著者
伊藤 謙一 川嶋 和晴 大庭 芳和 播谷 亮 木村 享史 板倉 智敏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.523-526, 1997-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

岡県の一観光牧場で, 9日間に成兎60羽中53羽 (88.3%) が沈うつ症状を示して発症後数時間で死亡し, 死亡3例について病理学的に検索したところ, 兎出血病 (Rabbit hemorrhagic disease: RHD) に特微的な病変が認められた. すなわち, 組織学的に壊死性肝炎, 肺・腎臓における播種性血管内凝固が認められ, 抗RHDウィルスIgGによる免疫染色で肝細胞に陽性反応が認められた. また, 電子顕微鏡学的には, 壊死肝細胞細胞質にカリシウイルス様粒子が観察された. 死亡例の肝臓乳剤を接種された2羽の兎で本病の再現がなされ, 肝臓からカリシウイルス粒子が精製された. 今回の例は1994年 (北海道) に続いてわが国における第2件目であった.

611 0 0 0 OA 編物図案集

著者
木村淡香 著
出版者
大倉書店
巻号頁・発行日
vol.人之巻上, 1913
著者
木村 祐貴 山中 智之 松井 彰子
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.109-111, 2019-04-25 (Released:2019-04-25)
参考文献数
19

A single female specimen (724 mm SL) of Japanese snook, Lates japonicus Katayama and Taki, 1984, was corrected in the mouth of the Ajigawa river, Osaka Bay, Japan on 20th August 2018, representing the second record of the species from Osaka Bay. The present record implicates that this fish was not resident but appeared accidentally in Osaka bay, because the bay lacks no suitable over-wintering habitat for L. japonicus.
著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786,853, 2003-09-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2 3

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
水田 明能 木村 敏宣
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.392-395, 2004-05-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8
被引用文献数
2 3
著者
木村 友香 加藤 敦子
出版者
一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
雑誌
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 (ISSN:18820123)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.158-164, 2017-04-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
25

22歳, 男性。初診の2年前に寿司屋に就職し, 生の魚介類を扱うようになった。1ヵ月前に生のアワビ, クルマエビとアカエビを調理中に手に瘙痒感を伴う発赤が生じ, その後全身の瘙痒感, 呼吸困難感を訴え救急搬送された。その後も仕事を継続し, アワビとクルマエビを調理した際には, 時折手の瘙痒感や咳嗽を自覚する。アワビとクルマエビはいつも同時に扱うという。精査目的に当科初診した。血液検査ではアサリ, カキとホタテの特異的IgEがクラス2であった。プリックテストを施行し, 生のアワビで強陽性, 加熱したアワビ, 生のクルマエビ, 生のタコで陽性であった。アワビのプリックテスト中, 軽度の呼吸困難感が出現したが, 5分ほどで自然に軽快した。また, 生と加熱したアカエビを含むほかの各種魚介は陰性であった。タコは接触しても摂取しても症状は生じない。以上より, 生のクルマエビに対する接触蕁麻疹を合併したアワビによる接触蕁麻疹症候群と診断した。
著者
福井 隆雄 木村 聡貴 門田 浩二 五味 裕章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.407, pp.37-42, 2006-11-28
参考文献数
5
被引用文献数
1

停止しているエスカレータに乗り込む際に違和感を持つことは多くの人々が経験する現象の1つである.従来は,停止していると認識しているにも関わらず,「動いているエスカレータ用」の運動プログラムが乗り込む前から働き,予測と実際の感覚フィードバックの不一致のため違和感が生じると説明されてきた.また,最初の段差が他に比べて低いといった構造的な不均一性によって違和感が生じるのではないかとも考えられた.本研究では,稼働中のエスカレータ,停止中のエスカレータ,段差の構造をエスカレータに似せた木製階段への運動における運動学的特性を比較検討した.その結果,停止エスカレータに乗り込むまでは,「止まっているエスカレータ」として適切に認識し運動していることが示された.そして,停止エスカレータに乗込んだ後に,身体が前の方に急激に傾く振る舞いが観察された.これは,木製階段では見られず,停止しているエスカレータ固有のものであった.このことから,停止しているエスカレータに乗り込んでから,「動いているエスカレータ用」の運動プログラムが潜在的に駆動されている可能性が示された.また,違和感については停止しているエスカレータ,木製階段への運動における内観評定を行った.内観評定については,木製階段においてはほとんど違和感が生じなかったのに対し,停止しているエスカレータでは乗り込み後,違和感と相関する行動指標が同定された.違和感は構造的不均一性により引き起こされるものではないことが示された.
著者
清原 一暁 中山 実 木村 博茂 清水 英夫 清水 康敬
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.117-126, 2003
参考文献数
11
被引用文献数
9

本研究では,印刷物による提示とコンピュータ画面の提示による文章理解の違いを調べ,わかりやすい文章提示の方法を検討した.文章の理解度を内容に関するテスト成績で調べた.その結果,表示メディアについては,提示方法によらず印刷物がディスプレイに比べて良いことが分かった.また,LCDがCRTよりも理解度において優れていることが分かった.さらに,すべての表示メディアにおいて,明朝体と比べてゴシック体の方が文章理解において成績が良い事を明らかにした.
著者
米田 彬史 板倉 光 荒井 考磨 海部 健三 吉永 龍起 三宅 陽一 白井 厚太朗 木村 伸吾
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.18-00038, (Released:2019-03-15)
参考文献数
69
被引用文献数
4 11

日本におけるニホンウナギの自然分布域を明らかにするために,文献調査からシラスウナギの来遊記録をまとめ,耳石安定同位体比分析に基づく判別手法から全国の河川・湖沼から収集した個体を天然加入個体と放流個体に判別した。その結果,九州一帯,瀬戸内海沿岸,青森県以南の太平洋沿岸,京都府以南の日本海沿岸は自然分布域の主要部,福井県から青森県までの日本海沿岸は自然分布域の縁辺部と推定された。しかし,主要部であっても天然加入個体の割合が3割程度以下の場合もあり,資源が放流個体に依存している状況がうかがえた。
著者
小林 武志 木村 凡 藤井 建夫
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.782-786, 853, 2003-09-15
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

石川県特産のフグ卵巣ぬか漬けでは,有毒卵巣がぬか漬け後に食用となるので,その減毒への微生物関与の可能性を検討した。ぬか漬け製造中の桶の液汁を採取し,これにフグ毒を添加して貯蔵を行い,その毒性を測定すると共に,ぬか漬けの微生物185株をフグ毒培地に各々接種し,培養後の培地の毒性を測定した。また,フグ毒培地にぬか漬けを直接接種,培養して,毒性変化を調べ,毒分解活性を有する微生物を増菌して分離しようと試みた。しかし,一連の実験では,微生物関与と考えられる明確な毒性低下を確認できなかった。
著者
鳥居 淳 石川 仁 木村 耕行 齊藤 元章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J100-C, no.11, pp.537-544, 2017-11-01

ExaScaler社では,省電力スーパーコンピュータZettaScalerシリーズを開発,展開している.最初の世代であるZettaScaler-1.xでは,PEZY Computing社が開発したMIMDメニーコアプロセッサPEZY-SCを採用し,高密度実装を図ったBrickと呼ばれるサーバ集合体を,フッ化炭素系不活性液体をもちいて液浸冷却を行い,高性能,低消費電力,小型化を実現した.本論文では,このZettaScaler-1.xで開発した独自のハードウェア技術とプログラミングに関して解説する.また,現在構築中のZettaScaler-2.0について,磁界結合TCI (ThruChip Interface)によるDRAMとの3次元実装技術や,新たなBrick構造,冷却システムについて言及する.更に,エクサスケールコンピューティングに向けた今後の方向性について展望する.
著者
木村-黒田 純子 黒田 洋一郎
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第45回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S5-2, 2018 (Released:2018-08-10)

近年、自閉症、注意欠如多動症(ADHD)など発達障害が急増しており、社会問題となっている。従来、発達障害は遺伝要因が大きいと言われてきたが、膨大な遺伝子研究が行われた結果、遺伝要因よりも環境要因が大きいことが明らかとなってきた。環境要因は多様だが、なかでも農薬など環境化学物質の曝露が疑われている。2010年頃から、有機リン系農薬(OP)曝露がADHDなど発達障害のリスクを上げることを示す論文が多数発表された。2012年、米国小児科学会は“農薬曝露は子どもに発達障害,脳腫瘍などの健康被害を起こす”と公的に警告した(Pediatrics, 130)。OECDによれば、日本の農地単位面積当たりの農薬使用量は、世界でも極めて多い。殺虫剤では、世界で規制が強まっているOPの使用がいまだに多く、ネオニコチノイド系農薬(NEO)の使用量が急増している。国内の子ども(223名、2012-3年)の尿中にはOPの代謝物やNEOが極めて高率に検出され(Environ Res, 147, 2016)、日常的な慢性複合曝露影響が危惧されている。OPはアセチルコリン分解酵素を阻害し、NEOはニコチン性アセチルコリン受容体を介したシグナル毒性(J Toxicol Sci, 41, 2016)を示し、共にコリン作動系を障害する。コリン作動系は、中枢及び末梢の脳神経系で重要であり、特に発達期の脳でシナプス・神経回路形成を担っている。NEOはヒトには安全と謳われたが、哺乳類の脳発達に悪影響を及ぼす報告が蓄積してきている。我々のラット発達期小脳培養系では、短期曝露でニコチン様の興奮作用を起こし(Plos One, 7, 2012)、長期曝露で遺伝子発現を攪乱した(IJERPH, 13, 2016)。我々のデータと共に国内外の報告から、NEOの影響を中心に、コリン作動系を介した脳発達について考察する。
著者
木村 和宏 Kazuhiro Kimura
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2011-03-24

Mobile satellite communication network systems have been developed and putto practical use. However, the network systems using geostationary satellites have aproblem of signal blocking caused by buildings because of a low elevation angle. Lowearth orbit satellite network systems which consist of many satellites are also proposed.However, the commercial services were abandoned because of high cost. As for thesatellite navigation network system, the global positioning system has been put to fullcivilian use. However, it also has the building blocking problem.To solve these problems, quasi-zenith satellite system (QZSS) is proposed, andthe project to provide communications and navigation services using QZSS has beenstarted in Japan. The QZSS network consists of three satellites deployed into inclinedsynchronous orbits.In order to realize the system, the author established the method of optimizingthe satellite constellation, satellite orbit maintenance technologies, and networkoperation technologies.The first issue is the optimization of satellite constellation. After the orbitalmotion for circular orbit constellations is formulated, the equations for calculating theoptimum orbital parameter are derived. The author also found optimum elliptical orbitconstellations under several typical conditions.The second issue is satellite orbit maintenance. It was believed that theconstellation is impractical, because the required velocity increment for orbitmaintenance is very large. The author found out that the velocity increment can bereduced by the trimming of the satellite orbital period and proper selection of the initialorbit. The method of orbit maintenance is optimized considering the total amount ofvelocity increment.The third issue is satellite network operations. The author introduced indicatorsfor the satellite crossing distance. The indicators can be easily calculated from theorbital elements of the crossing satellites, and it is useful for collision avoidance aroundthe crossing point. Strategies for spare satellite deployment are also investigated.The experimental satellite "Michibiki", which demonstrates satellite navigationtechnologies by QZSS, has been successfully launched in September 2010.衛星を用いた移動体通信ネットワークシステムが、1990 年代から実用化されてきたが、静止衛星を用いた場合には、例えば、東京からでは最大でも仰角48度にしかならず、都市部でビル等により電波が遮断されるブロッキングが問題となる。また、多数の低軌道衛星を用いたイリジウムのようなネットワークシステムが複数提案されたが、仰角の確保や衛星ダイバーシティの実現には多数の衛星が必要で、ネットワーク構成に高いコストがかかる問題がある。衛星を用いた測位ネットワークシステムに関しても、GPS(Global PositioningSystem)の民生利用が浸透し、カーナビゲーションや測量等の用途に幅広く利用されるようになったが、ブロッキングにより、測位に必要な4機以上の衛星からの信号が受けられず、測位ができないことも多い。これらの問題を解決する衛星ネットワークシステムとして、わが国の官民が連携し、準天頂衛星ネットワークシステムの開発が行われてきた。準天頂衛星ネットワークシステムは、日本付近で8 時間高仰角が保たれる衛星3 機でネットワークを構成し、順次、切り替え(ハンドオーバ)しながら天頂付近の衛星から移動体に通信・測位のサービスを行うものである。筆者は、準天頂衛星軌道の基礎研究を行うとともに、2003 年に準天頂衛星プロジェクトが開始されて以降は衛星システムの概念設計に参画し、衛星軌道に関する課題について研究を行った。赤道に対して45 度程度の傾斜角をもち、衛星が地球の自転と同じ周期で地球を周回する楕円軌道の傾斜同期軌道において、その軌道面と楕円の長軸方向を一定に保持するためには、静止軌道の軌道を保持する場合の3倍程度の制御量が必要になり、準天頂衛星ネットワークシステムは当初実用にならないと考えられていた。そこで、本研究では、最初にこの衛星軌道保持制御量の問題について再検討を行い、準天頂衛星ネットワークシステムのミッション要求条件とネットワークの幾何学的配置を考慮して、衛星高度の調整で地球に対する相対的な軌道面を保つとともに、適切な初期軌道を選ぶことで、静止衛星と同程度以下の制御量で軌道保持ができることを明らかにした。このことにより、準天頂衛星ネットワークシステムの実現可能性が示され、計画の実現に向け大きく前進した。本研究では、準天頂衛星ネットワークシステムの軌道に関する以下の三つの課題について検討を行った。一番目の課題は、衛星の軌道配置の最適化である。円軌道の場合は、軌道運動が解析的に定式化できるため、軌道傾斜角の関数として運用最低仰角が最大となる緯度を計算するための数式を導出した。円軌道の場合でも、日本の主要部分で70 度以上の仰角を常時確保できるものの、一般的には楕円軌道の方がいい仰角特性が得られる。このため、円軌道での検討で得られた知見を活用し、楕円軌道について、南北両半球へのサービスに適した軌道や、北半球限定で非常に高い仰角が得られる軌道配置、衛星間でのハンドオーバが地上から見てほぼ同一位置で可能となる軌道パラメータを導出した。二番目の課題は、衛星軌道保持制御量の最小化とそのための制御方法の確立である。楕円軌道の場合には、円軌道の場合と比較して、楕円の長軸方向を保持する制御も新たに必要になる。また、軌道上のどの位置でどの方向に加速制御するかによっても制御量が異なる。実際に衛星を制御する場合には、運用上の制約で制御ができない軌道上位置もある。これらの条件を考慮した上で、初期軌道投入パラメータなどさまざまな要因を含めて検討し、軌道保持制御方法の最適化により制御量の最小化を行った。この一般的な検討に加えて、実システムの概念設計段階で以下の検討を実施した。初めに、プロジェクトで候補となった複数の軌道案について比較評価を行った。次に、通信・測位の複合システムの要求条件に合わせ、通信ミッションに必要なハンドオーバ条件を維持しながら軌道制御による測位精度劣化を回避するために、軌道保持制御間隔を可能な限り延ばすことを検討した。最適な制御方法を導出することにより、40 日程度まで間隔を広げられることを示した。最後に、測位のみのミッションで仰角条件を緩和した場合には、1 年に1 回程度の制御に減らせる可能性を示した。三番目の課題は、衛星ネットワーク運用に関するものである。提案した同一位置ハンドオーバを実現する軌道の場合には、衛星衝突が起こりうる。安全に運用するための方法とそのための軌道変位量について検討し、衝突回避運用方法を確立した。さらに、ネットワークを構成する衛星が故障した場合に備えた予備衛星の配置方法や、予備衛星の軌道変更によるネットワーク構成復旧制御方法についてトレードオフ検討を行い、指針を導出した。本研究により、準天頂衛星ネットワークの実現可能性を示し、軌道に起因する諸問題を解決するための指針を明確にした。このことにより、準天頂衛星プロジェクトが開始されることになった。2010 年9 月には、準天頂衛星システムの測位ミッション実証衛星である「みちびき」が打ち上げられた。
著者
鈴木 寿之 大迫 尚晴 山﨑 曜 木村 清志 渋川 浩一
出版者
Kanagawa Prefectural Museum of Natural History (Kanagawa Prefectural Museum)
雑誌
神奈川県立博物館研究報告(自然科学) (ISSN:04531906)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.51, pp.9-34, 2022 (Released:2022-03-29)

琉球列島八重山諸島の河川渓流域に生息するハゼ科ヨシノボリ属魚類の2 新亜種(Rhinogobius aonumai aonumai とRhinogobius aonumai ishigakiensis)をふくむ1 新種 Rhinogobius aonumai (新標準和名パイヌキバラヨシノボリ)を記載した。Rhinogobius aonumai aonumai (新標準和名イリオモテパイヌキバラヨシノボリ)は西表島のみに分布し、背鰭前方鱗数9–15、縦列鱗数32–37、脊椎骨数11+15–17=26–28(モードは27)、第2 背鰭前端の2 個の坦鰭骨は第10 脊椎骨の神経棘をまたぐ、腹鰭第5 軟条は最初に3 または4 分岐(ふつう4 分岐)する、頬の孔器列は縦列する、生鮮時の体の地色は黄色系である、第1 背鰭に暗色斑はない、尾鰭に暗色の横点列かジグザグ横線が並ぶ、雌の尾鰭基底に垂直に並ぶ1 対の暗色の短い棒状斑があるなどの特徴で同属の他種階級タクソン(種及び亜種)から区別できる。Rhinogobius aonumai ishigakiensis (新標準和名イシガキパイヌキバラヨシノボリ)は石垣島のみに分布し、背鰭前方鱗数10–14、縦列鱗数33–38、脊椎骨数10+16–18==26–28(モードは27)、第2 背鰭前端の2 個の坦鰭骨は第9 脊椎骨の神経棘をまたぐ、腹鰭第5 軟条は最初に2 または3 分岐(ふつう2 分岐)する、頬の孔器列は縦列する、生鮮時の体の地色は黄色系である、第1 背鰭に暗色斑はない、尾鰭に暗色のジグザグ横線が並ぶ、雌の尾鰭基底に垂直に並ぶ1 対の暗色の短い棒状斑があるなどの特徴で同属の他種階級タクソン(種及び亜種)から区別できる。
著者
中山 聖子 木村 将士 金子 誠也 山崎 和哉 外山 太一郎 池澤 広美 加納 光樹
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.2024, pp.AA2024-2, 2024-01-11 (Released:2024-01-11)

東南アジア諸国の水産上重要種であるウシエビPenaeus monodonは、インド・西太平洋の熱帯から温帯地域で生息が確認されており、その分布の北限は東京湾もしくは房総半島沿岸とされてきた。しかしながら、2021年9月から2023年11月にかけて両海域よりも北に位置する茨城県の江戸上川・久慈川・那珂川・利根川河口域と汽水湖涸沼において本種の稚エビ計20個体(頭胸甲長4.8–28.3 mm)が採集されるとともに、江戸上川産の標本に基づいて本種の北限記録を更新した。これらの採集年については、黒潮からの暖水波及と部分的に関連付けられる20 °C以上の高水温の期間が平年と比べて長かった。本種は低水温への耐性がないため茨城県沿岸海域で越冬する可能性は低いものの、今後、海水温の上昇によって稚エビの加入が増えていく可能性がある。
著者
木村 凜太朗 萬年 一剛 熊谷 英憲 松井 洋平 伊規須 素子 高野 淑識
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7.8, pp.249-256, 2023-07-05 (Released:2023-08-25)
参考文献数
21

箱根温泉・大涌谷の「黒たまご」は,地熱と火山ガス等の化学反応を利用した産物であり,古くから箱根の名物である.卵殻の黒い理由の詳細は,長らく不明のままであった.科学的な知見が少ないまま,殻表面に硫化鉄が付着するためと言われてきたが,黒たまごは放置しておくと1日程度で褪色してしまう.硫化鉄は空気中で比較的安定なため,褪色現象を説明することは困難である.本研究では,まず,黒たまごをクエン酸水溶液中に静置し,薄膜状の黒色物質の単離を行った.次に,単離された黒色物質をさまざまな非破壊及び破壊分析法を用いて検証した.その結果,無機成分は少なく,有機成分であるタンパク質様物質を多く含むことを明らかにした.さらに,炭素(C)・窒素(N)・硫黄(S)の含有量が多いことから,有機物と硫黄を介した架橋反応の形成も示唆された.卵殻外層の黒色物質は,タンパク質様物質のメイラード反応(褐変反応)により生成され,空気中での酸化分解に伴う褪色の可能性が考えられた.そのような準安定的な過程を経て,黒たまごの黒色物質は,保存状態のよい有機─無機複合体として,卵殻外層に存在することが考察された.