrated that the proposed cellular solid had crushing characteristics similar to the wood, and the energy absorption characteristics were influenced by the shape and arrangement of the cells. As a result, it was shown that the results of experiment and analysis substantially corresponded. Since the load during crushing depended on the shape and arrangement of the cells, the possibility of controlling the energy absorption characteristics was shown.
著者
木村 真依子 川口 武彦 首村 守俊 熊倉 慧 岡田 絵里 上原 正樹 岡島 真理 山川 貴史 西村 元伸 石川 哲 今澤 俊之
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.641-646, 2017 (Released:2017-10-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

71歳男性. 透析歴2年. 発熱, 前胸部痛を主訴とし, 酸素化低下と胸部単純X線で左肺野の浸潤影を認め, 肺炎の診断で緊急入院となった. 細菌性肺炎を疑い, セフトリアキソンの投与を開始したが, 第4病日, 炎症反応の上昇, 浸潤影の拡大を認めた. 非定型肺炎の合併を疑い, シプロフロキサシン (CPFX) を追加した. 第5病日, 無尿のため血清を代用した尿中レジオネラ抗原検出試薬による検査 (抗原検査) を行ったところ, 陽性であった. 導尿にて少量の尿が採取され, 尿中抗原陽性も確認した. レジオネラ肺炎と診断し, CPFXからレボフロキサシンへの変更にて軽快, 治癒し, 血清の抗原検査で陰性化を認めた. 透析患者は, レジオネラ肺炎の診断に用いられる尿の採取が困難であることが多い. 無尿の透析患者においては, レジオネラ肺炎の診断に, 血清を代用した抗原検査が有用である可能性が示された.
著者
橋本 恭之 HASHIMOTO Kyoji 木村 真 KIMURA Shin
出版者
関西大学経済学会
巻号頁・発行日
2013-09-10

第2次安倍政権は、金融緩和、財政支出拡大と成長戦略を組み合わせた「アベノミクス」を推進しようとしている。アベノミクスに対する懸念のひとつが、財政の持続可能性である。本稿では、成長率、税収の伸び率を一定の値に仮定して財政収支を予測する「機械的試算」により財政健全化の可能性を検証した。本稿のシミュレーションでは、仮に名目成長率3 %、名目長期金利が2 % で成長率を下回るという都合のよいケースでも、2050 年度の対GDP 比でみた国債残高は200%を突破し、名目金利が成長率を上回る4 % のケースでは、300%を超えてしまうことがわかった。2020 年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)は、消費税率換算で6.6%程度の赤字が予想される。
著者
前田 一行 中嶋 佑一 市川 雛代 鬼頭 良幸 古﨑 貴大 斎藤 臣雄 本山 高幸 長田 裕之 小林 哲夫 木村 真
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.69-74, 2014-01-31 (Released:2014-06-21)
参考文献数
21

赤かび病菌Fusarium graminearumはトリコテセン系かび毒を産生し穀類を汚染する病原菌である.トリコテセン類は安定性が高く,分解・除去が困難であるため,かび毒の産生そのものを制御する手段の確立が望まれている.我々は赤かび病菌のトリコテセン系かび毒の産生制御に向けた制御化合物の探索を行っている.理化学研究所天然物化合物バンク(NPDepo)から供与される化合物を直接,毒素誘導条件下の菌体に処理してトリコテセン産生への影響を調べる方法に加え,化合物アレイを用いてトリコテセン生合成酵素の阻害剤を探索している.本稿では,これらの手法によって現在までに得られつつある有用化合物に関する活性評価と作用機作についての概要を紹介する.
著者
吉田 修 北川 将之 上田 知亮 石坂 晋哉 油井 美春 長崎 暢子 志賀 美和子 木村 真希子 舟橋 健太 中溝 和弥 田辺 明生 三輪 博樹 伊藤 融 小川 道大 小西 公大 近藤 則夫 森 悠子 和田 一哉 佐藤 仁美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

20人弱の日本のインド政治・社会研究者がインドにおける州への分権化・自治の進展について共同・分担して分析を行った。その研究結果は2014年度アジア政経学会西日本大会で発表するとともに同学会誌『アジア研究』第62巻第4号に特集として掲載され、インド政治が一国家の枠内にありながら州を単位とした比較政治の対象でもありうること、また政治的に進展した分権化が全国レベルでの緩やかな統合を可能にしていることが、インド研究の政治学全体への貢献として提示できることが示された。この成果はインドの「社会経済変化研究所」で国際セミナーを開催することでインド国内にもインパクトを与え、今後の国際共同研究に道を開いた。
著者
木村真人 梅垣佑介 河合輝久 前田由貴子 伊藤直樹 水野治久
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第56回総会
巻号頁・発行日
2014-10-09

企画趣旨悩みを抱えながら相談に来ない学生への支援は多くの大学に共通する学生相談・学生支援の課題である(日本学生支援機構,2012)。このような課題の解消に向けて,企画者は悩みを抱えながら相談に来ない学生への支援について,大学生本人の援助要請行動に焦点をあてたワークショップを企画した(木村・梅垣・榎本・佐藤,2012)。ワークショップでの議論を通して,悩みを抱えながら相談に来ない学生に対しては,学生の自主来室を待つだけの姿勢や,学生相談機関のみでの対応・支援には限界があることが明らかとなった。そこで本シンポジウムでは,学内外の多様な資源を活用した支援に着目する。この課題に対して問題意識を持ちながら現場で学生支援に関わっている先生方に,学内外の多様な資源を生かした支援の可能性と課題について,研究知見および実践活動に基づく話題提供をしていただく。学内外の資源として,具体的には学内の友人や学生コミュニティ,およびインターネットを活用した支援に焦点をあてる。話題提供および指定討論者からのコメントを受け,悩みを抱えながら相談に来ない学生への学内外の多様な資源を生かした支援の可能性や課題についてフロアーの方々とともに議論を深めたい。話題提供1:大学生の学生相談機関への援助要請過程における学内の友人の活用可能性―大学生のうつ病・抑うつに着目して―河合輝久(東京大学大学院)悩みを抱えていながら相談に来ない大学生に対する学生支援のうち,うつ病を発症していながら専門的治療・援助を利用しない大学生に対する学生支援の構築は喫緊の課題といえる。なぜならば,うつ病は修学を含む学生生活に支障を来すだけでなく,自殺の危険因子ともされているためである。従来の研究では,大学生の年代を含む若者は,自らの抑うつ症状について専門家ではなく友人に相談すること,友人から専門家に相談するよう促されることで専門家に相談しに行くことが明らかにされている。従って,学内の友人は専門家へのつなぎ役として活用できる可能性が示唆されているといえる。一方で,うつ病・抑うつ罹患者に対して,大学生は不適切な認識や対応をとるとされている他,罹患者に闇雲に関わることで情緒的に巻き込まれてしまう恐れも考えられる。従って,うつ病・抑うつを発症しながら相談に来ない大学生への支援における学内の友人の活用可能性について,うつ病・抑うつを発症した大学生とその身近な学内の友人の双方の視点から,学内の友人を活用するメリットおよび限界を把握しておくことが重要といえる。本発表では,うつ病を発症しながら相談に来ない大学生の学生支援における学内の友人を活用するメリットおよび留意点を概観した上で,学内の友人をインフォーマルな援助資源として有効に機能させる可能性について検討したい。話題提供2:学内資源を活かした支援を要する学生のコミュニティ参加を促す支援の実践―ピア・サポートの活用―前田由貴子・木村真人(大阪国際大学)大学に進学する発達障害学生の増加に伴い,発達障害学生支援の重要性が指摘されている。この発達障害学生支援体制構築に際しては,相談支援窓口となる部署の設置や,教職員間の連携などが必要要素であり(石井,2011),各大学における急務の課題となっている。従来から発達障害を含む何らかの障害を抱える学生や,悩みや問題を抱える学生に対しては,学生相談室が中心となり対応してきたが,特に発達障害学生支援においては,学生相談室での個別対応のみでは不十分であり,学内の様々な部署との連携による支援が求められる。発達障害学生支援においては,当該学生の友人関係構築の困難による孤立化を防ぎ,不登校・休学・退学に繋げない取り組みが重要である。彼らが孤立化する要因として,対人関係上の問題解決スキル不足があり,このスキル教授が支援の中でも大きな位置を占める。しかし,この問題解決スキル行使が可能になる環境が無い場合は,単なる問題解決スキルの知識獲得のみに留まり,その実践からのフィードバックを得ることが難しい。そのため,当該学生の問題解決スキル実践の場への参加促進及び,そのコミュニティ作りが肝要である。本発表では,このコミュニティ作りにおけるピア・サポート活用について言及することにより,「コミュニティの中での学生支援」について検討し,従来の学生相談体制の課題解決に向けた,新たな学生支援の可能性と課題について考察したい。話題提供3:学生相談機関のウェブサイトを通じた情報発信から学生の利用促進を考える伊藤直樹(明治大学) インターネット環境の整備やモバイル端末の急速な普及により,大学のウェブサイトが教育や研究に果たす役割は非常に大きくなった。大学は情報発信のためにウェブサイトを積極的に活用しており,学生も大学の様々な情報にアクセスしている。各大学の学生相談機関もウェブサイトを通じた情報発信を行っており,『学生相談機関ガイドライン』(日本学生相談学会,2013)の中でもその重要性が指摘されている。支援を必要とする学生はもちろんこと,家族,あるいは教職員も学生相談機関のウェブサイトを閲覧し,情報を入手しているものと思われる。しかし,学生相談機関としてウェブサイト上にどのような情報を掲載すべきなのか,また,利用促進につなげるにはどのような情報を掲載したらよいのか,あるいは,そもそも利用促進にどの程度効果があるのかといった問題についてはほとんどわかっていない。今回の自主シンポでは,2004年,2005年及び2013年に学生相談機関のウェブサイトを対象に行った調査の結果をもとに,ウェブサイトを利用した情報発信について話題提供を行いたい。まず,日本及びアメリカの学生相談機関における最近約10年間の情報発信の変化について取り上げ,次に,日本,アメリカ,イギリス,台湾の大学の学生相談機関の情報発信の現状について比較検討する。これらの知見に基づき,学生相談機関のウェブサイトを通じた情報発信の可能性について考えたい。話題提供4:学生支援におけるインターネット自助プログラムの可能性と課題梅垣佑介(奈良女子大学) 厳密なデザインの効果研究により有効性が示された臨床心理学的援助の技法を,インターネット上でできる自助プログラムの形で提供しようとする試みが欧米を中心に近年広がりつつある。特に認知行動療法(CBT)を用いたそういったインターネット自助プログラムはComputerized CBT(cCBT)やInternet-based CBT(iCBT)などと称され,複数のランダム化比較試験により若者や成人のうつ・不安に対する一定の効果が示されている一方,いくつかの課題も示されている。本発表では,イギリスにおいて大学生を対象としてInternet-based CBTを実践した研究プロジェクトの取り組みを,実際の事例を交えて紹介する。イギリスでの展開事例に基づき,非来談学生や留学生への支援可能性といった我が国の学生支援におけるインターネット自助プログラム活用の可能性を述べたうえで,従来指摘されていた高ドロップアウト率といった課題への対処,および大学生への実践から見えてきた新たな課題を検討する。我が国の学生支援の現場で今後インターネット自助プログラムを有効に展開するための議論の端緒を開きたい。(キーワード:学生相談,学生コミュニティ,インターネット)